MRIが聞いていた ヒルズ豪華パーティーとラスベガス旅行

大追跡 - 日刊ゲンダイ

<毎日、日経も“利用”された>

 日本の顧客8700人から集めた1300億円超の資金の大半を消失させ、金融庁に金融商品取引業の登録を取り消された米資産運用会社MRIインターナショナル(ネバダ州)。その東京・赤坂の事務所には「編集部」があり、定期的に発行していた会報誌の表紙には有名人がゾロゾロ登場していた。そればかりか、複数の大手メディアがMRIの宣伝に使われていたからオドロキだ。

 例えば、毎日新聞は04年春ごろから、年数回のペースでMRIの広告を掲載していた。「当社の基準にのっとった審査や外部機関への照会などを経た上で掲載しました。昨年4月10日以降は掲載していません」(社長室広報担当)と言うが、10年近くMRIに“利用”されたことになる。

 日経新聞系の経済専門チャンネル・日経CNBCは、過去にMRIのインフォマーシャル(広告番組)を放送。11年5月にはMRIとの2社で、計4回の投資セミナーを開催していた。日経CNBCによると、「投資に関する一般的なセミナーでしたが、その後にMRIの人が講演し、商品のプロモーションを行ったこともありました」(広報担当)という。

 MRIは有名人や大手メディアを使って“ハク付け”し、掲載されると自社HPで宣伝していた。そうやって客を信用させ、虚偽の説明まで行ってベラボーな資金を集めた。

 1300億円の一部は社員の給料や経費に使われた可能性も指摘されるが、MRIの事務所を訪れたことがある関係者は首をかしげる。

「社員たちは全く羽振りが良さそうではなかったし、見た目にも普通の会社の普通のサラリーマンばかりでした。オフィスもどこにでもあるような内装でした」

 会報誌に出演した有名人のギャラも「3万円程度」と、ありふれた金額だった。では、巨額資金はどこに消えたのか。

 登記簿などによると、日本の統括責任者は02年以降、引っ越しを繰り返し、そのたびに住まいがグレードアップしている。現在は東京・港区のタワー億ションの高層階に住んでいる。さらに別の関係者がこう言う。

「MRIは毎年、六本木ヒルズの51階にある会員制クラブで顧客向けの懇親会を開いていました。昨年は約100人が招待され、黒毛牛ヒレ肉など、高級フレンチが振る舞われました。こうした懇親会は全国各地で開かれていたようです。また、米国のMRI幹部は、日本の顧客をラスベガス本社に招く豪華ツアーを主催。客が空港に降り立つと、MRIが用意したリムジンが出迎える。本社を見学した後、やはり高級ワインやディナーでもてなし、ラスベガスの案内もしていました」

 カネに糸目を付けないド派手な演出で客を信じ込ませていたようだが、資金集めのための見せ金が膨らみ、クビが回らなくなったのか。こんな連中に虎の子の老後資金を突っ込んだ被害者は泣くに泣けないだろう。

<フジナガ社長「資金の大半は残っていない」>

 MRIインターナショナルのエドウィン・ヨシヒロ・フジナガ社長(66)が証券取引等監視委員会の任意の事情聴取に応じ、「集めた資金の大半は残っていない」などと供述していたことが27日分かった。

 集めた資金の大半は運用されずに他の顧客への配当などに流用されたとみられ、監視委はフジナガ社長の刑事告発も視野に経緯を調べる。

 関係者によると、米国に居住するフジナガ社長は今年に入り、監視委の求めに応じて来日。事情聴取に「集めた資金の大半は使ってしまい、残っていない」と話した。一方で、投資した米国の診療報酬請求債権(MARS)は一部残っていると説明。資金の流用については曖昧な供述を繰り返したという。

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