2011年07月31日

佐賀県知事をスケープゴートへ−原子力村の戦略

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佐賀知事やらせ誘発 「発言軽率だったが依頼ではない」2011年7月30日23時44分
九州電力の「やらせメール」問題で、佐賀県の古川康知事は30日、記者会見を開き、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開を巡る国の説明番組放送前に、九電副社長らに「この機会に再開容認の声を出すべきだ」と促していたことを明らかにした。この問題を調査している九電の第三者委員会は同日、知事の発言が結果的にやらせメールを引き起こしたとの見解を発表した。

 古川知事によると、番組放送5日前の6月21日朝、段上守副社長(当時)が退任あいさつのため知事公舎を訪問し、諸岡雅俊・原子力発電本部長(同)と大坪潔晴・佐賀支社長も同席した。その場で知事は「運転再開の議論を深めるには賛成、反対双方の幅広い意見を寄せてもらうことが必要。自分の所に来るのは反対意見ばかりだが、電力の安定供給の面から再開を容認する意見を出すことも必要だ」と話したという。

 ただ、会見では「やらせメールを依頼したことは全くない」「九電として何かをやってほしいという意味ではなかった」などと述べ、具体的に番組への賛成メールを増やすようなことは求めていないとした。

 九電の調査報告書によると、(知事と会談した)幹部3人は直後に番組について協議し、賛成の投稿を増やす必要があるとの認識を共有。大坪支社長から対応を指示された佐賀支社の3部長が賛成メールを投稿するよう支社の取引先26社に働きかけることを決めた。

 30日夜に福岡市で記者会見した第三者委の郷原信郎委員長(名城大教授、弁護士)によると、大坪支社長が作成した古川知事との会談メモには、知事の発言として「インターネットを通じて、賛成意見も集まるようにしてほしい」と記録されていた。メモの内容は社内の複数の関係者にメールで配信されたという。


 佐賀知事が、全ての原因のように書かれています。

本当でしょうか?

2005年12月25日におこなわれた、佐賀県主催で開かれた玄海原子力発電所3号機プルサーマル計画についての公開討論会から。

これは、知事が口を出す必要はほとんどありません。(交付金がおりますので、メリットはかなりあります)

佐賀県−御用学者である「大橋弘忠(システム量子力学)」の安全神話講話


内容を吟味する前に
・御用学者発言の後に、拍手がみられます。

これは、カネで雇われたサクラです。(断言できます)そもそも、こんな専門的な話を聞いた後に拍手をすることなんて、あり得ません。本当に悪質です。(この動画もすぐに消されるかもしれません)皆さん、保存しておいてください。

 私の昔話を(15年以上前の話なので、時効でしょう。今もこんなことしているかどうかなんて知りません)・・・
本店にいるときに、6月中旬ころでしょうか?招集がかかりました。「暇な人間は、2階の大会議室に集合するように」と。
何だろうと思って集まりますと、今まで見たことのない重役たちがぞろりとひな壇に。進行役は、庶務の課長か、部長です。東電社長はいたでしょうか?よく覚えていません。私が座ったのは、真ん中くらい。200〜300人くらいは、動員されていました。
 重役たちの紹介から始まりました。何しろ副社長がただならぬ人数おり、それがまず印象に残りました。私の中の常識では、副社長はせいぜい数名足らずでしたので・・

 議事が進行するごとに、前列の集団が
「異議なし、議事進行!!!」
と叫びます。原発の質疑応答があった後に、やおら英語でまくしたてる社員(東電総務課でしょうか?)か出てきました。
議長「ここは、日本の会社です。日本語で発言をお願いします。」
サクラ「日本語でしゃべれ!!!」
模擬外人・・英語風の言葉でなにやら叫び続けます。
そうこうするうちに警備の人が出てきて、この模擬外人は、会場の外に引っ張り出されます。
そして、何事もなかったかのように議事が進行して終了。

当時、外国人が日本の株式を購入して、株主総会を荒らしていました(小糸製作所が有名でしょう)。そのうちの一人が東電に来るかもという情報が入っており、その対策を含めて株主総会の予行演習を実施していたのです。

 電力会社は、資本主義最大の力であるカネで自分たちを守っています。そのカネは、現代社会を送る上で欠かすことのできない電気から生み出され、地域独占で守られています。なかなか、この力を奪い去るには、難しい。カネに転ばない人は、なかなかいませんから。

 話がそれました。

この動画の中で、御用学者は、(出典 Wiki
「プルサーマルは現行の軽水炉と同じく安全」
「我々専門家は水蒸気爆発など夢にも考えていない」
「(原子炉)格納容器が破損するなど物理的に考えられない」
「プルトニウムを水と一緒に飲んでもすぐ体内から排出される(から大丈夫)」

などと、今から見れば、噴飯ものの発言をしています。(しかも、いまだにその反省の弁は聞かれません)

そして、小出氏が
・プルトニウムは、大変に危険
と発言しますと、
「どうして、プルトニウムを吸入することなどがあるのか、エアロゾルになることなどあり得ない。」
と小馬鹿にしたように嗤う様子がよく出ています。
学者の良心というものなどは、お持ちでないのでしょう。

 この動画を見ても、やらせ説明会をしていたのは、明らかです。

佐賀県知事に全ての罪をなすりつけようとしていますが、国民の目を欺けると本気で思っているのでしょうか?

天網恢々疎にして漏らさず

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政府も電力も自治体も漁協も全部−同じ穴のムジナ2011.7.27
原子力村は身内にも平気で嘘をつく2011.7.11

続きを読む(九電も、さすがにまずいと思ったようで・・)
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posted by いんちょう at 21:28 | Comment(2) | 原子力

川内原発1号機、鹿児島知事「早期の再稼働必要」

 九州電力は、佐賀県玄海のやらせ問題で青息吐息と思っていましたが、さすが大企業。懐の広さが違います。

川内原発1号機、鹿児島知事「早期の再稼働必要」
 定期検査に伴い運転停止中の九州電力川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)1号機の再稼働について、鹿児島県の伊藤祐一郎知事は29日、ストレステスト(耐性検査)の1次評価実施後、国による安全性の保証と住民説明会の開催を前提に「速やかに議論を進めるべきだ」と述べ、早期の再稼働が必要との認識を示した。
 伊藤知事は定例記者会見で、自然再生エネルギーの構築には時間がかかるとしたうえで、短期的には「早く(原発を)稼働させた方が日本のためになる」と述べた。
 県が国に要請している住民説明会については「3、4か所での開催を検討しており、国による丁寧な説明を求めたい」とした。
(2011年7月29日 読売新聞)


「川内原発再開が早い場合も」(NHK)
九州電力の貫正義副社長らはこのあと川内原発のある薩摩川内市の岩切秀雄市長を訪ね、調査結果を報告しました。
このあと岩切市長は公開ヒアリングの参加者の3割余りが九州電力や関連企業の関係者だったことについて「公平性を保つことを前提に考えると、このましくないと思う」と述べました。
一方で「空席が目立つことに配慮しての動員であり、定期検査で停止している1号機再開を認めるかどうかの判断材料にはなりにくい」と話しました。
また、岩切市長はこれまで1号機の再開について玄海原発が先に再開することを条件の1つにあげていましたが、「ストレステストの状況などから判断すると川内原発のほうが早くなることも考えられる」という考えを示しました。
07月29日 18時28分


 配信の日付が誤りではないかと思いましたが、彼らは本気で再稼働させようと思っているようです。再稼働のトップバッターをつとめれば、九州電力から寄付がもらえるのでしょうか。道路を作ってもらって、J-ビレッジIIでもつくる皮算用でもしているのでしょう。あたかも日本全体を考えているかのような発言には、本当に恐れ入ります。

 鹿児島県議会は、九州電力に一度虚偽答弁をされています
 やらせメールについては4日、鹿児島県議会原子力安全対策等特別委員会で共産党県議が追及したのに対し、九電の中村明・上席執行役員(原子力発電本部副本部長)は「番組があると社内や関係会社に連絡はしたが、どうこうしろと言った事実はございません」と否定していた。

 知事は、健忘症か何かなのでしょうか?自分の県議会で嘘をつかれたのに、それを全く問題にせずに、カネに目がくらんで再稼働を許可しようとしている。

 川内原発で何かあれば、鹿児島はおろか、有明海、韓国、山陰地方の海まで全て汚染されます。(陸上はもちろんです)EPZは、なぜ20km圏内で問題ないといえるのか?
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 明治維新は薩摩藩の力が大きく寄与しました。今度は、何の目的のために原発再稼働をしようとしているのですか?

 すでに稼働している泊原発でさえ、いまだに安全のお墨付きをもらっていないのですよ。

薩摩おごじょ 立ち上がるときが来たようです。薩摩隼人たちにまかしていては、国を滅ぼします。

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posted by いんちょう at 02:54 | Comment(0) | 原子力

2011年07月30日

7万人の人が自宅を離れてさまよっている時に 国会は一体何をやっているのですか-東大 児玉教授

11.7.27 衆議院厚生労働委員会より 児玉龍彦参考人怒りの熱弁  あちこちのブログで読まれた方もおられるでしょう。正論が国会の中でようやく表明されました。会見を書き起こしいただいたブロガーの方に感謝申し上げます。


2011.7.31に消去されました。言論弾圧
(3日間程度で 380,000 以上のアクセスがあった模様。Youtubeのどの利用規約に違反したというのでしょうか?)2011.8.3 にリンク復活しました。なぜでしょう??

下記は、英語の字幕付き。(cc)ボタンで、英語が現れます。
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(2/2)


(ニコニコ動画)..同じ動画です。


さらに、衆議院TV(これが削除されるようなら、日本も本当に終わりです)
厚生労働関係の基本施策に関する件(放射線の健康への影響)
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 児玉龍彦(参考人 東京大学先端科学技術研究センター教授 東京大学アイソトープ総合センター長)

資料
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個別スライド


ガンマカメラは、このようなものでしょうか?
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(抜粋)
「食品検査を機械を使って検査を国はまったくやらない事に満身の怒りを表明する

妊婦の胎児,幼い子ども 成長期の増殖の盛んな細胞に対して放射線障害は非常な危険を持つ。

アルファ線(プルトニウムから放出される)プルトニウムを飲んでも大丈夫と言った東大教授がいると聞き、私はびっくりしましたが

アルファ線は最も危険な物質である子どもを守るために全力を尽くしてほしい」

(提言)
第1に
国策として、食品、土壌、水を、日本が持っている最新鋭のイメージングなどを用いた機器を用いて流れ作業にしてシャットしていってやるということの最新鋭の機器を投入して抜本的に改善して下さい

2番目
緊急に子どもの被ばくを減少させるために新しい法律を制定して下さい

第3番目
国策として土壌汚染を除染する技術を民間の力を結集して下さい

会見内容は、こちらを(書き起こし)
タグ:P
posted by いんちょう at 10:57 | Comment(10) | 原子力

政府も電力も自治体も漁協も全部−同じ穴のムジナ

原子力安全・保安院:やらせ要請 保安院長が陳謝 内部調査の実施否定 「やらせ」問題を受け、保安院の寺坂信昭院長は29日午後9時半から緊急会見し、「(やらせが)指摘されたこと自体、中立、公正な判断を旨とする保安院にとって深刻な事態。事実なら国民の皆さまに大変申し訳ないと思う」と陳謝した。進退や責任問題については「第三者委員会の調査結果を踏まえて判断する」と述べ、明言を避けた。

 保安院は当初、海江田万里経産相が第三者委員会設置を説明したのを踏まえ、「それ以上の話はない」として、寺坂院長の会見を拒んだ。しかし、中部電力が「やらせ」を要請した保安院職員を特定しているため、報道陣から寺坂院長の説明を求める要望が相次いだ。一転して会見した理由を、寺坂院長は「批判を受け、改めて検討した」と釈明した。

 一方、「第三者委員会の調査には全面的に協力する」とし、内部調査の実施については「第三者委員会で一元的に調査するのが望ましい」として否定。「いま一度、原点に立ち返り使命感を持って職務に精励することが大切だ」と述べた。指摘された中部電力と四国電力の両原発でのやらせについて、「記憶を呼び起こしているが、そのようなことが行われたという認識はない」と強調した。【比嘉洋】
毎日新聞 2011年7月30日 東京朝刊

 まあ、今更記事になっただけで、こんなことは原子力関係者および報道関係者にとって当たり前のこと。単に今までは怖くて書けなかっただけ。

海江田大臣も九州電力に対して、

海江田万里経産相は「人選も公平にやるように言った」としたうえで「九電が(やらせの指示を)やっているならけしからん」と答弁。事実の場合は、断固とした処置をとる考えを明らかにした

とはなしていましたが、面目丸つぶれです。

このあたりは、立地関係の時にいくらでも出てきます。以前ご紹介していますが、再度この本の中から



伊方原発
「原発の建設許可には、様々な手続きがいる。ここでは省略するが、そのうち、一番重要なのは電調審(電源開発調整審査会)を通過することである。伊方発電所は、全国で22番目に電調審を通過したが、完成したのは14番目である。伊方よりも先に電調審を通っていても、まだ、もめている原発が、たくさんある。伊方は、後戻りせずに、スピーディーに完工したといえる。」
 スピーディーに完工したのは、安全審査を経て、総理大臣の設置許可がおりる以前から着工していたからである。つまり、用地買収の段階から四国電力は、クロをシロと言いくるめ、遮二無二、工事を強行してきた。その潤滑油がカネであり、カネが民主主義をつぶしてきたことを、彼は知っていて書いているのであろうか。

 その一ヶ月前、町見漁協二見支所では臨時総会が開かれていた。誘致反対の漁民たちは、資格審査が曖昧だとして松田組合長を追求していたが、彼は突然議長を指名して開会に持ち込み、あっという間に「採決に入ります。賛成多数と認め可決しました」といったのである。「いった」というのは議長本人の話で、そのとき議場はつかみ合いの大混乱だったから、議長の声など聞こえるはずもなかった。議案も提案されておらず、議事録に署名するものもなかった。混乱状態で満場立ち上がっていたから、「起立多数」ということになったのである。


75年5月の「国際経済」誌のインタビューに対して、山口恒則四国電力社長は、こう語っていたのだった。
「われわれは国の政策でやれというから急いでやったわけでしょう。・・・燃料サイクルの問題の解決がついていないのに日本でどんどん軽水炉をつくっていく。本当におかしな話で、濃縮が日本でできるわけでなし、再処理が日本でできるわけでなし、とにかく発電所だけがどんどんできていくのは早過ぎます。
 

 この手の信じられない話が、あらゆる原発で出てきます。そもそも、監督官庁どころか、政府および国会議員が旗を振っていました。電力会社も最初は不本意ながら推進していたのでしょう。それが、四国電力の談話に正直に出てきています。しかし、月日が流れるにつれ、先のことを考えずに原発を推進することが目的となってしまったとしか考えられません。(オウム真理教の事件と、重なっていけません。社内にいるときにも同じだねと話したことがあります。)・・視野の狭い理系人間に任せてしまうと、仕事それ自体が目的になり、社会的なことを考えなくなってしまう。

 中部電力もそんなに偉そうにいうなら、ケツをまくってやれとばかりに、自爆テロを仕掛けた印象さえ受けます。これが、関電、東電ならば、諾々と指摘に黙って頭を垂れていたことでしょう。沖縄電力以外の電力会社は皆同じ体質であるのは、間違いありません。

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やらせ説明会とやらせメール−玄海2011.7.7
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IAEAメンバーChief の仕事(同じ穴の・・)2011.6.6
タグ:R
posted by いんちょう at 08:50 | Comment(0) | 原子力

2011年07月29日

1年の売電収入未満で水力発電を中部電に売る三重県〜これは許してはならない

中部電が水力発電所買収=三重県保有、きょうにも基本合意
中部電力は29日、三重県が保有する10カ所の水力発電所を買収することを明らかにした。買収額は105億円で出力の合計は9万8000キロワット。同社は再生可能エネルギーの活用をさらに進めたい考えだ。
 同社によると、東京電力福島第1原発事故以前から、三重県から水力発電所を売却したいという申し出があり、前向きに検討をしてきた。不足する管内の電力供給力を補う目的で今回の決定に至ったとみられ、29日中には基本合意する見通しだという。(2011/07/29-10:55)


 この水力発電の売電単価契約は、いくらでしょうか?おそらく、初期の水力なので、2-3円/kwhのはずです。

 これは、明らかな再生可能エネルギーであり、電力会社による売電単価は20円/kwhでも問題ありません。

仮に、10円/kwh, 20円/kwh として計算してみましょう。

10x9.8万kw = 100万円/hr の収入

1日で 2400万円 1年で 87億6000万円

の収入が得られます。

もし、かりに再生可能エネルギーということであり、20円/kwhとするならば、

175億円

の売電収入となります。

この売却はダンピング以外の何者でもありません。なにか裏にないでしょうか?

