2013年05月02日

◆ TOEIC,TOEFL で高得点を取る方法

 TOEIC,TOEFL を重視せよ、という意見が出回っている。そこで TOEIC,TOEFL で高得点を取る方法を示す。

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 TOEIC,TOEFL を重視せよ、という意見が出回っている。最近では、次の意見だ。
 《 「大学入試にTOEFL義務付けを」 首相に自民提言 》
 自民党の教育再生実行本部(本部長・遠藤利明衆院議員)は8日、英語能力を測る、世界的に普及した国際テスト・TOEFL(トーフル)を大学入試に義務づけるなど、海外で活躍できる人材の育成を目的とした教育政策を安倍晋三首相に提言した。実現するかは不透明だ。
 提言は、英語、理数、ICT(情報通信技術)の教育をそれぞれ充実させるのが柱。「経済再生には人材養成が不可欠」「トップを伸ばす戦略的人材育成」などを目的にうたう。特に英語教育では、「TOEFLなどの一定以上の成績を大学の受験・卒業要件にする」「高校段階でTOEFL45点(英検2級)等以上を全員が達成」などとした。
( → 朝日新聞 2013年4月8日
 これについて、提唱者と反対者の論争が、朝日新聞上に掲載された。
 → (争論)大学入試にTOEFL 遠藤利明さん・江利川春雄さん
 一部抜粋すると、次の通り。
《 提唱者 》(衆院議員)
 まずは、センター試験から英語をやめ、TOEFL一本にする。何点を受験資格にするかは、それぞれの大学が求める学生のレベルに応じて設定すればいい。
 TOEFLが必須になれば、学校現場は変わらざるを得ません。使える英語を教えるようになります。TOEFLは日本の高校生にはレベルが高すぎるし、目的が違う? じゃあ、何をやります? いい方法があったら教えて下さい。これまでの英語教育がうまくいっていないから、変えないといけないんですから。
 英語教育の専門家にも聞きました。みなさん、さまざまな説をおっしゃるけど、どれが正しいのかわからない。一番簡潔なのがTOEFL導入です。もちろん全員に高い点を取れという話ではありません。高校卒業レベルは英検2級、TOEFLで45点ぐらいといいます。それを目指せばいい。
 私は受けたことはないです。受けても10点ぐらいでしょうか。

 《 反対者 》(教育学者・和歌山大学教授)

 「中学高校で6年間学んだ」と言っても、英語の授業時間は合計700〜800時間です。それで使えるようになるほど日本語と英語の距離は近くない。文法も発音も、あまりにも離れた言語です。
 TOEFLが問うのは会話力だけではありません。英語圏の大学や大学院の授業についていける英語力の有無を調べるテストです。話す聴くだけではなく、長文をいくつも読み、筋道の通った英文を書かせるなど、高度の読む力と書く力が求められます。内容も文系理系にまたがった教養が必要です。東大の入試問題や英検1級より難易度の高い問題も含まれます。もちろん学習指導要領には準拠していません。
 このようなテストを入試に導入したら、大半の高校の教育現場を破壊してしまいます。TOEFLには1万語水準を超す難解語が頻出しますが、指導要領が求める単語数は中高で3千語です。生徒は知らない単語だらけの文章を読まされ、英語がいやになってしまうでしょう。現状でも英語が嫌いだ、わからない、という生徒が増えているのに、その流れを加速させるだけです。
 今回の自民党の提言は「体育の授業の目標を国体出場レベルにしよう」といっているようなものです。現実との隔たりがあまりにも、甚だしい。
 この論争を読んだ人々の見解。
 → 大学入試にTOEFL導入、自民旗振り役が「受けても10点」と居直る ネットで「この議員、あまりにもアホすぎるw」
 一部抜粋しよう。
 「提言」をまとめたことが報じられた直後から、ツイッター上では一般的な学校教育の到達度を測るには適さないという見方が海外大への留学経験のある人を中心に広がった。「これ言ってる人、TOEFL受けたことないんだろうな」と呆れ交じりの書き込みも相次いでいた。今回の遠藤氏の発言で、これが裏付けられてしまった格好だ。
 自身が導入の旗振り役でありながら、試しに受けてもいない、その上「受けても10点くらい」と開き直る。提言で「高校卒業レベル」に設定した「45点」をはるかに下回る点数だ(TOEFLは形式が複数あるが、現在主流のibTでは120点満点)。ツイッター上では「自分で言ってて矛盾感じないのかな?」「なんだこの無責任議員」と首をかしげる人が複数いる。
 その上、遠藤議員の発言にはこのほかにもおかしなところがあると指摘が相次いでいる。
 たとえば、遠藤議員は自身が国際会議に出席した際、パーティーでわいわいやっている場での会話に英語で参加できなかった経験を引き合いに出し、中高6年間の英語教育は役に立たないのでTOEFLを導入し、「話せるようになる」よう変える必要があると訴えた。国際会議での会話は「次の会合に生きてくる」とも説明しているので、英語力の無さで政治家としての活動に支障をきたしたとみずから告白したようにも受け取れる。
 ところが、「グローバル時代の政治家として国会議員もTOEFLを立候補要件にしてはどうか」との問いには、「でも、政治家とは英語力がないと務まらないのかどうか」と居直ったのだ。
 簡単にまとめると、こうだ。
 提唱者 「英語の重要性は身にしみて感じている。だから何とか英語力を付けたい。そのためには大学入試で『話す力』を重視した試験にすればいい。そうすれば、競争を通じて、自動的に『話す力』が向上するはずだ。だから『話す力』を重視した試験 TOEFL を義務づけよう。……え? 私? 10点しか取れません。それでも全然問題ないです。政治家にとって英語力なんか全然必要じゃありません」

