2011年08月31日

白血病入門(5)治療その2−化学療法と骨髄移植他

最近、急に閲覧者数が増えました。他の注目記事をご覧になるには、目次からどうぞ。
(しばらく同文をブログの最初に記述します)

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これが、標準的な治療プロトコルです。(と思います)
3日間2種類の抗がん剤を使用し、全体で7日間。

どうでしょう。自分が思っていた治療より、強いですか?弱いですか?

が、本番はこのあとから始まります。(抗がん剤治療の最中は、それほど重篤な副作用が起きることはあんまりありません)
クリックで拡大
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特に困るのが、食欲不振です。静脈からいくら点滴を入れても、身体に元気がつきません。なんとしてでも口から食事を取っていただきたいのですが、どうしても食事をする気にならず、なにも食べられなくなってしまうことが非常に良くあります。
・食欲不振
・体重減少
・抵抗力低下
・日和見感染症で重篤な状態

そして、脱毛

どんなにふっくらされていた方でも、髪が抜け、やせ細り、まるで別人のようになってしまわれます。主治医にとってもつらいことです。

血液検査をほぼ毎日して、ひつようならば、赤血球(MAP、今はRCC)、血小板の輸血。そして、出血傾向(DIC)が起きてないかを確認。無菌室には入っておられますが、やはり感染(肺炎、膀胱炎etc)はほぼ100%起きます。そしてその治療と、本当に気が抜けません。


前回も述べましたとおり、寛解療法で白血病細胞が5%以下になった場合にのみ、次の骨髄移植に進めます。 現在でも兄弟間移植が多い(適合確率は1/4)と思います。

この骨髄移植は白血球の型が問題となり、血液型は調べません。それゆえ、骨髄移植のあとには、血液型が変わってしまうこともあります。他人の骨髄を入れますと、当然のこととして免疫反応が起こりますが、それが起きた方が白血病細胞を根絶やしにできるので予後がよいのです。(骨髄移植後はドナーリンパ球による免疫反応で白血病細胞を殺す効果も期待できます。移植片対白血病効果(Graft-versus-Leukemia Effect:GVL効果)と呼ばれます。)−自分の骨髄を使用しますと、このような効果は全く期待できません。(一方で、副作用も起こりません)
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前回も述べましたとおり、寛解療法で白血病細胞が5%以下になった場合にのみ、次の骨髄移植に進めます。 現在でも兄弟間移植が多い(適合確率は1/4)と思います
 先日報道がありました 福島原発作業員が白血病で死亡 のように、白血病とわかって入院してからの期間がほとんどないような場合、寛解療法が終わっているはずもありません。仮に事前に骨髄採取を行っていたとしても、予後には全く関係なかったと思われます。

 骨髄移植は、ピノコが助かったような夢の治療ではなく、苦しい化学療法を切り抜け、適合する骨髄があった人だけが受けられる治療なのです。また、この骨髄移植による治療の副作用は激しく、体力がある方でないと挑戦することすらできません。(治療中に死亡する可能性が高い)私の手元にある教科書には、せいぜい50歳までと書かれていますが、いまでは60〜70代くらいまで行うのでしょうか(通常の骨髄移植は55歳までですが、今は、移植前処置の抗癌剤の量を減らして行うミニ移植(骨髄非破壊的移植:Reduced Intensity Stem Cell Transplantation:RIST)も行われています。ミニ移植であれば70歳まで可能です。)

 あと、特殊な白血病として、
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急性前骨髄球白血病があります。このタイプの白血病は、従来非常に治療に難渋していました。もっとも予後が悪いとまで言われていたようです。
 それが、1988年に上海第二内科大学の黄教授がATRA(Alltrans retinoic acid)を用いた分化誘導療法を発表。(ビタミンAの一種)当時の中国の医学レベルが低く見られていたので「眉唾物」の扱いでした。何しろ、治療に難渋してどうしようもならないとされた病気がビタミンAの内服で治ると言われても、信用しろという方が無理です。
 今では、この治療法が第一選択となっています。白血病の特殊な病態は、ビタミンAを経口摂取することで治療可能となりました。(本当にごく一部です)

M3(急性前骨髄性白血病)の骨髄像
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■関連ブログ
作業員が急性白血病で死亡=収束工事「因果関係なし」−東電・福島原発2011.8.30

■白血病入門
白血病入門(1)熊大の研修医時代
白血病入門(2)初期症状と血液データの読み方
白血病入門(3)白血病の種類と原因
白血病入門(4)治療その1−化学療法−骨髄移植の前準備
タグ:白血病
posted by いんちょう at 22:31 | Comment(4) | 日記

豪華バイキング一週間連続でも太らない方法

 あまり、放射能放射能と騒ぐのも健康に良くありませんね。神経が参ってしまいます。

息抜きとして、今回は男女を問わず、だれもが気にしているダイエットについて少し。

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株価のようにも見えますが、なにを隠そう私の体重です。ピーク時は82.0kg程度ありました。まあ、それにしても性格がよく分かるグラフ・・(下の色が変わっているところが標準体重域内です)

この体重グラフは、

を使用しました。この記事(体重管理には手間がかからず、おすすめです)

 なにしろメタボメタボとうるさいこのご時勢。指導する立場にある医師が太っていては、あまりにも説得力がないですよね。

 ところで、このメタボリックシンドロームの親分、ご存じでしょうか。

エーザイホームページから
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 この先生が日本の肥満症の第一人者であり、肥満の害を解かれ、メタボリック検診を行い、胴回り85cm以上は、メタボリックシンドロームだと基準を決められました。

 以上、豆知識(私も医師村の一員ですから、これ以上は書けません)


 不精者の私にできるダイエット方はないかと思っていましたら、2010年の2月号の医師会報に次の本を実践して、信じられない糖尿病治療(HbA1c 10台が 無治療で 5%台に)が紹介されていました。

 早速購入したのが次の本


著者の江部 康二 氏
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ご本人自身も糖尿病であられ、ご自分もこの療法を用いているそうです。ブログ

(以前のブログから引用)
炭水化物は、エネルギーとして非常に効率がよいですし、脂質にも簡単に変換されます。反面、タンパク質、脂質をエネルギーとして使用するのは、結構大変なのです。

では、血糖を上昇させるホルモンには、何があるでしょう。
下記の通り、非常にたくさんのホルモンがあります。
グルカゴン(→)、エピネフリン、糖質コルチコイド、成長ホルモン

逆に血糖を下げるホルモンは、みなさんご存じの
インスリン
しかないのです。

 なぜ、このように非常にアンバランスなのか、進化の過程を考えますと、人類の歴史で血糖が高くて困ることはほとんどなかった。
のだろうと思われます。

 つまり、炭水化物=糖質をふんだんに摂取できるようになったのは本当に最近のことで、インスリンなどはほとんど必要とされなかったのでしょう。

 このように能力の低いホルモンに負担をかけてしまっては、病気になるのは当然。


 この療法には、糖尿病学会では賛否両論があり、先日の糖尿病関係の医師MLでも賛否両論が出て、結局結論が出なかったことは、付け加えておきます。

 理屈は納得できました。糖尿病に良いならば、健康体のダイエットにも効果があるに違いない。炭水化物を食べず、肉・野菜類をよく食べるようになりますので、自分で「肉食ダイエット」と命名して開始しました。

 やり方は簡単です

・コメ
・コナ(小麦粉でできている製品全て。パスタ、パン、クッキーetc)
・イモ(ポテトチップス、かぼちゃなど)

を極力取らないようにする。それだけで、それ以外の制限はありません。もちろん、ある程度の運動は必要で、わたしは毎日片道50分をかけて徒歩通勤をしています。
注意:豆類、ナッツ類はOKです。トウモロコシはダメ。

製品の裏側にかいてある成分表示のカロリーではなく、炭水化物、タンパク質の比率を見るように。
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炭水化物 1g=4kcal (およそ)です。右下の商品は、ほとんど炭水化物でできているのでダメ。
炭水化物(糖質)g数 ×  4 kcal で計算し、総カロリーとの比率が、おおむね25%程度以下の食品を食べればいいでしょう。(食物繊維はのぞく)

チーズ
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この中には、 

(炭水化物)1.2gx4= 4.8kcal しかなく

4.8 ÷ 325 = 1.5%

すなわち、このダイエットには理想的な食品といえます。

 かなり、効果がありますので(3週間で2キロはやせられます)、ややぽっちゃり系の方に進めてみたのですが、たいていの人は、

「だめーー。わたしご飯で生きているから。ご飯がないなら死んだ方がまし。」

との反応が返ってきます。(まあ、だから、ぽっちゃりしているわけですが・・・)

 バイキングで他の人が取る食事を観察して見てください。例外はないと思います。

・ぽっちゃり系
パスタ
パン
ピザ
唐揚げ
ごはん
デザート
が山盛り


・やせてる系
ごはん(少量)
パスタ(少量)
野菜サラダ
魚料理
スープ
デザート
をごく少量


・やせてる系−2
唐揚げ
ステーキ
ソーセージ
ハンバーグ
野菜
を大量


 この、やせてる系−2がローカーボン(肉食ダイエット)派なわけです。(あの蓮舫もやっている)

 旅行などで豪華な食事を立て続けに食べる場合は、炭水化物をできるだけ避けることによって、体重の増加をもたらすことなく、食事を満喫できます。

 お試しください。

(補足)アルコールについて。
一応、蒸留酒(ブランデー、ウイスキー、焼酎)と赤ワインは、OKと言うことではありますが、糖質0ビールなども問題ないです。
 最近急にやせたのは、アルコールを一切取らなくなったからではないかと考えています。途中体重が増加しているのは、アルコールの誘惑に負け赤ワインを一日ボトル1本+スナック系のつまみを食べていたときです。

(おかしについて)
おなかがすいたときに、おすすめはセブンイレブンの フライドチキン、チーズなど。
あるいは、糖質ゼロのアメ、チョコレート、ゼロカロリーゼリーなど。
間違っても、おにぎりなどは買わないように(太ります)
ケンタッキーは、OK。 マクドナルドの ハンバーガー+ポテト は最悪。

うどん、寿司も実はヘルシーではありません。焼き肉食べ放題でご飯類を抜きましょう。


■関連ブログ
炭水化物ダイエット2010.12.4
糖尿病食2010.6.19
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posted by いんちょう at 13:38 | Comment(8) | 日記

2011年08月30日

殺人軽トラ が となりに 〜 福島県いわき市小名浜の実態

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なんだかおわかりでしょうか?チェルノブイリ事故処理の際に使用した消防車、ヘリコプターなどの墓場です。

 このような話を福島で聞いたことがありますか?

さて、東電の工程表を見ていましたら、気になる箇所がありました。

「福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋」の進捗状況(8月17日)についてから
・参考資料2:課題別取り組み状況(写真・図面集)(PDF 5.13MB)
の30ページ
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なんと、表面カウント 超緊急時の100,000cpmをいまだに適応しているようです。(福島県庁に電話で問い合わせたところ、100,000cpmでなにが問題か?内部被爆など問題にならない。と回答をいただきました)・・事実です。さすがに東電はまずいと思って、 13,000cpm に自主基準を作っています。


集団避難「双葉町」から:「もう一度帰りたい」 3キロ圏内、初の一時帰宅 /埼玉

では、もれなくこの 100,000cpmの高レベル放射性廃棄物が埼玉県に持ち込まれたことでしょう。(国が安全と言っているので、問題ないそうですよ。埼玉県民の方、ご存じでしたか?)