適正価格は、1000億円程度であるべきで、これでも投資をすれば、年間 17.5% もの利回りになります。

 三重県の皆さん、こんなに不当な安値で再生可能エネルギーである水力発電を、原子力推進派の中部電力に売り渡していいのですか?

 電力会社は、自治体の初期の水力発電を不当な安値で買電しています(契約見直しをしていないため。)水力発電を所有している自治体は、電力会社との契約を見直す必要があります。(おそらく、2-3円/kwhのところが多いはずです)

 裏になにもないとすれば、水力発電の本当の価値を知らない自治体職員が、百戦錬磨の中部電力の口車に乗ってしまったというわけでしょう。自治体の水力発電は、今後おおきな収入源として、見直されるはずです。
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posted by いんちょう at 11:37 | Comment(2) | 原子力

2011年07月28日

モンゴル最終処分場頓挫〜東芝

2011.7.2(土) 熊日一面、三面から
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米原子力大手ウエンスチングハウス・エレクトリック(WH)を子会社に持つ東芝の佐々木則夫社長が五月中旬、米政府高官に書簡を送り、使用済核燃料などの国際的な貯蔵・処分場をモンゴルに建設する計画を盛り込んだ新構想を推進するよう要請、水面下で対米耕作を進めていることが1日、分かった。
(中略)
東芝広報室の話 包括的燃料サービス(CFS)構想は世界の原子力平和利用に対して、価値のある構想であると理解している。当社は民間企業として将来的にサポートできると考えている。これらを伝えるために、書簡を送付した。モンゴルのCFS構想は国際的な核不拡散体制の構築、および同国の経済発展に寄与できるという点で意義があると考えている。

(三面)
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「福島であんなに大きな事故を起こしたにもかかわらず、”原子力村”には全く反省の色がみられない
 今回明らかになった東芝の対米工作について、原子力政策に携わる日本政府高官はあきれ顔で言い放った。さらに「書簡は福島第一原発事故を受けた原子力業界の危機感の表れ」と指摘した上で、拙速だと切り捨てた。


 これは、熊日に乗ったスクープですが、おおきな扱いになっている印象はありません。私は、最初ウソだろうと思ったのですが、東芝の広報がいけしゃあしゃあとコメントを発しているところをみると本当か。。。と思って、怒りがこみ上げました。

使用済み核燃料をモンゴルに貯蔵 日米との合意原案判明

 モンゴル産のウラン燃料を原発導入国に輸出し、使用済み核燃料はモンゴルが引き取る「包括的燃料サービス(CFS)」構想の実現に向けた日本、米国、モンゴル3カ国政府の合意文書の原案が18日明らかになった。モンゴル国内に「使用済み燃料の貯蔵施設」を造る方針を明記し、そのために国際原子力機関(IAEA)が技術協力をする可能性にも触れている。
 モンゴルを舞台としたCFS構想が実現すれば、核燃料の供給と、使用済み燃料の処分を一貫して担う初の国際的枠組みとなる。福島第1原発事故を受け、当面は構想の実現は難しいとみられるが、民間企業も含め後押しする動きが依然ある。
共同ニュース(2)2011/07/18 17:57 【共同通信】


モンゴル、核廃棄物受け入れを拒否 「処分場」構想は頓挫か2011/7/28 15:30
モンゴル国内に日本の核廃棄物処分場を建設する構想をめぐり、日本がモンゴル政府から核廃棄物の受け入れを断られていたことが明らかになった。松本剛明外相が2011年7月27日の衆院外務委員会で、服部良一議員(社民)の質問に答えた。事実上、構想が頓挫した形だ。

松本外相は、7月23日に行われたモンゴルとの外相会談の内容について、

「モンゴル側からは、国内法令の関係上、核廃棄物の国内の受け入れ、つまり外国から自国への受け入れは困難であるとの立場の表明があったと記憶している」
と明かした。また、今後の核廃棄物の処理のあり方については、

「非常に扱いが難しいゴミで、各国とも課題として残っている。他方で、使用済み核燃料は、不拡散の観点からすると、ある程度しっかりとコントロールされている必要がある」
と述べるにとどまった。


 東芝は日本のように札束でほほをたたけば、最終処分場を作ることができると思っていたようですが、やはり無理でした。

 それにしても、この工作はどういうことでしょうか。福島の事故が全く収束していない状況で、こんな工作を裏でやる・・・原子力村の反省のなさ(今流れています安全デマをみますと当然ではありますが)は・・


■関連ブログ
KIRIN 生茶2011.7.22
子どもを守るために、具体的行動を2011.7.13
タグ:P 廃棄物
posted by いんちょう at 22:05 | Comment(0) | 原子力

2011年07月27日

5700万Bq/m2(1500Ci/km2)の大地〜大熊町

【更新】大熊町内の土壌汚染調査結果のお知らせ 2011.6.30
 5月25日に、東北大学大学院理学研究科 小池武志先生、東北大学サイクロトロン ラジオアイソトープセンター 島田健司先生のご協力をいただいて、大熊町町内11か所の土壌を採取し、サンプルを東北大学、並びに金沢大学に送り、分析をお願いしました。

【更新】
 土壌調査結果について、表記もれや一部誤解を招くような不適切な表現があり、訂正しました。今後、このようなことのないよう注意していきますので、ブログ内容向上のため、皆さまのお声をいただきますようお願いします。

 分析結果について6月24日、大熊町役場 会津若松出張所にて東北大学大学院理学研究科 小池武志先生、金沢大学 山本政儀先生より報告を受けましたので、皆さまにお知らせします。

 土壌採取地点は、以下の11か所です。

(1) 大野幼稚園駐車場(野上字諏訪 地内)
(2) 高田公園前畑(大川原字西平 地内)
(3) 大野児童館園庭(下野上字清水 地内)
(4) 役場前児童公園(下野上字大野 地内)
(5) 総合スポーツセンターグランド(夫沢字中央台 地内)
(6) 夫沢字長者原 地内
(7) 夫沢字北台 地内
(8) 夫沢字東台 地内
(9) 小入野字東平 地内
(10) 緑ヶ丘グランド(熊川字緑ヶ丘 地内)
(11) 小良浜集会所前(小良浜字高平 地内)

土壌測定結果


地点名空間線量
(μSv/h)
土壌中の放射性核種
(kBq/u)
プルトニウム
239・240
(Bq/u)
地表面地上1mヨウ素
131
セシウム
134
セシウム
137
セシウム
136
(1)諏訪22.016.843160018037未検査
(2)西平12.69.0326237113未検査
(3)清水38.022.07821852520110.19
(4)大野60.042.010044634807240.26
(5)中央台90.070.013954945945291.24
(6)長者原19.014.01002092238995.91
(7)北台140.0100.0197459049402211.10
(8)東台130.0100.012429063268132.77
(9)東平180.0140.065327772300141515.02
(10)緑ヶ丘100.080.0171510157422411.00
(11)高平40.030.031915105147.98

 μSv/h…マイクロシーベルト/毎時
 Bq…ベクレル kBq…キロベクレル(1kBq=1000Bq)
 プルトニウム…太平洋側水田中の蓄積量 30〜50Bq/u
山本先生のコメント
(1)  プルトニウムについては、ごく微量であり、大きな問題ではない。
(2)  セシウムについては、西平を除き150万ベクレル/u以上で、年間20ミリシーベルトを超えており、計算上30年たっても半分の線量が残る可能性があり、セシウム137を取り除かない限り、すぐには戻れないレベルの数値であった。
(3)  課題は、いかに土壌表面5cm以内にあるセシウムを減らしていくかである。表土を入れ替えしたり、天地返し(1m)をしたりなどの方法がある。
(山本先生は、チュルノブイリ、セミパラチンスク、JCO事故などの調査研究を行っている、プルトニウム分析、環境放射線の第一人者です。)

 以上の報告を受けて、町としましては、今後の経過を注視するとともに、これを復興の基礎データとして使用し、国・県をはじめとしてあらゆる支援を受け、復興のための手段を講じてまいります。

 町民の皆さんと、一刻も早く大熊町に帰れるよう頑張りますので、町民の皆さまのご支援をよろしくお願いします


 このデータには驚きました。まず、セシウムのみの合計を出します。
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そして、Googleマップにマッピング
大熊町線量測定結果
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発表数値がBq/m2であるのは、非常にすばらしいと思います。(公式発表が、世界標準なのは大熊町だけではないでしょうか)
しかも、これはヨウ素を考慮していません。事故当初は、行ったどれだけの線量だったのか・・私には想像すらつきません・・・

5700万ベクレル/m2 = 約 1,500Ci/km2

チェルノブイリで、有無をいわさずの強制避難エリア(猶予数日のみ)は、

40Ci/km2以上 = 148万Bq/m2

この約40倍もの濃度が検出されています。
プルトニウムもとんでもない濃度が検出されています。

ここに人が住めるようになる日が来るのでしょうか?

追記(2011.7.28)
チェルノブイリとの比較
2011072716.jpg

チェルノブイリと福島の汚染の比較 から
資料にある地図中で、もっとも放射性物質濃度が高い赤い部分は、セシウムの濃度が300万(3,000,000)ベクレル/m2を超えるエリア。安全委員会によれば、「チェルノブイリは、半径30kmで、148万(1,480,000)〜370万(3,700,000)ベクレル/m2がもっとも高いレンジだった」ので、今回の資料が正しければ、軽くチェルノブイリを超えていることになる。

チェルノブイリの汚染を旧単位に直しますと、
40Ci/km2〜100Ci/km2
となります。今回の大熊町の汚染は、チェルノブイリ最汚染地帯の15倍という(しかも事故2ヶ月後−ヨウ素131がほとんどなくなっている状態)状況です。・・桁が一つ違っています。

チェルノブイリは、Cs137のみとのこと(Cs 134はほとんどないらしい)
そうしますと、
Cs 137 = 3000万Bq/m2 = 810Ci/km2

チェルノブイリと比較すると8倍ですか・・・

■関連ブログ
「状況は本当に本当に深刻だ」-チェルノブイリ経験の生物学者2011.7.26
セシウム牛は要全面マスク域で飼育中だった・・2011.7.13
チェルノブイリでは強制移住2011.5.25
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posted by いんちょう at 20:21 | Comment(1) | 原子力

IAEA天野氏、1Fに観光旅行?

ビデオで見る天野IAEA事務局長の福島第1原発視察 Reuters
福島第1原発を訪れた天野IAEA事務局長(25日) 国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は25日、背中にマジックで大きく名前が書かれた白い防護服姿で、初めて福島第1原子力発電所を視察した。

この際のビデオが2本、動画配信サイト「YouTube」にアップされた。そのうちの1本では、原発の作業員らが順繰りに放射線のチェックを受けている様子をバックに、天野氏が今回の訪問についてのインタビューに答えている。

インタビューで、天野氏は、「3月に東京に来たとき福島第1訪問を希望したが、事情が許さなかった」「ロードマップの第1ステップが達成されたので、訪問のいいタイミングだと思った」などと英語で語った。批判が強いロードマップだが、天野氏は政府の見解に沿って、冷温停止を今後6カ月以内に達成するというロードマップの目標は現実的だとの見解を示した

もう1本のビデオでは、天野氏が福島第1原発の吉田昌郎所長から危機管理センターで説明を受けた後、防護服とマスクに身を固め、東京電力の社員とともに構内の視察に向かう姿が映っている。

一行の中の1人が「400マイクロシーベルト」と放射線の線量を叫ぶ。歯医者でX線検査をしたぐらいの線量だ。

施設内の建物や津波によってがれきと化した設備などについての吉田所長の説明を、天野氏は黙ってうなずきながら聞いていた。

海岸沿いの道路のねじれたガードレールやひっくり返った車は、道路脇に寄せられているが、5月のIAEA調査団の来日のときとほとんど変わらない景色だった。

体育館に戻り、天野氏は、防護服を脱ぎ、作業員にとっては、この4カ月慣例になった放射線チェックを受けた。

26日、天野氏は東京で菅直人首相と会談し、原発事故を収束させるため、今後もIAEAとして協力していく方針を表明した。共同通信によると、会談後、同氏は記者団に、IAEAは除染や核燃料棒の取り出しなどについてのさまざまな専門知識を提供してきたことを強調した。


 まず、この事務局長の天野氏、前職は外交官。2009年に選挙でIAEA事務局長と選ばれています。

IAEAとしての権威はありますが、事務局長になるまで原子力に関する実務経験は全くありません。この方がなんと話しても、それはだれかの言葉の代弁に過ぎません。そこは、しっかりと押さえておく必要があります。従って、上記で述べたようなリップサービスが平気でできるわけ。もう、権威だけもたれた方の視察ではなく、本当の専門家にいってもらうべきだと思うのは、私だけでしょうか。(この対応は、中国の列車事故と全く同じです。)

さて、ビデオがYoutubeで公開されていますので、それを少し解説してみます。(本来、このマップは東電が公表すべきです)


まず、全体のルート。私は福島第一原発内部を歩いたことはほとんどありませんので、不確かな部分があります。地図と、画像を比較して、おそらくこのあたりだろうとルートを書いています。(クリックで拡大)
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サーベイマップ上のルート(クリックで拡大)
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動画上、2回線量が出てくる・・400マイクロシーベルトと 88.3マイクロシーベルト・・サーベイマップ上でみますと、代替妥当な線量です。6月下旬から、ほとんど変化ないことがよくわかります。
最後バスを降りる場面は、J−ビレッジと思われる

・IAEA専用の印刷された防護服がある。
・人海戦術で、扉の開閉をしている。
・400マイクロシーベルト付近で説明しているのは、小森安定化センター所長
・顔見知りの方を何人かみかけた。一人は、タービン班の副長だった方。
・IAEA事務局長が表面検査をはかっているとき奥にいるのは、小森所長
・以前青山繁晴氏が視察したときよりも、はるかに建物の遠くから視察している。(この時より、ガレキ撤去が進んでいる)

下記と比較してください。

福島第一原発 内部映像:青山繁晴 from Egg Rice on Vimeo.



