首位堅守で祝いの嵐−。大分を2−0で撃破した試合後、ゴール裏からバースデーソングがスタジアムに鳴り響いた。2日に64歳を迎えたばかりの大宮・ベルデニック監督は「忘れられない日になった。サポーターに感謝したい」とほおを緩め、勝利をかみ締めた。
強烈な先制パンチだった。前半18分。渡辺のFKが壁にはね返されたこぼれ球をFWノバコビッチが右足で狙った。鋭く曲がった弾道はゴール右上に突き刺さった。そして、ベンチ前で控え組と円陣を組み、ゆりかごパフォーマンスを披露した。
「(下平)匠に子どもが生まれたからね」。指揮官の誕生日に加え、4月下旬に第1子となるまな娘が誕生した仲間を祝福した。超高難度弾にも、スロベニア代表ストライカーは「分析スタッフのおかげ。得点は全員でもぎとっている」とチーム一丸を強調した。
団結力でリーグ6連勝、連続無敗記録も「20」に伸ばし、”7日天下”では終わらせなかった。Jリーグ現役最年長監督は語気を強めて言う。「大宮にとって首位は初の経験。プレッシャーの中で勝ちきった。とても価値ある勝利」。もう春の珍事とは呼ばせない。太い絆を武器に、この日も常勝軍団への階段をまた一歩着実に上った。 (占部哲也)