2011年06月30日

1F-4オペフロの状況

 各建屋の主要機器にアクセスできるフロアのことを通称オペフロ(operation floorの略?)と読んでいます。
・原子炉建屋では、最上階(5階?)
・タービン建屋では、2階(タービンが設置してあるフロア)

4号機の状況が公開されました。例のごとく、かなり写真が制限されています。
(ニュースで何か分かりましたら、補足していきます)
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ここから。比較的線量は低い。約1時間の作業で0.2mSv-0.31mSvなら、ある程度の作業は被ばくをそれほど気にせずできそう。(仮設配管などの設置も可能と思われる)

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これは、電動弁(MO弁)か。海水放水のため、腐食しており動作させることはもはや無理。手動の操作用棒?(ちょっと自信なし)もぼろぼろ。海水+海風の影響だろう。おそらく、すべての鉄がこのような腐食状況になっていると思われる(2号機のぞく)

2011063011.jpg
原子炉ウェルがなぜ、緑色になっているか。
・藻の繁殖
・銅イオン
のいずれかと思われるが、銅はそれほど使用されていないはず。だとすれば、藻の繁殖であり、そうするとウェル内は比較的低温になっている(少なくとも沸騰するような温度ではない)と考えてよいだろう

2011063012.jpg

 最初の図の緑色の板 0.5くらいから左に向けて撮影した写真か?
・天井の梁と思われる鉄骨は、海水による腐食が始まっている。
・機器ピットも藻の繁殖がみられる。
・オペフロは、足の踏み場もない状態であることが容易に想像できる。

1F-4に関連するエントリ
1F-4号機の謎(建屋崩壊)2011.4.22
4号機燃料プールの解説2011.5.1
福島原発4号機の燃料プール補強工事2011.6.9
1F-4 廃墟? Yahooに再度引用2011.6.12
幸運だった1F-4プール2011.6.29

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posted by いんちょう at 22:20 | 原子力

循環冷却システム−うまく稼働したら奇跡

解説:東日本大震災 福島第1原発「循環注水冷却」 安定稼働、不透明
 ◇「冠水」こだわり遅れ
 東京電力福島第1原発で27日、汚染水浄化システムが本格稼働し、処理した汚染水を原子炉の冷却水に再利用する「循環注水冷却」が始まった。安定運転が続けば、原子炉の安全な状態である冷温停止の達成が視野に入る。しかし、稼働直後に汚染水を移水するホースで水漏れがあり、今後も問題なく稼働できるか不透明だ。

 現在、最大の課題の一つが汚染水だ。原子炉の冷却には水を注入しなければならないが、注入するほど汚染水が発生。汚染水は作業を妨げ、一部は海に漏れた。システムの安定稼働は「炉心の冷却」「汚染水の低減」の両立をにらんだ神経戦からの解放になる。

 だが、内閣府原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長が27日の会見で「何もなく進むことはない。安全管理に努めてほしい」と語ったように、楽観できない。

 まず、11万立方メートルもの汚染水処理は前例がない。システムは全長4キロに及び、トラブルが懸念される場所は多い。処理に伴って年末までに発生する約2000立方メートルの高レベル放射性廃棄物汚泥(スラッジ)の保管方法のメドも立っていない。

 そもそも、循環注水冷却の実施は、政府と東電の「希望的観測」で遅れた。東電が4月に発表した最初の工程表には循環注水冷却ではなく、格納容器全体を水で満たして冷却する「冠水(水棺)」が収束の決め手として明記された。ところが、その後の分析で、格納容器に穴が開いていると判明。注水するほど汚染水が発生することが裏付けられた。メルトダウン(炉心溶融)や格納容器の損傷はないとしてきた政府と東電の対応が、初動対応を遅らせた。

 日本原子力学会のチームは、事故から約2週間後の3月28日に循環注水冷却を提言した。チーム代表の奈良林直・北海道大教授は「冠水にこだわり時間をロスした。データを分析すれば格納容器の損傷は当初から明らかだったはずだ」と話す。【中西拓司、岡田英】
毎日新聞 2011年6月28日 東京朝刊


 これはある程度の方がご覧になったことでしょう。原子力学会のチームに事故の収束を任せるしかないと私は思っています。以前ご紹介したとおり、このチームの分析*1はしっかりしています。

さて、東京電力の資料から

2011年6月27日水処理装置・循環注水冷却の概略資料(201KB)
2011063003.jpg

なれていないと何が何だか分からないかもしれませんが、これは簡単です。
2011063004.jpgこれが閉状態のバルブ
2011063005.jpgそして、これが開状態のバルブ
2011063006.jpg両側を開状態の弁で含まれたポンプ

だけです。わかりやすいように水が流れるルートが色塗りしてあります。

図面が読めたとしても、何が何だか実際のところ分かりませんが。。

全体のルート
2011063007.jpg

2011063008.jpg

一応のところ発電所内に入っていますので、長さを忘れてしまいそうですが、以前も書きましたように発電所の敷地は一般の人が考えられないくらい莫大。この配管の距離は、最初の記事に書いていますとおり、約4キロメートル。
 徒歩にしますと大体40分程度になるでしょうか。

皆様がお住まいの場所から、片道20分の距離を想像してみてください。その大きさがよくおわかりでしょう。こんなに長い配管を水漏れなしで運転するなんて、人間には無理。(といっていいはずです)

配管をただ目視して見回るだけで、おそらく1時間程度かかるはずです。

また、この浄化設備に熱交換機が一切ありません。今はいいのですが、順調に流れ出した場合、一体どこで熱を除去するつもりなのでしょうか。

 さらにおおきな問題点があります。この巨大な循環冷却システムをどれくらいの期間動かせばよいのかです。原子炉の冷却には10-20年単位の時間がかかります。その間中ずっと、このシステムを動作できるとは、とても思えません。
 しかも、メルトスルーしてしまった核燃料が格納容器の中にある(中にあればいいですが)のです。

 手厳しい言い方になりますが、これがうまくいったとしても、3月下旬の電源復帰のニュースと同じように実際の廃炉に向かうステップとしてはなにも進んでいないのに等しいのです。

・循環冷却がまともに動いたとして、その次は??


関連ブログ(今後出来るだけ参照を入れるようにします)
*1
子供だましのシビアアクシデント対策2011.6.25(原子力学会の実力−安全の提言)

福島の思い出(2)・福島第一での初期研修2011.4.16(広大さの説明)
全体のスケジュールは?(1F事故復旧工程)2011.3.19 (全く見通しなし)
福島第一原発の見通し(電源復旧以外は・・)2011.3.24(おそらく、この時の発表と同じ重要度)
1号機メルトダウン−私的収拾案・おすすめ2011.5.14(かなり厳しい状況)
原発の工程表-見直しされず・・2011.5.19

 以上の状況と全く変わっていないと思いますので、アップが遅れました。

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posted by いんちょう at 20:33 | 原子力

各家庭へのヨウ素剤の配布がないのは無責任

熊日新聞 2011.6.29(水) 21面から(拡大しません)
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 この記事もネットには流れていないようです。各地方紙には、流されていますでしょうか?

放射線防護に詳しいリバジ欧州議員に聞く

日本ではなく、海外の専門家です。

重要な箇所を切り抜きます。


▽ICRPの基準について
 「通常時の一般公衆に対するICRPの基準は以前、年間5ミリシーベルトだった。その後、5ミリシーベルトだとガンのリスクが高まると分かったので、1ミリシーベルトに下げた。だから20ミリシーベルトで問題がないというのは嘘だ。年間20ミリシーベルトは原子力施設で働く労働者が5年間の平均で浴びてもよい値だから、それを子どもが浴びていいはずがない。」

−緊急時だから仕方ないとの意見もある
「緊急時はそうだが、それは非常に限られて期間のことだ。最大で3〜6ヶ月ぐらい。その後は被ばく線量が年間1ミリシーベルトになるような対策をとらないといけない。」


 この被ばく許容被ばく線量については、日本の御用学者は反論するでしょうか。しかし、国民から盲目的信頼を付託されている首相官邸も次のような文章を書いています。

放射線の健康への影響は積算線量が決める(酒井 一夫・(独)放射線医学総合研究所 放射線防護研究センター長)
前略)
 放射線の場合も同様で、積算線量を計算するためには、その時々の線量率に時間をかけて、足し合わせる必要があります。人は年間を通じて、いろいろな場所を移動しますし、同じ場所でも線量率は日々変化しています。線量計は、その瞬間の線量率を表示するようになっているものもありますが、立ち入った場所のその時の線量率が高くても、滞在時間を短くすることで、積算線量を抑えることが可能です。繰り返しになりますが、健康への影響は積算線量で考えることが大事なのです。


 積算線量でデータがないとされているのは、100mSv以下です。100mSv/年 ではありませんから、十分注意してください。

▽ヨウ素剤配布を
「ヨウ素剤は本来なら事故の直後、(放射性物質が煙のように流れる)放射性雲がくる前にの舞といけないが、配布がほとんど行われなかったと聞く。今も地方自治体までで、各家庭には配っていない。何か起きたときに計画を立てて配布するのでは絶対間に合わない。また同じことが起こる。非常に無責任だ。」


 玄海原発の再開について、国が責任を持つ との言葉だけで、知事は安心し、地元町長も安心しきっています。不安なのは、主権を持つ国民だけのようです。

 安全と言うだけでは、福島の教訓は全く生かされません。

−事故が起きたときに、博多の百万人をどこにどう避難させるのか。
−SPEEDIの事故シミュレーションの公開
−上記シミュレーションから、被害を受けると想定される住民に対するヨウ素剤配布

が終わってから、再稼働させてください。

もちろん、各家庭に対するヨウ素剤配布はすでに終わっているのですよね?

関連ブログ(20mSv問題は、かなり取り上げています)
累積被爆問題(計画的避難区域) 2011.4.13
何が一番大事な情報か(小佐古参与が抗議の辞意)2011.4.30
矛盾(一般公衆と発電所の被曝量が逆転)−重要2011.5.1
福島県に専門家はいないの?(子供被爆問題)2011.5.3
福島の土壌汚染状況(部分汚染地図あり)・注目・2011.5.7
100mSv安全宣言(by 原子力安全委員会)、SPEEDI、海水中断について 2011.5.22
チェルノブイリでは強制移住2011.5.25
そっくり、そのまま文科省にお返しします(被曝問題)2011.5.26
福島小中学校20mSv問題の本質−科技庁を解体せよ2011.5.30

原子力発電所 安全基準(私案)☆☆☆!2011.4.1
玄海原発再開同意−−SPEEDIの公開が先2011.6.8
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posted by いんちょう at 12:13 | 原子力

2011年06月29日

幸運だった1F-4プール

4号機、燃料溶融寸前だった…偶然水流入し回避
 東京電力福島第一原子力発電所4号機で3月15日に発生した火災に伴う爆発の際、使用済み核燃料一時貯蔵プールに、爆発の衝撃で隣接する場所から水が偶然流れ込み、プール内にあった核燃料の過熱を食い止めた可能性があることが、東電の調査でわかった。
 過熱が続いていれば核燃料が溶融し、現状を大幅に上回る放射性物質が放出される最悪の事態もあり得たとしている。
 同原発は、3月11日の東日本大震災で津波に襲われ、外部電源が途絶。4号機の燃料プールへの冷却水注入も止まった。東電は現在、プールから1日約70トンの水が蒸発しているとみて、生コン圧送機で注水しているが、水位は計算通り上がっていない。東電はプールから水が漏れている疑いもあるとして調べたものの、原子炉建屋下部への漏水は確認されていない。
 爆発は原子炉建屋の側壁が崩落するほど激しく、水素爆発が起きたとみられる。水の漏出先として東電が有力視しているのは、可動式のゲートを挟んでプールに隣接する「原子炉ウェル」。ゲートは爆発で破損し、水は原子炉ウェル側に漏れている可能性が高いという。
(2011年4月28日14時31分 読売新聞)

(イメージは拡大されません)
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これを読んだときには、意味が全く分からず、いい加減なことを言っているなと考えておりました。

 その約2ヶ月後

 東京電力発表資料
2011年6月20日 1F4原子炉ウェルおよび機器貯蔵プールへの注水について(29.8KB)から

(クリックで拡大)
2011062902.jpg

(クリックで拡大)
2011062903.jpg

 爆発ではなく、燃料プールの設計時のたまたまの構造で、悲劇的な状況が避けられました。

その結果、DSピットから水が蒸発し、

(現在は、ネットからは削除されています)
4号機 機器貯蔵プールに注水(NHK)
6月20日 5時2分
東京電力福島第一原子力発電所の4号機で、原子炉内から取り出した大型機器を貯蔵するプールの水位が下がり、機器が水から露出して強い放射線を出しているとみられることから、東京電力は、作業員が活動できないとして放射線を遮るためにこのプールに注水を始めました。
東京電力福島第一原発の4号機では、3月の巨大地震の際、定期検査中で、運転中、原子炉の周辺に設置されている大型の機器は取り外され、機器みずからが発する強い放射線を遮るため、原子炉建屋の最上階にある貯蔵専用のプールに収められていました。東京電力がこのプールの水位を初めて詳しく調べた結果、今月11日に底から2.5メートルと満水時の3分の1程度に低くなっていて、大型機器が水から露出し、周囲に強い放射線を出しているとみられています。このままでは4号機の最上階で作業員が活動できないとして、東京電力は放射線を遮るために19日からプールへの注水を始めました。東京電力は「現状のままでは、4号機の原子炉建屋の最上階は、人が立ち入れないほど高い放射線量になっているが、機器が水で覆われれば放射線量は相当下がると思う」と話しています。


 現在は、次図にしめされるように原子炉底から給水を行っています。
2011062904.jpg

4号機燃料プールの補強工事は順調。
2011年6月20日 福島第一原子力発電所4号機原子炉建屋使用済燃料プール底部の支持構造物の設置工事(鋼製支柱設置作業の完了)(270KB)
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関連ブログ記事
福島原発4号機の燃料プール補強工事 2011.6.9

4号機燃料プールの解説 2011.5.1

4号機燃料プールの動画(東電公表)
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posted by いんちょう at 15:42 | 原子力

2011年06月28日

信じられないのなら、日本国民をやめてもらうしかない。


6月27日(月)熊日の記事から
2011070602.jpg

すばらしい記事です。よくここまでかけたと思います。
熊日記者リポートとありますので、熊日に電話しました。

少なくとも九州各県は、地方紙が独自に現地へ記者を送っており、この記者は40代後半の方とのことです。ここに書かれていることは、本当ですか?とお聞きしたあと、すばらしい記事なので、是非全国に配信してほしいとお願いいたしました。

・東京新聞
・福島日報

などに是非掲載していただきたく思います。

 この記事から、大事だと思うところを引き抜きます。

 福島にとどまっている子どもたちは、放射線の直接の影響以外にも心身のストレスにさらされている。
 「5月から6月にかけ、妙に子どもたちのけがが多いんです。担任している4年生のクラスでも周囲でも、骨折したり、何針も縫ったりと相次いでいます。」
「原発事故後の3ヶ月以上、放射線の影響を心配して外でなかなか遊べなくなった結果、運動不足となり転んで大けがしやすくなっているんじゃないでしょうか」とくびをかしげる。


(数ヶ月外で遊べなくなったことで、こんなに簡単に骨折するのでしょうか?)

