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幻の深海魚リュウグウノツカイ、相次ぐ浮上の謎探れ生態に謎が多く幻の深海魚と言われるリュウグウノツカイが今年に入り、山口、鳥取県などの日本海沿岸で相次いで見つかっている。珍しい事態に山口県の博物館などの研究者がチームを結成して、生息海域などが不明の珍魚が日本海沿岸に出没した理由の調査に乗り出した。チームは「深海のロマンと謎を解明したい」と目撃情報を募っている。 山口県萩市の萩博物館によると、リュウグウノツカイは今年になり、山口、新潟、福井、富山、鳥取県で少なくとも計8匹が発見された。定置網にかかったり、海岸に漂着したりしていた。このうち山口県では、1月16日と2月5日に長門市沖に設置された定置網にかかった1匹ずつが見つかり、間もなく死んだ。 個体は萩博物館と同県下関市の水族館「海響館」に寄贈されており、将来の展示に向けてホルマリンに漬けて保存されている。 日本海側では冬から翌年4月にかけてリュウグウノツカイが漂着するケースが多く、2009年冬〜10年春にかけては約30匹が相次いで発見された。しかし、ここ3年は発見情報が減少しており、今年は「当たり年」だという。 こうした現象を受け、10年ほど前から珍しい海洋生物の出現情報を調査してきた萩博物館と海響館、県水産研究センター(長門市)の研究者3人が今月上旬にリュウグウノツカイに的を絞ったチームを結成。本来、深海に生息するリュウグウノツカイがどこからどのようなルートをたどって日本海の沿岸域にやってくるのかを解明する調査を始めた。 チームは日本海沿岸の住民や漁業者から目撃情報を募集。様子や分布を詳細に分析して「太平洋やインド洋の個体が、海流の変化や深海で起きた何らかの現象で水深100メートル程度の浅い対馬海峡を越えて日本海に入った」「日本海の個体が北風と風波であおられて沿岸で発見されている」など複数の仮説を検証する。 萩博物館の堀成夫・主任研究員は「未確認の目撃情報が埋もれている可能性がある。より多くのデータを集めて謎を解き明かしたい」と協力を呼びかけている。 目撃情報は、山口県近郊の日本海側を中心に広く募る。デジタルカメラで撮影した画像に加え、場所や日時、天候などの状況を求めている。情報は萩博物館(muse@city.hagi.lg.jp)、山口県水産研究センター(0837・26・0711)、海響館(083・228・1100)へ。 【リュウグウノツカイ】 アカマンボウ目の深海魚。体長5メートル前後で大きいものは10メートルを超える。銀白色の平たい体で、長く赤い背びれがあり、水深200〜1000メートルに生息している。背びれが髪の毛に、大きな目と口が人の顔のように見えることなどから人魚伝説の元になったとされる。深海魚が姿を見せると海底で何らかの異常があったのではないかと考えられており、「地震の前兆」との言い伝えもある。 (2013年2月24日 読売新聞)
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