病院で殺されないために知っておくべきこと「検査」のウソ——病人はこうして作られる大研究【第2部】本当はここまでなら大丈夫医師が自分で使っている「正常値」

2013年05月04日(土) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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 また、中年の管理職1200人を対象に行われた調査もある。Aのグループは、定期的に検査を行い、生活指導で高血圧が改善しない場合は薬を出して綿密なケアをした。Bのグループは何もせずに放置した。その上で15年後を追跡調査したところ、より多くの死者が出ているのはAグループだった。皮肉にも、健康に気を使い、医療によるケアをしている人のほうが寿命が短いという結果が出てしまったのである。

 健診で提示される基準値が信用に足るものではないということは、第1部で述べたとおりだが、では数値の真実を知る医師たちは、どの程度の数値を「正常」の目安としているのか。

 年齢と共に数値が上がっていくことは自然なこと、と主張する前出の松本医師の意見はこうだ。

「最高血圧は、昔に用いられていた〈年齢+90〉を基準にするのがいいと思います。最低血圧は110くらいでしょう。

 尿酸値の現在の基準は7・0程度で、オーバーしていると痛風予備軍と騒ぐけれど、その考え方自体がおかしい。尿酸値が高いと痛風になるなどというのはひと昔前の医学の見解です。尿酸値が低くても痛風になることはあるんです。私も3回ほど発症しましたが、値はいつも6・4程度でした。しかも私は菜食主義で酒もタバコもやらない。それでも痛風になるのは、尿酸値ではなく体質が関係しているのです」

前年の数値と比較する

 岡田医師は、数値を知ることで病気の予防に直結するものに限っては、目安として検査を定期的にしておくのが良いという。

「それは、血糖値と血圧、コレステロール値です。これらの数値が上がっていたら、生活習慣を改善して数値を下げれば、心筋梗塞や脳卒中などの病気が発症するのを予防することができることは明らかなのですから、目安にするにはいいでしょう」

 父親からの遺伝で自身も血圧が高いという中原医師の目安はこうだ。

「僕自身はいつ測っても血圧が170になって初めて薬を飲むようになりましたが、一般には160を超えるようになってからで十分です。130は薬を飲むには早すぎます」

 そんな中原医師が勧める「正常値」を、上に記した。これは、東海大学医学部名誉教授の大櫛陽一氏が約70万人ものデータを分析したものだ。

「これまでの基準値は、年齢も性別もほとんど関係ないものが多かったですが、それを踏まえて基準値を考えないと、意味がないのです」(中原医師)

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