 もう一つの異変は「ささいなことで、けんかが増えていること。」という。放射線が気になる子どもは教室の窓を閉めるが、あついと感じる子どもは窓を開ける「その開け閉めで言い争いになったりするんです。」

(中略)

4月下旬、いわき市の小学校でPTAの会合があった。放射線について国の基準に沿って対応すると説明した学校側に、保護者の中から心配の声が上がった。すると、学年主任の教諭が釘を刺した。
「国が決めたことを大人が信じられないなら、子どもが動揺してしまう。国の言うことを信じられないのなら、日本国民を辞めてもらうしかない。」




 首領様の言うことを信じられないのなら、国民を辞めてもらうしかいない。

とどこが違うのでしょうか。


 戦前、戦中をどうにかくぐり抜け、大いに反省した国民だったはずなのに、あの教訓はいったいどこに消えてしまったのでしょう。昭和9年生まれの私の母も最近はいつも嘆いています。(まだ、憲兵隊がいないだけまし らしいですが)


 国のことを盲目的に信じろと強制する社会は、民主主義・資本主義とはいいません。それは、共産主義であり、さらに絶対王政の社会です。(あるいは、戦時中の全体主義でしょうか)


 あなたは、今の日本国政府を信じられますか?

続きを読む(2011.06.29記)
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posted by いんちょう at 11:35 | 原子力

2011年06月27日

岩手県宮古市の津波映像

久米さんの科学映像便りから
仮配信のお知らせ2011年 06月 27日
東日本大震災巨大津波をお送りします。

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 この映像は3月11日の東日本大震災による巨大津波の映像です。岩手県宮古市市庁舎5階から、市の広報課の方が、第2波(6.5m)を撮影したもの。4mの防波堤を一挙に乗り越えた津波は、市街の中心部を飲み込むすざましさ。職員の声が全てを物語っています。

この映像はさいたま市にお住まいの川口功様を介して届けられ、宮古市広報課のご了解をえて配信.川口様の中学時代の同級生のご子息、中村氏が撮影したもの。勿論市民も始めてみる映像とのこと。


 これだけ迫力のある津波映像は見たことありません。なんの変哲もない川の水位が徐々に上がっていき、崩壊していく様を見事にとらえられています。

 保安院は、このような津波にも手持ち式電動ドリルと電源車で対応できると本気で考えているのですか?

 また、各電力の重役、また原子力技術者の方々、この津波映像を見て、現在の対応策でも十分安全だと言い切れますか?福島は地震も来ない、津波の被害も過去数百年にわたりないと言われていて、あの惨状。
 電力会社の他部門の方、貴社の原子力村を本当に信用しておられるのですか?守ってあげなければならないかわいい子ども、孫はいないのですか。自分だけ、そして今だけよければ、いいのですか?長いものにいつまでも巻かれていては、大事な人を守ることはけっしてできないのですよ。
タグ:s O
posted by いんちょう at 19:54 | 原子力

脱原発に騙されないよう

鹿野農水相、孫社長の電田プロジェクトを評価(朝日新聞)
2011年6月26日20時11分
 鹿野道彦農林水産相は26日、耕作放棄地や休耕田に太陽光パネルを設置しようとソフトバンクの孫正義社長が提唱している「電田(でんでん)プロジェクト」について、「耕作放棄地を活用すれば、現実的にできる」と前向きに評価した。横浜市で開かれた太陽光発電の推進イベントで語った。
 国内の耕作放棄地は約40万ヘクタールとされる。鹿野氏は「その4分の1は食料自給率向上に利用したいが、どうしても活用できない土地も約30万ヘクタールある。それを活用すればいい」と述べ、電田プロジェクトへの協力に前向きな姿勢を示した。
 鹿野氏は「分散型エネルギーの仕組みを確立していかねばならない。(これまでの政策を)反省しながら取り組みたい」とした上で、「林地も農地も規制、規制と一歩も踏み込ませないようではダメだ。今までの取り組みから一歩脱却し、要望にしっかりと応えていくことを考えなければならない」と語り、農地を巡る規制緩和を検討する考えも示した。


 なんでもそうですが、一見正しいことを言っているようで本当は大変よくないことを企てていることがあります。どういった内容の記事でも、

・どうして、そんなことをしているのか
・その人にどんな利益があるのか。

を本音でみなければなりません。

まず、大変問題な上記記事。一見脱原発で、よさそうに見えるのが要注意。

福島、茨城の農地はかなり汚染されてしまいました。今までと同じような耕作を今後も続けられるかどうか、非常に疑問です。昨日も書きましたとおり、内部被ばくはごく少量の放射能を取り入れただけで、人間に多大な影響を与えるのですから、○○mSvなら安全とはいえないのです。少なくとも私の立場はそうです。

 このように食料を作ることが出来なくなった土地があるのならば、食糧の調達のためにこれら耕作放棄地を使用しなければ、われわれは飢え死にしてしまいます。電気があっても、食べ物がなければどうしようもありません。この貴重な耕作放棄地を太陽光発電に利用するとは、このプロジェクトを考えている人は日本全体のことを本当に考えているのでしょうか。
 電力消費地から遠く離れた休耕田を利用して、太陽電池パネルなどを作って電力の大消費地に送るとは、原発の発想と何ら変わりません。食料が足りなくなっていざ利用したいとなったときにも、ここは「電田」だから、他を当たってくれと言うことになってしまいます。


 時間はかかるかもしれませんが、耕作できない土地 つまり

・都会のビルの屋上に節電20%を目標に太陽電池パネルを取り付ける
・一般住宅の屋上

など、そういった場所に補助金をつけて徐々に増やしていく。

また、都市ガスを使った燃料電池(エネファーム)などで発生した電力も買い取られるようにする。

そういった地道な努力が必要です。さらに、

・地方自治体で電力の20-30%は、自分の都道府県でまかなうように義務づける。
・違反した場合は、電力出力県に○%の違約金を払う
・太陽電池の補助を増やす。
・太陽電池の費用を所得控除として認める。

といった税金面での後押しも重要。

 自分の利益のために、この脱原発の風潮を利用しようとしているのではないか。

常に頭に置いておく必要があります。

(注)
 その人が信用できるかどうかは、過去の行動をみればすぐに分かります。例えば、昨日ご紹介しました肥田医師は、ぶれることが決してなかったことがおわかりでしょう。われわれは、こういった方の話しに耳を傾けなければなりません。

 一年前どういった発言をしていたか、これまでの業績・実績はどうか

を冷静にみてください。そうすれば、自力で本当に納得できる結論を導け出せるはずです。(自分の結論を出すのにマスコミ他にゆだねてしまってはなりません)
タグ:O
posted by いんちょう at 06:54 | 原子力

2011年06月26日

われわれは原発事故にどう対処すればよいか(肥田舜太郎氏)

肥田舜太郎(ひだしゅんたろう)氏
1917年広島生まれ。1944年陸軍医学校卒。軍医少尉として広島陸軍病院に赴任。1945年広島にて被ばく。被ばく者救援にあたる。全日本民医連理事、埼玉民医連会長などを歴任。全日本民医連会長などを歴任。全日本民医連顧問、日本被団協原爆被害者中央相談所理事長。鎌仲ひとみ氏との共著『内部被ばくの脅威』(ちくま新書)は内部被ばくのメカニズムを解き明かし、その脅威の実相に迫る

「福島で被ばく初期症状が始まっている。今年秋から来年たくさん出てくる」
被ばく医師肥田舜太郎氏の演説


原爆のこと、内部被ばくのことを94歳の肥田医師が解説しておられます。是非、ご覧になってください。(演説は5月のようです)

全国保険医新聞(5月5・15日)から(一部引用させていただきます)−医師向けです

 原発事故の放射能被害の事態をどう見て、どう考えたらよいのかが医師に問われている。65年にわたって被ばく医療を実践し、原爆認定集団訴訟の中心的役割を担って国と戦ってきた肥田舜太郎医師に緊急インタビューした(『埼玉保険医新聞』4月5日より転載紹介)
放射線被ばくの治療について
−開業医の中では、放射線に対する治療を知らない人がたくさんいると思いますので、まず、治療について伺います。
肥田
 放射性降下物による内部被ばくには治療法はまだありません
−開業医の先生方にとって被ばくを治療する知識は、どういうものがあるのでしょうか。
肥田
 一番マークしなければならない症状は、「非常にだるい」「仕事ができない」「家事ができない」という、原爆症の中で一番つらかった『ぶらぶら病』だ。
−避難者の中でそういう症状が現れれば原爆病・・・。
肥田
「ぶらぶら病」という概念にあたる、原因の分からない後遺症。治療法は分からない。命が危険になる病気ではない。周期的にくる。大部分はその人特有の現れ方をする。ぜんそく発作のように、始まると4,5日止まらないとか、何週間、何ヶ月も続くとか、その出方も症状もみんな違う。
 いろんな検査をして、広島ではぶらぶら病の患者に対して「病気じゃない。原爆にあったショックの精神障害だからだんだんよくなる」と言うと、他の医療機関を受診し、同じことの繰り返しになる。これが特徴だ。
−例えば白血病などはどうでしょう。
肥田
 白血病はまだでない。3年以降で、白血病はピークが5年、がんが7年だった。これは必ずピークは出る。医師は知っておいた方がいい。被災者のみんなが放射能障害を心配している中で、「心配しなくていいよ」という医者では通用しなくなる。
−日本の専門機関では内部被ばくの治療に取り組んでいるのでしょうか。
肥田
 内部被ばくの治療法はないからやっていないと思う。内部被ばくについて本が出ているのは米国とイギリスとスイス。僕が知っているのは全部で5冊。本を出すほどまでに内容を知っている人は少ない。書く材料があまりない。
 チェルノブイリの時、ソ連も被害を隠し続けて、医師にも研究させなかった。しかし最近は、学問的にすごく進歩して、今までは細胞核の中にある遺伝子が傷つくと病気になり、遺伝障害が起こるとされていたが、今は、原形質のミトコンドリアの生涯よる遺伝子以外の放射線障害も分かってきた。
 今までの医学は細胞単位の医学だったが、放射線被害は分子段階で被害が起こる。新陳代謝は体内の1000個と少しの原子が参加する。その中で主役を務めるのは酸素分子である。
 最近そのエネルギーを測定できるようになり、すべての分子が100電子ボルト以下のエネルギーであることが分かった。ところがウラニウムの分子が一つ入ったとすると、この分子は270万電子ボルト。100円単位で取引しているところへ270万円持って入ってくることになる。エネルギー単位が全く違う。それで細胞の新陳代謝がばらばらになって動揺して、崩壊する。
 細胞は死ねば無害だが、悪いことにそのままの状態で生きていく。細胞は寿命が来たら死んで、自分と同じ細胞を二つ残す。放射線でめちゃめちゃになった細胞がそのまんまの姿で再生する。そしてがんになる。がん細胞は、人間ではない別な生き物だ。だから治せない。
−内部被ばくはメカニズムが違うと言うことですね。
肥田
 分かってみたら今までの常識の常識の正反対だったと。
 例えば、外からの放射線は、強ければ強いほど大きく影響を受ける。少なければ影響も少ないというのが常識だ。ところが細胞の中で放射線が影響を与えるときは、たくさんの放射能物質があると影響が出ない。
 放射線が体内に入って核分裂して、アルファ線とかベータ線とか出す。細胞の回りにはたくさんの酸素分子があり細胞を出入りしている。その酸素分子に放射線が当たり活性酸素に変えてしまう。活性酸素になると荷電する。
 細胞膜はどうやって異物を中に入れないようにしているかというと、脂質と燐が結合した燐脂質という分子が電気を持っており、細胞の回りに存在して電気の膜で守っている。放射線の分子は入れてもらえない。それが活性酸素で電気の穴が開き、その中に入ってしまう。だから270万円を持ったやつが100円しか持たないものの中に入っていき、活動を始める。そこまで今の医学は分かってきた。
 そういう一番の基礎を勉強して、細胞の中で人間の命が作られ、その元を壊してしまう、放射線はそういう人間の壊し方をするんだと言うことが分かれば、どんなにすくなくても防がなくてはならないという考え方が、知識人ならできる。
(中略)
今後の取り組みについて
−この問題にどう取り組んだらいいか、ご提言いただけますか。
肥田
 医師として、福島原発のヒバクシャの診療に関わる機会が増えるのではないかと予測される。 内部被ばく者診療の重点は2つ。
 第1は、主訴が「頑固な倦怠感」の場合は、患者の話をじっくりと聞くこと。聞くだけで患者の不安はかなり癒され、医師への信頼が強まる。
 第2は「患者を励ますこと。」患者は極端な無力感に陥っている。何より重要なのは強烈な「生きる意志」である。