そして、少し前ですがこの報道

県内GSの洗車場汚泥からセシウム 最大9万ベクレル検出
 県は3日、県内ガソリンスタンド(GS)7カ所の洗車場の汚泥から、1キログラム当たり最大で9万ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。県内の汚泥から検出されたものとしては最高値。県はセシウムが混入した時期や経緯を調べている。

 環境省によると、GSの汚泥でのセシウム検出は全国で初めて。現在の法律では、放射性物質を含む産業廃棄物の取り扱いや処分方法に関する定めはなく、国は早急な対応を迫られそうだ。

 県が調査したのはいずれもGSの洗車場汚泥槽で、柏崎刈羽地域の4カ所と新潟市の3カ所。柏崎刈羽ではそれぞれ9万ベクレル、4万5千ベクレル、4200ベクレル、2900ベクレルの放射性セシウムを検出。新潟市では168〜520ベクレルだった。

 県が7月に柏崎刈羽地域のGSから相談を受けて調べた結果、高い数値が出たため、同地域と新潟市の協力が得られたGSで調査を実施。検出された業者には、汚泥の適正な保管を指導した。

 県は、新潟大理学部の工藤久昭教授(放射化学)の「汚泥から1メートル離れることで通常の空間線量であることが確認されており、汚泥から一定の距離を保つことで安全が確保できる」との見解を発表した。

 9万ベクレルの放射性セシウムを含む汚泥が見つかったGSでは現在、汚泥をビニール袋に包み、屋外で保管する。従業員は「(行政には)早く処分してほしい」と求めた。

 県によると、県内ではこれまでに上下水道の汚泥から放射性セシウムが検出されており、最高値は満願寺浄水場(新潟市秋葉区)での4万5544ベクレルだった。
新潟日報2011年8月4日


 正直なところ、あまりに離れているので私は中越沖地震の柏崎刈羽原発の放射能漏洩かと思っていました。新潟県庁に問い合わせて、下記の資料を教えてもらいました。

ガソリンスタンド洗車場の汚泥の放射性物質測定を行いました から
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 これをみますと セシウム 137 と セシウム 134の比率がほぼ1ですから、福島由来だと断定できます。(原発からの放出量は、両者ともほぼ同じ。しかし半減期が 30年と 2年と全く違います。ほぼ同じ数値であれば、比較的新しい放射能だと分かります)

 これに対して、新潟県は当然の表明をしています。
(注:新潟の柏崎刈羽原発は東京電力です。作業車などの行き来が多く、懸念を深めるのは当然です。対岸の火事ではありません。)

2011/08/19
 新潟県知事泉田裕彦のメルマガ「たがいに・にいがた」第255号
から
 先日、柏崎刈羽地域のガソリンスタンドの洗車場で、高濃度の放射性物
質を含んだ汚泥が検出されました。その後実施した追跡・補充調査の結果、現在の国の基準では、放射性物質を拡散させてしまうことが判明しましたので、基準の強化、手順の見直しを国に要請しました。

 柏崎刈羽地域のガソリンスタンド洗車場で検出された、1キログラム当たり最高9万ベクレルのセシウムを含んだ汚泥は、国の基準に従って警戒区域等から車を持ち出した後に、1台でも洗車するだけで発生してしまうことがわかりました。

 この汚泥の保管量は、5月までの発生分が約15キログラムであり、放射性物質の総量で約135万ベクレルという値です。仮に1台から発生したものと仮定すると、車の表面で1分間あたりに放射線測定器が検出した放射線のカウント数であるcpmに直すと、約6,000cpmに相当します。

 ところが、今の国の基準では、現在、福島第一原子力発電所周辺の立入が規制されている区域内から車を持ち出す際は、一次スクリーニングで1万3,000cpm以下であれば自動車の持ち出しは可、10万cpmを超えない限り、除染(=洗車)は必要ないということになります。
(筆者注−規制区域以外は、一切制限がありません)

 小さいお子さんでも、食事の前には手を洗います。食事が終わってから手を洗うという順番ではありません。放射性物質を拡散させないためには、洗車をしてから持ち出すことを励行すれば何の問題も生じないのですが、現在の国の手順では、持ち出してから洗車するということを指導していることになります。

 自分が常日頃行っている生活習慣を考えれば、いつなにをすることが適切かは容易に想像がつくことです。換言すれば、除染をcpm値に関わらず、しっかりやっていただければ問題はないのですが、今の国の基準のままでは、あちこちで汚染が広がってしまう可能性を否定できません。国の基準が甘い、そして手順があべこべといわざるをえません。

 なお、新潟県から7月16日から8月6日までの約3週間、福島県相馬市に派遣した車については洗車前で95〜108cpmでした。バックグラウンド(自然発生放射線量)で100cpmでしたので、最近の警戒区域外を走っても「ほぼ汚染なし」と言っていいのだろうと思います。

 やはり注意すべきは、半径20キロ警戒区域内などで事故後から屋外にあった自動車だと考えられます。これらの車を持ち出す時に適切に除染がされなければ放射性物質の拡散が全国に拡まってしまうということを、今回の調査結果は表しているものと思います。

 さまざまな分野で国民生活に深刻な影響を与え、多くの人々が不安を抱いている放射性物質の拡散を、これ以上放置することは許されません。国の対応が“ずさん”であることによって、被災された方々がいわれのない誤解を受けることも、決してあってはなりません。

 スクリーニングの基準を厳格にし、高濃度の放射性物質が付着した車を警戒域外に出さないようにすることが喫緊の課題です。次世代を担う子供達、そして私たち一人ひとりが安全に暮らしていく上で最低限のことを国に要請していますが、1週間以上を経過しても未だ国からはなんの対応もなされていません。

 “放射能公害”を防止し、生活する上で安全な環境を作ることは、最低限の国の義務です。1日も早い対応を望みたいと思います。


 いまだに対応したという話を聞きません。

福島県は、 「国が認めた基準だから」 と言う理由で、 日本全国に放射能を広めていると言わざるを得ません。

洗車場経営者の皆さん、チェックしないでいいですか?あなたの洗車場も、1台 福島の警戒区域から持ち出された車が来れば、立派な高レベル放射性廃棄物がたんまりとできてしまいますよ。

 ちょっと長くなりますが、この恐るべき動画を紹介します。

〔放射能動画〕いわき市小名浜で1mSV/h超えの軽トラック走行!(はなゆー) :年間9SV・恐怖! 全員死亡レベル2011.7.13

(現在は閲覧が制限されています)

軽トラックに近づくとき 0.67マイクロシーベルト/hr(以下おなじ)
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さらに近づくと 2.30
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荷台に近づく 35.75
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さらに・・・ 354.0
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ついに計測不能 888.8
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車内でも 81.69 と 63.23
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道ばたにたたずむと 0.18
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こんな場所が世の中にあっていいのでしょうか。この車を運転していると、いつのまにか原因が分からないまま体調不良となり、死んでしまうでしょう。恐怖の車です。何しろ、においも色も全くないのですから。

 福島県には早急に対策を講ずることを求めるとともに、3キロ圏内の車に関しては廃棄させ、東電に新車の費用を請求してください。そうしないと、日本全国 数十万ベクレル単位の放射能汚泥だらけとなります。

 手をこまねいている余裕はもうありません。米国に核戦争の専門家の派遣を依頼してください。今の環境省、原子力担当相に対応する能力がないのは明らかです。

 殺人車がそこら中を走っている今の状況をストップしない限り、本当に共倒れです。

なぜ、東京電力は被災した方に新車をプレゼントしないのですか。ちょっとのカネをけちって、こんな馬鹿なことを野放しにするのはもうやめてください。

追記
川崎港で輸出用中古車から放射線 業者「福島で登録」2011.7.2 00:21
 川崎市港湾局は1日、川崎港東扇島の外貿埠頭で、輸出予定だった中古の乗用車から毎時62・60マイクロシーベルトの放射線量を検知し、輸出を取りやめて車を仕入れた業者が引き取ったことを明らかにした。

 もうすでに、中古市場にも出回っています。中古車を購入の場合は、
・表面汚染の確認
・登録場所の確認
・エアーフィルターの交換
は最低限必要です。(自衛するしかありません)

■関連ブログ
放射能はうつりません。(二次被爆問題・除洗)2011.4.20
遅れてしまった立ち入り禁止区域の設定2011.5.21
記事の裏を読む−本質は、思いもよらないところに2011.6.9
タグ:P
posted by いんちょう at 21:03 | Comment(22) | 原子力

お互いの肌のぬくもりが生きる力になる

放射能を必要以上に怖がることは「エセ科学」=カルト宗教-新聞論説からには、たくさんのコメントをいただきありがとうございます。
現在80名以上の方になっています。

 私も随分励まされますが、このコメントを読まれる方全員が、同じような悲しみをかかえ、周りの人に自分の危機感が伝わらない悔しさが伝わってきます。コメントを書かれた方も、書かれていない方も是非お読みになってください。勇気をもらえると思います。

次のラジオ問題と私の心の中ではつながりました。

「原爆体験を世界に」
橋爪 文(広島被爆者)
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下記ボタンがリンクです。(直接Windows media Playerが再生を開始します)
2011082105.gif
40分20秒

2011082106.gif
40分23秒

(まだ一度もお聞きになったことのない方は、お忙しいとは思いますが、是非前半からお聞きになってください。後半だけをお聞きになっても、橋爪さんの伝えたいことが半分も伝わらないと思います)

後半、最初から
・重傷を負った13人が2畳くらいのトタンの下で夜を過ごした
・だれもきついことを口にしなかった
・くっつきあって寝てて、体温が伝わってくると、ああこの人は生きているんだと,口にはしないのに、それで励まし合って過ごした。

 コメント欄を読んで、私は隣にぴったりとくっついている人の体温が伝わってくるような気持ちになりました。

この、ラジオ番組は、2011.9.12で終了の予定です。

 お聞きになってから、NHKまで電話、メールで、放送の延長をお願いしようではありませんか。このブログに書かれていることを役人が文章を読むように伝えても、担当者に決して伝わりません。ご自分でお聞きになり、感動した部分を伝えてください。自分の言葉で伝えなければ、人は動いてくれません。

私は、出られた方に
「まだお聞きになっていないのであれば、仕事が終わってからでかまいませんから、是非聞いてください。そして、延長をお願いします」
とお願いしました。

http://www.nhk.or.jp/css/
0570-066-066
050-3786-5000
が意見、問い合わせの場所です。(メールでも可能なようです)繰り返しますが、ご自分で聞いて(経験して)から、電話いただけますようお願いします。そして、なんと話したかをコメント欄にご記入いただけますと幸いです。

 Twitterに次のようにつぶやかれていました。

こんにちは。今から西に避難しても遅いのでしょうか…?

 人生に遅いことはなにもありません。橋爪さんは60歳から英語を勉強し、80歳のいまも原爆症でつらいからだでありながら、原爆の悲惨さを伝えるために海外を飛び回っておられます。
 また内部被曝の危険を解かれておられる肥田舜太郎医師は自らも被ばく者でありながら、94歳の今も精力的に講演活動をされています。

 今、おいくつですか?

