東京電力・福島第2原子力発電所(福島県楢葉町、富岡町)は2年前の東日本大震災で激しい揺れと大津波に見舞われた。福島第1原発との最大の違いは発電所の外から受電する外部電源が1系統だけ残ったことにある。全電源喪失に至らず、中央制御室でプラントの状況がほぼ把握できた。それでも原子炉の熱を逃がす場所がなくなり、「原子炉内のガスを放出するベント(排気)まであと2時間」に追い詰められた。増田尚宏所長らに「あのとき」の状況を聞いた。
■熱交換器建屋の扉破りなだれこむ海水
福島第2には出力110万キロワットの沸騰水型軽水炉(BWR)が4基ある。2011年3月11日は4基とも定格運転中だった。午後2時46分の地震発生直後、大きな揺れを検知し全号機で原子炉は自動停止(スクラム)した。増田所長は津波が来ることを予想し所員を見張りに出した。その1人が撮った写真がある。
福島第2は南から北へ向けて1~4号機が並ぶ。最も南にある1号機の南側の道路を海水が駆け上がってきた。海水は1号機の裏手(内陸側)にある廃棄物処理建屋や免震重要棟を襲い、裏手から回り込んで2~4号機にも到達した。
想定していた津波の高さ5.2メートル(建設時は3.7メートル)に対し、襲来した津波の高さ(浸水高)は7メートルとされている。1号機南側道路など一部では海抜15.9メートルまで津波が遡上した。
1号機原子炉建屋は、地下に置いた非常用ディーゼル発電機の給気口が地上階の壁面に開いていたため、ここから浸水し、起動したばかりのディーゼル発電機が3台とも水をかぶり止まった。非常用の電源盤も被水した。「今から考えれば、給気口をなぜ地上階につくったのか。もっと上階にあってもよかった」と増田所長は話す。
また岸壁沿いには各号機に2つずつ海水熱交換器建屋(全8棟)という設備があったが、3号機の南側建屋を除き、扉を破って海水がなだれ込んだ。
海水熱交換器建屋は、原子炉が緊急停止した際に熱を海に逃がす働きを担う。福島第1にはない設備だ。第1はポンプでくみ上げた海水をそのまま原子炉建屋に送り、炉心から戻った冷却水(淡水)を熱交換器を介して海水で冷やす。熱を受け取って温まった海水は海に流す。
東京電力
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