 我々医師はもちろん、日本国民全員が読むべき内容です。

 94歳肥田医師が非常におおきな熱意を持ってされておられるのですから、我々もあとにつづきましょう。

(注意)
 ホールボディカウンタのサービスが一般医療機関でも行われているようです。この新聞に書かれていますように、内部被ばくの治療法はありません。測定結果で何らかの治療が必要と言われた場合には、十分ご注意ください。
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posted by いんちょう at 20:29 | 原子力

浜岡5号機(8)圧力抑制室への塩分流入経路

 浜岡5号機、塩分がありとあらゆるところにばらまかれています。既報ブログ

 もう一度、塩分による汚染状況を表示します。
2011062617.jpg

 なぜ、圧力抑制室に入ったのか不思議でしたが、最初の発表資料に書いてありました。

 まず、プレス文を書き抜きます。

当社は、2011年5月14日13時に5号機の原子炉を停止しました。 原子炉の冷温停止に向け操作を実施中、16時30分頃に主復水器の水室(A)内の水の純度を監視している導電率計の指示値が上昇し、その後、(B)から(F)全ての導電率計の指示値も上昇するとともに、原子炉水の導電率(原子炉冷却材浄化系)も上昇しました。 このため、復水器内で熱交換に用いている海水が復水系へ流入した可能性があると判断し、原子炉への海水の流入防止のため、給水ポンプ等による原子炉への注水を中止、および循環水ポンプ全台(3台)を停止しました。 現在、原子炉は安定しており、操作手順書に従い、冷温停止に向けて操作を継続しており、本日午後に冷温停止となる見込みです。

続いて第2報
事象発生当時、主復水器内は真空状態であり、細管損傷により細管内部の海水が主復水器内へ流れる状態でした。水室内にコバルト60が移行したのは、主復水器の真空を解除した後であると評価しており、真空解除前に海水の出入口弁を閉止していることから、コバルト60を含む海水の海への放出はありません。今後、水室内に残留している海水の処理を行います。

浜岡5号機、海水混入か 中電「原子炉に問題なし」(中日新聞−すでに消去されています)
2011年5月16日
 中電によると、5号機で14日午後4時半ごろ、タービンを回すのに使った蒸気を、冷やして水に戻す復水器内の水の不純物濃度が上昇した。復水器は内部を通る多数の配管に海水を流し、間接的に蒸気を冷却する仕組みで、配管から海水が400トン程度漏れたとみている。約3時間後に別の冷却系統に切り替え、作業を続けた。


・復水器が真空状態
・復水器伝導度上昇、原子炉内伝導度上昇

の2つがそろって、系統隔離に3時間かかったというのは、何度も書きましたとおり、上層部の意向が強く働いたとか思えません。そもそも、復水器というのは構造上海水のリークが起こりやすく(火力も同じ)、系統を直ちに隔離しないといけないというマニュアル があるはず。(直ちに隔離しないと、ボイラー・原子炉がやられます)

 で、この系統隔離後の冷却系統・・・
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 恐ろしいことに
−ECCS系統のポンプ・・高圧炉心注水ポンプ
−主蒸気逃し安全弁
−圧力抑制室

すべてに塩分がまんべんなく行き渡ったことが分かります。(約8%程度?)
特に主蒸気隔離弁は圧力バウンダリでもあり、相当深刻です。(普通に点検するだけでも1台100万円以上かかるでしょう。)配管に溶接してあるボディ部分(鉄合金)については、事実上交換不可能。
 沸騰しているのだから、塩分はそれほど圧力抑制室には移行していないと発表するかもしれませんが、それなら原子炉内に塩分がほとんど貯留していることになりますから、さらに事態は深刻。
圧力抑制室の塩分濃度を全く発表していないのですから、事態は深刻。(海水リークしてから3時間もこのルートを使っていれば、容易に想像できます)あるいは、サンプリングしていないのかもしれませんが。。


 また、改良型沸騰水原子炉から、インターナルポンプなるものが採用されています。
2011062619.jpg
この軸封部にも海水が入っています。

原子炉内の構造物、主要機器すべてに(故意に)塩分を行き渡らせてしまった中部電力。こんな馬鹿な運転をするとは、メーカーも想定していないでしょうから、復旧にいったいどれだけの費用がかかるかさえ、見積もり不能。(福島に技術者をとられているので、対応できるか自体が疑問ではありますが)

このまま、政府が再開許可を出してくれなければいいが・・・と思っているかも。(国に損害を請求できますので)

 一応、情報はすべて出してはきていますが、非常に解釈しにくい。

6月28日(火)
・株主総会
・民主党両院議員総会

とありますので、次回発表は6月28日午後の予定 でしょうか?
タグ:H
posted by いんちょう at 09:25 | 原子力

2011年06月25日

フィルムバッジを持つということ(放射線管理の長い手)

(すべて拡大できます。詳しく読みたい場合は、映像をクリックしてください)
わたしが、会社を辞めたのは阪神大震災、オウム真理教事件のあった1995年。

それから11年後の2006年(平成18年)2月に次のような封筒が届きました。
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 何となくいやな感じがして、中を見てみますと・・・
2011062509.jpg

放射線疫学調査についてのお願い
 財団法人 放射線影響協会は、低線量の放射線が人体に与える影響を調べるため、文部科学省からの委託により、原子力発電施設などで放射線業務に従事された皆様を対象に、平成2年度から放射線疫学調査を実施しています。対象者は現在20万人となっています。
 詳しい調査の内容は同封のリーフレットに示すとおりですので、ご一読ください。なお、この調査は、放射線業務従事者(現在原子力発電施設などで放射線業務に従事しておられる方や過去に従事しておられた方)の氏名、住所、被ばく線量等を利用させていただき実施しています。
 これまでの調査によると、線量の低い放射線が健康に影響を及ぼしているとの明確な証拠は見つけられませんでした。
 また、当協会では、調査結果の公表、講演会の開催、あるいは当協会ホームページ等を通じて、この調査についての広報に努めてまいりましたが、ご存じでない方もいらっしゃるようですので、このたび、ご本人に資料をお送りして、調査の対象者となることについての確認をお願いすることにいたしました。
 この調査にご協力いただけない方は、お手数をおかけして大変恐縮ですが、同封の用紙にご記入の上ご返送いただくなど、当協会へのご連絡をお願いいたします。なお、ご協力いただける方は、ご連絡の必要はございません
 この調査は低線量放射線の影響に与える影響を調べるための大切な調査と考えております。より信頼性の高い結果を得るため、今後も、この調査を継続する必要があります。本調査の主旨をご理解の上、本調査にご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 平成18年2月
 財団法人 放射線影響協会
 理事長 青木 芳朗


 東電にいるときの住所は、分かっているのかもしれませんが、この間に

福島の独身寮→東京の独身寮→東京のマンション→熊本のアパート→現在

とかなり引っ越しており、こんな協会に連絡した覚えなどありません。

このような紙
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(住民票の交付申請)
6 この調査では、住民票の交付申請を行い、定期的に皆様の住所を確認させていただいております。


 毎年1回私の住民票の交付申請を行い、転居の有無などすべて調べ上げていたのです。

(同意できない旨のお申し出)
8 以上をお読みいただいて、この調査の対象者となることに同意しない方は、同封の説明資料「放射線疫学調査の対象者となることに同意しない旨のお申し出について」に従い、財団法人放射線影響協会宛にお申し出ください。なお、この調査の対象者となることに同意いただける方は、特にお申し出の必要はありません。


 申し出がなければ、同意したと見なす。・・・恐ろしい話しです。

パンフレットはさらに恐ろしい。

(表紙)
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次のページ
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調査の必要性
 放射線業務に従事する人に対する被ばく限度は、国際放射線防護委員会(以下「ICRP」といいます)の勧告を基礎にして定められています。ICRPは、短時間に多くの放射線を受けた広島・長崎の原爆被ばく者等に対する健康影響の研究結果に基づき、「放射線が人体に与える確率的影響は、被ばくした放射線量に比例した一定の割合で低線量でも現れる」と仮定し、その影響が社会的に容認できるように線量を制限するという考えをとっています
 しかし、低線量放射線の長期被ばくによる人体への影響は、十分には確認されておらず、今後さらに調査を続けることが必要と考えられています


注:1mSv/year です。
現在は御用達学者が 低線量放射線の長期被ばく は、大丈夫、かえって健康によいと話しているようですが、すくなくともこの時点では、十分には確認されていない のです。

調査・解析の方法
 (前略)調査は、放射線従事者中央登録センター(以下「中央登録センター」といいます)から登録番号、氏名、性別、生年月日等の情報の提供を受け、次いでこれらの方について原子力事業者等から住所情報の提供を受け、その住所地の市町村から住民票(除票を含む)の写しを取得することによって行っています。死亡が確認された方については、厚生労働省の人口動態調査死亡票と照合することにより、死因を把握します。また、調査対象者となる方の被ばく線量の累計(累積線量)は、中央登録センターに登録されている線量記録の提供を受けて計算します。
 収集した死因、被ばく線量情報等は、統計学的に整理し、解析します。解析する対象集団について、死因別に死亡率を一般の日本人と比較するとともに、累積線量の多少と死因別の死亡率との関係の有無の解析を行います。


 つまり、調査対象者は毎年住所を把握され、死亡したときは本人の承諾なく死亡届の病名まであくまでも合法的に調べ上げられるのです。

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(6)人口動態調査死亡票
 戸籍法の死亡届に基づいて市区町村長が作成した人口動態調査死亡票を厚生労働省が集計しています。この統計は統計法に他定める指定統計なので、本来の目的以外に使用することは原則として禁止されていますが、専門的な学問的研究であり、公益性が高いものについては総務大臣の承認を得ることによってその使用が認められています(統計法(昭和22年法律第18号))本疫学調査では志望者の死因を特定するために人口動態調査死亡票を使用することとしており、第II期調査(平成7年度〜11年度)においては総務庁長官(当時)に使用が認められました。

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速効で出した返事
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放射線影響協会について(2011.6.27追記)
タグ:s O
posted by いんちょう at 17:26 | 原子力

子供だましのシビアアクシデント対策

 国はお粗末なシビアアクシデント対策でお茶を濁して、玄海、川内、伊方原発を再稼働させるつもりのようです。

 まず、中学生か高校生が考えた(のでしょう−たぶん。保安院は福島で忙しいですから)保安院のシビアアクシデント対策をみてみます。

シビアアクシデントへの対応に関する措置の確認に係る審査基準
1.審査対象
「平成23年福島第一・第二原子力発電所事故を踏まえた他の発電所におけるシビアアクシデントへの対応に関する措置の実施について(指示)」(平成23年6月7日付け平成23・06・07原第2号)において示した下記の対策。
(1)中央制御室の作業環境の確保
(2)緊急時における発電所構内通信手段の確保
(3)高線量対応防護服等の資機材の確保及び放射線管理のための体制の整備
(4)水素爆発防止対策
(5)がれき撤去用の重機の配備


 あれだけの大災害を起こしておいて、このレベル。皆様には信じられないでしょうが、私は全く驚きません。保安院の知恵袋−東電−が、対策をまとめるどころではありませんから・・・

 個別にみていきましょう

(1)中央制御室の作業環境の確保
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 これで、中操運転員の内部被ばくは防げるでしょうね。

(2)緊急時における発電所構内通信手段の確保
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 本店との連絡は取れるでしょうよ。

(3)高線量対応防護服等の資機材の確保及び放射線管理のための体制の整備
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 高線量作業の被ばくは少しは減るかもしれません

(4)水素爆発防止対策
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 ほーー。この設備(手動ドリル)があれば、福島第一の水素爆発は防げたとの評価なのでしょうか?これは、世界に対する恥さらしです。中学生レベルと言ったとしても、現役中学生に失礼。

加圧水型は、ちょっとまとも。関電が関与できているからでしょう。


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いきなりガレキ撤去に来ますか。。

(5)がれき撤去用の重機の配備
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 もちろん、遠隔操作可能なように改造してあるんですよね?

 お粗末を通り越しています。

この対策をしていたら、福島第一の原子力災害を防げると思っているから、安全確認を出したのでしょうけれど、本気?