2011.7.29上記ビデオは、すっかり消えてしまっています。
みられたくないビデオと思われます。下記ビデオをどうぞ。





 IAEAの事務局長が視察に行ったこと以上の意味はありませんでした。

■関連ブログ
福島第一安定化センター所長2011.7.2
IAEAの報告書とスポンサー2011.6.1
1F-3号機(極秘写真の解説)・ぷちおすすめ2011.5.13
posted by いんちょう at 15:55 | Comment(0) | 原子力

第1回熊本城マラソン−来年2月

【陸上】熊本城マラソン コース決定 フルなど3種目 2011年07月26日
 熊本市の政令指定都市移行を記念し、来年2月19日に開く「第1回熊本城マラソン」の第3回実行委員会(会長・幸山政史市長)が26日、同市の城彩苑であり、3種目のコースを決めた。

 フルマラソン(42・195キロ)は通町筋電停付近をスタート後、通称・産業道路や流通団地を抜けて西南部に向かい、川尻商店街や県道熊本港線を通過。再び中心部に戻り、熊本城二の丸広場付近でフィニッシュする。

 金栗記念熊日30キロロードレースはフルマラソンとほぼ同じコースをたどり、国道266号の代継橋を渡って国道3号を通り、通町筋でフィニッシュ。4キロの部は上通、下通、サンロードの各アーケードを駆け抜ける。

 参加できるのは定員9千人のフルマラソンが18歳以上(高校生不可)。制限時間は7時間。定員150人の熊日30キロは日本陸連登録者に限る。4キロの部は定員千人で中学生以上。参加料はそれぞれ1万円、5千円、3千円。9月中旬から募集を始め、先着順で受け付ける。大会は熊本市、県、熊本陸協、熊日でつくる実行委の主催。

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 まさしく私の生活エリア圏内で行われます。
スタート地点 通町筋(熊本城が見えます)写真はこちらから
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流通団地付近(通称ケヤキ通り)--Google MAPから
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熊本西大橋眺めのいい場所です
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アクアドーム
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川尻の街並み
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二の丸公園(Photo by myself)・・これは春(フィニッシュの場所)
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なかなかいいコースではありませんか?当日は少し不便になりそう(お昼どうしよう・・)ですが、成功することを祈念しています。
posted by いんちょう at 13:16 | Comment(2) | 日記

2011年07月26日

「状況は本当に本当に深刻だ」-チェルノブイリ経験の生物学者

 いつも参考にさせていただいている ウルトラマン ブログから

先週 2011.7.21のポスト
フェアウィンズ・アソシエーツ、アーニー・ガンダーセン:深刻な放射能汚染と福島の「黒い雨」

 米国在住の日本人の方ですが、海外の興味深い情報を日本語に訳してあるいは日本で流れている興味深い記事を紹介しておられ、いつも感謝しながら読んでおります。

 また、英語でも情報を発信されておられますので、在日外国人で情報不足の方のお知り合いなどおられましたら、英語サイトを紹介されてはいかがでしょう。

もともとの動画のサイトはFAIREWINDSASSOCIATES(英語です)

Ex Japanese Nuclear Regulator Blames Radioactive Animal Feed on "Black Rain" from Fairewinds Associates on Vimeo.



この中から私が大事だと思うことを抜き出します。

私がそれ以上に心配しているのは、最近になって原発以外の地域から聞こえてくる情報です。私の友人で、チェルノブイリでも仕事をした生物学者数名が、調査のために日本に行きました。彼らは日本がひどい状況にあることは想像していましたが、今週私に電話をかけてきて「状況は本当に本当に深刻だ」と話しました。彼らは筋金入りの科学者で、放射線の問題を扱うのにも慣れています。にもかかわらず、福島の状況は彼らの予想をはるかに超えるひどさだと言うのです。

その言葉を裏づける証拠も得られてきています。最初はシイタケです。原発から50〜60kmくらい離れた地域で、日本の基準値を大きく超える放射性物質が検出されました。興味深いのは、そのシイタケが「屋内で」栽培されていたということです。なぜ屋内で栽培されたシイタケから基準値を超える放射性物質が検出されるのでしょうか。これは非常に憂慮すべき状況です。もう一度言いますが、原発から55km程度離れた地域で起きたことなのです。


日本政府は20km〜30kmで止めずに、80km圏内の住民を避難させるべきでした。放射能汚染は福島県外にも広がっています。にもかかわらず、日本政府が放射線被曝を心配しているのは福島県だけについてのようです

東京の公園近くの土から、キロ当たり約53,000ベクレルの放射能が検出されています。この方は非常に心配になったので、市長を訪ねました。ところが市長の返事は「私は心配していない」というものでした。

日本人は臨機応変な国民です。そのことは、日曜日のワールドカップサッカーの勝利からもわかります。しかし、日本人は自分たちが直面している問題の大きさに気づく必要があります。そうでなければ適切に対処することはできません。情報を制限するのではなく、放射性物質を制限することが重要です。


■関連ブログ
福島原発4号機の燃料プール補強工事
2011.6.9
福島原発で地盤沈下 ☆☆☆☆☆☆2011.5.16

■外部リンク
福島第1原発3号機使用済み燃料プールで燃料集合体を1体発見?2011.7.3
フェアウィンズアソシエーツのアーニー・ガンダーセンインタビュー:「福島原発事故はわれわれが考えるよりはるかに危険」パート1
フェアウィンズアソシエーツのアーニー・ガンダーセンインタビュー:「福島原発事故はわれわれが考えるよりはるかに危険」パート2
フェアウィンズアソシエーツのアーニー・ガンダーセンインタビュー:「福島原発事故はわれわれが考えるよりはるかに危険」パート3
フェアウィンズ・アソシエーツ、アーニー・ガンダーセンインタビュー:「福島原発事故はわれわれが考えるよりはるかに危険」パート4(最終)
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posted by いんちょう at 18:55 | Comment(5) | 原子力

風向きで変化なし−10億ベクレルの根拠

東京電力プレスリリースから

東京電力福島第一原子力発電所1〜3号機からの放射性物質の現時点での放出量の暫定評価について(PDF 267KB)
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現時点では、福島第一原子力発電所西側敷地境界の放射能濃度の測定値は、原子炉建屋との間の風向きによって有意に変化していない。この測定値は事故時に放出された放射性物質が支配的で、1〜3号機から現在新たに大気中へ放出されている放射性物質の量は非常に少ないと考えられる。 しかしながら、過度に保守的とは考えられるが、測定された放射能のすべてを現時点で原子炉建屋から放出されていると仮定して放出量を求めたところ、一時間当たり約10億ベクレルと評価された。これは事故時と比べ約200万分の1の値である。

下に比較のグラフ

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前3つの評価と、今回の評価は、評価手法が異なります。(なぜでしょう?)

ポイントは、2ページ目
発電所からの新たな放射性物質の放出量による放射性物質濃度への影響を調べるため、風向きによる濃度変化を調査した結果、風により濃度に殆ど差がないことが明らかとなった。これにより発電所から放出される放射性物質の寄与が少なく、測定値の変動(ゆらぎ)範囲に入っていることが推定される。 発電所からの新たな放射性物質が、この測定値のうちどの程度の割合を占めるかについては明らかではないが、仮に発電所からの寄与割合を100%とすると、発電所からの新たな放射性物質の放出量は最大でも一時間当たり約10億ベクレルとなる。
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 風向きによって変化がないので、10億ベクレルという評価らしい。このあたりになると私も妥当かどうかを判断する知識を残念ながら持ち合わせていません。が、違和感をかなり持ちます。

???と思っていましたら、東電もこれではいけないと思っていたらしく、

T-Hawkによる原子炉建屋開口部のダストサンプリングの結果について(216KB)
なるものを出してきました。
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なぜ、4号機がないのか?まずこれが一番問題です。
・たまたまT-Hawkが故障した
・資料を作る際に、データをなくしてしまった
・発表できない結果だった
一体どれなんでしょう?なぜ、出さない。

採取場所をご覧ください。

1−2号機は原子炉とタービンの間
3号機は原子炉建屋から離れた場所

と不自然。

一体、本当の放出量はどれだけなんでしょうか?

4号機プールでは蒸発している水蒸気の中に、揮発性のCsが大量に含まれているはずであり、福島大学が行ったように、上空の放射性濃度の分布も調べないといけません。そもそも、放射性物質が地を這うようにのみ放出されているとは考えにくく、発電所上空の環境も調べなければ、推定などできるはずもありません。(地表よりも、上空の方が放射性レベルが高い)

 7.18付けのブログで指摘したヨウ素は、一体どこから出ているのでしょう?福島由来ではなければ、もっと問題です。もしかして、「浜岡」が漏らしているのでしょうか?それとも、「もんじゅ」?

・放射性ヨウ素の放出源
・上空の評価

が定まらない限り、この10億ベクレルという数字を信じることは私にはできません。

■関連ブログ
上空の雲に放射能滞留?−飛行機内測定結果 20117.7.25
安定的冷却??−ヨウ素まだ存在(東京)2011.7.18
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posted by いんちょう at 14:37 | Comment(2) | 原子力

2011年07月25日

上空の雲に放射能滞留?−飛行機内測定結果

福島上空、放射性物質滞留か…降雨には問題なし
 福島県の上空8キロ付近に微量の放射性物質が滞留している可能性があることが福島大学の調査でわかった。
 同大で11日に記者会見した渡辺明副学長(気象学)は「3月の東京電力福島第一原発の事故で放出された放射性物質が、成層圏の手前の対流圏上部付近まで上って滞留していると考えられる。ただ、雨として降ってもまったく健康に問題のないレベル」と話している。
 同大は4月15〜29日、観測装置を取り付けた気球を毎日上空25キロまで打ち上げ、約5メートルごとに大気中の放射線量を測定。平均値をとって高度ごとの放射線量の分布状況を調べた。
 放射線の一種であるベータ線の数値が上空約6キロから上がり、8・2キロがピークとなって506cpm(カウント毎分)を記録した。また、上空2キロ付近では、100cpm前後のベータ線や別の放射線のガンマ線が観測された。
 渡辺副学長は「爆発事故で舞い上がった放射性物質が上り続け、対流圏よりも温度が高く空気が軽い成層圏には入れずにとどまっていると考えられる。上空2キロ付近は風の通り道で、現在も原発から放射性物質が放出されている証拠」と分析している。放射性物質が雨に含まれて地上に落下する可能性はあるが、「万一、口に入ったとしても健康に問題はない」と話している。
 国の基準によると、人が全身除染を必要とするのは10万cpm以上
(2011年5月12日07時07分 読売新聞)


 この基準は、福島事故直後改訂基準です。通常は、13000cpmです。

この内容は、福島大学がプレス発表しています。

放射能ゾンデ観測の結果について
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ガンマ線のグラフが重要

SNAに問い合わせたところ、熊本−東京の巡航高度は、34,000ft(11,500m 約10km)

以上が予備知識

さて、出発前(機内) 0.12μSv/hr
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シートベルトが消えてから(離陸後 20分か) 0.34マイクロシーベルト/時
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それからさらに10分後 2.03〜2.54マイクロシーベルト/時
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2011072505.jpg2011072506.jpg
この間、ずっと雲の上。場所的には離陸後30分程度ですから、四国〜関西でしょうか?

線量があまりにも高いのですが、こんなものかと思ってました。高度が下がり始めてからは、動画で記録






 高度が下がると目に見えて線量が低下してきます。福島のグラフとぴったり符合しそうです。

東京モノレール内 0.14マイクロシーベルト/時
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大気が薄くなるから、このようなものと思っていたのですが・・・その日の帰りの便(最終便)
1.13-1.28マイクロシーベルト/時(離陸後30分)
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熊本上空(高度下げる前) 0.13マイクロシーベルト/時
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以上考えますと、日本全国の雲には放射能の塵が含まれており、それは巡航高度ではガスマスクが必要な程度となる。(1.3μSv/h > で 東電D区域 全面マスクが必要−根拠は、下記の関連ブログ「セシウム牛は全面マスク域で飼育中だった・・」をご覧ください。今なら,題名は「福島で飼育中の牛には、全面マスク配布を」に変更しますですね・・)
航空機に乗る際には、注意が必要ですし、雨にはできるだけ当たらないよう各自用心する必要があるでしょう。(筆者注:飛行機は換気のために外気を取り込んでいます。飛行機室内にも放射性物質が取り込まれる可能性があります。放射能除去フィルタなど使用しているのでしょうか?このあたりは、専門外ですので、よく知りません)

 航空機をよくお使いで、ガイガーカウンターをお持ちの方、是非調べてみてください。新聞記者のかたなど、いかがでしょう?

参考(地球の大気)から
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成層圏まで、放射性物質が拡散している模様。ジェット気流は、こんなイメージか?
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追記(2011.7.25)コメントで指摘いただきました。
航路による被曝量は、こちらで計算できるようです。

 ほぼ、近似の値と思われる成田〜ソウル を計算しますと、
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となりました。この値は、今回の値とそれほど差はなく、宇宙線のみの値なのかもしれません。

また、
航空機搭乗者の被ばく線量 (09-01-05-11)
 日本の平野部で1日あたりに受ける平均的な宇宙線の線量は0.001mSv(1μSv)であるが、国内線の旅客機に乗ると1時間足らずの飛行で同程度の被ばくを受ける。
ですから、だいたい1マイクロシーベルト/時 くらいが標準的な被曝量だとも考えられます。

書く前に参考にした記事
5 航空機乗務員の被曝線量はどのくらいになるの?
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羽田〜沖縄間で 0.95マイクロシーベルトですから、やはりこの測定値は高すぎませんか?
航空会社で測定しているはずですが。。。今回の測定値であれば、2マイクロシーベルト以上となります。

■関連ブログ
セシウム牛は要全面マスク域で飼育中だった・・2011.7.13
記事の裏を読む−本質は、思いもよらないところに2011.6.9
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posted by いんちょう at 13:52 | Comment(17) | 原子力

2011年07月24日

東電本店周辺の放射線線量

野暮用で東京日帰り出張をしました。

10年以上ぶりの東京ですので、地下鉄などさっぱり分からず・・

時間がちょっとあったので、東電本店を見に行きました。新橋駅からの風景は、少し変わっていましたが、本店、内幸町、官庁街と15年前とほとんど同じ。ついでに、官庁街まで少し歩いて、線量測定などもしてみました。(まじめにはかったわけではありませんので、参考程度に)

東電本店、最寄り駅は新橋
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ベンチの上 0.22μSv/hr
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駅前広場・・SLが少しだけ見えます。東電本店はこれとは逆側
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赤と白の鉄塔が建っているのが本店
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近くのガード下 0.31μSv/hr
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画面の左側に警官、左が第一ホテル、その奥にある白い建物が東電本店
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本店の前には、警官が2名(警視庁−東京の方らしいです)
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本店前 0.24μSv/hr
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NHKの中継車が、エンジンつけっぱなしで待機
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NHKの後ろにはフジテレビ、その後ろには警察車両
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本店は特別警戒中らしい・・・
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東京電力のプレートと線量計(数値読めません・・)
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こちらは裏門。2名の守衛さんがいます。
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裏門のところは、0.19μSv/hr
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内幸町の交差点 0.24μSv/hr
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HIBIYA CITY前 0.26μSv/hr
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途中からフロアが広がる変なデザインのビルは、旧長銀−バランスが悪い建物だなぁと思っていたら、倒産してしまいましたね・・
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霞ヶ関中央官庁街(東電、徒歩10分足らず)
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ちょっとみにくいですが、0.29-0.48μSv/hr(大丈夫か??エネ庁)
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官庁再編で名前が変更され、外壁にかかっていた「資源エネルギー庁」の木製看板が見あたらなくなってました。
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資源エネルギー庁の裏側では、0.27μSv/hr
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某海外原発関連企業が根城にしているという噂のある第一ホテル(東電本店のすぐ裏)
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新橋のなかなか良い場所の広告スペースがあいています。不況なんですね。
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警察に守ってもらう必要があるという事実は、ちょっと悲しいものがありました・・勤務している方もかなりストレスでは?

