「震災で太平洋側の発電所がすべて止まって(電力送電)系統が不安定になったため、本店は残った岩井戸線2号を止めると言い出した。所長がテレビ会議で最初に声を上げたのはそれを止めないでくれということだった」と三嶋部長。
■格納容器の圧力も温度も上昇続く
増田尚宏・東電福島第2原発所長
そんな状況ではあったが、電気があるおかげで中央制御室で原子炉の温度や圧力を把握できた。各種配管のバルブ(弁)の開閉もたいていは遠隔で可能だった。中央制御室からの監視も操作も困難だった福島第1とは大きく異なる状況だ。
ただ「計算すると、復水貯蔵タンクの水は4日くらいしかもたない。(外部から調達した工業用水をためている)ろ過水タンクをバックアップに使おうと考えたが、タンクの水位が下がっている。地震で漏水があるのかもしれないと復旧班に漏れの場所を探してもらったりした」
三嶋隆樹・東電福島第2運転管理部長
復旧班が本格的に動き出したのは11日午後10時過ぎてからだ。余震が続き津波警報が断続的に出るなか、海際の海水熱交換器建屋を調べに行った。「調べに行ってくれと命じるのがつらかった。早く被災状況をつかみたかったが、みなが納得して行ってくれるタイミングが必要だった」と増田所長。免震重要棟内の緊急対策室のホワイトボードに余震の頻度などを書きだして時期を探ったという。
吉田部長の指揮で40人が派遣された。がれきをどかし浸水した建屋に入り、手分けして調べた結果、各号機に2系統ずつある残留熱除去系のうちB系が比較的損傷が少なく、早期復旧が可能と判断した。
吉田嘉明・東電福島第2保全部長
交換が必要なモーターやケーブルなどを直ちに発注した。モーターは東芝の工場(三重県)や柏崎・刈羽原発から調達、電源車や移動用変圧器も翌12日には到着し、協力企業や各支店から集まった配電部門の技術者を結集して昼夜兼行での修理が始まる。
一方、原子炉では高圧注水可能な隔離時冷却系(RCIC)が何らかの原因で止まる可能性を想定して、低圧の代替注水の準備を始めた。圧力容器の逃がし安全弁を開いて炉心の水蒸気を格納容器下部の圧力抑制室に排出し、圧力容器の圧力を下げた。11日深夜から12日未明までにこの作業を完了し、1、2、4号機でRCICから低圧の復水補給水系(MUWC)に注水を切り替えた。このMUWCは通常は炉心の冷却には使わない。福島第1で消火用の配管を使って注水したのと同じ、緊急時の対処だ。
ただこれも時間稼ぎにすぎない。圧力容器から排出された水蒸気で格納容器の圧力も温度も次第に上昇していく。
東京電力
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