試験に間に合わずに一夜漬けで解答を作った小学生にしか私には見えませんが。


津波による冷却装置の喪失に対して、電話とドリルで対応できるのですか。なんか、戦艦に竹槍で突っ込んでいるのと変わらない。


 日本の原子力レベルはこんなものかとお嘆きの方に朗報(私もほっとしました)

日本原子力学会がまとめた対策案があります

福島第一原子力発電所事故からの教訓(概要版) (2011/5/9)・・保安院より一ヶ月前です。英文

2.津波に対する教訓
a. 耐震設計で考慮していた津波の規模が不十分であった
b. 海水の浸水により、安全上重要な機器が停止し、事故の拡大を防げなかった
c. 地下構造物の浸水防止が不十分であり復旧作業を妨げている

提言(短期)
(1) 安全上重要な機器の損傷を防ぐため、これらが配置されている建物に海水が入らないようにするなどの、ハードウエア対応


 そうでしょう、少なくともこれは必要

重要なのはその次

3.全電源喪失に対する教訓
a. 安全審査が不十分であった
b. 全電源が長期間喪失し、事象の進展が防げなかった
c. 原子炉内の状況把握が困難となった
d. 電源が一部でも残っていれば、事象の進展を食い止められる可能性がある
提言(短期)
(1) 電源車、小型発電機など多様な方法で電源を供給する
(2) 交流電源がすべて喪失した場合を想定し、重要な機器および炉心の監視系供給をへの電力行えるようにする
(3) 発電機を複数機設置する場合は、あらかじめケーブルを接続しておく


 子供だましの発電機、電源車でお茶を濁しているようです。原子炉建屋屋上においた発電機など、燃料補給どうするつもりなんでしょうか?シビアアクシデント時に人が補給するんですか?
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浜岡の対策

4.全冷却系喪失に対する教訓
a. 海水冷却は津波に対して脆弱性がある
b. 電源があれば炉心損傷までの時間的余裕が比較的ある
提言(短期)
(1) 消防車などを用いた冷却系への注水訓練の実施とハードウエア整備
提言(中期)
(2) 海水ポンプモータなどの予備品をあらかじめ、津波の影響を受けない場
所に準備しておく
(3) 海水ポンプに対する浸水防止対策例えば防水壁や専用、建屋の設置を行う
(4) 海水に頼らない冷却システムを準備し冗長性を担保する。例えば崩壊熱除去が可能な容量の空気冷却機などを設置しておく
(5) 動力の要らない自然循環冷却システムを考案する
(6) 水源を多様化しておく。(河川、ダム、防火用水など)。必要に応じて送電線をさらに多重化する


 ここがもっとも大事な対策です。冷却材喪失が起きるとどの原発でも福島レベルの事故に直結します。津波の惨状の中、復水炉心の海水ポンプ修理工事が間に合うと考えているとは、一体何人の人を用意しているのでしょうか?ポンプの予備品だけではなく、動力のいらない自然冷却システムがないとこの事故は防げません。
 しかし、この対策をするには多額の経費がかかります。そんな体力、電力会社に残っているの?

10.組織、危機管理に対する教訓
a. 責任体制が不十分であった
b. 停電や情報伝達の問題などにより緊急時の円滑な対応がうまくいかなかった
提言(短期)
(1) 専門性を持った責任者がすべての責任の統括する


 これは、未だに実行されていません。専門性を持った責任者(安全委員会は不適)に責任をすべて統括しないと、このままずるずると放射能何年も垂れ流しになるのは、目に見えています。

 このような学会の提言があるにもかかわらず、保安院は全く無視したまま安全宣言、運転再開を企てています。このようなペテンを見破ることが出来ないとは、信じたくないのですが・・・
 それとも、この期に及んでも、地元自治体、知事は、電力会社、国を「信用している」のですか?


4月に経産省は、次の指示を出しています。
1 経済産業大臣の指示の内容
津波により、【1】交流電源を供給する全ての設備の機能、【2】海水を使用して原子炉施設を冷却する全ての設備の機能、【3】使用済燃料貯蔵プールを冷却する全ての設備の機能が喪失した場合であっても、炉心損傷および使用済燃料の損傷を防止し、放射性物質の放出を抑制しつつ原子炉施設の冷却機能の回復を図るための緊急安全対策を講じること。

 浜岡の解答をみてみましたが、対応策は注水だけ。注水では対応できないのは福島で明らかです。代替の空冷式熱交換機など準備できているのでしょうか?(いうまでもありませんが、全くされていません)興味のある方に(学会の提言)
タグ:R
posted by いんちょう at 13:40 | 原子力

2011年06月24日

原発代替火力建設に10兆円という脅し

原子力発電所を全廃するとこんなに恐ろしいお金がかかりますよ・・・というデマ(といってよいでしょう)が目に余ります。そのうちの一つを取り上げます。

白谷輝英氏のホームページから

原発を全廃して火力発電所で代替するには10兆7000億円の建設費が必要?
 電気事業連合会サイトの「電力統計情報」ページによれば、2009年度における原発の最大出力は、日本全体で4623万kW。一方、北陸電力の2000年9月28日付けプレスリリース「敦賀火力発電所2号機(70万kW)の運転開始について」では、同発電所の1号機(出力50万kW)の建設費が約1500億円、2号機(出力70万kW)が1275億円と記されている。ここでは間をとり、出力60万kWの火力発電所の建設費が1388億円と仮定しよう。4623万kW÷60万kW≒77だから、60万kWの発電機をを77カ所作れば、原発の出力をまかなえる。そして、これだけの火力発電所を建設するには、77カ所×1388億円≒10兆7000億円が必要になるわけだ。
 この金額は、あくまで建設費だ。他にも、石油や天然ガスなどの燃料代、施設の維持費などがかかる。そして、原発を廃止するための経費も、並行して支払い続ける必要がある。これは、相当に重い負担だ。


 この記事のすごいところは、嘘の数字は全くないことです。たしかに現在の原発100%の容量を電力会社が作ろうとすると、このくらいは必要かもしれません。

 さて、発電所の建設コストは、実際どのくらいなのか。公表されているベースで調べてみました。

発電所方式出力(kW)建設費コスト(/kW)運転開始運営会社資料他
敦賀火力石炭70+50万2800億円23.3万円1999年北陸電
舞鶴火力石炭90万x25700億円31.0万円2004年関西電Yahoo!
神鋼神戸石炭140万2000億円14.0万円2002年神戸鋼Yahoo!
千葉火力LNG144万x23500億円12.0万円2001年東京電
川崎ガスLNG84万x2500億円6.0万円2008年JX他日経BP
柏崎原発BWR821.2万25710億円31.3万円1986年東京電7基
大飯原発PWR471万10168億円21.5万円1979年関西電4基

この表から分かること。
・関電の舞鶴は高すぎる。これでは原発と同じコスト。何らかの表に出来ない資金でも入っているのか?とくに神鋼発電所と比べると2.2倍近く。あまりにもおかしい。
・敦賀火力発電所もかなり高い。この高い建設コストを使って、原発の代替コストを計算するのは、恣意的。
・神鋼神戸発電所は石炭でもかなり安い。この金額で発電所が出来て、運転できるのならば収益の柱になり得る。(電力はいくらでも売れる)
・東電 千葉火力はかなりコストダウンをしていると思われる。神鋼神戸発電所よりも安くなっている。少しは努力したのか?
・川崎天然ガスのコストは、群を抜いている。現状では、儲かりすぎて笑いが止まらない状況だろう。(このベンチャーはJX+東京ガス)
・川崎天然ガスの成功をみて、他のガス会社が発電に乗り出す可能性が大いにある。5円/kwhの利益があれば、約2年で投資を回収できる。こんなおいしい話しはない。
・柏崎刈羽は、どうにか全体でこのくらいのコストにはなっている。1号機だと 43.2万/kWという、考えられないくらい高い数値(港湾関係の費用が入ってくるからだが、それにしても信じられない高さ)。これでは、火力発電所を上回ることは絶対に出来ない。
・加圧水型原子炉建設費は比較的安価。タービン系の設計(放射能管理区域か否か)だけを考えても、この数字は納得できる。なぜ、日本では沸騰水型の方が発電所数が多いのか。コスト以外の選定理由(政治的な理由)があるとしか思えない(世界の主流は加圧水型)

さて、このコストで考えてみましょう。

原発すべてを民間LNG へ 2.8兆円
原発すべてを東電LNG へ 5.6兆円
原発すべてを民間石炭 へ 6.4兆円
原発すべてを関電石炭 へ 14.3兆円

というまとめになります。原発発電設備容量すべては必要ないことを考えますと、せいぜい1兆円+アルファで建設でき、石炭もある程度となりますと 2-3兆円程度で済むのではないでしょうか。

電力会社に作らせては、焼け太りさせるだけ。

 今回の原発事故損害賠償額の1/10程度の金額。

 独占という甘い体質に浸りきっていることがよく分かります。
(燃料費につきましては、別途検証します)

 技術大国日本です。送配電網を民間に開放してしまえば、個人の太陽熱発電、燃料電池、そして大規模火力で原子力発電の肩代わりは十分にできます。(既存電力会社では無理です)
 
 ただし、原発の負の遺産だけは、ずっと支払わねばなりません。(記事の通りです)
タグ:O
posted by いんちょう at 16:49 | 原子力

会場非公表、取材認めず−玄海(MOX燃料装荷も)

原発説明会、国が参加者を選定 閉鎖性色濃く
2011年6月23日 21時09分
 定期検査で停止中の九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)をめぐり、経済産業省資源エネルギー庁は23日、運転再開に理解を求めるため政府が佐賀県民向けに開く説明会の概要を発表した。会合はケーブルテレビなどで中継するが、参加者は国が選定した数人に限定、会場は非公表で報道陣の現場取材も認めない方針。広く県民の声を聞くはずの説明会の閉鎖性に、疑問の声が上がりそうだ。
 同庁などによると、参加県民は地元広告代理店が「偏りなく」候補者を15人ほどリストアップし、国がその中から7人程度選ぶという。国がふさわしくないと判断した候補者が除外され、恣意的に議論が進められる可能性は否定できない。
 同庁は「大勢の方を呼ぶと、会場まで多額の交通費を国が負担するのかという問題もある。今回はこの方法が最も効果的と考えた」としている。
 説明会は26日午前10時から。一般県民に学識経験者を交え、同庁と経産省原子力安全・保安院が説明、質疑を行う。県内ケーブルテレビと動画中継サイト「ユーストリーム」で中継する。
(共同)


 こんなの説明会といえるのでしょうか。セレモニーに過ぎません。しかし、現代はネット時代。この「一般市民」のなまえ、職業などはすぐに明らかになるでしょう。
 だれも、交通費を出してくれとは言っていません。佐賀市民会館などで、パネリストをまねいて公開討論をしてくれれはいいのです。費用を持ちだしてくるとは、本当に語るに落ちたいいわけ。
 こんな共産主義の国のようなセレモニーで国民を納得させられるとでも思っているとは・・見識を強く疑います。なぜ、会場を公表し、取材を認めるといった普通のことができないのでしょうか。よほど後ろめたいことがあるとしか思えませんね。


3号機には、MOX燃料が装荷されています。

九州電力(株)玄海原子力発電所第3号機向けウラン・プルトニウム混合酸化物燃料体(MOX燃料体)に係る輸入燃料体検査合格証の交付について
原子力安全・保安院(以下、「当院」という。)は、平成20年9月9日付けで九州電力株式会社からありました玄海原子力発電所第3号機向けMOX燃料体(20体)に係る輸入燃料体検査申請について、検査を実施した結果、技術基準に適合していると認められることから、本日、合格証を交付いたしましたのでお知らせいたします。

MOX燃料の特性についてのわかりやすい説明は、こちら(北海道電力)・・動画です。

U235 -> Pu 239 と質量数が4上がっただけで、核分裂生成物の希ガスが増えて、被ばくが増えるのでしょう。すくなくとも通常のウラン燃料と同じ訳では決してありません。(周辺地域の被ばくも当然増えます)

 このMOX燃料を使用し、子供だましの安全対策をして、取材もさせない再開説明会を行って、起動させる準備をしているとは・・・

 佐賀県知事の見識が問われています。


参考資料
プルサーマルについての公開討論会を実施いたしました。(九州電力)から
コーディネーター:木元 教子氏 評論家

[パネリスト] … 50音順にて表記
玄海町 岩下 孝嗣(いわした たかし)氏
唐津市 坂本 洋(さかもと ひろし)氏
玄海町 寺田 信子(てらだ のぶこ)氏
唐津市 冨田 隆明(とみた たかあき)氏
唐津市 三浦 正之(みうら まさゆき)氏
唐津市 三根 慶三(みね けいぞう)氏

[専門家] … 50音順にて表記
九州大学大学院 工学研究院
エネルギー 量子工学部門教授 出光 一哉(いでみつ かずや)氏
九州大学大学院 工学研究院
エネルギー 量子工学部門教授 工藤 和彦(くどう かずひこ)氏
佐賀大学理工学部
物理科学科教授 豊島 耕一(とよしま こういち)氏
九州大学大学院
比較社会文化研究院教授 吉岡 斉(よしおか ひとし)氏


この方たちの名前が出てきたら、要注意です。(しかし、参加者の名前公表されるのでしょうか?)