 答えはそこにあります。


■関連ブログ
放射能を必要以上に怖がることは「エセ科学」=カルト宗教-新聞論説から2011.8.29
「原爆体験を世界に」橋爪文〜NHKラジオ深夜便から2011.8.21
世界中のみなさん、反原発に向けて立ち上がりましょう 橋爪 文(原爆被ばく者)2011.8.23
われわれは原発事故にどう対処すればよいか(肥田舜太郎氏)2011.6.26
タグ:O
posted by いんちょう at 15:59 | Comment(10) | 原子力

作業員が急性白血病で死亡=収束工事「因果関係なし」−東電・福島原発

作業員が急性白血病で死亡=収束工事「因果関係なし」−東電・福島原発
 東京電力は30日、福島第1原発事故の収束作業に従事した男性が、急性白血病で死亡したと発表した。同原発での被ばく放射線量は累計で0.5ミリシーベルトで、東電は「収束作業との因果関係はない」としている。
 東電によると、男性は8月上旬から7日間、同原発で休憩所の出入りや放射線量を管理する業務に従事。勤務を終えた後に体調を崩して入院し、東電は16日に死亡の報告を受けた。
 勤務前の健康診断で異常はなかったという。被ばく量のうち、内部被ばくはゼロだった。(2011/08/30-12:25)


@ystricera たかよし
東電「参考までのご報告
第一発電所40代男性作業員急性白血病で亡くなったと
元請け企業から受けている 
お医者様の診断の結果発電所の作業とは
因果関係ないと診断。7日間従事外部0.5mSv 内部0mSv」


 いずれも、数値に違いがありません。この報道は正確といえるでしょう。

 速報です。たしかにこの期間では、急性白血病にはなりません。(少なくとも数ヶ月の潜伏期間が必要)東電の現場で働いたことが、直接の原因ではないのは明らかです。

 情報を集めたいと思います。なにかご存じの方がおられましたら、コメント欄にご記入ください。あとで、事実関係をまとめてアップします。

40代とすれば、
・急性骨髄性白血病
・8月上旬(8/1 - 8/8?)
・8/16 東電死亡報告

発症が分かってから、約1週間でなくなられています。以前、ご紹介した症例とほぼ、おなじ転帰です。

表に出てきた急性白血病の症例は、これで3例となりました。

子どもを守ろう SAVE CHILDから tikababa119 さん、ありがとうございました。
先ほどの東京電力の会見で、福島第一原発事故現場で1週間ほど作業した作業員が8月上旬に急性白血病で死亡したとの発表がありました。しかし医者の診断の結果発電所の作業とは因果関係ないと診断された為、以前の作業履歴などをこれ以上調べる予定はないとのことです。そして本人のプライバシーもあるのでこれ以上調査することはないとのことです。

8月16日にこの死亡した作業員が所属していた元請け企業より報告があったが、発表が本日(8月30日)になったのはプライバシーなどに配慮した結果だそうです。

被曝放射線量は累計で0.5ミリシーベルトで内部被曝はゼロだった。

プライベートなご病気で、お医者様が判断したことなので、東京電力が今後調査することはございません。」と何度も強調して発言するも、NHKの記者が必死に食い下がった。

会見終了後もNHKの女性記者が情報を少しでも聞き出そうと頑張っていました


第2報が出ました。

放射線業務歴なし=急性白血病で死亡の男性−東電
 東京電力は30日、福島第1原発事故の収束作業後、急性白血病で死亡した40代の男性について、同原発以前に放射線を扱う業務に従事したことはなかったと発表した。
 東電が複数の医師に確認したところ、急性白血病が死亡数週間前の作業によって発症することはあり得ないという。
 男性は協力会社の作業員で、8月上旬から7日間、収束作業に従事。勤務後に体調を崩して入院し、死亡した。(2011/08/30-20:22)


 ■白血病入門シリーズ
白血病入門(1)熊大の研修医時代2011.8.20
白血病入門(2)初期症状と血液データの読み方2011.8.23
白血病入門(3)白血病の種類と原因2011.8.25
白血病入門(4)治療その1−化学療法−骨髄移植の前準備
タグ:白血病 P
posted by いんちょう at 12:56 | Comment(7) | 原子力

ネット工作員さん、ご苦労様

 前々回のブログで、

今のままでは、正しいことを書いてあるブログ、紹介しているtwitterで論旨をすり替える工作員が発言を行い、それが優勢となってしまい、日本全体が沈没してしまいます。

と書きました。そうしますと、コメント欄に早速、

まさにこのブログの文章ですね。これは高度なメタギャグですか? 「工作員」という言葉を発している時点でもうお里が知れるんですが。
本職の医師がこんなことを言っているのかと思うと暗澹とします。ぜひ病院名を教えて下さい。間違ってかからないように注意したいと思いますので。
Posted by HG at 2011年08月29日 12:40


と記入がありました。まことにご苦労様です。

さて、ご存じない方もたくさんおられますと思いますので、ここで前のエントリーを紹介します。
原発ネット情報を取り締まれ!!−政府委託から

「平成23年度原子力安全規制情報広聴・広報事業(不正確情報対応)」                仕様書

1.件名
平成23年度原子力安全規制情報広聴・広報事業(不正確情報対応)

2.事業目的
ツイッター、ブログなどインターネット上に掲載される原子力等に関する不正確な情報又は不適切な情報を常時モニタリングし、それに対して速やかに正確な情報を提供し、又は正確な情報へ導くことで、原子力発電所の事故等に対する風評被害を防止する。

3.事業内容
@ ツイッター、ブログなどインターネット上の原子力や放射線等に関する情報を常時モニタリングし、風評被害を招くおそれのある正確ではない情報又は不適切な情報を調査・分析すること。モニタリングの対象とする情報媒体及びモニタリングの方法については、具体的な提案をすること。
A 上記@のモニタリングの結果、風評被害を招くおそれのある正確ではない情報又は不適切な情報及び当庁から指示する情報に対して、速やかに正確な情報を伝えるためにQ&A集作成し、資源エネルギー庁ホームページやツイッター等に掲載し、当庁に報告する。
B Q&A集の作成に際して、必要に応じて、原子力関係の専門家や技術者等の専門的知見を有する者(有識者)からアドバイス等を受けること。また、原子力関係の専門家や有識者からアドバイス等を受ける場合には、それらの者について具体的な提案をすること。
C 事業開始から1ヶ月程度で30問以上、事業終了時までには100問以上のQ&A集を作成すること。

【提案事項】
@ モニタリングの対象とする情報媒体(ツイッターは必須)
A モニタリングの具体的な方法と体制
B Q&A集を作成後、速やかに周知するための具体的な方法
C 想定される専門家や有識者
D これらを活用した新規提案


 最初の予算は、2億円でした。さて、この業務の落札業者についても新聞で報道されました。

エネ庁の原発情報監視 本年度7000万円で契約
経済産業省資源エネルギー庁が多額の税金を使い、原発に関するメディア情報を監視してきた問題で、一般市民が発するツイッターなどネット情報を監視する本年度の事業は、広告代理店「アサツーディ・ケイ」(ADK、東京都中央区)が約七千万円で落札・契約したことが二十七日、同庁への取材で分かった。

 同庁によると、入札には複数の団体が参加し、事業の提案内容と入札価格を総合的に評価してADKが落札した。事業の期間は来年三月末まで。

 この問題をめぐっては、同庁が昨年度までの三年間で、計約四千七百万円をかけ、新聞や雑誌などの原発記事をチェックする事業を、原発と関わりの深い公益法人などに発注してきたことも判明。

 海江田万里経産相は「予算があるからといって使い切る必要はない」と細野哲弘同庁長官に指示し、事業の見直しの可能性も示唆した。二十七日現在、同庁の担当課は「大臣談話は見ているが、入札が済んでいる事業であり、事業の終了時に適切な支出だったかしっかり見ていく」と、見直す考えはないとしている。

 ADKの担当者は、「福島第一原発事故の風評被害防止になる事業だと判断した。事業内容については委託された立場なので、同庁の出した事業を進めるだけ」と話している。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011072802000040.html
(すでにリンク先は、消去されています)

 コメント欄にまた、次のような記述がありました。ドイツ在住さんから(ありがとうございます)

工作員はいますね〜。
3.11後、少しして拙ブログに広瀬隆の記事を貼り付けたらなんだかものすごい数の非難コメントと削除願いが出され、ブログがしばらく閉じられてびっくりしました。

気持ちが悪かったのでその記事は削除してしまいましたが、、、今読んでもその記事は「すぐに石棺にして閉じ込めないといけない。それでも日本中が放射性物質で汚染されてしまうだろう。」と言う内容で、決しておかしな記事ではなかったのです。


 この記事が残っておられましたら、再度アップしていただけますか?こちらからもリンクをはりたいと思います。

ドイツ在住さんから回答をいただきました。(詳しくはコメント欄をどうぞ)どの国にも工作員はいる。

http://diamond.jp/articles/-/11514



ありがとうございました。動画は特にわかりやすく、解説されています。(ヘリコプターの水まきは、全く意味がないと)
このあたりには技術者なら全員分かっていますし、いい加減な私でも分かっていました。

 さらに、英語で工作する人間もいます。(Gunderson氏の和訳などでお世話になっているEX-SKF-JPさんから)

国立環境研究所によるヨウ素131、セシウム137積算沈降量シミュレーション
そうそう、英語ブログにこんなコメントが付いていました。

I am in japan & you need to know the truth
Radiation risks are very localised. The blanket generalisations printed daily by Japan Times are at best meaningless, at worst misleading.
As with anything in JP, gov is being extremely conservative, setting margins well beyond any rad expert would recommend


ということですので、皆様ご安心ください。(ご苦労様です。)ジャパンタイムズが何で突然出てくるのか分かりませんが、私がジャパンタイムズの記事を引用しているとでも思われたんでしょうか。(ちなみに英語ブログのニュースソースはほとんどが日本のメジャーな新聞・通信社ばかりです。読売、朝日、毎日、共同、時事、時たま産経など。)

 この英語の工作員の方は、ちゃんとした時給をもらっているんでしょうか。日本の英会話教室レベルの英語のようですから、そんなに高くはないんでしょうね。7000万円で英語サイトまで見るとは、落札したアサツーディケイも頭を抱えているんじゃないでしょうか。

 この記事をテレビで目にされたでしょうか。テレビ局でしたり顔をして、ニュースを解説している論説員が、非難したのを見たことがありますか?そういうことです。
 マスコミが、大事なニュースは全て報道していると思ったら、おおきな間違いです。

 何度も言いますように、この記事も鵜呑みにしてはいけません。経産省のホームページを必ず見て、私の言っていることが嘘か本当かを確認(私自身そうしています。)して、納得してください。とにかく自分で裏を取ること。そうしないと、だれかのことを盲目的に信じてしまう「カルト宗教」と変わらなくなります。

 HGさんをはじめとするネット工作員の方、この記事のコメント欄に記入していただけますか?