 私は、帽子、長袖、マスク、手袋といった服装で歩き回っていましたが、回りからは完全に浮いていました。東京にいると、何も起きていないかのような錯覚に陥ってしまいますね。これは。
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posted by いんちょう at 23:59 | Comment(3) | 原子力

2011年07月23日

東電を辞めた理由(1)・・格納容器

 チェルノブイリ原子力発電所の事故が起きたとき、私はまだ大学生でした。この時の新聞の広告がいまだに頭に残っています。(3日間古新聞を探しましたが、見つけきれませんでした)かわりにWebから。
事故翌日の新聞
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原子力文化より
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それから、1年後。
87/05/29 朝日 「チェルノブイリ型の事故 日本では起こらぬ」
「ソ連原子力発電所事故調査特別委員会」は28日、原子力安全委員会に最終報告書を提出した。炉の型式の相違などからソ連のような大事故が日本で起こるとは考えられないとし、「早急に現行の安全規制、防災対策を変更する必要はない」と結論、安全設計面で緊急性のある「教訓」はないとの考えを示した。ソ連事故でクローズアップされた「想定外」のシビアアクシデント(過酷事故)に対する安全対策については、国際的な研究が進行中であることなどから「先送り」とした。


原子力とエネルギーの学習遊園地から
昭和61年に旧ソ連のチェルノブイル原子力発電所で起きた事故は、どのような状況だったのですか?
旧ソ連ウクライナ共和国のチェルノブイル原子力発電所で昭和61年4月、原子炉と原子炉建屋が破壊し大量の放射性物質を放出する事故が発生しました。
   この事故は、外部からの電力の供給がストップし、タービンへの蒸気が供給停止したときに、慣性で回転しているタービン発電機のエネルギーが、発電所内で必要な電源としてどこまで利用できるかを実験しているときに発生しました。
 チェルノブイル原子力発電所は、黒鉛減速炉といい、この炉は特に低出力の状態では、いったん出力が上昇すると、どんどん上昇していくという悪い炉の特性があり、さらに運転員が6項目にわたる重大な運転規則違反を重ねたため、炉の出力が急上昇しました。炉の急激な出力上昇により、多量の蒸気が発生し、圧力管が破裂、燃料棒が破損しました。さらに減速材の黒鉛の火災により一酸化炭素が発生し、これらが爆発して原子炉と建屋を破壊、大量の放射性物質が大気中に放出されたものです。
 消防活動中の発電所職員など31人が死亡し、203人が急性放射線障害を起こし入院しました。(昭和61年8月、ソ連発表)また、発電所から半径30キロメートルの地域の住民約13万5千人が避難しました。
 事故直後からヨーロッパ各地で放射性物質が検出され、福井県でも、昭和61年5月4日から雨や空気中のホコリ、牛乳などから事故による放射性物質が検出され始めました。その主なものはヨウ素131でしたが人体への影響を心配するほどの量ではありませんでした。
 昭和62年5月、原子力安全委員会の同事故調査特別委員会は、わが国の原子力発電所については、反応度事故に対する適切な設計上の対策がなされていることや、安全最優先の考え方のもとに十分な運転管理を行っていることなどから、チェルノブイル事故と同様な事態は起こり得ないと考えられ、わが国の安全対策を直ちに改める事項は特別にないとの報告をまとめました。
 しかし、運転員の操作ミスが原因だったことを他山の石とし、原子力発電の安全確保対策の一層の充実に反映することになりました。

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資源エネルギー庁のホームページから
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電事連ホームページから
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日本の原発には、格納容器、鉄筋コンクリートの建屋があるので、チェルノブイリのような事故は起きない。

と書かれています。当時からこのことが、ずっと疑問としてあたまにありました。

いくら格納容器があっても、圧力が上昇したら、最終的には爆発するのではないか?どうして、爆発しないといえるのか??

 私が、本店原子力技術課安全グループに配属されたのは、1993年4月(平成5年)のこと。当時私のグループは、武藤課長(当時)をトップにアクシデントマネジメント対策をやっていました。

その報告書は、「軽水型原子力発電所におけるアクシデントマネジメントの整備結果について評価報告書 平成14年10月」で読むことができます。

 ここの4ページに

(3)格納容器ベント
 耐圧性を強化した格納容器ベント配管を設置することにより、格納容器過圧防止としての減圧操作の適用範囲を広げ、格納容器からの除熱機能を向上させる。


 今まで大丈夫といっていた内容をひっくり返すことになりますので、当時どのように発表するかで、随分ともめていました。関電と東電が議論を戦わせ、電事連がまとめる。そういった感じ。
で、「安全なものをより安全にするために」といった苦し紛れの説明でした。

 が、私はその議論に加わりながら、愕然としていました。チェルノブイリ原発事故の際は、格納容器があるから、外部に放射能が漏れ出すことはない。といっていたのに、やはり、シビアアクシデントが起きた場合は、防げない。
 格納容器が破損するくらいなら、その前にベントをして圧力を逃すしかない。そのまま、爆発するよりもはるかにましだ。
という理論なのですから・・・

 いっていることが180°違います。

「やっぱり、あの広告は、ウソだったんだ・・・・」


このことが頭にありましたので、事故当初に格納容器ベントをするという報道を聞いたときに
・あのとき検討していたことは無駄ではなかった
・何とか、最悪の事態は防げるのではないか。
と思っていました。・・

■関連ブログ
福島第一原子力発電所の事故分析(初投稿。爆発直後)2011.3.13
3月11日のSNS(当時の私的予測内容)2011.5.3

私のバックグラウンド−30万アクセス2011.7.2
原子力は産業のアヘン(20万アクセス)2011.6.14
10万アクセスを超えました2011.5.22

40万アクセスありがとうございました。
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posted by いんちょう at 22:59 | Comment(7) | 原子力

3号機タービン建屋の大穴・・高線量のガレキでは?

東日本大震災:福島第1原発事故 タービン建屋の屋根の穴を修繕−−3号機
 東京電力は18日、福島第1原発3号機のタービン建屋で、台風6号の接近に備えて屋根に開いた穴をふさぐ修繕工事を実施した。予定する2カ所のうち、大きい方の修繕が完了。19日には残りの穴もふさぐ予定。

 穴は、3号機原子炉建屋の水素爆発で飛散したがれきによって開いたとみられる。タービン建屋には高濃度の放射性汚染水がたまっている。穴から雨水が降り込むと水位が上昇し、あふれる危険性があるため、雨水の浸水を防ぐのが狙い。

 東電によると、18日にふさいだのは、縦11メートル、横14メートルの楕円(だえん)形の大きな穴。縦5メートル、横16メートル、厚さ40センチの鉄製の構造物3枚を、クレーンを使ってつり下げ、穴の上に並べてふさいだ。この作業で、作業員2人が計画していた被ばく線量の10ミリシーベルトを超えた。最大は12ミリシーベルトだった。

 19日は、縦5メートル、横2メートルの楕円形の小さな穴をふさぐほか、水素爆発の爆風でふたが吹き飛んだ天窓もふさぐ予定。また、配管が破損した二つの雨どいの入り口部分の穴にも、水が流れ込まないように土のうを置くという。【河内敏康】


おそらく、この部分の穴でしょう。今までほおっておいたのか、そちらの方が不思議。
20110425033.jpg

そして、この穴は、3号機●爆発のときのガレキの一つです。

10S前後のところで、いくつかおおきな破片が見えます。2011.8.10消去確認


こちらの方がスローモーションになっており、分析しやすいです。なぜ、この動画をここまで隠したがるのでしょう。

この時の工事の写真(東電発表)
屋根の部分
2011072301.jpg

どうして、こんなにも巨大な構造物が必要なのでしょうか?雨のためだけとは思えません。放射線の遮蔽を考えての措置でしょう。

そうして、工事の状況
2011072302.jpg

クレーンでつり上げて設置するだけの作業です。建屋内で何かしたわけではないのに、作業員の被ばくが12mSvととんでもありません。一体どれだけの時間がかかったのかはっきりとはしませんが、おそらく短時間にしているはずです

サーベイマップ(2011.6.24以降公開されていません)
2011072303.jpg

少なくともタービン建屋の回りには、それほどの高線量はありません。

 穴の周囲がとんでもない高線量であることが分かります(発表されていません)この穴のむこうにはなにが隠されているのでしょうか。天井の下は、おそらく3階で、空調設備がある部屋、その下の2階は、タービンのある通称オペフロ。どちらも水没しているはずはなく、ガレキの写真などは撮っているでしょう。

このガレキの正体は何ですか?

東電、政府は知っているはず。

■関連ブログ
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3号機は燃料プール・・学会認めていた2011.6.23
訂正報道にだまされてはいけない。2011.6.7
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タグ:1F
posted by いんちょう at 07:00 | Comment(1) | 原子力

2011年07月22日

直管蛍光灯のLED化

トイレの電気は、電気工事士の資格を取ったときに自動点灯スイッチをとりつけました。が、下記のような蛍光灯
2011072213.jpg

連続点灯は蛍光灯の得意とするところですが、こまめにつけたり消したりしますと、寿命を著しく縮めます。ずっと気になっていたところ、下記の商品をみつけました。



価格もそれほどは高くなく、工事もできそうなので月曜日に発注。本日届きました。
2011072214.jpg
箱は真っ白な段ボール。何の表示もありませんでした。(写真に写していません)

グローを外して取り付けましたが、評価に書いてあるとおり、かなりちらつきます。まるで蛍光灯が切れかかる寸前といった感じで、とてもそのままではつかえません。

 仕方ないので、安定器を取り外します(左側の灰色のボックスが安定器。線を取り外して、右側で短絡しています。)
2011072215.jpg

完成
2011072216.jpg

 ちらつきも全くなくなりました。点灯時間を15分から5分に短縮。

少し省エネになったでしょうか。。。(消費電力は、20W -> 10W ですから、それほどたいした話しではありません。)

 なお、この工事をするには下記に示す電気工事2種の免許が必要です。なかなかおいそれとできる工事ではないですね。残念ながら。。。

■関連ブログ
ソーラータイマー2010.11.26
ほたるスイッチ2010.10.3
電気工事士2種2010.9.3
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posted by いんちょう at 18:09 | 日記

KIRIN 生茶

 のどが渇いたときに、つい買ってしまったKIRIN 生茶
2011072212.jpg
心配になったので、裏側に書いてあるお客様相談室に電話しました。

電話に出られたのは、20代?の若い女性(内田さんと言われました)
・新茶が流通始めるのは8月くらいから(前後しますとのこと)
・静岡茶を含めたブランド
・当社の独自基準として、乳幼児基準である100Bqとしている。
・ホームページ上で測定値を発表する予定はない
・たくさんのお問い合わせをいただいております

とのことでした。

乳幼児の基準というのですから、100Bq/kgです。

静岡のお茶についてでかいたように荒茶 500Bqでも、せいぜい10Bq程度になります。(ただし、工場で作った場合は、どの程度になるか不明)


です。はっきりと公表した方が、結局メーカーの信頼性を高めると思うのですが、なぜ公表しないのでしょうか?数値が公表されるまでは、今後KIRINのお茶は購入しないでしょうね。やはり。

 疑問に思ったら製品を作っているメーカーにみんなで電話をかけましょう。ひとりひとりの力は小さいですがきっと変化が出てくると思います。
 いわゆる識者からヒステリーと言われてもいいのです。発言が出ると言うことは、焦りの裏返しです。なんといおうと、消費者が正しいのですから。。

−参考−
世界の水道水放射線基準値
●世界の基準値
WHO基準      1ベクレル(Bq/L)
ドイツガス水道協会 0.5ベクレル(Bq/L)
アメリカの法令基準 0.111ベクレル(Bq/L)
●3/17までの日本の基準値
ヨウ素 I-131 10ベクレル(Bq/L) 
セシウムCs-137 10ベクレル(Bq/L )



■関連ブログ
子どもを守るために、具体的行動を2011.7.13
静岡のお茶について2011.6.17
母乳からも2011.4.20
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posted by いんちょう at 16:46 | 原子力

工程表改訂−目標後退するのみ

見直し工程表発表 地下遮蔽壁設置へ2011年07月20日 11時54分配信
東京電力は福島第一原子力発電所の事故の収束へ向けた新たな工程表を19日発表した。
新たな工程表には、今後半年以内に実施するステップ2の作業として、水素爆発で原子炉建物の上に散乱している3・4号機の瓦礫の撤去が追加された。
さらに、地下水や海へ放射性物質に汚染された水が流れ出すのを防ぐため、遮蔽壁の設計や着手が新たに加えられている。
また、使用済み燃料プールの燃料を取り出す作業の開始など、ステップ2終了後の中長期的課題として挙げた項目について、実施期間を新たに追加し3年以内に実施するとしています。
一方で、今月17日に期限を迎えたステップ1について、東京電力の小森明生常務は「当初の予定通り達成できたと考えている」と話した


今回の工程表
2011072206.jpg

参考に各月の工程表を載せます。
4月公表
2011072209.jpg
5月公表
2011072208.jpg
6月公表
2011072207.jpg

 今回の原発災害のキモはどこでしょうか。もちろん
・原子炉
・使用済燃料プール
です。それ以外は、付属設備。ここをしっかりと比較しなければなりません。枝葉末節に目を奪われては、なにも分からなくなります。燃料プールは、循環冷却も一部で始まり、燃料取り出しを優先するという話が出ていますので、今回の比較からは外します。

4月
2011072210.jpg

7月
2011072211.jpg

この2つをじっと見比べなければなりません。

燃料を人間の制御できる状態にするには、なによりもまず、
・水中においておくこと
です。それ以外は、チェルノブイリと同じように石棺で固めてしまうしかありません。そのため、4月の工程表では、
・窒素充填(爆発阻止)
・燃料域上部まで水で満たす(1,3号機)
・熱交換機能の検討実施
・2号機格納容器損傷部分の密閉

とあります。これは、上記で述べたように当然です。では、7月は?

