“かるた王国”の福井県が登場する人気漫画「ちはやふる」の作品世界や、かるた界をけん引する県内の実力者たちを紹介する特別展示が27日、福井市の県立こども歴史文化館で始まった。江戸期に始まる百人一首かるたの史料も併せて並べており、中近世から現代まで、幅広くかるた文化に触れられる内容となっている。
「ちはやふる」は、競技かるたに取り組む高校生の物語。主要人物3人のうち1人があわら市在住の設定で、物語の舞台として本県がたびたび登場する。今回出版元の講談社の協力を得て、連載用や単行本の表紙として描かれた原画の複製50点や、25話分のアニメ台本などを並べた。
原画は、長さの目盛りが付いた特製の原稿用紙に描かれ、枠をはみ出す筆致もあり創作の過程が伝わる。JR芦原温泉駅など本県が登場する場面も集め、作品をより身近に感じられる。
県内の実力者を紹介するコーナーでは、1991年に4大タイトルの一つ「第35期クイーン位」に就いた山崎みゆき八段(坂井市)の優勝カップなどを展示。現在、国内トップ選手として活躍する三好輝明八段(越前市)らA級選手5人も“達人”として取り上げ、「実はロマンチスト」「プリンパフェ大好き」などと、イラストを用いたパネルで楽しく紹介している。
鎌倉時代の藤原定家の選に始まり、江戸時代に歌かるたの形になったという百人一首。展示ではその歴史をパネルで詳しく説明し、江戸期に一枚一枚、絵や文字が描かれた豪華な肉筆かるたを並べた。ハマグリの貝殻の内側に絵が描かれた「貝絵」もあり、かるた遊びのルーツがうかがえる。
同館の長野栄俊主任は「人気漫画の作品世界をきっかけに、県内の実力者や百人一首の歴史など、本県の特色でもあるかるた文化に触れてもらえたら」と話していた。
会期は6月9日まで。5月3日午後2時からは、あわら市出身で「ちはやふる」の生みの親でもある編集者、冨澤絵美さんの講演がある。申し込み、問い合わせは同館=電話0776(21)1500。