【ブリュッセル=御調昌邦】欧州連合(EU)の欧州委員会は3日、2013年のユーロ圏の実質経済成長率がマイナス0.4%になるとする経済見通しを発表した。14年もプラス1.2%にとどまる。前回2月の予測から両年とも下方修正した。深刻な内需低迷による景気後退が長期化、特に南欧諸国などは歳入が低迷し財政再建の道のりが一段と厳しさを増している。
成長率見通しは13年を0.1ポイント、14年を0.2ポイント、それぞれ下方修正した。独仏など主要国の予測引き下げが主な理由。12年のユーロ圏成長率はマイナス0.6%だったため、2年連続のマイナス成長となる可能性が高まった。ドイツは13年にプラス0.4%を確保する公算だが、フランスやイタリア、スペインなどは国内総生産(GDP)が縮小する見通し。欧州景気の出遅れ感が鮮明だ。
欧州委は「(半年ごとにみれば)13年後半にはプラス成長に転じる」と分析。年内に景気後退を脱却できるという見通しは堅持した。
1年前に発表した経済見通しでは、13年に1.0%成長すると予測していた。今年初めには金融市場の一部でも景気が安定し始めるとの期待もあっただけに、景気後退が長期化するとの予測に失望感が強まっている。
景気後退の主因は個人消費の落ち込みだ。スペインやギリシャは4人に1人が失業し、ユーロ圏全体でも失業率は12%超と、比較できる統計上では過去最高の水準だ。高額の消費手控えが顕著で、「1~3月期は特に西ヨーロッパ(の販売)が予想より悪かった」(独自動車大手のダイムラー)との声が多い。
EU統計局によると、2月のユーロ圏小売売上高は前年同月比1.4%減少。これまで好調だった独企業なども苦戦を強いられ始めた。域内の業績不振により企業がリストラに動いて雇用不安が高まり、内需低迷に拍車がかかるという悪循環に陥りつつある。
欧州委のレーン副委員長(経済・通貨担当)は3日の記者会見で、「経済成長のけん引役は外需」と指摘した。内需は債務危機で当面期待できない。米国や中国などへの輸出増加をテコに景気回復のきっかけをつかみたい考えだが、通貨ユーロ安の修正などもあり外需頼みにも不透明感が漂う。
景気の低迷で税収なども想定を下回るため、財政再建は困難さが増している。フランスは13、14年の財政赤字がそれぞれGDP比で3.9%、4.2%になると予測。GDP比で3%以内という財政規律を上回る可能性が高い。スペインは財政赤字が6.5%、7.0%となる。
レーン副委員長はフランスに、財政再建までの期間を2年延長し15年まで猶予を与える考えを示した。欧州中央銀行(ECB)は2日に利下げを決定。今後は財政規律より経済成長を重視すべきだとの声が強まる可能性もある。
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