これら、水で満たすことを放棄してしまい、循環注水冷却で原子炉は冷却できると言い換え(ウソですね)ています。つまり、当初計画から大きく後退して、石棺計画になっています。(燃料の取り出しをあきらめてしまっている)今回改めてみますと5月にはこの水で満たす計画は放棄しています。

 この状態ではもちろんいつまでたっても原子炉容器、格納容器のふたは開けられません。(もっとも中に残っているかというと大いに疑問ですが・・なにせ、メルトスルーしてしまっていますから)循環冷却システムで、煙を巻くのはやめてください。原子炉をどうするのか、正直に話してください。

■関連ブログ
安定的冷却??−ヨウ素まだ存在(東京)2011.7.18
廃炉まで数十年−ようやく出た控えめな数字2011.7.9
年内の収束不可能−高度な情報操作例(熊日朝刊から)2011.5.30
1-3号機メルトダウン報道について2011.5.25
原発の工程表-見直しされず・・2011.5.19
1号機メルトダウン−私的収拾案・おすすめ2011.5.14
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posted by いんちょう at 16:03 | 原子力

2011年07月21日

発電コストの厚いベールを剥がす−原発=安価は洗脳だった・・

 社内にいるときに、発電コストの一覧表を見たことがあります。まあ、そのぺーバーはみただけですし、証拠にもなりません。冷静に、公開されている資料を基に計算してみましょう。

電力の公開している資料は、燃料費に変な条件がついていたり、稼働率で原子力に有利なハンディをつけたりしますので、全く参考になりません。騙されないように、kWhr 単価で議論を進めます。

発電コスト = 燃料費 + 発電所建築費 + 維持管理費 + 廃棄費用

であることはいいでしょうか。
これらのおのおのについて、火力・原子力について、比較してみましょう

燃料費(かなり疑問が残りますが) => 原子力 < 火力

発電所建設費 => 原子力 >> 火力

維持管理費用 => 原子力 >> 火力 (放射線管理費用、放射性廃棄物費用が含まれます)

廃棄費用 => 原子力 >> 火力 (原子力発電所の廃棄費用は、まだ見積もりすら出来ていません。一方、火力発電所の設備は、最低でもくず鉄として利用できるでしょう)


 つまり、 原子力発電所のコストの方が 火力発電所より 安くなる項目は、燃料費の差額だけです。・・・・ここも、皆様納得いただけるでしょう。

火力発電所の燃料費は、いったいどれだけか。

日本の全原発を石油火力発電所に置き換えると燃料費は年5兆円増 - 白谷のノート(3冊目)
 (前略)ところで、東京電力の資料「数表でみる東京電力」を見ると、出力100万kWの発電所を動かすには年140万キロリットルの重油が必要らしい。1万kWあたり1400万リットル(=1.4万キロリットル)だ。一方、電気事業連合会サイトの「電力統計情報」ページによれば、2009年度における原発の最大出力は日本全体で4623万kWとなっている。
 仮に、日本のすべての原発を、石油火力発電所で置き換えるとしよう。すると、4623×1400万リットル≒647億リットルの重油が必要になる。石油情報センターの「価格情報」ページによると、2011年2月時点での重油価格は1リットル77円。つまり、原発を石油火力発電所で置き換えた場合、年に647億リットル×77円≒4兆9800億円の燃料費が必要なのだ。


 この記事のすばらしいのは、嘘をなにも書いていないこと。(詐欺師の常套手段です)ほとんどの人が騙されるでしょう。

・燃料費に税金(石油諸税)が含まれているため、発電コストが高くなる石油火力で全体をまとめていること
・原発を利用しないことで必要なくなってしまう原発燃料の初期費用、使用済燃料費用が全く入っていないこと。

その他にも、いろいろとごまかしの手段がつかってありますが、ここではそれをあげつらっても意味がありません。この文章で紹介されている「数表でみる東京電力」をつかって、本当の発電コストを計算します。(この資料は、非常に良くまとまっています。ただし、おもしろくはありません。)

どこにも正式に公開されていないのが、原子力発電の燃料コスト。
モデル試算による各電源の発電コスト比較から
2011072202.jpg
1.67円/kWh (こんなに安いはずはないのですが)

廃炉、およびバックエンド費用として、ここのページから、電事連 廃炉費用 2.0円/kWh

すなわち、原発を稼働させることで 3.7円/kWh のコストがかかる(燃料、廃炉費用のみ)

では、火力発電所はどうか。これは、得意?な積算方式をとります。

1kWh = 1 kJ/s x 60s x 60min = 3600kJ

各発電所の効率は、

石油火力 0.4 (本当はもっと良い)
石炭火力 0.4 (本当はもっと良い)
LNG火力 0.58 (最新鋭)

まとめますと、1kWhを発電するのに

石油/石炭火力 3600kJ ÷ 0.4 = 9000kJ
LNG火力 3600kJ ÷ 0.58 =6200kJ

の熱量が必要ということです。

では、上記にあげた東電資料から、一体どれだけの燃料が必要かを計算します
2011072204.jpg
石油(原油)

9000kJ ÷ 39340kJ/l = 0.228 (リットル)/kWh

同じく石炭

9000kJ ÷ 26890kJ/kg = 0.33kg/kWh

LNG(これは複雑なので、少し面倒)
LNGの取引単位には、百万Btu(英国熱量単位)と 1000m3単位があります。いずれについても(価格の入手しやすさによります)
1Btu = 1055.0558J
ですので、

6200kJ ÷ 1055.0558 = 5876 Btu/kWh

この換算ホームページから、
百万Btu = 0.02665 ( 1000m3) ですから、
5876 Btu = 0.156 m3

さて、全て出そろいました。いついかなる時でも、この換算値を使えば火力発電の本当の燃料費を簡単に計算できます。

原油価格は、東京工業品取引所の期近価格 55,400円/kl
石炭価格は こちらから 127.8$/ton x 80yen/$ ÷ 1000 = 10.2円/kg
LNG価格は こちらから 303.19 $/1000m3 x 80yen/$ ÷ 1000= 24円/m3

わかりにくいので、表にまとめて発電単価を示します

2011072205.jpg

 今まとめてみて、私も驚きました。原子力発電は、原油火力に比べて安いだけ。石炭にも劣り、まともに計算(廃炉費用など、話しにならない見積もり金額です)するとLNGにもあきらかに劣ります。しかも、この価格はもっとも最近の価格であって、原油などが暴騰する前ではこの半額程度の時もあります。最初から、原子力はコストが高かったのは明らかです。(どなたか、一次産品の価格の推移と発電コストの推移を長期的に示していただけると幸いです)

すなわち、原子力を止めても、燃料費の増大などは起きないのです。(1年目は別です。核燃料を購入していますので、核燃料購入費を相殺できなくなります)

 さらに、膨大な建設コストを考えますと、原発を進めるのは、「コストが高いから」以外にはありません。

(追記)
 100万歩以上譲って、燃料費を
LNG = 4円/kwh
原子力 = 2円/kwh
としてみましょう。このブログから、各発電所の建設費を
柏崎刈羽原発 31.0万円/kW
川崎LNG火力  6.0万円/kW
この差額を埋めるのに必要な発電電力量は、

(31.0 - 6.0)万円/kW ÷ (4 - 2)円/kWh = 12.5万時間

つまり、

125000 ÷ 24時間 ÷ 365 = 約 14年

かかります。(定期検査費、放射性廃棄物費など一切かからないとして)
つまり、原子力が安いと思い込まされていたのは、非常に大がかりな洗脳だったのです。現場の方が、洗脳に引っかからないのは、まあ当たり前と言えば、当たり前・・・

 これら、一次産品の価格については、私も素人です。もっと詳しい方などあられましたら、どちらかに投稿していただけますと、幸いです。下記、キーをつけていただければ、検索してこのページを訂正させていただきます。

 いつもこのブログを読んでおられた方は、数字に食傷気味かもしれません。しかし、原発のコスト・リスクについて全く聞く耳を持っていない理系のご主人をお持ちの方は、是非このブログを見てもらってください。理系の方であれば、全員納得されるはずです。

 なぜ、こんな簡単な発電コスト計算を今までやらずに、電力の言い値をそのまま信じていたのでしょうか。不思議でなりません。

キー 3AxhtyFc

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posted by いんちょう at 06:06 | 原子力

2011年07月20日

原子力は高いから推進−総括原価方式の罠

動画(玄海デモと原発の代替方法)2011.7.12ですでに紹介していますが・・


六本木のど真ん中に発電所を作っても、十分ペイすることが分かります。そもそも、石炭、石油、LNGは輸入の際に税金がかかってきます。その税金を支払っても、電力会社から買うよりもはるかに安いから、森ビルが自社ビルの敷地内に発電所を作っているのです。(電力会社の電気料金が安ければ、非常用電源のみ作るはずです)

では、なぜ電力が原子力発電を推進するのか。

その本当の理由は、「コストが高いから


 電力料金は、どのように決まっているかご存じでしょうか?

キーワードは、「総括原価方式」

「電気料金」= 「原価」+「適正報酬(原価の約3.5%)」


たとえば、下記のような発電コストがあったとしましょう(当たらずとも遠からずの価格です)

火力 6円/kwh
原子力 15円/kwh

では、電力会社の(総括原価方式での)適正報酬はどうなるでしょうか。

火力の利潤 0.21円/kwh
原子力の利潤 0.525円/kwh

どうです。コストが高ければ高いほど、電力会社は儲かる。

儲かることをするのが、民間会社です。電力会社が原発をよろこんで増やしていったのは、当然ですね。

結果として、諸外国の何倍も高い電気料金となっていることがそのなによりの証拠です。

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posted by いんちょう at 12:31 | 原子力

「風評被害」がなくならない限り食べられない。

 本日の熊日朝刊から
2011072001.jpg

 想像されたことですが、熊本もセシウム牛の消費地となってしまいました。このような状況で、外国人が旅行すると思いますか?ホテルの食事で知らない間にセシウムをふんだんに食べさせられても全く分かりません。観光が減ったのは、「風評被害」ではないのです。

論評では、

セシウム牛 = 稲ワラ

と非常に単純化されており、稲ワラを食べさせていなければセシウム牛にならない。

本当でしょうか?


えさ汚染牛、計648頭に 山形・新潟でも見つかる
 基準値を超える放射性セシウムに汚染された稲わらが牛のえさに使われていた問題で18日、福島、山形、新潟の各県は、農家から汚染わらが見つかり、計12戸から牛計505頭が出荷されたとそれぞれ発表した。これまでに判明した出荷総数は計648頭となった。
 福島県以外からの出荷が判明したのは初めて。同県を含む11都県で緊急点検をしてきた農林水産省は、点検対象外の新潟、山形両県で汚染わらが見つかったことから、対象を東日本全域に広げることを決めた。厚生労働省も、該当する牛肉を確保したら検査するよう依頼する通知を、初めて全都道府県に出した。
 福島県によると、新たに汚染わらの使用が分かった農家は郡山市の2戸、二本松市、本宮市、須賀川市、白河市と会津坂下町の各1戸。7戸から計411頭が東京都や兵庫県など6都県に出荷されていた。
 このうち、本宮市の農家のわらからは、これまでの調査で最高の1キロあたり69万ベクレルのセシウム
を検出。乾燥前の水を含んだ状態に換算すると15万6818ベクレルとなり、国の基準値(1キロあたり300ベクレル)の約520倍に当たる。
 山形県でも尾花沢市と飯豊町、白鷹町の計4戸で汚染わらが見つかった。計70頭が県内と都に出荷され、そこから奈良県や仙台市などにも出荷されていた。いずれも宮城県大崎市の業者からわらを仕入れていたという。2戸に残るわらからは1万8100ベクレル(換算値は4113ベクレル)〜1万5800ベクレル(同3590ベクレル)が検出された。70頭の一部の牛を県が調査したところ、放射性セシウムは1キロあたり最大205ベクレルで、国の食肉の基準(同500ベクレル)を下回った。
 新潟県では、長岡市の農家2戸で汚染わらが見つかり、うち1戸から県内や東京都に24頭が出荷されていた。この農家が仕入れた宮城県登米市の業者のわらから1万500ベクレル(同2387ベクレル)が検出された。残っていた1頭の肉の一部を県が調査したところ、検出されたセシウムは国の基準を下回る30ベクレルだった。

2011072002.jpg
読売新聞より拝借

要点を
・福島県本宮市 稲わら 69万ベクレル/kg という信じられない高レベルのセシウム
・宮城県大崎市 稲わら 約2万ベクレル/kg の高レベルセシウム

わかりにくいので、報道の数値を一部まとめてみます。
2011072004.jpg

新潟県の牛に含まれているセシウムと比較しますと、稲わらだけが原因でないことがよく分かります。そもそも、この中通り地方は、原子力発電所内であれば、全面マスクが必要な地域であり、そのような場所の空気を吸っている牛にセシウムが移行しないはずがありません。
 また、稲わらが汚染されているということは、そこで栽培されているすくなくとも路地野菜は、同等の汚染を受けており、またそれらの飼料を食べている豚、鶏なども当然汚染されていると考えねばなりません。
 とくに鶏の卵の殻などは、猛毒とされるストロンチウムが含まれている可能性があり、この卵の殻が全国に流通しますと汚染列島になる可能性が出てきます(卵の殻は、様々な食品の補助添加物、そして飼育肥料などに使われます)。また、これらの牛、鶏からできた鶏糞、牛糞などの肥料も当然汚染されています。

 放射能を含んだ牛は、実害そのものであり、その影響は広範囲に及びます。

 福島県は、その被害状況を認めることからはじめ、そして必要な対策を取っていくことしか、信頼回復の道はありません。このままですと、国産牛全体に対して消費者がそっぽを向きます。

 まず、「風評被害」と呼ぶことを改めてください。すべてはそこからです。

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セシウム牛−水増しでごまかす2011.7.12
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原発周囲の牛から高濃度放射性セシウム検出2011.7.10
本物の風評被害とは? アーサー・ビナード2011.6.6
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posted by いんちょう at 07:06 | 原子力

2011年07月19日

ヨウ素剤は、全国民必携

ヨウ素剤は、事前に配布しておかねば意味がありません。。

各家庭へのヨウ素剤の配布がないのは無責任から
▽ヨウ素剤配布を
「ヨウ素剤は本来なら事故の直後、(放射性物質が煙のように流れる)放射性雲がくる前にのまないといけないが、配布がほとんど行われなかったと聞く。今も地方自治体までで、各家庭には配っていない。何か起きたときに計画を立てて配布するのでは絶対間に合わない。また同じことが起こる。非常に無責任だ。」