保安院の公式発表
タグ:G
posted by いんちょう at 11:16 | 原子力

2011年06月23日

3号機は燃料プール・・学会認めていた

 東電、保安院ともに、3号機の爆発については水素爆発というのみで、その水素がどこから生じたかについて全く明らかにしていません。

原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書 平成23年6月 より

W.福島原子力発電所等の事故の発生と進展から
一方、3 号機においては、3 月12 日11 時36 分にRCIC が停止したものの、その後にHPCI が自動起動し、引き続き原子炉水位は維持されていた。HPCI は、13 日2 時42 分に停止が確認された。HPCI 停止後、PCV 圧力を低下させるため、ウェットベントの操作を行い、13日9 時25 分頃から消防車による代替注水(淡水)を開始した。また、PCV 圧力の上昇に対して、PCV ベント操作が数回行われた。この結果、PCV 圧力は低下した。その後、14 日11 時01 分、原子炉建屋上部で水素爆発と思われる爆発が発生した。

 わざとでしょうか水素発生の原因を書いていません。IAEAの報告書でも報告しないとはたいしたものです。

 日本原子力学会のホームページから
 本日初めてみましたが、非常にしっかりしています。保安院、東電と比べるのは失礼なくらい。SPEEDIの結果報告などもあり、時間が許せばいろいろな資料を見る価値ありです。(英語版もあります)

福島第一原子力発電所事故からの教訓 (2011/5/9)から  (英文あり)
7. 使用済み燃料貯蔵プール冷却に対する教訓
a. 使用済み燃料貯蔵プールの冷却に失敗した。
全電源喪失後、使用済み燃料貯蔵プールの水位が低下し、使用済み燃料の除熱が不十分となり、燃料破損に至るまでには最低数日間の時間的余裕がある。
使用済み燃料の崩壊熱によりプールの水が沸騰、被覆管が酸化し水素が発生した可能性がある。使用済み燃料の発熱量はわかっていたため、時間的余裕を見誤ったか、他号機の事故対応に手一杯で対応できなかった可能性がある。
なお、4号機原子炉建屋破壊の原因は、現状ではまだ特定されていない
b. 建屋が破損した後の使用済み燃料の閉じ込めに課題がある。
水素爆発で建屋が破損し、使用済み燃料が万一破損した場合、放射性物質が大気に直接放出される。この場合、水位を確保することが重要となる。


 4号機の原因は不明と書いてあるのですから、この燃料プールの冷却失敗は3号機を示すのは明らかです。つまり、学会ではすでに燃料プールが3号機事故の原因になったと認めています。(水素爆発か核爆発かについては、触れられていません)

再度、3号機の燃料プールの状況
 このブログより・・
 水質分析も同時に行い、炉心の燃料がすべてプールに移されていた4号機の2000倍以上にあたる放射性セシウム137のほか、半減期がそれぞれ8日、13日と短いヨウ素131、セシウム136も検出された。
 東電は「(水素爆発の時期からして)検出されたのは、原子炉での核分裂反応で発生した放射性物質が溶け込んだものとみられ、プール内の燃料が破損して出てきた物質とは考えにくい」と説明している。

 これは、白々しいですね。再度、動画を紹介しておきます。

ちょっとした分析

原子炉の現状推定と事故から学ぶものから
2011062302.jpg
7.使用済み燃料貯蔵プールに対する教訓
a.使用済み燃料貯蔵プールの冷却に失敗した
b.建屋が破損した後の使用済み燃料の閉じ込めに課題がある
提言(短期)
(1)使用済み燃料貯蔵プールに対するAMを見直す具体的には、電源喪失直後に、消防車による注水ができるように準備する、プールのある運転床にある消火栓から注水ができるように準備する、あらかじめフレキシブルホースなどを設置して地上からの注水が容易になるようにしておくことなどが考えられる
(2)電源喪失しても予備電源などで燃料プール温度及び漏洩監視モニターを監視できるように電源を準備する
提言(中期)
(3)使用済み燃料貯蔵プールの自然循環冷却システムを導入する
(4)空冷の中間貯蔵設備を導入する  (筆者注 ドライキャスクのこと)
(5)シミュレーションによって事故挙動を評価し、4号機建屋破損の原因を調査・特定する。また使用済み燃料貯蔵プールの状況を調査する


 まさしくこの通りです。
・代替注水ルート
・予備電源
・自然循環システム
・ドライキャスク

など、今回の原発再起動対策に含まれていますか?使用済燃料プールについて全く触れていない状態で、運転再開は絶対に認められません。今までの流れをみますと、保安院はこの問題に全く気がついていないか、気がついていてわざと無視しているとしか思えません。また、原子力安全委員会はなにをしているのでしょうか?全く存在が見えません。

 さらに、恐ろしい事実

福島第一原子力発電所1号機〜3号機の現状推定 (2011/4/18)から
4.使用済燃料貯蔵プール
使用済燃料貯蔵プールに関しては、いずれも継続して冷却することが必要である。特に4号機の使用済燃料貯蔵プールに関しては発熱が大きいので注意を要する。
〔参考〕現時点の発熱量
炉心 使用済み燃料貯蔵プール
1号機 約1.4MW 約0.07MW
2号機 約2.4MW 約0.5MW
3号機 約2.4MW 約0.2MW
4号機   ― 約2MW


4号機の燃料プールの発熱量は3号機原子炉とほとんど変わりません。使用済燃料プールとまるで用済み燃料のように考えているのかもしれませんが、その発熱量、放射能量などその凶暴さは、原子炉と変わらないのです。

福島第一原発3号機の定期検査現場をマスコミ公開しました (3号機定期検査状況)。から
一応、保存しておきます。
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この中から燃料プールについて
2011062303.jpg
使用済燃料貯蔵プールに格納された使用済燃料により、空いている格納ラックにもチェレンコフ現象が現れます。左上の囲われた箇所にはMOX燃料32体が保管されています。
この定期検査は、2002年7月から。この時点ですでにMOX燃料が燃料プールに保管されています。(実際に使われたのは、2010.8.21から)利用許可が下りていないのに、燃料プールにおいてあるとは、かなり問題ではないのでしょうか?まだ、使用許可がおりていない他の原発の使用済燃料プールにもMOX燃料が保管されているかもしれません。こういう情報は、きちんと開示されているのでしょうか?(事故の際には、使用済燃料プール中の燃料がおおきな安全上の問題になります)
 今回の事故の際には、使用済燃料プール中にいったいどれだけの新品MOX燃料が貯蔵されていたのでしょう。

情報が得られました。
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posted by いんちょう at 23:18 | 原子力

広告代理店が参加者探し(玄海)・・政府発注

(本日の熊日から)
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やはり全国紙は、報じていないようです。
ネットから
玄海原発再開で政府説明会 参加県民は代理店が選定(東京新聞)
2011年6月22日 17時57分
 福島第1原発事故の影響で停止している九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開に向け、政府が開く佐賀県民向け説明会の概要が22日、分かった。参加する県民6、7人を地元広告代理店が選定し、学識経験者を交えケーブルテレビのスタジオで経済産業省資源エネルギー庁などと公開質疑を行う。
 資源エネルギー庁によると、説明会は26日午前10時ごろから約1時間半の予定。経産省原子力安全・保安院の担当者も出席して玄海原発の安全性や夏場の電力需給などについて説明し、質疑に加わる方向だという。
 資源エネルギー庁は代理店に「特定の地域や信条に偏らないようバランスよく」参加者を選ぶよう依頼済み。費用は国が負担するという。
 佐賀県民向け説明会は、原発立地県として運転再開の是非を判断するため、古川康県知事が国に開催を要請していた。
 開催形式をめぐっては、石井秀夫県議会議長が22日、概要を速やかに情報公開するよう知事に申し入れ。石井議長によると、知事は「県にはまだ正式に情報が来ていないが、分かり次第伝える」と応えたという。
(共同)


熊日のみに書かれている記事を書き抜きます。

(前略)国の意向に沿った参加者が結果的に選ばれる可能性が否定できず、説明会の正当性が議論を呼びそうだ。
 同庁は代理店に依頼した理由を「地元の事情に詳しいから」と説明。代理店には「特定の地域や信条に偏らないようバランスよく」参加者を選ぶよう要請したという。
(中略)
開催費用は国が負担する。
 広告代理店側は「当社は候補者のリストを提供しただけで、あくまでも参加者を決めるのは国。候補者選定も中立を期している」とした
(後略)

 舞台裏が見えるようです。

今までの流れをみると原子力を推進しているのは、電力会社ではありません。むしろ、使い捨ての駒のような印象さえ受けます。電力会社には、原発に関する決定権はなく、さらにもっともっともっと上で決まっているのではないでしょうか。この推進体制に関する私の認識は、かなり甘かったと現在反省しています。

 さて、地元に詳しい広告代理店のリスト。これには、賛成派、反対派の区分だけではなく、力量なども書かれているはずです。公平感を見せるために、どのような参加者にするでしょうか。ちょっと考えてみましょう

・明らかな賛成派 1名
・賛成派     1名
・中立派     2名(おそらく、佐賀大かどこかの地元えせ専門家・御用達学者ですね)
・反対派     1名

という構成か。そして、この反対派には
・反対反対といってはいるが、本音では賛成派
・答えが用意できている内容についてのみ、質問する。

ようにさせるでしょう。そのため、「地元の事情に詳しい」代理店に頼むわけです。

私が是非とも質問してほしいのは、次の通り。
使用済燃料の保管問題。(運転中の原子炉建屋に保管するのは危険きわまりない)
SPEEDIをつかった被害予測の公開

とくに下のSPEEDIの被害予測。これだけは、再開運転の必須条件にさせなければなりません。

京都府「福井県に準ずる原発協定を」 関電に6項目緊急要望(日経新聞)
2011/6/23 3:00 京都府と府内の市町村は22日、関西電力に対して原子力発電所の立地自治体である福井県に準ずる協定の締結を求めるなど、原発の運営に関する6項目の緊急要望を提出した。また、同日、政府に提出した緊急要望では、電源立地地域対策交付金などの給付水準を福井県並みに引き上げるよう要望した。
 京都府はこれまでも関電との間で協定を結んでいたが、災害時の自治体への連絡通報などに限られていた。ただ、東日本大震災で被災地が広範囲にわたったことから、原発増設や運転再開の際に承認する権利まで協定を拡充する必要があると指摘した。


 お金の要求はどうかとは思いますが、立地県以外も原発協定を結ぶ必要があります。

玄海原発でいえば、SPEEDIの予測次第ではありますが、すくなくとも
・福岡
・長崎
・熊本
・山口
・広島
の知事は、文句をつけていいはずです。とくに福岡県は100万都市博多(玄海からほぼま西に約80km)を有しており、何かあった場合の避難など可能なのでしょうか。

 別の問題ではありますが、玄海発電所の上空は、福岡国際空港発着の飛行機がかなりの本数飛んでおり、これら飛行機が墜落することなども考慮対象に入れる必要があります。

 この玄海発電所で何かありましたら、もう日本に住むところはなくなります。そういった非常におおきな問題を含んでいる原発再開の許可を佐賀知事が出すことができるのでしょうか?
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posted by いんちょう at 06:02 | 日記

2011年06月22日

福島の思い出(13)・・あぶくま洞見物

5月16日(月)日勤
シーフードマリネ  150
五目きんぴら     50
ライス       60
味噌汁       20
フルーツ      100

5月17日(火)日勤
Aランチ      250
昆布茶       60
はぶらし      225 

5月18日(水)日勤
Aランチ      250

5月19日(木)日勤
Aランチ      250

5月20日(金)日勤
チャーシューメン  240

5月21日(土)日勤
Aランチ      250

5月22日(日)休み

 Aランチ、チャーシューメンだけの時は、発電所の食堂に注文して、日勤詰め所まで配達。それ以外は、事務本館まで食事をしにいき、メニューを見て単品注文。入社してすぐのこの時は、移動手段が原付か自転車しかなく、発電所内と寮以外でものを買うのは困難でした(スーパーまで、自転車で20-30分くらい。コンビニもなし)

5月23日(月)1直
食事代 2,600 (夜食代金 1,000程度含む)
このサイクルでの発電所内での食事をすべて頼んでいます。

5月24日(火)1/2直 とおし
昼食と夕食を運転員控え室で食べる
(運転員の場合は、事務本館に行って食べることはほとんど不可能。休憩は1時間)

事務本館と発電所の操作室との間は、放射線管理のゲートがあり、入退室が記録されます。金属探知機もありました。私の配属先だった1−2号機からは、徒歩5分程度だったでしょうか(そんなに遠くはありませんが、往復するのはちょっと面倒なかな?というくらい。)

5月25日(水)2直のみ
夕食のみ運転員控え室で

5月26日(木)3直
この昼間に、夜食材料の買い出しに行きました。確か定番のカレーだったような記憶が。。

5月27日(金)3直

5月28日(土)あけ

5月29日(日)休み

5月30日(月)休み
この日はいわきにある 石炭化石館 にいっているようです(入場料 600)
JR 夜ノ森 から いわき 700
バス 温泉神社前 300
JR 湯本 から 夜ノ森 900

5月31日(火)1直
食事代 2,040

6月1日(水)1/2直

6月2日(木)2直
 勤務終了が、22:10ころで、そのあと先輩と飲みに行っています。遅い時間帯ですが、翌日の勤務開始は、22:00から。 元気があれば、こんなことも可能です。(今ならとても無理でしょう)

6月3日(金)3直
6月4日(土)3直 
6月5日(日)明け

6月6日(月)休み
この日は、レンタカーを借りて、あぶくま洞と入水鍾乳洞に行ってます。
あぶくま洞
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入水鍾乳洞
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この日は一人でしたので、Aコース(普通の靴では入れるコース)試しに入ってみました。
月曜の昼間だからでしょうか、他に見物客はなし。(あぶくま洞は、観光客はあるていどいたと思います)

3交代勤務のよいところは、こうやって人が働いているときに休みがあり、あちこちいけること。他の人と予定を合わせるのは、逆に大変ではありますが・・

 パトロールと夜食作りはせっせとしていたと思いますが、記憶には全く残っていません。徐々に系統図や、シーケンスの読み方などをOJT(On Job Training)で鍛えられていたはずです。原子力は何せ、アルファベットの略号が多いですから

 発電所内は迷路のようでしたので、5年間いても結局機器の配置は覚えきれず・・・(方向音痴なのです。私は)
タグ:M
posted by いんちょう at 23:16 | 原子力

