チャイハネさんのお部屋

あれは20年ちょい昔、テレビ照明の仕事してて毎朝激混みのラッシュアワーで通勤してた頃の冬、目の前に長身で、多分脱いだらイイカラダぽい若い男性が黒い高そうなコート着て立つ形で車内ぎゅうぎゅうになったんだよね。
爆裂に睡魔に襲われて、いつの間にか、そのお兄さんの背中に思い切りもたれて寝ちゃってた。
降りるちょい前に目が覚めたんだけど、うとうとしてる最中からずっと感じてたんだよね、そのお兄さん、真後ろで私がもたれて寝ちゃい始めてからずっと起きるまで、自分の背中で寝てもいいよ俺、何ともないからさ的に、さりげなくだけどずっと支えるようにして体委ねさせてくれてた。
ほんのり香水かなぁ、めためたいい匂いしてるしコートが高級だから肌触り気持ちよいなぁ…って、思い切り体重預けてしまったまま寝ちゃっても、さりげなくだけどずっと支えてくれて、だけど何も言わない。

降りる時、コートに爆睡してたからヨダレ付けちゃった(＞＜)ごめんなさい！て言う前に黙ったまま振り向きもしないでお兄さん、何事もなかったように平然と先にスッと降りて行った。
何か今思い出すと、男らしくて超かっこいい。
さりげなく背中貸して、黙って支えるようにずっと踏ん張ってくれて、だけど何も言わないし、当たり前みたいにしてた。

高そうなコートだから、普通なら女の子が顔埋めてもたれて来たら化粧とかで汚れるだろ(-_-;)とか思うだろうに。
まぁ当時はすっぴんだったけど。

あの背中貸してくれたお兄さん、背中だけでもう最高にイケメン。
振る舞いもイケメン。

大人な男は後ろ姿だけでも振る舞いだけでもかっこいいんだよね。
顔立ちだけがイケメンではないんだよね、って改めて思うエピソードでした。

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