 なお、この委託仕様書を見て、しぶしぶtwitterを始めましたことを告白しておきます。(そそっかしいので、失言が怖いのです。何人もの芸能人、一般人が不用意なつぶやきで、大騒ぎになっているのを見ていますので・・・)-このため、twitterデビューが7.17なのです。

3.11以降、今まで我々が持っていた価値観が大きく壊されてしまいました。これも、その一環だと思います。我々は次世代のためにも強くならなければなりません。なにかを盲信することなく、自分で考え、そしてみんなで声を上げていきましょう。

工作員比率は、twitterの方が高い印象を受けます。そのような人の発言をブロックするようにして、各自自衛してください。(今回のエントリーである程度あぶり出されるはずです)

興味深いリンク先を教えていただきました。
GHQが戦後いかに日本人を虐げていたか。日本の戦後暗黒史ですね。
御参考
http://d.hatena.ne.jp/jjtaro_maru/20110817/1313548061

takehariy さん、ありがとうございます。

■関連ブログ
放射能を必要以上に怖がることは「エセ科学」=カルト宗教-新聞論説から2011.8.29
原発ネット情報を取り締まれ!!−政府委託2011.7.15
タグ:O
posted by いんちょう at 06:32 | Comment(29) | 原子力

セシウムは日本全国に降り注いだ

ワカサギから放射性セシウム=赤城山の大沼―群馬県時事通信 8月29日(月)22時7分配信
 群馬県の有名観光地の赤城山・大沼(前橋市)のワカサギから、国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を超える640ベクレルの放射性セシウムが検出されたと県が29日、発表した。
 県は安全性が確認されるまで、県内17カ所の湖や沼でのワカサギ釣り自粛や解禁日の延期を要請した。大沼では食用になるウグイやコイ、マス類も自粛の対象とした。
 水産庁によると、福島県以外で、淡水の魚から基準値を超える放射性セシウムが検出されたのは初めて。


このあたりの地理には疎い(もともと地理は苦手)ので、地図で直線距離を調べてみます。
2011083001.jpg

原発から200km程度離れています。この湖のワカサギにゆるゆるの暫定規制値を超えるセシウムが検出されました。遠く離れれば安全というのは全くの誤りであることが、証明されました。

 放射能マップは早川氏の作成されたマップがもっとも詳しい(一体、国はなにをしているのかと思います)から該当部を抜き出します。
2011083002.jpg
この地図で沼田の田 のあたりだと思います。この地図の正確性が証明されました。

 一体どこまで、放射能は飛散しているのでしょうか。実は、文科省が7月29日になってようやっと発表した「環境放射能水準調査結果(月間降下物)3〜5月分」があります。放射能銀が検出されていたりと、問題点多々あります

23年3月月間降下物
2011083003.jpg

23年4月月間降下物
2011083004.jpg

22年3月月間降下物(参考)..セシウム134はほとんど検出されていません。上記、セシウムは、福島由来である証拠でしょう。
2011083008.jpg

4月の方が降下物が多いことにまず驚かされます。九州、沖縄について抜き出します。
単位 MBq/km2 = Bq/m2
2011083005.jpg

以前紹介した月間降下物のグラフにあわせてみます。
2011083006.jpg
(注意:このグラフは対数グラフです。線を一つまたぐごとに10倍となります。従って、九州に降り注いだ放射能量は、昨年までの10-100倍。右上にあるつくば市の降下量は10,000-100,000倍。もっとも降下量の多かった1960年代と比べても10倍であることが読み取れます。ぴんと来ない方は、こちらのグラフをご覧ください。)

 関東には及びませんが、中国核実験の時並に降り注いだことがよくおわかりと思います。(だから安全とはいえません。熊本でものどが痛いと言われた方がやや多い印象を受けました−放射能と関係するかどうかは別−)熊本でもこの放射能値は、新聞報道されています。数値が一致していますので、この表は操作はされていないようです。(このあたりまで、一致させようとすると本当に高度な情報管理が必要となります。そういう意味でこの表は正しくまとめられています。何度も繰り返しますが、 どんなバカでも、本当のことはいえる のです。)

 放射能がほとんどない食べ物は、もはや保存食品しかないだろうと思いますが、保存食品だけで人間は生きていけません。ある程度は、許容せざるを得ない(チェルノブイリ後とおなじです)状況です。

 原発から1,600km以上離れた沖縄(熊本よりもむしろ多い)でさえ、ある一定量が観察されています。 なぜ、遠く離れていれば安全といえるのですか?私には大いに疑問です。

 自分がお住まいの地区にどれだけの量の放射性物質が降り続いたかを見て、月間降下物のグラフと比較になってみてください。どうでしょうか?あなたのお住まいの地区は、安全と思いますか?

・・こうして、ひとつひとつ数値を確認することで、報道のウソ・ホント を見抜けるようになれます。「核実験の時の大気とあまり変わりません。」この表現を今でも鵜呑みにしますか?

 何度も言います。私のブログも含めて他人の言っていることを盲信してはいけません。必ず、根拠を確かめて、自分で納得するようにしましょう。そうすれば、医師から
「大気核実験の時と変わらないので、心配ない。」
といわれても
「先生、大気核実験の数倍、数十倍の放射性降下物が東京では観察されているんですよ。もう少しきちんと勉強してください。」
と、確信を持って言い返せるようになります。(それで怒るような先生ならば、もう受診しない方がいいと思います。患者の言うことに耳を傾けられない医者は、本当の医者とはいえません。)

2011.7.17 に開始した twitterのfollowerが、昨日 1,000を超えました。ありがとうございます。
2011083007.jpg

■関連ブログ
大気放射能の推移と米国行き飛行機の被曝量2011.8.12
熊本でも、セシウム検出2011.5.19
タグ:P
posted by いんちょう at 01:41 | Comment(4) | 原子力

2011年08月29日

放射能を必要以上に怖がることは「エセ科学」=カルト宗教-新聞論説から

 医学生はおよそ2年をかけて、全ての診療科を回ります。興味を引く科があれば、どうでもいいと思うような科がある。そして、それは人によって異なります。
 わたしは学生時代から、患者さんと話をするのが好きでしたので、ポリクリ(臨床実習のこと)中に担当した患者さんは、個人的回診と称して、ポリクリが終わってからも病室にお邪魔していました。ポリクリで担当した患者さんがいつ退院したかは、ほぼ全員押さえてました。こんなことをやっている医学生は私だけだったと思います。。
 先天性の病気を持っている小児科の子どもとは仲良くなって、おうちに友人であるエジプト人と一緒に遊びに行ったこともあります。天草の漁師の家庭で、少しだけ湾内を案内していただきました。今はもう30歳近くになっているはずです。元気にされておられますでしょうか。

 さて、私がもっとも疲労困憊した科と言えば、それは間違いなく精神科です。

それは、なぜでしょう。

ほんとうのこととウソのことが混じってしまうので、こちらの精神が揺さぶられてしまうのです。

 例えば、
「俺は三島由紀夫の金閣寺の執筆を教えてやった。」(これはウソ)
と自分がある程度知っている話はいいのですが、やや苦手な分野、、例えば詩とか絵画とかそんなところ・・岡本太郎と言われればよく分かるが、橘駿太郎 などと実在の人物かどうか分からないような人の名前が出てきて、さもお世話になったかのように話す。あるいは、その人の作品の寸評などを話す。そして突如として、徳光さんアナから電波の指令を受けて、いまここにいる。
と、突拍子もない話をしたかと思うと、
(患者)「小野さんが来ると、ここは天国のようになります。」
(私)「どのあたりがですか?」
(患者)「ほら、窓の外がほわーと明るくなるでしょ。だから、私には分かるんです。」
という話が出てくる。とにかく、ほんとうかウソか分からずに精神が乱され、とんでもなく精神的な疲労感がたまるのです。

 こういった面(ホントと嘘とがよく分からない範囲で交差すると思考がストップする)が人間にはあると思いました。

「ホントと嘘が微妙に入り交じった文章」の好例として、本日の熊日朝刊の記事をあげてみます。(精神疾患とは、全く関係がありません。組織に属していない私的なブログですので、名誉毀損などで訴えられるような話ではないと思いますが、一応念のため記述しておきます。たんに「ホントとウソが微妙に混じると、人は自分の判断を停止してしまう」例の一つとして、上記疾患を取り上げたに過ぎません。)

 江川紹子氏・・この方はオウム真理教事件で大変有名な方です。
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 日本は、そして自分の暮らしは大丈夫なのか−。人びとの不安は高まる一方だ。そんな中で、これ幸いと活動を活発化させる人たちがいる。彼らにとって、人びとの不安はエネルギー源であり飯の種でもある。
 一人で不安におびえる人に、彼らは優しく、親身になって近づく。長い話にもじっくり耳を傾ける。そうして「この人はほんとうに私のことを心配してくれている」という信頼が芽生え、「この人の言うことは正しい」となり、「この人が信じているもの(団体、人)もきっと真理(真実、正義、正解など)に違いない」と言う確信となるのに、それほど時間はかからない。
(中略)
 やっかいなのは、これらの組織や活動に取り込まれた被害者は、熱心な信奉者になって行くにつれて、他の人を勧誘する加害者になっていくことだ。心から良い組織や活動と神事、人を騙そうとか、不安につけ込もうという悪意はない。なまじ善意なだけ、新たな被害者を生みやすい。


 これは、オウム真理教の取材経験から書かれた文章でしょう。取材を長年されておられただけあり、文章に迫力があります。なにが真実かをはっきりとらえていないと、どうとでもとれます。江川氏は、どうかんがえているのでしょうか。次の文に筆者の考えが出ます。

 世に蔓延する不安の中でも、原発事故による放射能不安はとりわけ深刻だ。政府が「直ちに健康に影響はない」と言う線量でも、「影響が出る可能性がある」と危険性を強調する専門家もいる。
 福島県では、放射能を心配するストレスで、不眠、頭痛、動悸などを訴えて、精神科を受診する人が急増している、という。


 雲行きが怪しくなってきました。「直ちに健康に影響はない」という言葉は、もちろん「即死」という意味ではありませんが、今当時を振り返りますと、ほとんどウソであったのは明らかです。早過ぎたレポートをご覧ください。1mSv/hrが健康に影響がないはずがありません。
 また、すくなくとも動悸で精神科を受診するのは間違いです。まず、内科的な疾患がないかを確認した上で、異常がなければ精神科に行くべきです。不整脈・心不全は、放射能被曝によって、もっとも起こりやすい症状であって、これを単にストレスで片付けてしまうのは、おおきな誤りです。

 医師が

ストレスが原因ですね

と言うときは、

原因が分かりません

と言う意味なのです。

 いきなりの精神科受診は、あまりにも乱暴で、医学的に決して許されない話です。放射能被曝をこんなに簡単に考えていただいては、ほんとうに困ります。前後の文章が正しいだけに、通常の人はこの精神科受診の下りも信じてしまいます。(このような症状の時には、精神科を受診すべきなんだとかんがえてしまう)

(中略)

国が「安全」と言って推し進めてきた原発によって、かくもおおきな被害が生まれたのだ。事故当初の政府の説明も自体を過小評価するもので信用できないと思っている人が少なくないのに、国のお墨付きを持ち出しても何の説得力もない。


 まさしくその通り、私も全面的に同意します。

 そういう状況の中で、不安を抱く人たちの心をとらえ始めているのが、化学を装ったエセ科学だ。例えば、不安を抱く人びとに共感した上で、被災地から遠く離れた場所での鼻血や下痢も、内部被曝のためだと説明し、特定の酵素や菌、あるいは特別の水を接するすると放射能の値が下がるなどと宣伝する。

 この文章は、大変問題です。

被災地から遠く離れた場所での鼻血や下痢も、内部被曝のためだと説明

具体的には、東京などを指しているのでしょうか。放射能は、放射能雨などになって地表に降り注ぎます。そして、それは、距離ではなく、地形、風向、天候などその時の気象に大きく左右されます。

遠く離れている = 放射能がない

訳ではありません。実際、柏、三郷などにはホットスポットと呼ばれる高線量地区があります。この点を全く無視しています。

そして、この事実を矮小化した記述に引き続いて、「特定の酵素などが放射能に効く」という常識のある人ならば、誰が考えてもウソだと考える文章が続きます。

この文章の微妙な論旨のすりかえによって、

被災地から遠く離れた場所での鼻血や下痢も、内部被曝のためだと説明

という事実も読者はウソだと感じるようになります。

さらに筆者は、念押しします。

エセ科学にも影響され、金銭的な損害を受けるだけではなく、子どもに乳製品を与える代わりに、腐敗した豆乳を与えてしまった親もいるようで、放射能よりもこちらの健康被害が心配される。

たしかにこれは、おおきな問題です。ここまで文章を読み続けた読者が

被災地から遠く離れた場所での鼻血や下痢も、内部被曝のためだと説明

もウソだと断定してしまうのは、もはや疑いはありません。

このようなエセ科学に引き寄せられた人に、「あなたはまちがっている」と科学データを突きつけても反発されるだけで、その反応はカルト宗教に心を支配された人たちに近い。

 今回の文章でもっとも注意すべき一文だと思います。

ここまで読んだ読者は

放射能を心配する人たち = エセ科学に心を奪われた人

とステレオタイプ化します。

放射能を心配する人たちが、いくら理を尽くして説明しても、「彼らは、カルト宗教に心を支配された人たち」だ。我々は、それに騙されないようにしなければならないと、いま日本で進行している放射能汚染の被害からも目を背けるように仕向けています。
 外国人−例えば、グリーンピース−が福島で行われていることは、信じられないと言っても、頭の中では、