IAEA Level8新設へ

当初デマと評された最初のニュース
ENENEWS
Nuclear engineers urging IAEA to create “Level 8″ on INES scale for FukushimaJune 2nd, 2011 at 04:11 PM
Level8をフクシマに

一応、デマと報道されました

「福島レベル8へ引き上げ」 ツイッターでデマ拡散2011/6/ 6 14:18
2011年6月4日ごろ、東京電力の福島第一原子力発電所事故における「国際原子力・放射線事象評価尺度(INES)」について、「(日本政府が)現在のレベル7からレベル8に引き上げる」というデマ情報がツイッターなどで拡散された。
国際原子力機関(IAEA)が1992年に定めたINESはレベル7が最高なので、「8」はあり得ないのだが、ある原子力発電所技術者の主張記事「Nuclear engineers urging IAEA to create "Level 8″ on INES scale for Fukushima(福島のために、IAEAはレベル8を設けるべきだ)」を受け、2ちゃんねるやツイッター上で「福島がレベル8に引き上げ」という内容に改変されて広まってしまった。


IAEA:原発事故評価見直しへ 「レベル8」新設も
 【ウィーン樋口直樹】東京電力福島第1原発事故を受け、国際原子力機関(IAEA、本部ウィーン)は原発事故の深刻さを示す国際評価尺度(INES)の見直しに着手する。現行の0から7までの8段階を細分化するなどして、事故による環境や健康への影響度をより実態にあった形で評価する考えだ。「レベル8」以上の新設や従来の「レベル7」までをさらに細かく分類する可能性がある。
 IAEAの天野之弥事務局長は20日の閣僚級会議で「INESは重要な情報手段だ。しかし、福島第1原発事故については、INESの評価は役に立たないことが判明した」と述べ、INESの諮問委員会に尺度の改善を要請することを明らかにした。
 福島事故は今年4月、史上最悪とされているチェルノブイリ原発事故(86年)と同じ「レベル7」に引き上げられたが、天野氏は事故の構造も周辺への影響度もチェルノブイリ事故に遠く及ばないとの見解を示してきた。評価尺度の細分化で両事故の深刻さの違いを明確にする狙いがありそうだ。
 INESはレベル7の評価要件の一つとして「放射性物質ヨウ素131等価で数万テラベクレル以上の放射性物質の外部放出」を挙げている。福島原発の放出量はこれに該当するが、チェルノブイリ事故放出量の10分の1程度とされている。
毎日新聞 2011年6月22日 11時33分


 この記事のニュアンスですと、
フクシマ    レベル7
チェルノブイリ レベル8

ですね。

 しかし、天野事務局長、辞任させられないでしょうか?心配です。

IAEA chief: Nuclear safety must be improved
He also urged that the INES scale -- which classifies nuclear incidents on a seven-point scale -- be revamped. The March accident at Japan's Fukushima Dai-ichi accident was upgraded to seven - the highest on the scale -- only on April 12. That was more than a month after a 9-magnitute earthquake and a devastating tsunami overwhelmed the Fukushima reactor's cooling system and radiation started leaking into the atmosphere.

 ここでは、評価に時間がかかりすぎたことを述べています。

実際にどういった評価になるかは、現段階では不明ではありますが、私の推測

・放出された放射能の量は参考値に格下げ(評価に時間がかかるため)
・コントロール出来ていない放射性物質の総量
・事故収束までに要する(要した)期間

などが評価対象に盛り込まれるのではないでしょうか?

チェルノブイリをレベル8に評価しなおせたとすれば、日本の政治力もたいしたもの。・・

あるいは、レベル9まで作るかとも思ったのですが、FUKUSHIMA以上の原子力災害も私には想像がつきません。

私が4月13日に新しい概念と書いていたのは、今回の再評価のはなしです。
(ぼかしていました)
タグ:O
posted by いんちょう at 12:36 | 原子力

チェルノブイリよりはるかに線量高い?−福島

1986年5月8日の原子力産業新聞を入手することが出来ました。
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 シチェルビナ副首相はまた、同発電所付近の放射線レベルが十〜十五ミリレントゲン/時へ、最高時の二〜三分の一に減少し、事態が安定化へ向かっていることを強調した。

チェルノブイリ事故は、1986年4月26日で、この会見は5月6日。

六日付プラウダは、川への放射能流入を防ぐため、発電所近辺を流れるピリピヤット川に堤防を築く工事が始められたとしている。

 翻って日本。100日以上経過しているのに

福島第1原発:地下ダム計画文書 東電が作成を認める
2011年6月21日 20時40分 更新:6月21日 20時49分
 東京電力が福島第1原発事故で地下水の汚染防止のため設置を検討している遮蔽(しゃへい)壁(地下ダム)の費用が1000億円レベルになるなどと記した文書(6月13日付)について、東電は21日の会見で「当時の考え方をまとめたもの」と同社が作成した文書であることを認めた。
東電は内容について14日に発表する予定だったが、費用計上による債務超過を懸念。毎日新聞が20日に報じて明らかになった。
 文書は、債務超過で市場から厳しく評価されないよう、国の支援がないと設置事業を前倒ししないという趣旨が記載されている。この点について、東電は「まだ合理的な費用の見積もりができていないなかでの表現」と釈明。具体的な工期などの見通しは示さなかった。【奥山智己】


 会社のことを心配して、未だに着手していない状況です。噂では、株主総会を乗り切るためということですが、まさか本当ではありませんよね?これが、技術大国日本とうたわれた真の姿。

 さて、チェルノブイリの周辺放射能

10-15 ミリレントゲン/時 = 10-15mREM/h = 0.1-0.15mSv/h
(少なくとも、10日後)

最高時でも、
0.2-0.3mSv/h
(やや怪しい気はいたしますが)

しかし、このくらいの数値なのです。

かたや、現在の福島第一サーベイマップ
2011062204.jpg

0.1-0.15となっているのは、ほとんどありません。

発電所周辺の放射線量は、もしかするとフクシマの方が高いのではないですか?(周辺の定義がこれだけではよく分かりませんが・・)

追記(2011.6.22 23:40) 周辺放射能と呼ばれるのはこちらでしょうか?
2011062209.jpg

これを見ますと、事務本館前 重要免震棟近くでは、 0.35-0.4mSv/hあります。1日で8mSvを被ばくしてしまいます。

発電所周辺は、この新聞に書かれているチェルノブイリと同じくらい 0.1-0.15mSv/hrでしょうか。

 チェルノブイリよりはるかに汚染が少ないとは、とてもいえないと私には思えます。
タグ:1F
posted by いんちょう at 08:39 | 原子力

子ども・妊婦へのガラスバッジは寄贈(川俣町)

昨日のブログでも取り上げましたが・・

子どもや妊婦らに小型線量計 福島・川俣町
 福島第1原発事故で町の一部が計画的避難区域に指定された福島県川俣町で21日、保育園児から中学生までの子どもと教諭計約1500人に、近畿大から小型線量計「ガラスバッジ」が寄贈された。22日から各学校などで配布する。
 また町は、保育園に通っていない0〜4歳児の保護者や妊婦計約400人には別途、7月1日からガラスバッジを配布する。保護者は日常生活で乳幼児と一緒にいることを想定している。
 線量計は1年間の予定で使用。3カ月ごとに集めて積算放射線量をチェックし、結果は学校を通じて保護者に伝えるとともに、町の放射線対策にも活用される。
2011/06/21 17:18 【共同通信】
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 以前、同様の記事が伊達市で流れた際に、お忙しいとは思ったのですが、伊達市役所に電話をしております

<6月13日>
 伊達市役所に電話をしてみたところ、教育委員会が担当のようです。

・まだ、詳細は決まっていない。予算の計上が決まっただけで、議会の承認などもとれていない。
・フィルムバッジをどこに発注するか、どこに検査の分析を委託するかも決まっていない
・ある一定の期間つけてもらって、それを送って線量を測定する。アラーム機能などはないタイプを予定。


という話を聞いていましたので、時期的にちょっと?と思いました。紹介したブログを改めてみますと、そこにヒントが・・

伊達市が、小中学生と3〜5歳の計8000人に、一部が計画的避難区域の川俣町が小中学生と保育所、幼稚園の児童・生徒計1500人に、線量計を配布する方針を示している

一人あたり、3500円程度費用がかかるようですから、
川俣町 5,250,000円
伊達市 28,000,000円
福島市 160,000,000円

しかも、川俣町は三ヶ月に1回の変更(通常毎月します。少なくとも、原発の管理区域、医療用被ばくの検査とも毎月です)。自治体の中でもっとも対象者の少ないところを選んだのでしょうか?


 近畿大学医学部のホームページにその答えがありました。
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 今回の記事は直接は載っていませんが、この大学はがんセンターをもっており、がんプロフェッショナルを育成するプログラムがあります。。

この記事は、もちろん海外にも発信されています。

国連の「子どもの権利条約」に明らかに違反していると思います。
第3条
1 児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。

 海外の方には、この報道がどのように受け止められているのでしょう。
タグ:s R
posted by いんちょう at 07:52 | 原子力

2011年06月21日

JCO(4)・・原爆の被曝線量

1999.10.1(熊日31面)より(事故翌日の新聞がまだ続いています)
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リードから
「青い光を見た」と、急性放射線障害になった社員は訴えた。全身が赤くなり「水がほしい」とも。被曝量は原爆と同じだった。三十日茨城県東海村の臨界被ばく事故は、国内の原子力事故では史上最悪の事態となった。再臨界を起こした可能性が濃厚で、十キロ圏内の住民に屋内退避を呼びかけるなど危険区域が広がる。被爆者も次々に判明。死の灰も検出された事故に専門家は「信じられない」と口をそろえる。「目に見えないから怖い」と住民は不安な一夜を過ごした。一九五七年、日本で初めて「原子の火」がともった東海村で始まった原子力の暴走に、安全神話は崩壊した。

被ばく原爆に匹敵

と書かれており、具体的な線量が明示されています。

<広島の場合>
103Sv   原爆爆心地
11.1Sv  700メートル
6.85Sv 800メートル

<長崎の場合>
8.88Sv 爆心地から1000メートル

長崎の原爆の威力がよくわかります。もう、皆様もおおよそどんな感じかおわかりではないでしょうか?

学校も一時待機となりました

若松宏教頭は、「生徒たちは、東海村が原発とともに発展した歴史を知っており、ほとんど動揺はなかった」としたものの「こういう事故があると、やはりおそろしい」とつぶやいた。

 この取材時点では、核分裂反応が続いており、こういった生やさしい状態ではありません。危険の認識が全く持って、甘すぎるといってよいでしょう。

 最初の原子の火が茨城、最初の民間原子力発電所が福島。現在とつながります・・・
タグ:J
posted by いんちょう at 22:07 | 原子力

すべては、本当のことを認めてから



本当にこのようなことが行われてしまいました。フィルムバッジを渡してまで、放射能が存在している場所に住んでもらうような国家が今まであったでしょうか。衝撃的で、信じられない映像です。


精神的損害に10万円「話にならない」悲痛な声
「話にならない」「お金も大事だが、早く家に帰れるようにして」
 原子力損害賠償紛争審査会は、避難住民の精神的損害について、基準金額を示して賠償することを決めたが、福島県内で避難生活を送る住民からは、悲痛な声が上がっている。
 南相馬市の桜井泰夫さん(64)は、「被害者は生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされているのに、子供だましで話しにならない」と怒りの矛先を政府に向けた。自宅が東京電力福島第一原発から32キロ離れた所にあるため、東電の仮払い補償金の対象外になったことに不信感を募らせており、「30キロという線で補償を線引きされた。もらったのは放射線だけだ」と語気を強めた。
 会津若松市の旅館で、家族5人で暮らす大熊町の主婦志賀美子さん(55)は「精神的な苦痛はお金に換算できない。とにかく家に帰りたい」と話した。
(2011年6月20日20時54分 読売新聞)


随分前に流れたニュース
原発周辺「20年住めない」=菅首相が発言、その後否定
 菅直人首相は13日、松本健一内閣官房参与と首相官邸で会い、福島第1原発から半径30キロ圏内などの地域について「そこには当面住めないだろう。10年住めないのか、20年住めないのか、ということになってくる」との認識を示した。松本氏が会談後に明らかにしたものだが、首相は同日夜、「私が言ったわけではない」と記者団に語った。
 松本氏によると、同氏は首相に対し、避難生活を強いられている周辺住民の移住先について、福島県の内陸部に5万〜10万人規模の環境に配慮したエコタウンをつくることを提案。首相は賛意を示し、「中心部はドイツの田園都市などをモデルにしながら、再建を考えていかなければならない」と語った。
 ただ、松本氏はその後、「20年住めない」との発言について、「私の発言だ。首相は私と同じように臆測(認識)しているかもしれないが、首相は言っていないということだ」と記者団に釈明した。(2011/04/13-19:56)


 チェルノブイリは、25年たった今どうなっていますでしょうか?
タグ:O
posted by いんちょう at 20:36 | 原子力

2011年06月20日

原子炉より危険なプール

 当初より、燃料プールの危険性は指摘していましたが、ようやく記事になりました。

崩れた「安全神話」…原子炉より危険なプール
 日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県敦賀市明神町)で3月30日、福島第一原発の事故を教訓に行われた使用済み核燃料プールへの初の注水訓練。防火水槽から復水タンクまで200メートルを計11本の真新しい消防ホースで結び、原電社員らはプール建屋の貫通口から水を注ぐ手順などを確認した。
 同じ頃、福島第一原発4号機では、全電源喪失でプールの水が蒸発し、燃料が露出して溶融するのを防ごうと、損壊した建屋外壁からプールへの懸命の放水が続いていた。
 「まさかプールがあんな状況になるなんて。水素爆発による建屋の損壊、外からプールへの放水など考えたこともなかった」。訓練を案内していた原電担当者も、福島の惨状に驚きを隠せなかった。