原子力安全委員会資料
原子力災害時における安定ヨウ素剤予防服用の考え方について
放射性ヨウ素が吸入あるいは体内摂取される前24時間以内又は直後に、安定ヨウ素剤を服用することにより、放射性ヨウ素の甲状腺への集積の90%以上を抑制することができる。また、すでに放射性ヨウ素が摂取された後であっても、8時間以内の服用であれば、約40%の抑制効果が期待できる。しかし、24時間以降であればその効果は約7%となることが報告されている。
また、この効果は、安定ヨウ素剤服用後、少なくとも1日は持続することが認められている


わかりにくいので、
緊急事故対策におけるヨウ素剤(内部被ばく障害防止剤)から
被曝が一瞬に生じると仮定して、100mgのヨウ化カリウム剤「ヨウ化カリウム丸」を飲むことによって被曝を阻止できる 率は、
 服用が12時間前=90%
 服用が 直前  =97%
 服用が1時間後=85%
 服用が3時間後=50%    です。


つまり、できるだけ放射能漏れが起きる直前に内服し、しかもその有効期間はほぼ1日ということ。

公式マニュアルはこちら
安定ヨウ素剤 取扱いマニュアル

今回の事故ではどうだったか。
三春町のホームページより
2011071901.jpg

福島のヨウ素剤配布については、こちらのブログでまとめられています。(抜き出します)
ヨウ素剤を住民に配布=福島原発事故で三春町(2011年3月16日 時事通信)
 東京電力福島第1原発から30キロ圏外の福島県三春町が、被ばくによる甲状腺がんの予防に効果がある安定ヨウ素剤を希望する町民に配布していたことが、16日分かった。
 本来、国の指示が出てから配布することになっているが、同町保健福祉課の工藤浩之課長は「原発事故の不安を和らげるために決断した」と話している。
 同町によると、15日午後1時から同6時までの間、希望する40歳未満の多数の住民に計約1万3000錠を配布した。多くの住民はすぐに服用していたという。


三春町の判断は、正しい思います。が、福島県は・・・

県、安定ヨウ素剤の回収指示 三春町ではすでに服用(2011/03/18 福島民放)
 福島県は17日までに、放射能の健康被害を防ぐ内服薬「安定ヨウ素剤」を住民に配った三春町に対して回収を指示した。安定ヨウ素剤は原子力災害対策特別措置法に基づき、国の指示が出てから住民に配布する。町は「住民はすでに服用しており、回収できない」としている。県によると、安定ヨウ素剤配布の国からの指示は出ていない。現段階では、県は一部の自治体に備蓄用として配っている。
 町は14日に県から安定ヨウ素剤を入手。福島第一原発の爆発事故などを受け、専門家の意見を聞いた上で15日に配った。町は「県が放射能の測定調査の数値を公表していない段階だった。放射能の状況が分からない中、町民の命を守るために配布を決断した」としている。

(今回の原発災害で、国は結局指示は出しませんでした。実際問題、あの状況でヨウ素を配布するのは、ほとんど不可能)

ヨウ素剤配布で混乱、誤った服用指示も
 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、各地で比較的高い放射線が観測されていることから、福島県内では国の指示を待たずに住民に安定ヨウ素剤を配布する自治体が出始めていることが、読売新聞社の調査で分かった。
 各地で観測されている放射線レベルでは健康には問題がないが、国と自治体の方針が一致せず、混乱が広がっている。
 ヨウ素剤は医療関係者の立ち会いのもと、避難時に服用するのが原則だが、「自分の街は大丈夫か」という不安が住民をヨウ素剤入手に駆り立て、その要求に自治体側も応じている。しかし、必要がない人まで服用してしまう可能性があるほか、事前に備蓄を消費してしまうと、いざという時に必要量が確保できない恐れがある。
 独自判断で安定ヨウ素剤を配布していたのは、同原発の20キロ・メートル圏内で避難指示が出ている富岡町、20〜30キロ・メートル圏内で屋内退避になっているいわき市、圏外に位置する三春町。これら3自治体では、少なくとも15万7000人分を配布。三春町では住民の服用も求めていた。
 同町内の50歳代の女性はすぐ服用するよう指示されたため、息子に飲ませたという。しかし、この時点で服用する必要がなかったことを聞くと驚き、「すぐに飲めば効果があると期待して飲んだのに……。これが無駄だったと思うと、ひとまず安心した気持ちをどこにぶつければいいのだろう」と語った。
 こうした混乱が起きているのは、国と県の情報交換が不十分で足並みがそろわないのが原因だ。
 原子力安全・保安院の西山英彦審議官は19日夜、「16日朝に20キロ・メートル圏内からの避難者にヨウ素剤を投与するように県に指示した」と説明した。しかし、15日昼過ぎには、避難は完了していた。県の担当課長は「今更、服用させても効果がないと判断し、実施を見送った」と話した。これに対し、同院は「予防的な措置として投与を決めたが、結果として対象者がいなかった」と釈明した。
 19日には、世界保健機関の緊急被曝医療協力研究センター長の山下俊一・長崎大教授が県の災害対策本部を訪れ、報道陣に対し「放射能のリスクが正しく伝わっていないが、今のレベルならば、ヨウ素剤の投与は不要だ」と話した。
(2011年3月21日03時06分 読売新聞)


福島県が回収を指示したのは17日。上の報道と全くあいません。だれかが嘘をついています。

・読売新聞
・福島県
・保安院
・山下俊一

キーワードがそろっています。今回のような事故で内服してもらわないで、いったい、いつヨウ素剤を使うというのでしょうか。

 行政の配布をまっていては、手遅れになるのが目に見えています。どの医療機関であっても、薬の卸問屋とは取引がありますので、ヨウ素剤の仕入れは可能です。わたしもヨウ素剤を注文したのですが、現在は出荷規制がかかっており手に入れることができていません。入手できれば、自費での対面処方が可能になると思っていますが・・・

一体どうすればよいか・・

ヒントが甲状腺シンチの注意事項にあります。

甲状腺シンチ注意事項から(浜松医療センター)

下記の薬物及び食品は検査前1 〜 2 週間は摂取及び使用しないでください。
イ) コンブ、ワカメ、ノリ、ヒジキ等の海藻類、寒天、牡蛎(かき)、貝類、蕪(かぶ)
ロ) ヨード剤(ルゴール、ヨードチンキ、総合ビタミン剤、去痰剤、エンテロビオフィルム)
ハ) 抗甲状腺剤(メルカゾール、メチオヂール)
ニ) 甲状腺剤
ホ) 甲状腺刺激ホルモン剤及びその他のホルモン剤(副腎皮質ホルモン、エストロゲン、プロゲステロン)
ヘ) ブロス剤、やせ薬、日焼け止めクリーム、着色料など
ト) 各種X 線造影剤(モルヨドール、ウロコリン、ウログラフィン、テレパーク、バリウム、コンレイなど)

つまり、
・ヨウ素に汚染されていない海草(現在は、入手はかなり困難)
・ヨード剤を使用する(イソジンなど)
外用しても効果があるでしょう。

などで、当座をしのぐしかなさそうです。

注意・・・現在の東京で内服が必要かどうかは私には分かりません。


日本全国あちこちに原発があり、原発の影響を受けない地域は、残念ながらもうありません。原発を運転し続ける限り、危機管理の一つとして

・7日分くらいのヨウ素剤の備蓄(成長期までの子ども,および妊娠可能年齢の女性は特に。)
・避難経路の確認

は最低必要です。国・地方自治体は、こういった対策を本気で講じているのでしょうか?また、原発運転を賛成しておられる経団連企業群はもちろん従業員には配布されておられるのですよね?それとも、重役分のみ確保ですか?原発事故時の対応マニュアルはすでに整備されているんですよね?

米国は、どうしていたか・・・3号機の黒煙発生事象(2011.3.21) 分析に興味のある方はこちら
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米国務省、在日スタッフらにヨウ化カリウム配布.2011/3/22 17:41.
米国務省は、福島第1原発事故による放射性物質拡散に対する予防的措置として、日本に滞在するスタッフとその家族に対し、放射能被害に効果があるとされる「ヨウ化カリウム」を配布する。
ただ、同省は21日に発表した渡航警告のなかで、念のためにヨウ化カリウムを用意しているとした上で、現時点では摂取しないよう呼びかけている。摂取するのは米政府から特に指示があった場合にのみとしている。
21日に同原発3号機から灰色がかった煙が上がったため、現場で作業に当たっていた作業員らは全員避難した。この発煙により、燃料プールの水位をめぐり懸念が出た。
(AP通信)


■関連ブログ
各家庭へのヨウ素剤の配布がないのは無責任2011.6.30
原発安全神話虚構思い知る(熊日投稿採用)20117.7.17
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posted by いんちょう at 21:48 | 原子力

2011年07月18日

浜岡5号機(10)自分のミスを設計におしつけるな!!

浜岡原発:5号機海水混入 「設計から見直す」 所長、不備を示唆 /静岡
 ◇御前崎市長、中電の対応批判 浜岡原発細管損傷
 「5号機を設計段階から見直す」。中部電力浜岡原子力総合事務所の水谷良亮所長は15日、御前崎市議会の原子力対策特別委員会でトラブル続きの浜岡原発5号機についてこう陳謝した。同原発の現地責任者が設計に不備があることを示唆したのは初めて。
 同特別委は、5号機が政府要請で運転停止中の5月14日、タービン建屋内の主復水器で金属製の配管キャップ(直径約20センチ、肉厚約12ミリ)が破断。噴出した高圧蒸気で約2万1000本の細管のうち43本が損傷し海水約400トンが流入した事故原因の説明を受けた。
 中電の調査で同キャップは3、4号機の同種部材より4〜13ミリ薄いことが判明。中電は5号機建設時の溶接の際にできた亀裂と使用中の振動で起きた金属疲労など複合的要因が、部材の強度不足と重なり破断につながったと判断した。
 同様の溶接工法は3、4号機も採用しているがこの種の破断事故は起きていない。
 同特別委の後、水谷所長は記者の質問に「3、4号機では経験しなかったトラブルが5号機で続いている。再発防止のため設計を総合的に見直す」と語った。 またこの事故の修復作業中の今月12日、塩分除去のため設置したビニールホースが破れ、洗浄水約40トンが原子炉建屋内に漏れる事故が発生。中電はホースを金属製に交換すると説明した。
 石原茂雄市長は「ホース破損などお粗末としか言いようがない」と中電の対応を批判した。【舟津進】


 所長さん随分偉そうですね。いつの間にこんなに偉くなったんでしょうか。それにしても、連休前の金曜日に発表されては、私も見逃します。相変わらずなかなかうまいタイミングでの発表。

例によって、中部電力のホームページから

2011年7月15日 5号機 【運転情報】浜岡原子力発電所5号機 主復水器細管損傷事象に係る原因と対策について(原子炉停止後の主復水器の導電率の上昇事象の続報)[PDF:619KB]

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 まず、一番大事なこと。復水器のチューブリークは、昔からあるトラブルです。これは、想定される事態であって、対処法もきちんと決まっています。そもそも人間が作った機械ですから、パーフェクトと言うことはあり得ません。トラブルが起きれば、それに対応すればいいだけです。
 それを400tonも漏らしてしまった(3〜4時間程度か)というのは明らかに運転側のミスです。それを設計に押しつけようとしている。

水谷良亮 昭和22年2月11日
昭和45年4月 当社入社
平成17年6月 当社取締役執行役員浜岡原子力総合事務所長
平成18年6月 当社常務取締役執行役員浜岡原子力総合事務所長
平成19年6月 当社取締役専務執行役員浜岡原子力総合事務所長
平成20年12月 当社取締役専務執行役員浜岡原子力総合事務所長兼環境・立地本部付(現)

 海水じゃじゃ漏れのまま運転継続を指示した最高責任者はだれなのでしょうか。浜岡5号機を塩分まみれにして、運転不能としたという「特別背任罪」がその人物についてあきらかに成立します。
 この最高責任者の名前をはっきりさせない限り、この事故の収束はあり得ないと思います。このままでは、設計したメーカー(罪を着せられようとしています)および運転員、尻ぬぐいをさせられている現場技術者がかわいそうです。

 中部電力には、このばかげた運転継続を誰の指示で行ったかを公明正大に発表することを強く求めます。(くれぐれも運転員に押しつけないように。トカゲのしっぽ切りは許されません。)また、中日新聞などもそこを是非中部電力に迫ってほしい。

 さて、2枚目の細管破断のメカニズムを見ますと、どう考えても放射性物質が海水側にリークしています。正直に放射能リーク量を発表してください。

 さて、最後の一文

「当社は、本事象の対策に加え、海水流入による影響範囲の塩分除去作業および設備の点検、健全性評価を引き続き進めていきます。」

 これが一番大変で、現場技術者がもっとも頭を抱えている内容です。海水を炉内に大量に注入したという経験は、他の原発には経験がなく(そうなる前に系統隔離は常識)、評価方法から考えるしかありません。しかも、考えている間に機器の腐食は進みます。

 どうなるかおおよそ評価が出てきたために、所長が罪を設計になすりつけようとする伏線を張ったと見てはうがちすぎでしょうか。

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posted by いんちょう at 20:18 | 原子力

内部被ばくのスピード

 残念ながら、私は放射能被ばくの専門家ではありませんし、勉強もほとんどしていません。以下述べることについては、事実と私の推測を分かるように区別して書きますので、皆様ご自身で判断ください。

 まず、鉄の吸収について

鉄欠乏性貧血(IDA) から
「実験で鉄鍋から料理に意外に多くの鉄分が溶け出すことが実証されている。その鉄は本当に貧血に効果があるのか?
貧血の回復に重要なことは、その鉄分が吸収されやすいことである。他の食品の鉄分と吸収率を比較してみよう。
以下の4種類の鉄分を貧血のネズミにそれぞれ4週間、毎日与えると、
<1>ほうれん草の鉄分
<2>きな粉の鉄分
<3>レバーの鉄分
<4>鉄瓶で湧かしたお湯の鉄分
赤血球が最も増加したのは、鉄瓶で湧かしたお湯の鉄分であった。4週間後には赤血球は健康なネズミにほぼ並ぶ量に増えている。鉄鍋からとり鉄分は貧血の回復に効果があったことがわかった。
別の実験では、みそ汁やビーフシチュウ・お茶を鉄鍋で作った場合、料理に含まれる鉄分は鉄鍋を使わない場合に比べて、1.5倍にプラスされた。しかも、その鉄分は吸収されやすく、生のほうれん草に換算して178g分=つまり、鉄鍋の鉄は吸収率バツグン。これを使わない手はない。
●鉄鍋の鉄が吸収されやすいのは、鉄鍋の鉄が純鉄なので、食品のように消化のプロセスを経て、鉄分をわざわざ取り出す必要がないからです


 普通の金属鉄でも腸管から吸収され、体内循環に回るようです。イオン化鉄でも十分効果があると言うことでしょう。
・・・無機金属イオンでも、体内吸収され、利用される経路が人間にはある