グリーンピース = 反捕鯨 = 日本を敵視する勢力 = 信じてはいけない

と判断して、話していることを全く無視させます。何しろ、カルト宗教を布教しているのがこのグリーンピースなのですから、話をきいたら洗脳されると思ってしまうのでしょう。(そのように判断させるようにこの文章は大変巧妙に書かれています。)

 こんな文章を書かれてしまいますと、お母さんが自分の子どもを守りたい一心で放射能の危険をみんなに話しているのに、最初から「ああ、あの人は、放射能こわいのカルト宗教だ」とレッテルを貼らせ、話を聞かないように仕向けているのです。

 そして、

 今後、こうした不安を食べていく組織や活動、エセ科学は、さらに拡大していく可能性がある。

 私から言わせると当たり前です。内部被曝の危険性を全く無視して、汚染された土地に人を平気で住まわせ、汚染された野菜を平気で食べさせれば、日本全国で放射能被害が起き、信じられない数の被ばくが起きるのは火を見るより明らかです。日本にもはや安全な土地はないと言っていいでしょう。当然の帰結として放射能汚染に対する反対運動は、全国に広がります。その運動をエセ科学とステレオタイプ化させようとしています。読者にはこういったエセ科学には与しないようにと言うわけです。

最後の文章
私たち一人一人にできることは多くはないが、せめて、身の回りにいる人の不安な気持ちには、できるだけ共感し、寄り添っていくように心がけたい。

 これは、誰が聞いても正しい。その通りです。

 何となく文章の構成が分かりました。

・始まりの文章は、誰が読んでも正しいことを書く。
・文章の途中までは、自分の意見とは反対の意見をただしいかのように記述する。
・本来はただしい意見を、突拍子もないとんでもないことと結びつけることによって、ただしい意見も間違いだといった印象を植え付ける。
・最後には、また誰が読んでもただしい意見を述べる

なんと恐ろしい話ではありませんか。

 この文章を読まれた「放射能を恐れるお母さん」たちの心がずたずたにされるのが目に見えるようです。そして、わずかに放射能の不安を感じていた人たちもまた、政府の発表を信じてしまう従順な日本人となってしまうことでしょう。

 最後にお願いがあります。いろいろな方のブログを読んで、その通りと思われましたら、コメント欄に感想を書くようにしましょう。今のままでは、正しいことを書いてあるブログ、紹介しているtwitterで論旨をすり替える工作員が発言を行い、それが優勢となってしまい、日本全体が沈没してしまいます。「放射能をただしく怖がる」は、私に言わせると推進派の洗脳−マインドコントロール−の言葉です。この言葉を発言した時点で、その発言者がどういう主旨の発言をしようとしているのか、手に取るように分かります。
 あやふやな知識ではしてやられます。(今回の論説で明らかです)放射能に対してある程度の知識を得ること。そして、経験者の心からの叫び、訴えに真剣に耳を傾けること。(橋爪文さんの話チェルノブイリハート)そして、その内容を心から納得すること。疑う心は必要ですが、真実は一つです。以前から不思議に思っていたことが、全く別の解説で腑に落ちた場合には、それこそが真実であることを意味します。

 少し話がずれました。ブログにコメントを書く。(もちろん、ペンネームでいい−いろいろなブログすべてでおなじペンネームがいいでしょう。あちこちで見かけるペンネームで親近感がわくようになります−)そういって書いていくことで
・日本語の文章が説得力を持って書けるようになる(練習が大事)
・同じような考えを持っている人が多いことが分かり、それが励みになる
・工作員の書き込みが、だんだんと浮いてきて、みんな騙されなくなる。
・ブログを書いている筆者の励みになる(工作員と違って、みんなほとんど手弁当)

 これが、今のようにほとんどコメントがつかない状況(まあ、私の文章がつまらんと言われれば、返す言葉がありません)では、工作員が一人書き込んだだけで、全体の文章の信頼性が揺るがされてしまいます。 (私もできるだけ検閲はしたくありません)
 彼らはマスコミを自由自在に使います。わたしには、そのような力は全くありません。

 小さくてもいい、みんなで声を上げないとならない時期に来ています。
この記事に対してもまた、巧妙なtwitterがとびました。
「放射能を怖がるのではなく、嫌がるのです」
「我々素人は、ほどほどに怖がった方がいいかも」

 いろいろなブログを読んで、その通りと思われたなら、一行でもいい、感想を残しましょう。コメントを読むことで勇気をもらい、感想を書くことでコメントを読む方を逆に励ますことになります。声を上げなければ、世の中は変わりません。そして、正しいからといっても、全員が簡単に受け入れてくれるわけではないのも、これまた当然のことなのです。(十分おわかりでしょう)

■関連ブログ
世界中のみなさん、反原発に向けて立ち上がりましょう 橋爪 文(原爆被ばく者)2011.8.23
2011/3/13 高濃度汚染地区の迫真動画・・早過ぎたレポート2011.8.22
「原爆体験を世界に」橋爪文〜NHKラジオ深夜便から2011.8.21
原子力発電入門(8)−核分裂生成物の半減期と病気2011.8.15
福島はまるで別世界・・グリーンピース2011.8.9
原発ネット情報を取り締まれ!!−政府委託2011.7.15
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posted by いんちょう at 00:30 | Comment(240) | 原子力

2011年08月28日

白血病入門(4)治療その1−化学療法−骨髄移植の前準備

手塚治虫 第30話 ピノコ生きているから

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 この漫画を読まれた方は、このシーンが記憶として残っておられると思います。血液を交換すれば、白血病は治るのでしょうか?

 以降、現在の治療法について簡単に説明します(専門医の先生方、添削をお願いいたします)

白血病の型(急性リンパ性白血病−小児に多い−か、急性骨髄性白血病−成人に多い)かを決めるために骨髄検査をします。
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この説明図では、おしり−腸骨−から取っておりますが、わたしの研修医時代は、胸骨から取っていました(採取場所は、医療機関によって異なります)数え切れないくらい行った手技ですが、患者さんの中は「魂を取られるような気がする」と言われる方もおられました。。医学生の中には変わったやつもいて、正常骨髄標本作製のアルバイトとして5,000-8,000円程度−詳しくは忘れた−をもらって、骨髄を採取されたやつもいました。「もう、2回目は絶対しない」との感想でした。(時々、医学部のある大学ではバイトとして張り出されるようです)
 しかしながら、どうしても必要な検査ですので、疑われた場合はこの検査をするしかありません。ある程度の侵襲を伴う手技ですので、必要と判断したときしか行いません。表面麻酔などをかけ、痛くないように心がけていますが、針を刺すときではなく、骨髄を「えいっ」と空の注射器で吸うときに痛みが来ます。

 診断がついたあとに、次の流れとなります。
2011082804.jpg
はじめに薬物療法が来ます。
この薬物療法で白血病細胞を殺さない限り、造血幹細胞移植(骨髄移植)のステップには進めないのです。

 そして、この薬物療法のもっとも大変なことが、治療そのものではなく、その下に書いてある支持療法なのは白血病の治療を行った医師ならば、全員が知っていることです。
・白血球が低下することによる日和見(ひよりみ)感染−人工的にAIDSに近い状態となります
・血小板減少による出血
・赤血球減少による貧血
・悪心、嘔吐にともなう食欲減退
・凝固系異常による−播種性血管内凝固症候群−(簡単には説明できませんのでWikiを紹介します。理解できるのは、医師のみかとおもいますが。私もあまりよく理解できていない病態です)
この対応のために、担当医は昼も夜もなくなります。

しかしおかしいと思いませんか?これは、白血病に伴う症状
・白血球減少
・貧血
・血小板減少
を助長しています。あきらかに矛盾しています。

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つまり、血液の工場を破壊してしまい、たりなくなったら
・輸血
・血小板輸血
を行い、感染症には抗生物質、抗ウイルス剤を投与して、自分の骨髄が回復を待ちます。回復しない限り、支持療法を続けるしかありません。この病態を悪化させる方向で治療を行うしかないところが、白血病の治療が大変な理由の一つです。

白血病の治療は、基本的には化学療法で白血病細胞をゼロにします
2011082807.jpg
入院当初は、白血病細胞が約1kgあるとされます。寛解導入療法で、骨髄の中で、未熟な細胞が5%以下(施設によって、この診断基準は異なります。確か熊大二内科では3%としていたような記憶があります)−重量で1g以下−になった場合を完全寛解(CR: complete remission)と呼びます。一回の寛解導入療法でこの完全寛解までなればよいのですが、抗がん剤の効きやすい白血病(t(8;21)、inv161、t(15;17)1)-専門医による訂正-の場合が1回で済むくらいで、この完全寛解に持ち込むのはかなり大変です。私の担当した50代の患者も1回では完全寛解に持ち込めず、大量の化学療法を2回してどうにか完全寛解となりました。この完全寛解しにくい白血病というのは、残念ながらやはり予後も悪いのです。

 私が研修医の時には、化学療法で完全寛解になった症例は、他者から(近親者)の骨髄移植を国立病院に依頼していました。今はどうなのでしょうか?

2011082808.jpg
治療にはほぼ年のオーダーが必要となり、その後も1ヶ月に1回程度の外来受診が必要となります。

>■白血病入門シリーズ
白血病入門(1)熊大の研修医時代2011.8.20
白血病入門(2)初期症状と血液データの読み方2011.8.23
白血病入門(3)白血病の種類と原因2011.8.25
タグ:白血病
posted by いんちょう at 10:06 | Comment(3) | 原子力

2011年08月27日

100mSv安全の根拠-原爆の知見を信用しますか?(60万アクセス)

放射能と暮らす(8)被曝対策、市民参加が大切
2011082703.jpg
 「100ミリ・シーベルトまでは問題ないと言う人もいれば、危ないと言う人もいる。何が本当なのか、よくわかりません」。東京都の主婦(37)は、不安げに話す。

 この主婦の不安は当然だ。100ミリ・シーベルトより低い放射線の影響がどれほどなのか、はっきりしていないからだ。

 放射線の健康影響の土台になっているのは、広島・長崎の被爆者の追跡調査だ。放射線影響研究所(広島市)が、被爆者約9万4000人と、広島・長崎在住だが原爆爆発時に市内にいなかった約2万7000人の計約12万人を現在も継続して調査している。

 最初に影響が出たのは白血病で、原爆の2年後から増え始め、6〜8年後に最も増えた。ただし、被曝(ひばく)量が5〜100ミリ・シーベルトだった約3万400人では、被曝が原因とみられる白血病の死者は4人で、明らかに増えたかどうかはわからなかった。白血病以外のがんは、25年後の1970年ごろまで明らかな増加はみられなかった。

 現在では、1000ミリ・シーベルトの被曝をした人は平均して、被曝していない人に比べ、がんの発症率が1・5倍高く、被曝量とがんの発症率はほぼ比例関係にある。だが、被曝量が少ないほど被曝していない人との差は小さくなる。同研究所主席研究員の中村典(のり)さんは「実際には何らかの影響があるのだろうが、12万人の調査で統計的に差が出るのは、100〜200ミリ・シーベルトくらいまで」と話す。それ以下の量の被曝では、どの程度の影響があるのかはっきりしないという。

 100ミリ・シーベルト未満の放射線の影響は動物実験などからの推定になるが、専門家の間でも意見は分かれる。〈1〉低い放射線量でも、量に比例して発がん率は増える〈2〉一定量以下の放射線はまったく影響を与えない〈3〉放射線量が低いからといって発がんの危険はあまり減らない――などの説がある。