 使用済み核燃料は、新燃料にはない、プルトニウムやセシウム、ストロンチウムなどの毒性が強く、半減期が長い放射性物質が含まれ、長期間熱を出し続ける。
 頑丈な格納容器に覆われた原子炉に対し、使用済み核燃料を長期保管するプールを覆うのはコンクリート建屋の外壁だけで、丸裸に近い。福島第一原発では、1〜3号機でもプールから白煙が上がるなど遮蔽能力がない分、いったん事故が起きれば、原子炉よりも危険なことが露呈した。
 元美浜町議の松下照幸さんは「地震でプールが損傷した場合の危険性は町議会で指摘してきた。電力会社が想定したくないと無視し続けた結果が今回の事故だ」と憤慨する。
 県内の商業用原発13基のプールには5月末現在、使用済みと、まだ使う予定の燃料計8134体を貯蔵。ポンプで水を循環させて水温を一定に維持しているが、循環が止まれば福島第一原発1号機と同型の原電敦賀1号機のプール(水量約1000トン)は3日で沸騰するという。
 福島の事故後、関西電力は美浜、高浜、大飯各原発に計12台しかなかった消防ポンプを160台追加。関電、原電とも消防ホースを接続してプールに直接注水できる配管ラインの新設などを進める方針だ。

 「運転が続く限り、使用済み核燃料は増え続ける。当面プールに貯蔵するほかない。あと6〜7年で満杯だ」
 県内に原発11基がある関電にとって、使用済み核燃料の搬出は最大の課題の一つだ。
 関電、原電は燃料を収納する枠の間隔を詰めて、より多くの燃料を保管できるようにプールを改造する「リラッキング」を既に実施済み。だが、使用済み核燃料を再処理する日本原燃の再処理工場(青森県六ヶ所村)は試運転でトラブルが続出、来年10月予定の操業開始が、福島の事故で遅れる可能性が出ている。さらに県外での立地を検討している中間貯蔵施設も、関電原子力事業本部の広報担当者は「福島原発事故で新規立地は一層難しくなった」と嘆く。
 杉山亘・近畿大原子力研究所講師(原子力安全学)は「プール内の使用済み核燃料は、福島のような事態を想定すると安全上は少ない方がいい。電力供給の一定割合を原子力に依存する以上、使用済み燃料の“行き先”など後処理の問題をもっと真剣に考えるべきだ」と指摘する。(藤戸健志)
◆メモ◆
使用済み核燃料プール 原子炉で使い終わった燃料を水に漬けて冷却保管する設備。核燃料は炉から取り出しても残留熱(崩壊熱)を出し続けるため、放射線を遮断しながら燃料を冷却するために少なくとも2年程度プールで貯蔵する。ポンプで水を循環させて蒸発する水を補い、水温をおおむね40度以下に保っている。
(2011年6月20日 読売新聞)


 今回の福島の原子力災害の本当のキモは、この記事にもありますようにプールなのです。
こちらにも書きましたが、使用済燃料と原発事故を切り離すには、ドライキャスク保存しかありません。
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1F-3号機の爆発も、使用済燃料プールとの関連が取りざたされています。

運転中の原子炉建屋内に使用済燃料をこんなに保管しているのは、日本だけなのです。ロシアもこの状況を非難しています。
日本の設計は「安全より経済優先」ロシア人原発専門家が批判
(前略) 4号機では、使用済み核燃料に関係する水素爆発の可能性がある火災が発生。ロイターによると、同氏はこの火災に関し、使用済み核燃料プールで日本のように高い密度で使用済み燃料を貯蔵した場合、プールから水がなくなれば、火災発生の可能性が高くなると主張した。(共同)

 この使用済燃料プール問題に全くふれていない

政府の原発安全宣言は、安全デマ

に過ぎません。

しかし、このドライキャスクの寿命は100年程度。本当にやっかいなものを人類は作り上げてしまいました。(使用済燃料の管理は、1000年以上必要です)
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posted by いんちょう at 14:30 | 原子力

浜岡5号機(7)制御棒駆動装置まで塩分が・・・

 こっそりとプレス発表と書きましたが、じつはホームページ上で公開されていました。

2011年6月17日 5号機 【点検情報】浜岡原子力発電所5号機主復水器細管損傷の調査状況について [PDF:246KB]

今までは、運転情報だったのが、点検情報とさらに一ランク重要度が下がっています。が、見る人が見るととんでもない状況になっていることがよく分かります。例によって、コピーなどが出来なくなっておりますし、改ざんの可能性もないとはいえないため、ここにハードコピーをおいておきます。
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まず、上の図から。結構わかりやすい図が示されています。エンドキャップが真横に吹き飛んで細管が損傷。さらにその奥は、蒸気の圧力で破損したと思われます。エンドキャップから出るのは高圧の一次系の放射能を含んだ炉水。海水の圧力よりも大きく、この位置関係で外に漏れていないと言い張るのは、工学的な妥当性を欠きます(絶対に、海水側に漏れています。まあ、環境には影響ない範囲だとは思いますが)。もっとも、広報部の立場になれば、ここは言い張るしかありません。事情は、よくわかりますよ。

 この配管のキャップが、どうして吹き飛んだのか?やはり、施工ミスでしょう。今頃は、この復水器を作った工場検査結果から、だれが溶接したかまで調べ上げているはずです。おそらく、溶接員の施工ミスということに落ち着くと思われます。

 まあ、これまではいいでしょう。驚いたのは、下の図。着色部は、塩分の影響があったと書かれており、
・復水貯蔵槽
制御棒駆動ポンプ
・水圧制御ユニット
・圧力抑制室
まで、塩分の影響があると示されています。原子炉系からの塩分の除去は進んでいると書かれていますが、これら復水貯蔵槽につながるラインの塩分については一切記述がありません。

 とくに制御棒駆動装置に塩分が入ってしまったのはもう致命的

なぜ、入ったのか不思議ですが系統図を見ますと、復水ポンプと復水昇圧ポンプのあいだから制御棒駆動水ポンプの吸い込み側に配管があります。ここから復水貯留槽に逆流する形で、塩分が系統に流入。制御棒駆動装置(CRD)まで塩分が進入したのでしょう。
 また、残留熱除去ポンプを通じて、圧力抑制室まで塩分が流入したと思われます。


 とくにこの炉系はABWR。制御棒駆動装置が改良されています。
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よく見てください。ここには、ボールベアリングが使われています。ここに塩分が入ってしまいますと、致命的。(最悪、制御棒駆動が出来なくなる)スクラム水のところにCRDはつながっているはず(ここはあんまり詳しくないので、もしかしたらシールされているのかもしれませんが)

さらに圧力抑制室にまで塩分が入ってしまうとは・・・

今回の報告は、点検情報に分類しているようですが、早晩おおきな発表をせざるを得ないと思われます。

 すべては、系統隔離を直ちに行わなかったとがめです。1円(トラブル報告)を惜しんで、100億円を失いました。

 もし、記者のかたなどみられておられましたら、中部電力が手ぐすね引いて質問を待っている復水器のトラブルではなく 、上記で述べた原子炉系統の塩分の影響について質問してください。特に、制御棒駆動装置の塩分流入は、安全に直結するはなしです。

(もともとの設計がトラブルを起こしにくい水圧駆動なのに、水が常に存在しているところに電動駆動を採用するのは、安全的にはどうなのでしょうか?日本お得意の改良だとは思いますが・・)

 そういえば、この発表に対する報道各社の報道(ブログ参照)では、この問題点を指摘していた記事はみあたりませんでした。
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posted by いんちょう at 11:08 | 原子力

2011年06月19日

女性の本当の権力(ちから)

 原発の報道をみておりますと、女性とくにお母さん方が、大変心配しておられるのがよく分かります。私の個人的経験から考えてみても、この傾向は当てはまります。

 本日、ちょっと走ったために肉離れを起こしてしまい、こういったときにお世話になる鍼灸の先生のところに行ってきました。この先生(男性)は全盲ですが、博識でおられ、治療を受けている最中に時事問題をよく話しをします。私が原子力につとめていたことをご存じでしたので、その話をしておりました。(こういったプライベートの時には、このブログに書いている内容の100倍は厳しい話しをしています。・・・いつもそういった話を聞いている妻はこのブログのもっとも不熱心な読者です。・・もう、うんざりとのこと・・)

 話しの流れで、女性がかなり心配していると言うことになりました。その時の会話。

私「男性は、計算でいくらでもごまかすことができますが、女性はそうはいきませんものね。直感で動くので、理屈ではどうにもしようがない。どうですか?」
先生「笑いながら・・・そうですよね。」
私「まあ、男女、お互いに欠点を補いながら生きてきたわけで、女性の直感が正しいことも多いですから。」


 政府がいくら安全デマを飛ばしてもだまされない。調べれば調べるほど心配になる。しかし、旦那は納得してくれない。また、危険性を信頼していた友達に話すと、まったく信用されずにむしろ、「放射能ノイローゼになっている」という烙印を押されてしまう。

 それはしかたないのです。キサゴータミーのはなしではありませんが、人間一度信じてしまったことについては、なかなかその自説を変えられないものです。

注)この話は、死んだ子供をどうにか生き返らせたいと願う気が狂った女性をモチーフにしており、おかしいのは誰でも分かります。
 「原子力は安全だ・必要だ。放射能は怖くない」を信じ切っている人たちについてもこの女性と同じ立場だと考えれば、皆様(このブログの読者の方)は納得できるのではないでしょうか。
 周りから強くいっても、データを見せても、自説を変えてくれないのは当然であって、それが人というものだと思います。分かってもらうには、自説を押しつけるのではなく、いろいろと客観的内容を教えてあげて、心から理解してもらうしかありません。こんなに明らかなのに何で分からないの?と押しつけても、反発しか生みません。
 そういうものなのです。正しいことをすぐに信じてくれるような集団は、かえって変な方向に進んでしまいがちで、それはそれで大変危険なことだと思います。

 女性の方々は、時に無力感を感じられることもあるでしょう。次の格言ご存じでしょうか?

【妻の言うに向こう山も動く】(つまのいうにむこうやまもうごく)
 1.動くはずのない向かいの山も、妻が動けと言えば動くかもしれぬということ。家庭の中で妻の権威が絶大であることの喩え。2.普段(ふだん)人の言うことに耳を貸さない人でも、妻が言えば従ってしまうということ。

 既婚男性ならば、全員が納得する格言です。(そんなことはないという方は・・・ちょっとどんな家庭か想像つきません)

 そうなのです。妻という立場は、実は絶大な権力を握っており、世の男性は頭が上がらないものなのです。(女性がないがしろにされていたとされる封建時代でさえ、この言葉は当てはまります。中国の皇帝も皆、正妻には手を焼いてます。)

 その権力を行使すれば、世の中は必ず変わります。

ちょっと皮肉な格言
「結婚は、した方が良いでしょうか、しない方が良いでしょうか?」
「いずれを選んでも君は後悔するだろう」  −ソクラテス

 妻が読んだら、殺されるかも・・・
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posted by いんちょう at 22:02 | 原子力

原発は、ひげそりの柄を売るようなもの−GE

週刊現代 2011.4.16号
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ここに、GEの設計者デール・ブライデンボー氏の独占インタビューがあります。
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(以上はあんまり拡大されません。字は読めないと思います。)

重要なのはこの次(拡大すると字が読めます)
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それでも日本は原発と縁を切れないだろう

結局、GEはMarkIを世界に30数基売った。アメリカには現在も24基ある。
GEの社内では、原発ビジネスは、「ひげそりの柄を売るようなものだ。」と言われていた。ひげそりの柄の部分を安く売って、ひげそりの刃の部分でもうけると言うことで(雑誌は誤訳と思われます)、これを原発に当てはめて考えてみると、原発を安く売り出しておいて、これが廃炉になるまでテクニカルサポートやサービスをして儲けるということだ。この商法が成功して、世界中にGEの原発が売れた。(後略)

 男性ならば、カミソリの刃のたとえ、よくおわかりでしょう。

 古い話では、ファミコン、プレイステーション。
 最近では、インクジェットプリンタ。本体がただみたいな価格なのに、消耗品のインクで儲ける。

一番利益が上がります。使えば使うだけ、金が入ってくる・・


海外の技術者にまで、「それでも日本は原発と縁を切れないだろう」といわれるとは。。。

本当に縁を切ることはできないのでしょうか。
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posted by いんちょう at 21:28 | 原子力

2011年06月18日

福島の思い出(12)・・家計簿と夜ノ森駅

入社当初の家計簿が出てきましたので、少し書き写してみます。
1988年5月9日から5月13日までは、福島第一原発で新入社員研修

5月9日(月)
カレー大盛り 210
おひたし    40
ウーロン茶  100
トマトジュース 130
計 480

5月10日(火)
豚肉味噌焼き 180 
おひたし    40
味噌汁     20
ライス     60
紅茶     100
計 400

5月11日(水)
ラーメン  140
ポテトサラダ 90
おひたし   40
計     270

5月12日(木)
煮魚(かつお)110
おひたし    40
ライス     60
味噌汁     20
ジュース   120
飲み代(同期?)1500
タクシー   360
計 2210