 何言っているんだ、こいつ。 (^^);

 ──

 この問題の核心は、次のことだ。
 「ある分野で試験を導入すれば、競争を通じて自動的に点数が向上する」
 こういう発想は、進化論や市場原理の発想に似ているので、自民党のような保守主義の人は容易に信じる。
 しかしながら、上記のようなことは成立しない。試験だけ導入したって駄目なのだ。試験以前に「教育」が必要なのだ。教育なしに試験だけ導入しても、実力は付かない。英語もまた同様。きちんとした「聞く力」「話す力」の教育を整備しないまま、単に試験だけを導入しても、何の意味もないのだ。
 こういうこともわからないんだから、上記の提唱者(政治家)は、馬鹿ですね。
 
 ──

 それでも、TOEIC,TOEFL で高得点を取るための勉強法というものはある。たびたび話題になるので、私も紹介しよう。下記のようなものだ。

 → 英語落ちこぼれ→取りあえずTOEIC935点
 → Dラン大学生が半年でTOEIC890を取るまで
 → 半年でTOEICテスト800点を取れる人のスゴイ勉強法
 → TOEIC800点とったよ!

 単純に言えば、次のことだ。
  ・ 普通に英語力を付ける。
  ・ 特にヒアリングの力を付ける。


 だが、以上の方法では、多大な努力を必要とする。もっと手っ取り早く高得点を取る方法はないか? ある。

 → 実質2ヶ月でTOEICを340点アップさせた、私の勉強法
 → 40歳平凡サラリーマンが半年でTOEIC400点から700点
 → TOEICの点数だけを上げるための王道

 単純に言えば、次のことだ。
  ・ 問題集をいっぱいやる。
  ・ 勘を養う。
  ・ 英語力の向上でなく、点数だけの向上を狙う。


 以上の方法で、高得点を得ることができるようになる。ただし、英語力はあまり身につかないことが多いようだ。あくまで「点数だけ」が目的となる。そしてそれは、可能だ。
( ※ 普通の大学入試の英語の試験だと、良問が多くて、英語力がそのまま測定されることが多い。しかし TOEIC,TOEFL だと、英語力とは関係なく、単に試験の点数だけを向上させることが可能だ。)

 で、こういうふうに「試験だけは高得点だが、実力はない」というタイプが増えると、どうなるか? ろくなことにはなるまい、と推定される。
 さらに、実際に英語力があっても問題だ、という例がある。帰国子女などだが、英語力だけはたっぷりとあるのだが、肝心の知力や社会的能力がまったく欠けている、という例が多い。そして、そういう若者を「優秀だ」と思って採用した会社では、ひどい状況になっているそうだ。具体的な例は、楽天やユニクロなどだ。
 → 急増中!「英語ができて、仕事ができない」若手社員たち
 一部抜粋しよう。
 入社の必須条件としてTOEIC750点(990点満点)を課している楽天も、前述のようにその例外ではない。「点数」としてはかなり高いハードルを設定しているはずなのに、皮肉にも「使えない社員」が続々と入社している実情がある。

  ̄ ̄ 
 会長兼社長・柳井正氏はインタビューに対して、優秀であっても英語ができない学生は「いらない」と断言したが、'11年にユニクロに入社した元店長は、「ユニクロの英語力」に疑問を呈す。
 「僕は、会社説明会で『これから世界一を目指していく』『グローバル人材を求めている』と先輩社員が熱く語っている姿に惹かれ、入社しました。しかし、いざ配属になった店舗では、英語なんて一切使わなかった。海外へ行けるような社員は、現場で結果を残し、試験をクリアし続けた一握りの人だけ。それがユニクロの現実です」
 というわけで、英語力の重視なんていうのは、まったくろくでもない方針なのだが、その方針を取る企業が多いそうだ。上記引用の続きに、こうある。
 グローバル化を標榜し、英語力重視の社員教育を進めている企業は、楽天、ユニクロだけではない。日産、新日鉄、明治安田生命、東京海上日動、ブリヂストン、JR東日本などの大手企業をはじめ、2500社以上の企業が、社員にTOEIC受験を義務づけている。
 呆れた話だ。
 これじゃ、日本企業が低迷するのも、当然だな。技術開発のかわりに、英語力の勉強なんかやっているんだから、まともに仕事をしている外国の他社と比べて、勝負になるはずがない。



 【 関連サイト 】

 オマケ情報。
 → 迷走する日本の英語教育 - 鈴木和夫



 [ 余談 ]
 本項のタイトルを見て、「うまい話があるのだろう」と期待した人も多いだろうが、残念でした。本項の内容は、「うまい話には裏がある」ということでした。
 それでもまあ、点数だけが欲しい人にとっては、意味のある内容ではある。
 
posted by 管理人 at 20:32 | Comment(1) | 一般(雑学) 2 このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
英語能力を向上させるだけなら、そんなに難しいことはないです。中学校の英語の授業を週10時間くらいにすればいい。毎日、英語ばかりやれば、誰でもうまくなる。

但し、他の科目はできなくなるので、トレードオフの問題となるでしょう。英語教員を大量に雇うために、他の科目の教員の整理も必要になる。

教育に注文をつける人って、「何かを伸ばせば別の何かは引っ込む」という当たり前のことを無視してるんです。
Posted by 井上晃宏 at 2013年05月03日 14:01
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