 同研究所の調査から推計すると、100ミリ・シーベルトを1度に被曝した時の生涯の発がん率の増加は1・05倍程度になる。それを多いとみるか、少ないとみるかは、個人によって受け取り方が違う。科学技術社会論が専門の東京大学教授、藤垣裕子さんは「どこまでを許容するかを決めるのは、社会であり市民自身」と話す。

 チェルノブイリ事故後の欧州では、住民が加わって被曝の低減に取り組んだ。日本でも今回、住民自らが周囲の放射線量を測定したり、放射線量の高い場所を除染したりといった取り組みが進んでいる。

 「『ただちに影響はない』といった上からの一方的なメッセージではなく、被曝放射線量への対策なども市民が参加して決めることが納得や理解につながる」と藤垣さんは話している。(中島久美子、館林牧子、野村昌玄)

(2011年8月18日 読売新聞)


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・読売新聞 正力氏が原発推進
放射線影響研究所  ABCC(米国)が前身

 この2つだけで、どんな内容になっているかは、読まずとも分かります。この研究こそが、100mSv安全の根拠となっているのです。

ABCCの設立は、1947年。原爆が投下されたのは、1945年 2年以上経過しています。原爆投下直後は、やけどなどの全身熱傷でなくなる方も多かったと思われます。

その原爆投下直後の状況については、「原爆体験を世界に」橋爪文〜NHKラジオ深夜便からをお聞きになってください(後半部分)あの終戦の時期に2年間生き延びられたのは、いったいどれだけの方でしょう。つまり、この研究は1947年当時に生きておられた方を母集団としており、それ以前になくなられた方は全く含まれません。当時のことです、白血病を発症していたとしても

・この子は食事を満足にとれなかったから、栄養失調で死んでしまった。こんなにやせ細ってしまって・・ほんとうに申し訳ない
・ちょっとした打ち所が悪くて、死んでしまった(おそらく、血小板減少による易出血性)

そういった理由で調査されることもなく他界されてしまった方々が数多くいたのは間違いありません。(橋爪さんの話をお聞きになってください)

 2年経ち、そういった方がふるいにかけられたあとで、この研究が行われました。その状態でも、1.05 倍に増えてしまっているのです。たかが、5%でしょうか。

40名のクラスで言えば、2名に当たります。わたしの小学校、中学校、高校の同級生でガンでなくなったのは、今までたったの2名です。それが、20名以上になるのですから、それはもうそれだけでも信じられないことです。

 また、この研究は一回の原爆投下だけですから、

100ミリ・シーベルトを1度に被曝した時の生涯の発がん率の増加は1・05倍程度になる。

と言う表現になります。すなわち、今回の原子力災害のように1年間継続して100mSvに当たる線量を被曝し、そして将来にわたって毎年被曝する集団などは今までいなかったのです。(そんなことをしたら、殺人罪でその責任者は告訴されます)1年間立てば、DNAは修復するので大丈夫というのは、全く根拠のない話だとわたしには思えます。(根拠があるならば、教えていただきたい)
 被曝は蓄積するという考え方が主流ですし、そういった放射線管理を今までしてきています。(生涯にわたる積算被曝量と、疾患の関係を疫学調査しています)

原子力発電施設等 放射線業務従事者等に係る疫学的調査(平成17年から平成21年) p.32から
2011082705.jpg

この表を見てください。20万人を超える職業的被曝の大規模調査ですら、累積被曝量 10mSv未満の区分が74%を占めているのです。(わたしも、この集団に入ります)この表を見て、驚かない東日本の方がおられますでしょうか?(わたし自身、今大変驚いています)累積で20mSvを超える被曝をしている人すら、16%(33,950人)しかいないのですよ。この部分にほとんどの福島の人が入るのではないでしょうか。その数約200万人。あり得ません。許されるような疫学調査ではないと私は思います。

下記は、白血病発症の解析資料です。
2011082704.jpg
これによると、有意差は一応出ていません。
ただし、これは外部被曝のみの線量です。原子力発電所では、福島中通り地区の汚染がありましたら、全面マスクをしなければ、仕事ができません。汚染区域で全面マスクをせず、内部被曝をさせた場合の統計などは、もちろんこの世の中にはありません。

山下氏がつい、

山下:200万人の福島県民全員です。科学界に記録を打ち立てる大規模な研究になります。

と口を滑らせたのです。この100mSvは広島・長崎のABCC研究から導かれたものですが、100mSvはそもそも、

シュ:住民がリラックスしやすいようにと、年間100ミリシーベルト被曝しても大丈夫だともおっしゃっている。通常それは原発労働者の緊急時の被曝上限だと思うが

とドイツの記者が指摘しているように、これ以上では明らかに危険だから職業被曝はこれを限度としようという話なのです。
 毎年、100mSvを浴びて大丈夫などということはどこの教科書にも書いてありません。

山下:100mSvでも大丈夫だから心配いらない、などとは言っていません。ただ、100mSv未満ではがん発症率の上昇が証明できていない、と話しただけです。これは広島、長崎、チェルノブイリの調査から得られた事実です。

と本人も話しています。

チェルノブイリは、年間5mSv以上となる線量区分のところは居住禁止とし、立ち入り規制を今でもかけていますが、それでも皆様ご存じの通りの有様です。福島では、このような居住制限は一切せず、20mSv/yearまでは全く問題ないと説明し、故郷を離れるストレスの方が危険。と話しています。

これでは、欧米人が ここは別世界( 'It was like visiting another universe' )といっているのは当然です。今まで人類がしたことのない経験を、住民が危険性を全く知らないまま、行わせているのですから。

 チェルノブイリ以上の悲惨な状態が起きないか、わたしは心配でなりません。


 なお、影が薄いのですが、日本医師会は下記の文書を2011.5.12にプレスしています。

平成23 年5 月12 日

文部科学省「福島県内の学校・校庭等の利用判断における暫定的な考え方」に対する日本医師会の見解
社団法人 日本医師会

 文部科学省は、4 月19 日付けで、福島県内の学校の校庭利用等に係る限界放射線量を示す通知を福島県知事、福島県教育委員会等に対して発出した。
 この通知では、幼児、児童、生徒が受ける放射線量の限界を年間20 ミリシーベルトと暫定的に規定している。そこから16 時間が屋内(木造)、8 時間が屋外という生活パターンを想定して、1 時間当たりの限界空間線量率を屋外3.8 マイクロシーベルト、屋内1.52 マイクロシーベルトとし、これを下回る学校では年間20 ミリシーベルトを超えることはないとしている。

 しかし、そもそもこの数値の根拠としている国際放射線防護委員会(ICRP )が3 月21 日に発表した声明では「今回のような非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベルとして、1〜20 ミリシーベルト/年の範囲で考えることも可能」としているにすぎない。
 この1〜20 ミリシーベルトを最大値の20 ミリシーベルトとして扱った科学的根拠が不明確である。また成人と比較し、成長期にある子どもたちの放射線感受性の高さを考慮すると、国の対応はより慎重であるべきと考える。
 成人についてももちろんであるが、とくに小児については、可能な限り放射線被曝量を減らすことに最大限の努力をすることが国の責務であり、これにより子どもたちの生命と健康を守ることこそが求められている。
 国は幼稚園・保育園の園庭、学校の校庭、公園等の表面の土を入れ替えるなど環境の改善方法について、福島県下の学校等の設置者に対して検討を進めるよう通知を出したが、国として責任をもって対応することが必要である。
 国ができうる最速・最大の方法で、子どもたちの放射線被曝量の減少に努めることを強く求めるものである。


手短に言いますと、とくに小児にとっては、年間20mSvは高すぎる。ということです。

 どこかのブログで、小児科の先生から「100mSvまでは大丈夫なんだから、がたがた言うな」と怒られたとかいてありました。
 現在の医師は、日本医師会の言うことなど聞きはしませんが、それでもこの文書を医師会が出していると言うことは、医師全員が知らなければなりません。(おそらく、ほとんどの医師は知らないはずです)その上で各医師が判断し、「俺は、100mSvまで安全だ。」と言うのならば仕方はありません。わたしには信じられないことですが、主義主張は各人の自由ですから、強制することはできません。
 医師を選ぶ権利は、患者側にあるのですから。

 今回のブログは、わたし自身大変な衝撃を受けたことを再度ここに書いておきます。

60万アクセスありがとうございました。
■関連ブログ
「原爆体験を世界に」橋爪文〜NHKラジオ深夜便から2011.8.21
残るか去るかは住民自身が判断しなくてはなりません。-山下俊一2011.8.21
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セシウム牛は要全面マスク域で飼育中だった・・2011.7.13
フィルムバッジを持つということ(放射線管理の長い手)2011.6.25

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3号機の爆発−どう考えても核?(50万アクセス)2011.8.10
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タグ:P 内部被曝
posted by いんちょう at 21:29 | Comment(6) | 原子力

2011年08月26日

40代男性原因不明の肺水腫で入院・・震災以降、福島・岩手方面で作業に従事

(原発との明確な因果関係はもちろん不明です)
生来健康な40代男性が7月上旬に原因不明の肺水腫で入院

自宅・・関東
福島・・4月上旬
岩手・・4月下旬、5月中旬、6月上旬

 6月下旬には、1時間くらいのジョギングが可能であった。

6月末には風邪で38.0℃程度の発熱があり、数日寝込んだ。

7月中旬に身体が急にむくみ、ちょっと歩いたら息切れ、胸の痛みが起こるようになった。足首がかなり腫れ、体重が

73kg ->81kg(+8kg)

と急激に上昇。病院を受診したところ肺水腫を認め、ただちに入院となった。

感染後腎炎を疑ったが、補体価などは上昇していなかった

SpO2 91-92%(Room air)

入院時胸部レントゲン
2011082601.jpg2011082602.jpg
正常な胸部レントゲン
2011082604.jpg
(筆者注)
・心臓の拡大
・肺の辺縁〈C-P angle)が丸くなっている。
=>肺水腫、心不全(これは病態名)


血液検査では、甲状腺ホルモンも含め、全く異常なし。検尿でも尿タンパクの増加はほとんどなし。
心エコーでも心臓の動きには異常を認めない。

酸素吸入、点滴+利尿剤で治療を実施

入院後数日は、本を読むことすらできない倦怠感があった。

約1週間で退院となった。

入院後4日目の胸部レントゲン
2011082603.jpg

現在は回復し、職務に復帰。

最終的に、原因は不明であった。


以上のレポートをもらいました。

わたしからのコメント。
・原発事故との関連性は不明(否定することも、肯定することもできません)
・東北地方で心不全による若年死亡(30-50代)の報告が出てきている。もちろん、関連性は不明だが、上記のように肺水腫となっている可能性がある。
・心臓、肺の病気はそれこそ一刻の猶予もない。急激な体重増加、身体のむくみ、息切れ、身体を動かしたときの胸部の痛みなどを感じた場合は、早急に医療機関を受診してください。

この症例は信頼できる筋からのものですから、症例の信憑性についてのコメントは記入しないでください。

 症状等についての質問についてはもちろん受け付けます。

2011.8.26コメント欄(scohoconekoさん)より
猫なんですが。。
全く同じ、原因不明の肺水腫になっています。東京在住です。
この方と違うのは東北、福島へは行っていません。
5月下旬から頻呼吸になり入退院を繰り返し、現在も入院中です。
心臓エコー、甲状腺検査で問題はなく心臓病、甲状腺障害の可能性は外されています。
感電したり溺れたり煙を吸ったりこともありません。
原因がわからず対処療法でしのいでいる状態です。


scohoconeko さん、ご報告ありがとうございました。
何度も繰り返しますが、原発との関連性は不明です。

 このブログは、わたし個人の責任で書いています。学会発表ではありません。このブログを見る方ご自身で真実かどうかはご判断ください。便所の落書きとは言いませんが、ここに書かれているから正しいのだと引用されるのはおおきな間違いです。引用される場合には、ご自分の責任(ご自分が納得した上で)でブログにお書きください。あとになって騙された・・・といわれても、責任などはとれません。もちろん、わたしも間違えることはありますから、これはおかしいぞと思われたら、コメント欄でご指摘ください。
 東京電力につとめていたのは15年以上前です。今現在東電社内から、直接リークの形で情報をもらっているわけでもはありません(そんなやばい内容を書くような勇気などはありません)
・一般報道
・公開されているブログ情報
・志をおなじとする医師グループからの情報
を元にブログを書いています。