5月13日(金)
白魚ピカタ 160
ライス    60
きんぴら   50
おひたし   40
味噌汁    20
収入印紙  200
計 500

 会社のバスで往復していますので、昼食代以外使うことがないのです。これは、1988年のことで、学食並みの価格かそれ以下の食費だとおわかりでしょうか。

5月14日(土)仙台見物
東北旅行ガイド 680
博物館     600
バス代     160
昼食      700
ビッグコミック 200
記念品     350
電池       50
ゲーム     300
アクセサリー  200
お土産     600
JR(夜ノ森〜仙台) 1800x2
便せんセット  450
封筒      100
ノルウェイの森1000x2
夜ノ森駅
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http://community.travel.yahoo.co.jp/mymemo/jrmitosisya/buzz/24285.html
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 ツツジが咲くころ(このころでしょうか)には、こんなにきれいな駅だったんですよ。

夜ノ森の桜
http://www.haru-urara.com/home.html より (私の記憶にもっともぴったり来ます。この右側が公園(おそらく)で、ちょっと先の右側に夜ノ森独身寮がありました。
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ちょっと豆知識・・JR 常磐線で富岡駅から夜ノ森駅は海に垂直に鉄道が走っています。(昔、地権者がどうしても売らなかったと聞きました)このため、この区間では列車の両側の窓から海が見えるというあり得ない光景を見ることができたのでした・・・
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posted by いんちょう at 21:20 | 原子力

浜岡5号機(6)・・こっそりとプレス発表

 昨日はなにか発表があるだろうと期待し、中部電力のホームページをチェックしていたのですが、特になにもなし。

 明日は要注意日なんて、書いていたおり少しばつが悪かったのですが・・・やはり、中部電力−期待に沿ってくれました(中部電力の読み通り、熊日にはこの記事は一切掲載されていません)この会社は、本当に悪質です。原子力を運転する資格は全くないと言っても過言ではありません。(プレス発表しているのに、ホームページに一切資料がないとは・・・)

【浜岡原発停止】
水蒸気漏れ細管破損か 海水流入2011年6月18日
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 中部電力浜岡原発5号機(静岡県御前崎市)の復水器内の細管(直径3センチ、厚さ0・5ミリ)から海水400トンが漏れたトラブルで、中電は17日、海水が漏れた細管は金属製のふたが外れた再循環配管から強く噴き出した水蒸気によって破損した可能性が高い、と発表した。
 ふたが外れた原因について、中電がふたの断面を電子顕微鏡で調べたところ、溶接部分に接合が不十分だった部分が見つかった。もうひとつのふたにも溶接が不十分な部分があり、中電は「設計時点で問題があったのか、点検が不良だったのかを今後究明する」と説明している。
 また、これまで20本以上としていた破損細管の数は43本に増え、破損の範囲は幅14センチ、深さ70センチにわたっていたことも分かった。タービンを回した蒸気を冷やして水に戻す復水器内は真空状態のため、中電はふたが外れたのと同時に、再循環配管内の水が水蒸気となって噴き出したとみている。
 再循環配管は、復水器と原子炉との間を循環する水の量を減らす役割を果たし、原子炉の起動や停止時に使われる。中電は、この配管をふさいでいるふたが脱落していたため因果関係を調べていた。
 このトラブルでは漏れた海水のうち5トンが原子炉内に混入しているが、中電はこの日、海水の除去作業は来年3月ごろまでかかるとの見通しも示した。(中日新聞)


後ろに他の新聞も載せていますが、記者の方の理解力によって、それぞれ内容が微妙に違います。公式発表を載せるべきだと思う私の考えは間違っているのでしょうか?(月曜日に中部電力に電話してみます)

 さて、すべての記事をまとめると次のようです。

ミニマムフローのめくら板の溶接部が外れた。
・・・こんなところ点検するはずがありません。建設当初からの施工ミスでしょう。
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蒸気だけで損傷したとありますが、本当でしょうか?ほぼ、真空状態でキャップが外れたのなら、蒸気の流れに沿って、キャップも飛び、配管を損傷させたとしてもおかしくありません。キャップにほんとうにチタンはついていなかったのか?また、上記の写真も磨いた跡が残っており、おかしい(蒸気でさびが落ちたのかもしれませんが・・)この場所は、おそらくマスクが必要な領域ですから、記者陣には公開できないでしょう。

 再循環配管には1時間あたり530トンの水が流れており、400トンの水が流れ込んだとすれば、破損後2時間程度で系統隔離でしょう。これは運転操作の誤りです。水位も急激に上昇するはずで、すぐにおかしいことに気がつくはずなのに、どうしてこれだけ系統隔離が遅れたのか。そういったことに対する言及は全くありません(トラブル隠しのために、急激な系統隔離をしなかったと思われても仕方ありませんよ−中電さん)主蒸気弁隔離、給水ポンプ停止、ECCS(非常用炉心冷却系)起動を避けたかったのではないでしょうか。おそらく所長判断かなにかで。ここは、質問しなければならない重要なポイントです。・・ECCSが動作したら、これは完璧なトラブルで、保安院にもご説明に伺う必要がありますしね・・・

 中部電は原子炉に流入した海水の塩分除去を進めており、これまでの作業で塩分濃度は流入当初の410ppmから3ppm(保安規定は0・1ppm)にまで下がっているという。

 これは、原子炉隔離時冷却系原子炉冷却材浄化系を動作させているからでしょう。この410ppmがどの程度の影響を与えるかは分かりませんが、前も述べたとおり炉内金属が溶融しているのは間違いなく、相当深刻なダメージが原子炉に加わっています。

 細管の破損本数も前回の発表本数 20本 から 43本に増えています。 どうして、この発表が出るまで、1ヶ月以上かかるのでしょうか。こんなの、1-2日もあれば、すぐに出来る検査です。(毎回の定期検査ごとにチタンチューブのリークテストはやっています。ルーチンワーク)これは、あきらかに発表のタイミングを計っていたとしか思えません。

 この電力会社に原発の委託運営する勇気は、私にはありません。

いやはや、ひどい話しです。

あとは、その他報道各社の記事をまとめました。

 このあたりは、原子力の専門家はよく知らないのでしょう。だから、ほとんどどこも扱っていない。何度も繰り返しますが、トラブル、その後の運転の状況を見ますと、これは相当深刻な事態です。(中部電力の体質が非常によく現れている事例だと思います)
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posted by いんちょう at 20:29 | 原子力

2011年06月17日

静岡のお茶について

 検査をするしないでもめた静岡茶ですが・・・
(わたしには、この騒動、おととし某女優が「この辱めをどうしてくれるの?」といった発言とダブって見えました)

 データが発表されました。

静岡茶をお飲みいただいている皆様へ
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単位がないのではっきりしませんが、B/Aで比較しているところをみますと、すべて Bq/kg でしょう。

さて、ちょっと簡単な計算をしてみます。

(飲用茶) 430ml 中の 放射性セシウムの量 (比重は 1.0 とします)
4.3 x 430 / 1000 = 1.85Bq

これがお茶 10gから抽出されたわけですから、1kgのお茶を飲む(もちろん飲用にしてです)と、

1.85 x 1000 / 10 = 185Bq

もともとの荒茶1kgに 367Bq 含まれていますから、

185Bq ÷ 367Bq x 100 = 50%

すなわち、60秒間浸出しますと、使ったお茶についているセシウムのうち半分が溶け出すというわけです。
セシウムが表面に付着していると考えますと、妥当な数値でしょうか
2番茶、3番茶はどうなるのでしょう。データがないのでよく分かりませんが、1/4, 1/8 となりそうな気はしますね。

まとめ決定
一番茶では、荒茶に含まれるセシウムの半分がお茶に抽出される。

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posted by いんちょう at 20:10 | 原子力

女性を蔑視する報道(安全デマ)

立ち上がる日本の母親たち−原発事故受け
2011年 6月 17日 15:14 JST
 【柏市】福島第1原子力発電所の事故を受けて、全国レベルでも地域レベルでも、日本の母親たちによる、子どもを事故の影響から守るための対策を当局者に求める動きが活発化している。
母親たちは、ミクシーなどのソーシャル・ネットワーキング・サービスなどで賛同者を集め、当局に圧力を掛けている。こうした母親たちの小さな団体は16日に都内で抗議活動を行い多くのメディアの注目を浴びた。こうしたデモは他の地域でも発生している。また、ネットを通じた母親同士の情報交換や、地方自治体に対策を要求する請願書の署名集めもさかんに行われている。
 政府は16日、いくつかの下水処理施設周辺の放射線量が高いとの苦情が1件寄せられたことを受けて、それら放射線量が基準値を下回るようにすべきだと述べた。政府当局はここ数週間、福島第1原発からかなり離れた場所にあるホットスポット(局所的に放射線量が高い場所)の放射線量を公表している。原発から約300キロ離れた神奈川でも最近、茶葉から放射性物質が検出されるなどホットスポットが確認されている。


題名、書き出しだけ読みますと、まともな記事のようです。ここまでは、私もその通りだと思いますし、読んだ方も記事に引き込まれ、さすがWSJだと思われるでしょう。が・・・

 専門家の一部は、母親たちによる抗議活動が国民全体に過剰反応を引き起こす可能性を懸念している。近畿大学原子力研究所の講師、若林源一郎氏は、「放射能の人体に与える影響については、線量が高い場合を除いて確定的なところは分かっていないのが現状年100ミリシーベルト以下については、飲酒、タバコ、ストレスなどの影響と区別するのが難しい年1ミリシーベルトは法律上の規制値で、超えたら健康に被害がでるというものでもない。放射線を気にするあまり、子供を外で遊ばせなかったり、夏でも長袖やマスクを付けさせていたら、どちらが健康に悪いのか分からない」と話す。 (後略)
記者: Mariko Sanchanta and Mitsuru Obe


トンデモ発言です。この方は、下図の線量図を念頭にお話しされているのでしょう。
http://c3plamo.slyip.com/blog/archives/2011/04/post_2050.html より抜粋
2011061703.jpg

これには、注意点があります。100mSvとは書いてありますが、期間がありません。

原子力安全委員会も100mSv安全宣言を出していますが、記事にあるように

・100mSvについては、特に期間を定めない = 100mSv/生涯

なのです。

まだ、納得いかない方のために

放射線従事者でさえ、

・50mSv/ year
・100mSv/ 5year

となっているのに、どうして、 100mSv/year が安全だといえるのでしょうか

残念ながら、この専門家の意見が間違っているか、あるいは記者が勝手に mSv/生涯 を mSv/yearと間違って解釈しているかのどちらかです。100mSv/year を毎年浴びても大丈夫というのであれば、放射線従事者の管理値自体が大変ナンセンスになります。

 こういった間違った報道は許されません。いったい、どこにそういった記述があるのか、丹念に調べてください。また、この報道を元に近くにおられる女性の懸念を「キチガイ」扱いするとすれば、そういったことを言う人こそ、本当の キチガイ だと思います。

 女性の皆さん、こういった女性蔑視とも思われる故意にねじ曲がった報道に左右されることなく、ご自分の正しいと思われることを実行してください。

 記者を書かれた方。早急に訂正をしてください。一見冷静に書かれている記事だけに、大変たちが悪い。

追記(原文を読者の方に指摘いただきました) 2011-6-17 21:15
Moms Turn Activists in Japanese Crisis
Still, some experts worry that groups like Ms. Osaku's could cause the Japanese public to overreact. "There is no conclusive evidence about the effects of long-term exposure to low-level radiation on human health," says Genichiro Wakabayashi, lecturer at Kinki University's atomic-energy research institute. "It would be more harmful for children if they had to wear masks and long-sleeved shirts and to stay indoors in the middle of summer."
一言も具体的な線量のことは触れられていません。これは、記事をねつ造したのでしょうか?だとすれば、さらにたちが悪い。(もちろん、英文で100mSv/year で大丈夫と書いたら、避難殺到でしょうけど)

 いったいどういうことですか?きちんと説明してください

記事全文(日文、英文)
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posted by いんちょう at 17:07 | 原子力

パラレルワールド−−日本原子力産業協会

社団法人 日本原子力産業協会

このホームページ、結構おもしろい。今の時期に流れているとは思えない驚くべき記事のオンパレード。パラレルワールドに迷い込んだような感じを受けられます。

 会長は、服部拓也氏(私が東電にいる間の副部長。この方もなかなか切れ者。武藤さんよりやや年配でしょうか。現場も理論も分かっており、スリーマイル島の事故の対応では、東電で陣頭指揮を執られたらしいです。)

福島事故後、初の進展 日立GEと米WHが応札 リトアニア・旧イグナリナ原発隣接地に計画
2011-06-15
(前略)福島第一原子力発電所事故後、新たな原子力プラント建設計画の進展が明らかとなったのは初めてであり、事故後も日本の優れた原子力技術に期待する国は多いと言われている


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駐日トルコ大使が記者会見 シノップ交渉 原子力計画断念せず
4月に日本に着任したばかりのA.ビルギチ駐日トルコ大使(=写真)は5月27日、東日本大震災の影響で中断しているシノップ原発に関する日本との交渉について「年末までに交渉が完了すれば2019年という現在の稼働スケジュールに間に合う」との考えを表明した。
(中略)
このことから、今回の地震で、日本こそさらに完璧な安全設計を作り出せるとの期待が増してきており、日本との交渉が終了するまでは他国からの交渉開始要請に応じない方針を堅持している。

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無断転載禁止とのことですので、縮小して転載。ここのホームページを見る限り、フクシマの事故は収束したようです。

 前向きなのは結構ですが、FUKUSHIMAの災害を収束させることを優先させてください。
タグ:O
posted by いんちょう at 14:25 | 原子力
ブログ全体の目次は、こちら