◇中日クラウンズ<第1日>
2日、愛知県東郷町・名古屋ゴルフ倶楽部和合コース(6545ヤード、パー70)▽快晴、気温17.3度、北西の風6.5メートル▽賞金総額1億2000万円、優勝2400万円)▽105選手(うちアマ3人)▽観客6569人▽中日新聞社共催
午前中から強く吹いた風は、午後になるとさらに激しさを増して選手たちを苦しめた。あまりに厳しい「和合の風」の洗礼だったが、それでも松山英樹(21)=東北福祉大=は2バーディー、4ボギーと踏ん張り、首位と3打差の10位発進。残り3日でツアー屈指の難コースを攻略して、2週連続優勝の偉業に挑む。
難攻不落の和合を果敢に攻めた。強風吹き荒れる最終18番パー4、フェアウエーからの松山の2打目は、無情にもバンカーへ。「バーディーを狙ってピンを狙ったが、完全に自分の打ちミス」。リカバリーもグリーン奥のバンカーに入れてボギー。それでも十分に優勝争いが可能な上位で初日を終えた。
デビュー2戦目での初優勝という快挙を携え、意気揚々と乗り込んだ。だが、国内屈指の難コースは、さらに牙をむいて襲いかかった。「風が強く、グリーンも硬くて難しかった」。ラウンド中の名古屋地方の最大瞬間風速は15・6メートルに達した。7番パー3では1オンを狙うも届かず、逆に12番パー4では2打目をグリーンに止められなかった。そして14番パー4では1メートルのパーパットを沈められず「イージーなミスで流れを悪くした」。15番パー5でも連続ボギーをたたいた。
それでも大物ルーキーはひるまない。「いいんじゃないですか、これぐらいで。あまり上が伸びていないし」。ベテランたちも軒並み苦しめられた悪コンディションで傷口を最小限にとどめ、余裕すら漂わせた。
大物から大物へ、ありがたい継承も行われた。スタート直前の練習場でジャンボ尾崎から「ニックネームはまだか。ジャンボのJをやるからジュエリー松山、略してジェリー松山でどうだ」と突然の提案。松山も苦笑いするしかなかった。
そのジャンボ尾崎は、この日の第1ラウンド終了後、腰痛で無念の棄権。そんな大先輩の期待に応えるためにも、泣きごとを言ってはいられない。
「苦しい展開だったが、よく耐えたと思う。しっかり予選を通過し、優勝を目指して頑張りたい」。プロ1年目での2週連続優勝となれば、1973年のツアー制施行後初の快挙。そのとき、松山の名もジュエリー(宝石)のように輝くはずだ。 (川村庸介)
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