シンチグラフィーとは?
シンチグラフィーとは、放射線を発するRI(放射性同位元素=ラジオアイソトープ)剤を投与した際に体から放出される放射線を、シンチカメラという機械でとらえ、コンピューター処理して画像化する検査とのことです。
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RI検査、シンチグラム、核医学検査、アイソトープ検査とも呼ばれており、体内での放射線の強さや時間的な変化、分布の様子を調べ、各臓器の形の変化と動きを知るための検査です。
投与されるRIはγ(ガンマ)線など体内に入っても害のほとんどない放射性同位元素で、検査対象となる臓器に集まるような性質を持っています。このRIの分布状態から、臓器、組織の形態や機能を調べ、病変部発見の手がかりとすることができます。


 注射で放射性同位元素を注入し、強制的に内部被ばくさせ、ガンマ線を外部からはかります。

いろいろな検査がありますが・・・

次に骨シンチ・・これは、前立腺ガン、乳がんなど骨転移の起きやすいガンに対して、転移が起きてないかを見るための検査。

骨シンチグラフィー(99mTc- MDP/ HMDP)
 骨はその形を維持しながら、常に新しい骨組織に置き換わっています(破壊と再生を繰り返しています)。骨に病気が発生すると、この破壊と再生のバランスが崩れ、骨を作りすぎてしまったり(骨造成、骨硬化)、作らなかったり(骨吸収、溶骨)といった現象が起こります。骨シンチグラフィー検査はこの骨造成を反映する検査であり、がんが骨へ転移しているかどうかを検出するのに頻繁に利用されます。がんが骨に転移しているかどうかは、がんの治療を進めていくうえで重要な情報となります。それ以外にも骨折や骨髄炎、関節炎の診断に利用されることもあります。
 検査は、まず骨シンチグラフィーの薬の注射を行い、薬が全身に浸透する注射後3時間ころから約30分程度の撮影を行います。この検査だけならば、食事や飲み物の制限はありません。
(文責:南本)

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・静脈に
99mTc(半減期6時間)で修飾した注射液

を注射することによって、3時間程度で骨全体に分布することを示しています。

この3時間あまり気にしていませんでしたが、年齢に関係なくこの時間で検査をします。つまり、骨は代謝が盛んであり、3時間程度で血液中の成分が骨に移行することを示しています。

 骨に親和性が強いとされているストロンチウム。これが経口から入った場合に、どれだけの時間で骨に移行するのか。上記検査をみますとそれほど時間はかからない気がいたします。

※無機金属(ストロンチウム)の経口摂取 と 有機金属の静脈注射では、吸収時間・吸収効率に大きな差があるのは確かでしょう。

 こういった内容の分析が、放射線科医から出てきますと安心できるのですが・・・
posted by いんちょう at 17:25 | 原子力

安定的冷却??−ヨウ素まだ存在(東京)

福島原発、工程表の第1段階終了 東電「安定的に冷却」 2011/7/17 19:25
 東京電力は17日、福島第1原子力発電所の事故収束に向けた工程表の第1段階(ステップ1)を終了した。原子炉を安定的に冷やすという主目標について、汚染水処理システムはトラブルが続きなお不安定だが、炉の温度は落ち着いており、おおむね達成したとの見解をまとめた
 政府と共同で19日に記者会見し、ステップ1の評価と、原子炉を冷温停止する「ステップ2」の詳細な計画を発表する。
 ステップ1では、原子炉や使用済み燃料プールの安定的冷却と、放射性物質の放出抑制を目指してきた。当初、1〜3号機の原子炉の温度は不安定だったが、汚染水を処理して再利用する「循環注水冷却」の開始以降は100〜120度で推移し、急上昇もなくなった。敷地内に最大約12万トンあった高濃度汚染水も減少に転じた。
 水素爆発を防ぐための窒素注入も1〜3号機で実現。燃料プールの循環冷却も2、3号機では前倒しで実施した。原発周辺の放射線量も減る傾向にある。
 ステップ2では、汚染水が流れ込んだ恐れのある地下水を流出させないため、遮水壁の着工を前倒しすることも検討する。


 安定的冷却=循環注水冷却

と説明してあります。なんだか、良くなったようですが、当初4月17日発表の工程表を引っ張り出してきます。(こういった時系列をつなぐ報道では、当初の発表を再度振り返り、矛盾点がないかをしっかり見ておく必要があります)

 毎日新聞の4月18日報道(すでに消されています)から
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 目を疑うようなことが書いてあります。
ステップ1の原子炉(安定的冷却)
・窒素注入(達成)
・燃料上部まで水で満たす(水棺方式)1,3号機
・格納容器損傷部を密閉 2号機

うまくいったのは、全体としてはほとんど関係ない窒素注入のみ。それ以外は、循環注水が少しだけうまくいき、汚染水が全体として減ったことでしょう。2号機格納容器損傷部については、話題にすら上っていません。

核燃料プール
・循環冷却システムの復旧
・プールを支える構造物設置

樹幹冷却システムの復旧は、2−3号機のみ(1,4号機はまだ完了していません)
4号機の構造物設置は終了している模様です。

抑制(滞留水)
保管・処理施設の設置
 (どうにか)

どうでしょうか。皆様の目にはどう映りますか?わたしはとても合格点にいっているとは思えません。このように政治的に日程が決められるのは大変危険です。評価は技術者が行うべきことで、政治家が行うことではありません。(技術者が信用できるかと言ったら、それも残念ながら疑わしいですが)

 あと、東京都下水道局が発表している下水処理における放射能等測定結果から
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驚かされるのは、7月4日の測定結果でも、放射性ヨウ素131(半減期約8日)が検出されていること。推移を見てみますと、ほぼ一定量を維持していますので、福島原発からいまだに放出され続けていることがわかります。

 あまり考えたくない状況が続いていそうです。(この汚泥のレベルが、実際にどの程度かは私には評価ができません。)

■関連ブログ
原発の工程表-見直しされず・・2011.5.19
posted by いんちょう at 15:39 | 原子力

お天道様が見ている−東電株について

 小さいころ、悪いことをするとよく、

「お天道様が見ているから、やめなさい。」

と言われていました。

かげで悪いことをしていても、かならずその報いを受ける。真っ正直に生きなさいと言う意味だと理解しています。

同じような言葉に

天網恢々疎にして漏らさず
天知る地知る子知る我知る(四知)

などがあるでしょうか。

悪銭身につかず
 電力が原発で得ようとした利益は、全てなくなってしまいました。まだ、続けようと思っている人が多いのには、私には信じられません。(経済を振りかざすのは、それこそ災厄の犬 の輩そのもでしょう)

東京電力の株式の値動き
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6月の上旬に148円をつけてから、一貫して上昇しています。

(私は自社従業員持ち株会に入っていましたが、退社してすぐの時期に売り払っており、現在は端株しかもっていません。原発事故後も東京電力株は、一切売買していません)

 この後、どうなるのでしょうか。現在の賠償法案が成立することを見越しており、そうすれば額面を回復するのかもしれません。福島の現状は、情報が小出しにされていることもあり、なかなか実情は理解できず、そのために思惑を呼び売買も非常に活発です。

 ただ、確実なことは日本全体・そして地球全体に対して、今まで人類が経験したことのないスケールで被害を引き起こしているのは間違いありません。

 この株に手を出すことは、今回の事故の当事者の一人となることを意味します。(もちろん投資範囲内の有限責任)

 お天道様は見ていますよ。
タグ:O
posted by いんちょう at 00:28 | 原子力

2011年07月17日

東海原発の本当の目的

 日本原電が運転していた東海原発
1号機
出力 16.6万 kw
燃料 天然ウラン
約 187 t / 年
着工日 1960年1月16日
営業運転開始日 1966年7月25日
(1998年3月31日営業運転終了 )


この発電所の建設記録映画(クリックで再生)
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第一原子力産業グループ
 わが国初の原子力発電所−東海村の日本原子力発電株式会社第一号炉の五ヵ年にわたる建設の記録です。人類は、野生の火を制御して第一のエネルギーを握って以来、次々に新しいエネルギーを求めて進歩し、ついには原子力を破壊ではなく、建設のエネルギーとして手に入れました。この原子力発電所建設の過程を詳細に追い、そのなかで原子力による発電の原埋と核エネルギーの制御の核心を解説し、原子力発電所の全容をわかり易く説くことに努めています。

スポンサー:第一銀行

第一原子力産業グループ
旭電化工業
朝日火災海上
第一銀行
大和銀行
荏原製作所
富士電機
富士通信機
古河電工
古河鉱業
伊藤忠商事
川崎重工
川崎航空機工業
川崎製鉄 神戸工業
神戸製鉄
協和銀行
日本電極
日本火災海上
日本軽金属
日商
渋沢倉庫
清水建設
大成火災海上
宇部興産
横浜ゴム
第一原子力グループ放射線研究所

 どこをどう考えても、この程度の発電量(16.6万kw)で、ペイするはずがありません。

しかも、一体いくらかかったのか分からない巨額の費用つかって建設したこの発電所の運転実績は下記の通り(平成5年度 原子力発電所運転管理年報より)
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最初の4年間は一体どういうことでしょう。この実績は、とてもあれだけの手間をかけて建設した発電所としては、落第点以下です。どうして、こんな発電所をイギリスから輸入したのか私は大変不思議でした。
 その答えが とあるホームページに載ってました。

【2002年10月14日、盛岡での講演録】
福田発言と日本の核武装、そして六ヶ所 名城大学 槌田 敦
(抜粋です)
【原爆用プルトニウムを製造する特殊原子炉】
 ここで「東海原発で作る」としていることに注目していただきたいのです。「どのような原発で得られるプルトニウムでも原爆はできる」というようなとんでもないことを主張する人達がいます。日本の多くの原発は軽水炉とよばれる形式でして、福島の原発も福井の原発も、そこで作られるプルトニウムでは核兵器などできないのです。核兵器ができないということを知っているにもかかわらず、できると主張し続ける人達には、「日本の核武装計画を隠そうとする」魂胆があるのです。先程の核の傘と同じ話です。
 このようなことを言う人達すべてがそういう目的を持っていると言っているのではありません。多くの人達は指導者のいうことを「信じて」言っているのですが、脱原発の指導者たちは、軽水炉で作られるプルトニウムをそのまま使ったのでは原爆ができないことを知っています。その人達の書いた本にもその意味のことが書いてあります。
 軽水炉は、世界でもっとも数の多い原発です。東電や関電の原発も軽水炉です。しかし、この軽水炉で作ったプルトニウムを利用して原爆を作った国はひとつもありません。それなのに、どの原発で作ったプルトニウムでも、原爆はできると脱原発の指導者たちは宣伝したのです。
 軍用のプルトニウムを作る原子炉は、黒鉛炉、重水炉、そして高速炉の3種類です。その中でも軍用プルトニウムをたくさん作ったのは黒鉛炉です。黒鉛は、石墨ともグラファイトとも言いますが、たとえば、チェルノブイリ原発は黒鉛炉で、軍用プルトニウムを生産すると同時に、電力も生産していました。
 東海原発も黒鉛炉です。これはイギリスの原子炉で、ソ連の原子炉と同じように軍用プルトニウムと同時に電力も作って、両方を売っていました。防衛庁の資料によれば、東海原発を軍用として使えば、年間240キロの軍用プルトニウムが得られるのですが、電力も売ることにしても軍用プルトニウムを年間10キロ生産できます。それで毎年少しづつ原爆が作れるのです。
 ところで、敗戦国日本が軍用プルトニウムを日本国内で使うことは許されません。そこで、この東海原発の使用済み燃料はすべてイギリスで再処理し、イギリスに売っていました。東海原発は電力を国内で売り、プルトニウムをイギリスに売っていたのです。イギリスはこの東海原発で得られた軍用プルトニウムで、原爆を作っていたのです。
 このことは、推進側、反対側にかかわらず原子力関係者の常識でした。しかし、どちらも仲間内でこっそり語し合う以外ではその話を公式にはしませんでした。たまたま、私は放射線問題で私の職場の労働組合の一員として、電力労連と一緒に東海原発を見学したことがありました。その時、東海原発の所長は参加者が電力労連だけと安心して講演し、最近イギリスはプルトニウムを買ってくれなくなったと嘆いたのです。脱原発の集会では、外国の研究者が「イギリスは東海原発のプルトニウムで原爆を作っている」と指摘しましたが、日本の脱原発の指導者たちは、これをやっきになって否定し、その後もこれを話題にすることはありませんでした。
 軍用プルトニウムを作れるもう1つの原子炉は重水炉です。その代表はキャンドゥ炉で、これはカナダの原子炉でして日本では電源開発が大間に作ろうとした原子炉です。ですが、日本がキャンドウ炉を持つ事に当時のカーター政権は反対します。そしてこの話をぶっ潰してしまいました。キャンドゥ炉で核兵器を作ったのはインドでして、インドがこのキャンドゥ炉で作った核兵器で核実験をしました。


 このような発電所でも、最初のうちはイギリスが使用済燃料を購入してくれていたため、ペイしていたのです。工場を日本に押しつけた形なのでしょうか。それで、運転をしても赤字にならずにすんでいた。その後、(いつからかは分かりません)購入しなくなったために、大赤字となり、所長が上記のようについぽろっと発言したのでないでしょうか。

 それにしても日本原電は、
・黒鉛炉(東海原発)
・沸騰水型(東海第二原発、敦賀1号機)
・加圧水型(敦賀2号機)

と小さな会社であるにもかかわらず、これだけバラエティに富んだ原子炉を保有しています。いずれも全く違う型式ですから、ノウハウが蓄積せず、人事交流、トラブルの時にも大変な手間がかかります。なぜ、こういった全ての型式を集めたような百科辞典的会社にしているのでしょう。

ネット上の情報は、Evernoteなどで、スクラップしておくことをおすすめします。
(関連ブログにあるこのブログの情報源をあわせてお読みください)

■関連ブログ
福島の原子力−映画2本の紹介2011.6.9
福島原発1号機−−トラブルの宝庫(東海、美浜も)2011.6.8
このブログの情報源2011.5.2
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posted by いんちょう at 22:47 | 原子力

原発安全神話虚構思い知る(熊日投稿採用)

2011.7.16(土) 熊日朝刊から
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それでも続けますか?(私の原題)
 東京の大学を卒業してから30歳になるまで、東京電力−福島第二原発に5年、本店の原子力部門で2年間勤務していました。今回の原発災害で報道されている大熊町、浪江町、双葉町、富岡町の街並みその他すべて見覚えがあります。
 会社を辞めてからも、数人の方たちとは交流があり、大熊町の梨を毎年送っていただきました。去年お礼の電話をしたときに、定年まであと数年とのことで、その時は「熊本に遊びにくっからな。」と会話したことが忘れられません。今から20年くらい前に、3代は持つようにと立派なひのき一本柱をつかった屋敷を楢葉町(現在避難区域)に建て、完成祝いとご自宅に冷やかしに行ったこともあります。今頃は一体どうされておられるのでしょう。
 福島原発の立地点は、国内原発の中ではもっとも理想的な場所で、断層はなく、岩盤の上に建設されており、地震があろうと津波があろうとほとんど揺れることもなく、事故になることは絶対にない。と勤務している全員が思っていたのです。
 原発で事故が起きないというのは、虚構に過ぎないとわかりました。熊本の近くには川内、玄海原発があり、事故の際には、両原発から100キロ件程度の熊本県は人が住めない地域となってしまう可能性が高いでしょう。電気という利便性のためだけに、ヨウ素剤を常備し、避難経路、場所を具体的に考えておかねばならない生活を送るしかないのでしょうか。


