巨人　２０勝一番乗り　脇谷がサヨナラ打

　巨人がサヨナラ勝ちし３連勝。２−４の６回、３試合連続となる阿部の９号本塁打と敵失で同点。延長１０回、２死三塁で脇谷が中前打を放った。西村が今季初勝利。広島は５回に広瀬の二塁打などで４点を奪うが、大事な場面で守備が乱れた。

　打った瞬間、勝利を確信した。延長１０回に訪れた２死三塁の好機。巨人・脇谷が３球目の１４９キロ直球をたたいた。二遊間を破った打球はゴロで中堅へ。三塁走者の亀井が本塁を踏み、今季２度目となるサヨナラ劇が完成だ。３点差を追いついた末の価値ある１勝。ヒーローは満面の笑みだ。

　「すごく気持ちいいです。最高です！！」。自身初のサヨナラ打は意地の一打。５回にまずい走塁で併殺となり、チャンスをつぶしていた。そのミスを補う快打。「悔しい気持ちがあったので取り返そうと思っていた」とその味をかみしめた。

　積極采配に応えた。脇谷、１０回にチャンスをつくった亀井も試合途中からの出場。しかも、亀井は先制打を放った中井に代わっての登場だった。チームが一体で戦うのが今季の原巨人。指揮官はカードの出し惜しみをしない。その方針を理解する２人も入念な準備で声がかかるのを待っていた。

　グラウンドに立てば完全燃焼。１０回は脇谷が普段以上に燃えていた。三塁走者の亀井はキャンプで左ふくらはぎを痛めて出遅れ、この日が今季初登場。右肘を痛めて育成選手になった経験を持つ脇谷は辛苦をなめた仲間のスタートを飾ってやりたかった。「心にくるものがあった」。サヨナラ劇は苦労人同士の見事なコンビプレーだった。

　脇役がきっちりと仕事をしての３連勝。両リーグ最速の２０勝到達で、東京ドームでの広島戦は１引き分けを挟んで１１連勝。「サブプレーヤーがいい働きをしてくれました」と語る原監督の顔にも手応えの色が浮かぶ。さらなる強さをみせたサヨナラ劇。セ界独走への歩みは止まりそうにない。　（川越亮太）