降圧剤臨床:スイスの製薬本社、京都の試験で調査開始

毎日新聞 2013年04月24日 21時06分

 降圧剤「バルサルタン」の臨床試験を巡る京都府立医大の論文撤回問題で、世界的な医薬品企業「ノバルティス」(スイス)が、この試験の経緯について外部の専門家らによる調査を開始したことが分かった。同社の日本法人「ノバルティスファーマ」が24日、明らかにした。臨床試験への日本法人の関与が「不透明だ」と批判が集まっているため。大手医薬品企業が、自らが販売する薬の臨床試験の経緯を調査するのは異例だ。

 調査される立場の日本法人は、取材に「問題を真摯(しんし)に受け止めた結果、調査が決まった。事態を重く受け止めている」とコメントした。他大学でも類似の試験がされており、これらの経緯も調査対象となる可能性がある。

 京都府立医大の試験は、松原弘明元教授(56)=既に辞職=のチームが実施。2008年発表の試験の実施要綱に関する論文には、日本法人の社員が統計解析の責任者として名前を連ねていた。社名の記載はなく、所属は当時兼任していた「大阪市立大」とされ、日本法人は試験の設計や解析に関係していない旨が記されていた。

 一方で日本法人が08年以降、元教授の研究室に1億円余の奨学寄付金を提供していたことも表面化。チームの論文が掲載誌から「重大な問題がある」と相次いで撤回され、大学が調査を始めた。

 また、東京慈恵会医大でもバルサルタンの類似試験がされており、大学側が23日、調査を始めることを明らかにしたばかり。同大チームの07年発表の論文には、統計解析者として京都府立医大の論文と同じ社員の名前があった。所属の表記も同じだった。試験費用を日本法人が提供したとの記述があるが、金額は不明だ。

 一連の臨床試験を巡る問題は昨年4月、「論文の結論に関わる患者の血圧値が統計学上、奇妙だ」などと、複数の大学による論文を疑問視する研究者の意見が英医学誌に掲載され、注目を集めてきた。【河内敏康、八田浩輔】

 【ことば】京都府立医大の論文撤回問題

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