 複数の担当者が携わって出版されている新聞、週刊誌 と同等の正確性をこのブログに期待されているとするならばそれはおおきな間違いです。批判の目を持って読んでいただくよう、再度お願いいたします。

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posted by いんちょう at 09:02 | Comment(12) | 原子力

2011年08月25日

白血病入門(3)白血病の種類と原因

1回目に白血病の症例を一人ご紹介しました。この方は30代〜50代で、福島原発との関連は不明です。(福島の大熊町−福島第一原発立地点−とつながりがある方で、関東地方在住だったようです。ブログ
昨日月曜日、骨髄検査の結果が出ました。病名は急性白血病との診断結果です。

急性白血病には骨髄性、リンパ性と分かれ、それぞれタイプがあり、治療方法も異なるようですが、その種別確定には病理検査にあと数日かかるようです。

・・病理検査->人間が目で見て判断するということです。全自動の機械で診断できるわけではありません。

 年齢から判断して、おそらく急性骨髄性白血病だと思われます。

次に、この報告が出てきました。

・原発にわりかし近いところの2歳の子どもが、急性リンパ性白血病になった
・次の人の被害を防ぐためにも、東京電力を訴えるべき
書き起こしを追記に載せています。

 いずれも、原発との関連性は不明です。わたしがこのエントリーで言いたいのは、大人が急性骨髄性白血病になり、子どもが急性リンパ性白血病になるということです。

骨髄性とリンパ性の白血病が出てきました。やはり、この2つは区別して説明しないといけなかったようです。
各種がん−白血病から
2011082501.jpg
一番左を見てください。
多機能性幹細胞から、
・リンパ系幹細胞 --->急性リンパ性白血病
・骨髄系幹細胞  --->急性骨髄性白血病
に分かれます。

急性骨髄性白血病・・・50歳以上の成人に多い
急性リンパ性白血病・・10歳未満、とくに幼児(2〜4歳)に多い。

と、上記報告と矛盾しません。

なぜ、ガンになるのか。
2011082502.jpg

はっきりとした原因は分かっていませんが、放射能の影響はリスク因子の一つです。今回紹介した2つの白血病(急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病)ともウイルスなどの特定はされていません。従って、感染もしません。

(前回のQ&Aから)
 腫瘍性の変化を起こすには、細胞の遺伝子のうち増殖、分化を司る遺伝子が複数個(3〜4)損傷される必要がある。さらに、免疫力によっても左右される。例えば、T-cell(リンパ球)が損傷されている場合には数週間。増殖能力の落ちた高齢者では、半年程度になることもある。20〜50代であれば細胞分裂も盛んであり、通常は2〜3ヶ月程度と考えて良いのではないか。

 この話も武田先生の音声の中に出てくる説明と矛盾していませんね。

・急性白血病は、無治療のまま経過すると3ヶ月で死亡します。
1例目の症例も、
8月1日・・急性白血病と診断
8月9日・・他界
と現代の医学を持ってしても、治療が全く追いつきませんでした。血液は毎日入れ替わっており、人体の中でももっとも細胞分裂が盛んな細胞なのです。それがガン化してしまったときのスピードは、臓器ガン(肺がん、膵臓ガン、大腸ガン、肝臓ガン、子宮ガン、乳がんなど)とは比較になりません。この一刻の猶予も許されないところが、血液疾患の難しさでありますし、またそれだけに治療に熱が入るところだと思います。(病名が分かった当日に即入院となり、その日のうちから化学療法を開始します。)臓器ガンのように入院予定日を決めるような余裕は、一切ありません。
 わたしが担当した50代女性の方は、外来受診後、自宅に戻ることもなく、着の身着のままで入院・治療開始となりました。
(補足)入院当日から治療開始になるのは、自分で骨髄像を見ることができる血液専門医がいる場合だけです。この骨髄像を見ることができるようになるまでには、10年程度の臨床経験は必要でしょう。(もはや、職人の世界です)

 早期に発見するには、血液検査で、血液像を定期的(半年に一度?)に取っていくしかないと思います。また、前回紹介したような症状が見られた方は、早めに医療機関で検査されることをおすすめします。この際に、血液像も含めた検査を依頼されると良いかと思います。

・貧血のような症状がある(立ったときにクラッとする)
・血が止まりにくい

と症状を説明すれば、保険が適応されます。

白血病が心配なので、血液検査をしてほしい」では、「健康診断は、保険の適応ではありません。」と言うことになります。

放射能による内部被曝の危険性を理解している医師は、残念ながらほとんどいない印象を受けます。ざっくばらんにいろいろなことを気兼ねなく話せる先生、あるいは昔からかかりつけで頼み事のしやすい先生などを口コミで探していくしかないような気がします。(わたしも関東、東北における個別医院の情報は全く分かりません)
 血液検査のみの費用ですと、約2,500円程度(保険適応で)程度です。自費(健康診断)でその3倍程度。自費の場合は、各医療機関によってもちろん異なります(定価はありません)。

それにしても、白血病は難しい。久しぶりに、大学時代の教科書を開きましたが、術語を覚えているだけです。頭を抱えながら、わたしも勉強しています。

■白血病入門シリーズ
白血病入門(1)熊大の研修医時代2011.8.20
白血病入門(2)初期症状と血液データの読み方2011.8.23

世界中のみなさん、反原発に向けて立ち上がりましょう 橋爪 文(原爆被ばく者)2011.8.23
「原爆体験を世界に」橋爪文〜NHKラジオ深夜便から2011.8.21
松本市長 2011/3/22 定例記者会見-内部被曝の事実2011.8.1
われわれは原発事故にどう対処すればよいか(肥田舜太郎氏)2011.6.26続きを読む(急性リンパ性白血病-MP3-の書き出し)
タグ:白血病
posted by いんちょう at 22:15 | Comment(14) | 原子力

今の日常生活を後世に伝えましょう

 福島原発から大量の放射能漏れが起きて、5ヶ月以上経ちました。

放射能は目に見えず、においもしません。
みえないばくだん2011.7.8

放射能のことを記述しますと、
「正しく理解してください。」
「我々ががんばっているのに、一体おまえはなにをやっているのだ。」
とほぼ袋だたきにあいます。
とくに奇形、病気のことを取り上げますと、わたしのように全くの個人でやっているブログにもコメントがつき、twitterまで訂正させられます。

海外の方の報告も、全く無視しています。
福島はまるで別世界・・グリーンピース2011.8.9
「状況は本当に本当に深刻だ」-チェルノブイリ経験の生物学者2011.7.26

一見何事もないような日常ですが、3.11からは大きく変わってしまいました。今の平穏な時代が一体いつまで続けられるのか。誰にも分かりません。

3.11までに我々が経験していた何事も思わなかったこと。
・外でどろんこ混じりになって遊ぶ
・国産の食べ物を安心して食べる
・同僚、上司の悪口をみんなで酒を飲みながら話す

そして、今は見慣れていてどうも思わない生活
・自分の自宅の玄関
・自分の部屋、無邪気に遊んでいる子どもたち
・通勤路
・職場内の同僚
・仕事をしているときの様子

職場の写真など、当たり前すぎておそらくほとんどの方が取っていないはずです。写真一枚でもあれば、「あのときは、ああだった」と強烈な印象を持って、あとからでも懐かしく振り返ることができます。

 旅行に行って写真を撮るのは、みんなしているでしょう。これからは、何気ない日常を取っておくことの方が重要になると私は思っています

 読者の方お一人でも、いつもの日常を記録していただくきっかけとなりましたら、幸いです。


■関連ブログ
みえないばくだん2011.7.8
福島はまるで別世界・・グリーンピース2011.8.9
「状況は本当に本当に深刻だ」-チェルノブイリ経験の生物学者2011.7.26
ひとつの時代の終わり(post原発時代の予測)2011.3.23
あたり前のことに感謝を(苦難の時代の前に)2011.3.15
タグ:O
posted by いんちょう at 11:43 | Comment(5) | 原子力

2011年08月24日

放射能に盆も正月もない

 熊本には、母子疎開、家族疎開をされている方がちらほらおられるようです。疎開となれば、いつ頃までといったメドがある程度必要になるのでしょうか。

 どう考えるか。

それは、セシウムの半減期30年を基準にするしか私にはありません。

チェルノブイリの汚染基準を改めてみてみます。
<チェルノブイリ>Cs 137のみで判断
    (強制避難エリア):148万Bq/m2(MBq/km2)
第一区分(強制移住エリア):55万5千-148万Bq/m2(MBq/km2)
第二区分(補償つき任意移住エリア):18万5千-55万5千ベクレル/m2(MBq/km2)
第三区分(放射線管理エリア):3万7千 - 18万5千Bq/m2(MBq/km2)

旧単位ですと
<チェルノブイリ>
強制避難エリア 40Ci/km以上
第一区分(強制移住エリア):15Ci以上/km2
第二区分(補償つき任意移住エリア):5-15Ci/km2
第三区分(放射線管理エリア):1-5Ci/km2

とすっきりしますね。ソビエトは、ある程度科学的に決めています。日本には、この汚染土壌に関する基準は一切ありません。ベータ線を含むか含まないかさえはっきりしない(信じられないことに含む必要はないという意見の方が優勢です)μSv/hrだけで判断しています。
 現在の日本政府は内部被曝を全く考えておらず、これは核兵器製造前の米国・ソビエトとおなじです。いや、むしろひどいかもしれません。米国は、広島に核兵器を落としたときには、すぐに内部被曝の被害を隠蔽するように日本政府に命令したのですから。

さて、第3区分の1/10になったときに避難しなくて良いと考えてみましょう。

セシウム 137の半減期は、30年

30年 1/2
60年 1/4
90年 1/8
・・
300年 1/1,000
330年 1/2,000
・・
600年 1/1,000,000

と、汚染は低下していきます。現在の汚染は、Cs134(2年)などの短期周期核種が約半分含まれていますので、全体の線量が半分になるのは、それほどは時間がかからないとは思います。

とりあえず、90年たてば大丈夫としてみます。ぴんと来ませんので、90年を1年に短縮してみますと、いまはおよそ半年経っているのですから、

365日 x 0.5 ÷ 90 = 2日

つまり、事故が起きた日を1月1日としますと、今日は1月2日に当たります。まだ、全然時間が経っていないのです。チェルノブイリで25年ですから、4月上旬くらいです。

ただ、この程度の減衰では実際には無理。1/1000になる300年としてみますと、

現在は、正月のお昼12時ころ

チェルノブイリで、そろそろ1月が終わる頃

となります。


相手は、こちらの都合を全く考えない化学物質で、疲れを知りません。国境も、県境もありません。物理学の法則のみを頑なに遵守します。例外はありません。

 このように考えてみては、いかがでしょうか。

■関連ブログ
原発周辺、長期間住めないと判断…首相陳謝へ2011.8.21
原子力発電入門(8)−核分裂生成物の半減期と病気2011.8.15
われわれは原発事故にどう対処すればよいか(肥田舜太郎氏)2011.6.26
チェルノブイリでは強制移住2011.5.25
タグ:P
posted by いんちょう at 12:58 | Comment(3) | 原子力

2011年08月23日

白血病入門(2)初期症状と血液データの読み方

ブラックジャック 第30話 ピノコ生きてる から
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白血病の初期症状がよく描かれています。さすが、手塚先生です。
手塚治虫の原発に対するスタンス(一貫して反原発だったとのこと)
コメント欄より−metroさんありがとうございました。


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研修医時代から、どのようにして白血病を見つけるかについてはよく聞いていました。大学病院の第二内科(血液内科)の外来初診で見つけられることはまずなく、ほとんどどこからかの紹介なのです。大学では歯科口腔外科からの紹介が比較的多いとのことでした。
・歯茎からの出血が止まらない
・歯肉腫脹
などから白血病を疑い、採血をして白血病を見つける。

熊大の歯科口腔外科は、随分と優秀なんだなぁと思ったものです。

なぜ、このような症状が出るのでしょうか?