7月10日に投稿した読者の広場です。

採用していただきありがとうございました。さすが新聞社。全体の内容が分かる題名に変更していただきました。

今回は熊本について書いていますが、日本全国安全な場所などすでにありません。玄海原発に何かあれば、北海道をのぞく全ての都道府県が人が住めなくなってしまうでしょう。それほどの能力が原発にはあります。

追伸
 右上の自画像クリックでtwitterフォローできるようにしております。
(資源エネルギー庁は、twitterを監視しています・・)
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posted by いんちょう at 16:34 | 原子力

燃料プールを先行処理 1F-3,1F-4

3号機に窒素注入 ステップ1達成へ2011.7.14 22:42
 東京電力は14日午後8時過ぎ、水素爆発を防ぐため、福島第1原発3号機の格納容器への窒素の注入を始めた。
 窒素注入は、事故収束に向けた工程表で、17日に期限を迎える「ステップ1」の主要課題とされ、1、2号機ではすでに実施されている。東電は、ステップ1をほぼ達成できたとして、19日に政府とともにステップ2以降の工程表を公表する。
 東電は「3号機への窒素注入によりステップ1のヤマは超える」とした。
 格納容器内で水素が爆発すると、容器が大きく破損し、放射性物質が放出される恐れがあるため、窒素注入によって水素の割合を低減し、爆発を防ぐのが狙い。
 政府は、水素爆発の防止が図られることを1つの目安として、不測事態に備えて住民に避難できるよう準備を求める「緊急時避難準備区域」を解除、縮小する方針を示しており、内閣府の園田康博政務官は「縮小については、これから検討していく」と述べた。
 また、汚染水処理システムで13日に見つかった漏水では、ポリ塩化ビニール製の接続部品が破断していたことが判明。東電はステンレス製金具に交換した。


 世間では「ステップ1」が終了したとの報道ですが、実質的にはなにも変わっていません。放射能汚染された地域に人びとをとどめるつもりらしいです。

が、次のニュース
福島3、4号機の燃料搬出を優先 東電が従来計画を変更(07/16 11:03)
 福島第1原発事故の収束に向けた作業のうち、水素爆発などで原子炉建屋が大きく壊れた3、4号機について、政府と東京電力は使用済み燃料プールからの燃料取り出しを優先するよう従来の計画を変更することが16日、分かった。
 がれき撤去やクレーン設置などの作業をするため、大気中へ放射性物質が拡散するのを防ぐ「建屋カバー」の設置は遅らせる。
 また建屋内の汚染水の処理完了などの「中期的課題」は、最長3年程度と、期間のめどを初めて示す。事故収束に向けた工程表の「ステップ1」が終了し、19日に政府と東電が公表する新たな工程表には、こうした「ステップ2」以降の計画を盛り込む。


これは、ようやく現場の意見を本店・保安院が受け入れたことを意味します。

最初から、燃料プールは別の処理が必要なのはあきらかです。なぜか

・炉心の燃料は高温であり、メルトダウンしている。通常の処理は不可能。(というより、人間には処理ができない)
・燃料プールの燃料(3号機のぞく)はほぼ健全であるが、1本でも空中にでたら周りの人が即死するレベルの放射能を出す。
・燃料プールの放射能の量は、炉心内に含まれている放射能よりも多く、しかも熱を持っている。隔離する必要があり、また隔離可能

したがって、最初からこのように私も提案しています。

また、次のニュース

福島第1原発:「地下ダム」設計着手 着工前倒し検討
 東京電力は16日、福島第1原発から出た放射性物質による地下水汚染を防ぐ遮蔽(しゃへい)壁(地下ダム)について、基本設計に着手したことを明らかにした。細野豪志原発事故担当相は建築を急ぐ考えを明らかにしており、東電は当初計画を前倒しして、事故収束に向けた工程表の「ステップ2」(今月中旬から3〜6カ月後まで)の期間内に着工できるか検討中だ。19日に改定する工程表に盛り込む。
 地下ダムは、1〜4号機の原子炉建屋と隣接するタービン建屋周辺に、遮蔽目的の壁を地下30メートルまで埋め込む。東電によると、第1原発地下では、山から海に向かって地下水が1日5〜10センチの速度で流れており、放置すれば放射性物質が地下水を通じて海側に流れる恐れがある。
 この計画は工程表の5月の改定で初めて盛り込まれ、6月の改定ではステップ2終了までに工法を検討し、着工は「中期的課題」としていた。関係者によると現在、建屋周辺をボーリング調査中で、結果によっては着工が遅れる可能性もあるという。
 東電の松本純一原子力・立地本部長代理は16日の会見で「タービン建屋地下の放射性物質濃度は低く、地下水に高濃度の放射性物質が漏れ出ている可能性は薄い」としながらも、「流出のリスクは認識しており、なるべく早く工事に取り掛かりたい」と述べた。【岡田英、中西拓司】
毎日新聞 2011年7月17日 2時50分(最終更新 7月17日 4時00分)


 ニュース自体に矛盾が生じています。

 公式発表の他にどうやら別の工程があり、そちらが真の工程表でしょう。それが、時折表に出てくるのだと思われます。また、この内容はどうやら菅首相には話されていないような印象を受けます。(もう、収束本部には信用されていないと思います)

 私のサイトで紹介してある動画が徐々にリンク切れとなっています。各自が保管しておかないと、カネと正義(著作権違反)を振りかざしていますので、手に負えません。どこかの国でこのような行為は無駄と証明されているのですが、全く懲りていないようです。

参考までに東電が公開した3号機、4号機燃料プールの動画を紹介しておきます。





3号機の燃料プールから、燃料が取り出せたら奇跡ですね。これは。

■参考用外部リンク
福島第1原発3号機使用済み燃料プールで燃料集合体を1体発見?2011.7.3
フェアウィンズアソシエーツ・アーニー・ガンダーソン:「3号機は水素爆発ではなく使用済み燃料プールでの臨界状態からの爆発の可能性」2011.5.3

■関連ブログ
1号機メルトダウン−私的収拾案・おすすめ2011.5.14
3号機は燃料プール・・学会認めていた2011.6.23
年内の収束不可能−高度な情報操作例(熊日朝刊から)2011.5.30

(動画の保存方法はこちら)
浜岡のアキレス腱−取水槽:FUKUSHIMA Part2・・玄海も2011.7.1
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posted by いんちょう at 06:35 | 原子力

2011年07月16日

原発安全評価−舞台裏を妄想する

まずは報道から
原発:安全評価、「1次」4項目で 保安院が手法概要公表
 経済産業省原子力安全・保安院は15日、原発の再稼働や運転継続の基準とする「安全評価」の手法の概要を公表した。電力各社が原発ごとに、安全性にどれだけ余裕があるかを評価し、保安院がその手続きの妥当性を評価。さらに内閣府原子力安全委員会が確認する。稼働中のほぼ全原発が対象の「2次評価」は年内に保安院に報告するよう求めるが、定期検査で停止中の原発で実施し、再稼働のカギを握る「1次評価」の報告時期は未定だ。安全委は同日臨時会を開き、保安院の手法の概要を大筋で了承した。
 保安院によると、試験の対象は、「1次評価」が現在定検中の九州電力玄海原発3号機など19基。「2次評価」は、福島第1原発と同第2原発、浜岡原発を除き、1次評価対象や建設中のものを含めた50基。
 安全評価は、「地震」「津波」「全電源喪失」「海水に熱を放出する機能の停止」の四つの場合について、燃料損傷などの過酷事故に至るまでにどのくらい安全性の余裕があるのか定量的に計算する。
 1次評価では(1)原子炉の配管などの機器類に負荷をかけ、健全性が十分確保される値と比べて設計値にどれだけ余裕があるかを調べる。その上で(2)原子炉全体で燃料溶融に至るまでの余裕度も測り、原子炉の弱点を見つける。さらに(3)過酷事故に至らないために各社が講じている対応措置の効果を評価する。また、2次評価では、全電源喪失と炉心の熱を取り除く機能が失われ燃料溶融が起きる「限界値」を算出して設計値と比べることで、原子炉の能力を測る。

 安全評価をめぐっては、保安院が玄海原発の安全性を確認し、海江田万里経産相が6月29日に地元に再稼働を要請したものの、菅直人首相が同日、原子力安全委員会を関与させて安全審査をやり直すよう海江田氏に指示。1次評価が、定検中の原発を再稼働するための要件になっている。【河内敏康、関東晋慈】

毎日新聞 2011年7月15日 21時11分(最終更新 7月16日 0時53分)


 次に、公式書類

第53回 原子力安全委員会臨時会議から

(1) 東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた既設の発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に関する評価手法及び実施計画 (PDF:263 KB)

 まず、頭に置いておかなければならないのは、この評価手順を作った本当の作者です。保安院には、その能力はありません。そんなのは、電力も百も承知。通常ならば、東京電力が音頭を取って、各電力の担当者に話を聞きまとめ上げます(そういう能力に長けています)。東京が根城ですので、無理が利きますし、資料の用意もでき、なにより保安院とは目と鼻の先に(歩いても20分程度)ありますから。が、今回は絶対に無理。
 東京に本拠がある会社としては、あとは日本原電がありますが、ここの会社の方はいずれも線の細い方が多く9電力を束ねるような力はないでしょう。(地元敦賀の対応だけで、精一杯といった印象があります)

 おそらく、電事連が頭になって(幹事はだれ?・・・私の時は九州電力から出向しておられた方で、パワフルでおもしろい人でした。「電事連の中田です・・・」と時々電話かかってきましたね。そういえば。)います。また、各電力の安全グループが本社から3〜4人程度長期出張の形で、事故発生直後から詰めているはずです。各電力は全て東京事務所がありますし、どこの会社も原発ではトラブルを起こしている(保安院に報告する必要のあるトラブルを起こしていない原発は1基もありません)のである程度のノウハウはあります。

BWRグループは、
・東京
・中部
・中国◎
・東北
・北陸
(能力のある順番です。運転経験が長いところほど場慣れします)
東京はダメ、中部は人ごと(強制的にすべて止められている)、東北は被災、北陸は元々止まっている。となると、中国電力のみで対応することになります(これはこれで調整がいらないので楽)

PWRグループは
・関西◎
・九州
・四国
・北海道

これは順当。今回のいわゆるストレステストは、EUを参考にしているはずですが、この資料を英語で理解する能力は、保安院にはありません。もちろん、電力にもない。当然翻訳を頼んでいるはずです。しかし、専門知識の必要な翻訳です。では、一体その費用はどこが支払っているか?保安院は、当然自分の仕事ではないと思っているでしょうし、こんな翻訳代など出す税金の余裕はありません。当然、カネのでどころは、電力。まあ、この時点からしてどういう結論になるか、みえてしまいます。原発輸出を企てていた東京電力、東芝にその能力は十分にあるでしょうから、東電がケツを持つ(まあ、当たり前と言えば当たり前)かたちで突貫工事の翻訳をしたと思われます。(割り増し料高かったでしょうね・・・)

 で、このできた翻訳を電事連にかけ、(会議室の確保も大変なんです。都心では。東京電力もしくは、電事連がどこかに24時間借り切っていることでしょう。ダイビルなんて、よく使いました。)関西電力がとりまとめて、それを保安院に説明して、それから資料を作る。7枚の資料ですから、これも作るのは結構大変です。おそらく1次評価はこの電力、2時評価はこの電力と役割分担を決め、夕方に明日の朝8時までと締め切りを区切って、どうにかまとめ上げたのでしょう。発表から一週間足らずですから、おそらく不眠不休。
 保安院は出てくる書類に文句をつけて手直しさせる。(保安院にも電力関係者が詰めています。おそらく)最後に、メールか何かで送ってもらって表紙だけ自分の名前にして、安全委員会に説明する。保安院が、第3者に説明できるように(電力に)してもらっているところをみますと、保安院も電力も精根尽き果てているでしょう。
 今の状況では、保安院の後ろに電力担当者が詰めているわけにもいかず(武藤さんなど適任でしょうが)、原子力安全委員会に質問されても、「検討します」としかいえないのは当然。保安院の担当者は、発電所に行くのは電力がお膳立てする原発ツアー(といっていいでしょう)だけですから、現場のことなど分かるはずもないのです。(役所がとんちんかんなことを言うのは、役所とつきあいのある方は全て納得されることでしょう。原子力ももちろん同じ)

さて、内容について少しコメント。

長くて読む気がしませんが、
・原子炉
・使用済燃料プール
の両方について触れているのは、前進です。

「クリフエッジ」・・この言葉は、初めて聞きました。いつの間に原子力学術用語になったのでしょうか。英単語、話しの流れからしますと、ここまで言ったらダメ な状況なのでしょうか。

地震、津波に関しては、・・・ふざけた対応・・・
・ドアにパッキンをつけて防水化
・ガレキ処理の重機配備
でよいとしていますから、新しい内容はおそらく出てこないでしょう。

「全電源喪失」
@内的事象PSAの知見を踏まえて、全交流電源喪失を起因事象として燃料の重大な損傷に至る事象の過程を明らかにするとともに、その場合の全交流電源喪失の継続時間を明らかにする。

注)内的事象PSA(内部だけで起きる事故に対する確率的安全評価−−例えば弁が壊れる確率がこのくらい、捜査員がミスする確率がこのくらい、と決めていき−これがイベントツリー−どのくらいの割合で、事故が起きるかを評価する手法のこと・・説明下手ですが、懐かしい言葉です。これは、以前から使われている述語です。)

 これは、全電源喪失が起きた場合の炉心損傷までの時間でしょう。PWRは、どのくらい余裕時間があるのでしょうか?BWRは、原子炉隔離時冷却系(RCIC)がありますが、弁の操作用電源などを考えると数日程度になるのでは?この期間では、大規模災害の場合には、外部電源の復旧は困難ですが、大丈夫という結論に持って行くはずです。

最終的な熱の逃し場(最終ヒートシンク)の喪失
内的事象PSAの知見を踏まえて、最終ヒートシンク喪失を起因事象として燃料の重大な損傷に至る事象の過程を明らかにするとともに、その場合の最終ヒートシンク喪失の継続時間を明らかにする。

 おそらく、海水ポンプの喪失を考慮に入れていると思います。浜岡ならば、取水トンネルを考えなければなりません。これも上記RCICがあるので、数日足らずで爆発でしょう。ここの復旧は、それこそ数日では不可能。(ですが、電力は可能といいはるのは、容易に想像できます)

 ある程度、今までの知見を踏まえて、報告書を作れるとは思いますが、それでもやはり膨大な時間がかかりますし、今はネット時代ですから、この報告書を公開しないわけにはいかないでしょう。(それとも、企業秘密が含まれているとして黒塗りしますか?)

そもそも、なぜこういった事象を考慮していなかったのか。それは設計上対応できないからに過ぎません。こんなことが実際に起きたら、大丈夫な原発など地球上に存在していません。(福島で初めて証明されました)

以上は、私の妄想であり取材などは全くしていません。ご了承ください。

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posted by いんちょう at 06:47 | 原子力
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