第2では海水をそのまま送ることはしないで、海水と炉心冷却水の間に中間の冷却水の循環(ループ)を設けた。炉心冷却水→中間の冷却水→海水というリレーで熱を海に逃がす。海水熱交換器建屋は2番目のバトンゾーンにあたり、中間の冷却水から海水に熱を受け渡す設備(熱交換器やポンプなど)が置いてある。そこが機能を失ったため1、2、4号機は炉心の熱を逃がす機能を失った。
■電力確保、1回線だけが頼り
原子炉のスクラム直後に、原子炉の蒸気をタービン発電機に送る主蒸気配管の弁が閉じ、タービン発電機を原子炉から切り離した。原子炉で異常が生じてもタービンに影響が及ぶことを避けるためだ。ただこれにより高温の水蒸気を水にして原子炉に再び戻す通常のループが切れる。
ここで本来なら、その名も「残留熱除去系(RHR)」と呼ばれるシステムが動き出し、原子炉を冷やし核燃料の崩壊熱を除くことになっているのだが、海水熱交換器建屋の浸水によって3号機を除いて、RHRは機能を失っていた。
2番手として運転員らが動かしたのは「隔離時冷却系(RCIC)」と呼ぶシステムだ。敷地内のタンク(復水貯蔵タンク)にためてある水を高圧状態の炉心(圧力容器)に注ぎ込む。水を入れ続ければ炉心が空だきになって核燃料が溶ける事態は当面は避けられる。しかし原子炉から熱を取り出さない限り、入れた水は熱い水蒸気となって原子炉にたまっていくばかり。いずれベントによって水蒸気を吐き出さなければならなくなる。
11日午後6時台に、増田所長は1、2、4号機に関し「原子炉除熱機能喪失」の事態にあたると判断し、原子力災害特別措置法の10条に基づく通報をした。
「手を替え品を変えとにかく原子炉を冷やそう。その間に施設の損害状況を把握し復旧させる。両方を同時並行で進めた」と増田所長は話す。原子炉冷却は三嶋隆樹・運転管理部長、復旧は吉田嘉明・保全部長に現場指揮を任せた。
プラントの運転指揮を任された三嶋部長は言う。「外部電源があったので戦術をしっかり立てることができた。最初の不安は運転員が十分に集まるかだったが、午後8時ころまでに非番も含め80人ほどが集結した。道路が寸断され自家用車をぶつけて壊して出勤した者もいた。10人編成で5班のチームを組み対応にあたった」
福島第2は通常、外部から4回線で受電している。被災当日、そのうち1回線(岩井戸線1号)は定期検査のため送電を止めていた。そこへ地震で7キロ離れた場所にある新福島変電所が被災し、もう1回線(富岡線2号)が停止、さらに地震後の点検で富岡線1号の損傷が確認されて停止。残る1回線(岩井戸線2号)だけが頼りだった。
東京電力
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