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<民論団論>祖国の存在身近に…在日4世が体験した国政選挙

大統領選挙へ上向く関心
朴巨陽(27、東京)

 私は在日4世だが、民族教育に熱心な家庭で生まれ育った。幼い頃から民団の行事によく連れて行かれた。なかでも光復節は必ずと言っていいほど参加した。クラブ活動があろうが、受験に頭を痛めていようが、何が何でも式典だけには顔を出せ、と言われたものだ。それを嫌と感じさせなかった両親には、ただただ感心させられる。

母国での疎外感

 韓国人として、また在日として、誇り高く育てられたと自負する私は、いつしか強烈に韓国に憧れを抱いていた。高校卒業後、すぐに韓国に渡ったが、1年で熱は冷めてしまい、「帰る国がない」ことを痛感した。在日の認知度があまりに低いためか、いくら話しても「国籍は日本ですよね」とか「軍隊行かないヤツは韓国人じゃない」とか言われ、在日に選挙権がないことを知らない人もたくさんいた。

 そんな取り残された感覚も、ようやく消えるのだろうか。第19代国会議員選挙で、民団団員ら在日同胞が在外国民として初めて投票権を行使したからだ。私も初の1票を投じた。

 私はかつて、韓国の政治に関心を持ったことがない。強いて言えば外交に少し興味があったくらいだ。選挙権もないのに、どうして政治に関心が持てようか。加えて、日本での選挙のイメージも影響している。大人の汚さが見え隠れし、ネガティブ・キャンペーンがあふれて、口うるさいおじさんやおばさんがなんかやってるなって程度だった。

 先日の選挙は、そんなイメージを払拭する、それはそれは清々しいものだった。昨年の模擬選挙では、親に言われてしぶしぶ参加した割に、少し嬉しくなってしまった私だった。いつしか本投票が待ち遠しくなり、いざ本番では票を投じる手を止め、感傷に浸るほどではなかったとしても、「やった!」と感激してしまった。

 ただ、この政党に頑張ってほしいと思うだけの考えはなかった。次の大統領選挙では、決め手はこれだと自信を持って投票できるようになりたい。そのために、操作された情報か否かを見極め、本質に迫るくらいの情報量と知識を持っておくつもりだ。

 「政治の知識もなく、現地の事情も知らない在外が参与するのは話にならない」。本国の人たちはそう思うのかもしれない。果たして現地の韓国人は、政党を知り尽くして投票しているのだろうか。決してそうではないはずだ。特殊な歴史的な関係を持ってきた日本で生活しているだけに、国や民族を想う気持ちは在日の方が強いはず。私にはそういう確信がある。

在日らしさ見せ

 選挙とは、価値観がそれぞれ違っても、国や社会をよくしていく気持ちを持って参加するものだと私は思う。なのに、韓国では国の基本的なあり方を歪めずにはおかない、あまりにも偏執な「政治活動」「言論」が目につく。私たちの1票は言うまでもなく、微々たるものだろう。だが、せっかく祖国・韓国との距離が近づいたのだ。在日同胞がゆえの意識をはっきり示せたら、と思う。

 故郷を愛し、祖国を大事に思い、同胞間のつながりを大切にしてきた在日が、選挙に関われば、韓国はよりあたたかい国になるような気がする。

 若い世代はもちろん、さほど関心のなかった同胞の間でさえ、次の大統領選挙への関心は上向いている。みんなで盛り上がって、大統領を選ぼう。在日をはじめとする在外同胞に選挙権を与えたことで、何かが変わった、と思わせたいものだ。

(2012.4.25 民団新聞)
 

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