特集:きょう憲法記念日 憲法96条改正の是非 日本維新の会共同代表・橋下徹氏、憲法学の樋口陽一氏に聞く

毎日新聞 2013年05月03日 東京朝刊

 憲法96条改正の是非について、弁護士で憲法改正のカギを握る日本維新の会共同代表の橋下徹氏と、憲法学の樋口陽一氏に聞いた。【聞き手・高塚保、木下訓明】

 ◇国民の判断に委ねよ−−日本維新の会共同代表・橋下徹氏

 政治や行政、司法に対する世の中の批判の根本原因は統治機構を規定している憲法のゆがみだ。何とか憲法を国民全体で考える機運を高めたいと考えていた。日本維新の会を作る際、「そこが変わればすべてが変わっていくものは何か」と考えた時に憲法96条を思いついた。議論をしっかりやるには、憲法が変わる可能性が背後にないと本気の議論にならない。参院選でもっと議論を盛り上げていければと思っている。

 96条の国会発議要件を「2分の1以上」に引き下げることを緩和だとは思わない。日本の憲法改正手続きの一番の特徴は「3分の2以上」の発議ではなく、最後に国民投票にかけるということだ。99条の憲法尊重擁護義務の対象から国民が外れている意味は、現行憲法がこの憲法自体を信じるのか否かも国民の自由な判断に任せているということだ。「護憲派」と言われる人たちが現行憲法を本当に守りたいのであれば、国民の判断にゆだねるのが筋だ。護憲派は「移ろいやすい国民世論にゆだねるのは危険だ」「一時の国民感情で憲法を変えていいのか」というが、それは日本国憲法という極限まで国民を信じる憲法の価値観にそぐわない。

 司法試験の勉強では個人の尊厳を明記する憲法13条が一番重要だと習うが、13条をも変えうる力をもつ96条の方がより重要だ。だが現行憲法制定時の衆院の議事録を見ると、96条は「質疑なし」でまったく議論されていない。憲法制定過程の大欠陥だ。日本人が初めて経験する憲法改正議論として、感情的なイデオロギー闘争とならない96条改正がもっともふさわしい。

 国会での議論を見ると、憲法の教科書すら読んだことのない国会議員がなぜ憲法について簡単に意見できるのかと思う。現行憲法には主権者である国民が国家権力を縛るという立憲主義が込められている。その底にある憲法論の奥深さは、刑法や民法などに比べても桁が違う。国民に特定の価値観を強要する憲法改正を目指すような議論はすごく怖いことだ。

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