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【放送芸能】

なぜ?「相棒」無限ループ テレ朝・再放送なのに高視聴率

 新作ドラマの視聴率が一ケタでも珍しくない時代に、テレビ朝日「相棒」の再放送は平日の夕方で二ケタを連発している。「一体、何回目?」と思うくらい何度も放送されたエピソードもあるが、それでも見る人たちが存在する。繰り返し放送される“相棒無限ループ”にはまった人たちって?(宮崎美紀子)

 「相棒」は、夕方のニュース「スーパーJチャンネル」の前に、平日は毎日一、二話ずつ再放送されている。視聴率はおおむね9%以上。先月二日には14・1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録、大河ドラマも抜いてその週のドラマの五位に入った。視聴者はそのままニュースに流れ込む。開局以来の高視聴率に沸く同局だが、「相棒」再放送の貢献は無視できない。

 同局・早河洋社長は三月の会見で「相棒ファンは一回目ではわからないことを(再放送で)発見することもある。作品の深さが何回見ても飽きさせない」と分析したが、実際はどうなのか。

 「『これ、初めて』と思う方が珍しいくらい何度も見てます。『相棒』って手抜きを感じないから、驚きがあって、何回見ても面白い。右京さんがウザいくらい正論吐くのがいいのよ」と話すのは、神楽坂で料理店を営む谷雅子さん(65)。再放送を見てから買い物に出かけ、六時に店を開けるのが日課だ。

 再放送で初めて知った人もいる。横浜市の主婦・林優希さん(37)は「六十代の親の世代が見る番組だと思っていたんですが、二年前に偶然見たら、格好良くてはまりました。新しいファンなので毎日再放送があるのはありがたい。もう一通り見ましたが、古い話や最近の話がランダムに放送されるので、楽しめます」という。

 このランダム再放送は大きな特徴。以前は順番通りだったが、昨年十月から順不同になった。法則が気になるが、「特に決まりはありませんが、続編や関連エピソードをまとめて放送したりしています。これからも、より多くの方に楽しんでいただけるように再放送していきます」(同局編成部)という。

 刑事ドラマは犯人を知っていると楽しめないと思うが、毎日、地上波、BS、CS放送全ての「相棒」を録画している都内の男性独身サラリーマン(38)は「推理小説が好きですが、『相棒』はミステリーとして見ていない。あの世界観が好きなんです。犯人を知っていても構わない」と主張する。埼玉県の一人暮らしの元男性教員(91)は「もう四回くらい見ているかも。心憎いほど綿密な作りなので何回見ても飽きないし、逆に最初はよくわからなかった部分が見えてくる。やりすぎの感はあるけど、楽しみ」という。

 絶好調の「相棒」再放送。フリーライターの桧山珠美さんは「飽きたCDでもシャッフル再生すればまた聴きたくなるように、ランダムな再放送は賢い手法。話を忘れていても、どこか記憶の隅にあって、ズバズバ推理が当たる快感もあるかも」と話す。相棒が三代替わったのも大きい。新しい相棒になじめなくても、再放送で慣れてきて、また新作を見たくなるようで、初代の薫(寺脇康文)ファンだった桧山さんの母親も、そのパターンだったと明かす。

 「今の『相棒』のヒットがあるのは、再放送が視聴者を育てているから。顔の見分けもつかなかった脇役を見いだす楽しみもある。確かに『やりすぎ』という見方はあるけど、つまらないドラマだと見向きもされないから、テレ朝は胸張っていいんじゃないの」(桧山さん)

<相棒シリーズ> 警視庁の窓際・特命係の杉下右京(水谷豊)と相棒が活躍する刑事ドラマ。2002年10月に連ドラ化され、今年3月末に「シーズン11」が終了。03年以降、毎年10月〜翌年3月末まで半年間放送されている。相棒は、薫(寺脇康文)→尊(及川光博)→享(成宮寛貴)と変遷。総エピソード数は200以上。本放送の休止中のみ平日に再放送されていたが、現在は再放送が通年化している。

 

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