血液の工場である骨髄は、読んで字のごとく骨の中に存在しています。
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骨髄の中にある造血幹細胞から、血液が作られます。そして、血液は、
・白血球・・体内に侵入してきた異物を除去する-->(感染による発熱)
・赤血球・・肺で酸素を受け取り全身に運ぶ------>(貧血)
・血小板・・血液を固め、止血に働く----------->(血が止まりにくい)
の大きく3つの成分で構成されており、不足することによって右のような症状が現れます。

白血球が異常に増加し、通常は赤い血液が白くなってしまうことから,白血病と名付けられたのです。採血をすると文字通り、肉眼で分かるほど白く見えます。

造血幹細胞−全ての血液成分の親玉−が増殖することが多いため、結局この子どもである
・白血球
・赤血球
・血小板
のいずれもが影響を受けることになります。

通常は、

・白血球の異常増加
・赤血球、血小板の異常減少

が同時に起こることが多いのです。白血球は見かけ上増加していますが、出来損ないの製品であるが故に、感染を防ぐ効果はほとんどありません。まれに、白血球すら極端に減ってしまう白血病もありますので、

・白血球は増えても、減っても、白血病の可能性あり

白血球以外の成分(赤血球、血小板)に異常なければ、様子を見ることも多くなります。しかしながら、前の検査結果から極端に変化しているならば、精密検査をする必要があるでしょう

ここで、私が発電所に勤めていたときの健康診断書を例示してみます。
(今から20年前の検診結果です)
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所属が発電部第一保修課 27歳の時です。
当時は発電所の放射線管理区域には入っていました。
年間被曝量は12-30mREM = 0.1-0.3mSv/year
程度。この程度の被曝量でも半年に一回血液検査をしています。

さて、細かく見てみます。大事なのはこの部分
2011082306.jpg

ん、、今気がつきましたが、血小板が入っていません。これは、ちょっと片手落ちのような・・・。(法定の検査では、必要ありません。が、今では測っても測らなくても、検査費用は変わりません)

まず見るのは、
・白血球数
・赤血球数(ヘモグロビン)・・貧血
・血小板
に異常数値が出ていないか。(例えば貧血+白血球増加など複数系統に異常が見られた場合は、精密検査をおすすめします)
注:赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット(,MCV,MCHC)は全て、赤血球の検査ですので、複数系統にはなりません。・・・貧血があれば、通常は赤血球数とヘモグロビン、ヘマトクリット全てに異常が出てきます

そして、次に大事なのが白血球百分率−血液像になります。単に白血球の数だけを調べていても早期の異常を発見することはできません。従いまして、私の放射線従事者用健康診断でもきちんとこの血液像を調べているわけです。
 おのおのの血球成分を顕微鏡で見てみます。

リンパ球(略号、以下おなじ Lym)
2011082307.jpg

単球(Mo)
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好中球(Neu)桿状核と分葉核
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好酸球(Eo)
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好塩基球(Baso)
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つ白血球の中身が酸の色(赤)になるか塩基(青)になるかで名前がつけられています。

さらに
・その他 (Other)

という分類があります。ここに入ってくるのが、骨髄球(Myelo)といわれるようないわゆる未熟な細胞です。この未熟な細胞が血液内に出てくるようになってしまいますと、まず白血病ということは間違いありません。(仮に、白血球数その他全て正常であっても)

白血病−異常に多い白血球 ・・ 血液が白く見えてしまう
2011082312.jpg

実は、一言で白血病といっても

・急性白血病
・慢性白血病

と2つに分かれ、急性白血病は、さらに

・急性骨髄性白血病
・急性リンパ性白血病(小児に多いとされる)

と別れます。

そして急性骨髄性白血病は、FAB分類で
M0 急性骨髄球性白血病、未分化型
M1 急性骨髄芽球性白血病
M2 分化傾向を持つ急性骨髄芽球性白血病
M3 急性前骨髄球性白血病(APL)(ICD-10: C92.4)
M4 急性骨髄単球性白血病(AMMoL)
M4Eoではinv(16),t(16;16)転座が代表的な遺伝子異常。化学療法の感受性が高い。
M5 急性単球性白血病(AMoL)
M5a
M5b
M6 赤白血病
M7 急性巨核芽球性白血病

と細分化され、それぞれ予後、治療法も異なってきます。まとめると、

白血病はいろいろあって、それぞれ性質が異なる

というわけです。しかも一つ一つの症例数は少ないのですから、1〜2年程度でなにが分かるというのでしょう。なにも分かるはずがありません。ほとんどの医師が敬遠するのは、まあ当然といえば当然です。

この血液像。実は、福島第二原子力発電所内で計測できるように、立派な自動血球測定器がありました。(ただし、未使用)理由を聞いたところ、担当の人は、

「実は、血液検査を外注して変な値が出ると困るから、自分のところで測れるるようにしておいたんだよ。今となったら笑い話だけどね」

と。

それを聞いて、わたしは背筋が寒くなりました。なぜなら、昭和46年(1971)頃に福島第二原子力建設準備事務所が発足、営業運転開始は昭和57年(1982)と比較的新しいプラントだったから(私の入社は、1988年)です。その時でさえ、白血球に異常が出ることを恐れていたということは、一体なにを意味するのでしょう。そして、そのデータを隠そうとした意図が会社にあったこと(隠す必要はなかったのですが)・・恐ろしい話ではありませんか。


顕微鏡像に興味がある方は、下記リンクをご覧ください。(私にはこれ以上の説明はできません)
血球
血液形態学

Q&Aは適宜記事中に追加していきます。
質問
幹細胞に、腫瘍性の変異がおこって、どれほどの期間で、臨牀症状が出てくると、血液内科学では、考えられているのでしょうか。

回答
 腫瘍性の変化を起こすには、細胞の遺伝子のうち増殖、分化を司る遺伝子が複数個(3〜4)損傷される必要がある。さらに、免疫力によっても左右される。例えば、T-cell(リンパ球)が損傷されている場合には数週間。増殖能力の落ちた高齢者では、半年程度になることもある。20〜50代であれば細胞分裂も盛んであり、通常は2〜3ヶ月程度と考えて良いのではないか。


■関連ブログ
白血病入門(1)熊大の研修医時代2011.8.20
タグ:白血病
posted by いんちょう at 22:57 | Comment(4) | 原子力

世界中のみなさん、反原発に向けて立ち上がりましょう 橋爪 文(原爆被ばく者)

 情報を得るために、

・ブログの参照元となっているサイトの訪問

をします。今知っているサイトだけでは、どうしても情報の偏りが出てくるからです。引用しているサイトの中をたぐっていくことで、いろいろな情報をさらに得ます。私のサイトを引用していただいているということは、基本的にはおなじ考えの方であることがほとんどです。その方の他の記事などを拝見させていただきますと、

・家庭の主婦で、3.11まではのんびりと過ごしていました
・美容院の方で、有名人の来店写真が載っている

等々、本当に普通の方々です。また、最近始めたtwitter(まだ、マナーとかさっぱり分かっていませんので、失礼がありましたら申し訳ありません。)などもおなじ印象です。

 もちろん、「こんないい加減な話を書くのはけしからん」とおしかりを受けることもあります。それはそれで参考になりますし、どこの言い方がまずかったのかを考え、アップ後も記事を訂正することもあります。

 今回の記事の内容も、そうやって巡り会ったサイトの一つです。

母に 橋爪文 さんのラジオ深夜便を教えてもらい、早速ブログで紹介させていただきました
「原爆体験を世界に」(まだ、お聞きになっていない方は、是非耳を傾けてください。インターネット経由で配信されています 2011.9.12までの期限付き)

 自分には責任が全くない原爆被害者である橋爪さんは、平和公園の慰霊碑の前で

  私に、いましばらくの間、健康を与えてください。
  私に、ちからを与えてください。
  私に、何ができるのか教え、導いてください。


と願われました。今年80歳になられたのに、いまも元気でおられ、命を削りながら必死にその言葉をみんなに広めようとされています。

 文章を汚すようで申し訳ありませんが、福島県の放射能アドバイザーである山下俊一氏(59)は、

「100mSv安全発言責任を具体的にどうとるのか」と問われて「何十年たって何か出ても、自分は死んでいるので責任の取りようがない」−


と発言しています。福島およびその周囲にお住まいの方、どちらの話を信用されますか。
他の誰でもない自分自身、そして愛する家族のために、再度お考えになってください。

以下、全文を掲載させていただきます。


橋爪文さん 「広島から日本のみなさん、世界のみなさんへ」(2011.5.25)から


  広島から
    日本のみなさん、世界のみなさんへ
                         被爆者 橋爪 文

 私は広島の被爆者で、東京在住、現在八十歳です。
 二〇一一年三月十一日、東日本大震災が起こり、続いて福島原発事故が発生したとき、私は六十六年前の原爆被爆と、その前後の市民たちの暮らしについて執筆中でした。
 大半を書き終えていた私は、福島原発事故を痛く重く心に抱き、最終章は故郷広島の原爆の原点に立って書き終えたいと思いました。

 夜遅く広島の地を踏んだとき、私は両肩に重い負荷を感じ、一瞬足が前に進みませんでした。
 帰広する度に私は先ず平和公園の慰霊碑に足を運び、碑の中の親族、友人、知人、そしてあの日、想像を絶する惨状の中で死んでいった人びとと対話するのが常でしたが、今回は祈るというよりお願いをしました。
  私に、いましばらくの間、健康を与えてください。
  私に、ちからを与えてください。
  私に、何ができるのか教え、導いてください。

 私はあの日、爆心地から約一・五キロメートルの地で被爆し、瀕死の重傷を負いましたが、三人の人に助けられ生きのびることができました。
 焼け跡でのバラック生活の中で、高熱、鼻や歯ぐきからの出血、ひどい下痢、嘔吐、全身の紫斑、脱毛など、急性の原爆症に苦しめられましたが、このときも奇跡的に生きのびることができました。
 しかし、その後、現在に至るまで、次々とさまざまな病気に苦しめられ、一日として健康体であった日はありません。

 中でも特に辛かったのは、「原爆ぶらぶら病」でした。
 症状は、耐え難いほどの倦怠感です。
 私は医師に何度かお願いしました。
 「先生、一日でも、一時間でもいいですから、爽やかで軽いからだにしてください」
 でも、それは叶いませんでした。
 私は夜寝るときに神に祈りました。
 「明日の朝、目が覚めませんように」

 それらはすべて放射線による内部被曝によって起こりました。
 放射性物質を含んだ水、食物、空気などを体内に取り込むと、その物質が体内で絶え間なく核分裂を起こして細胞を破壊していき、遺伝子を狂わせます。それは死ぬまで続きます。
 最近ようやくメデイアにその名前が出てきた「セシウム」が「原爆ぶらぶら病」の原因で、それが筋肉にダメージを与えると、ここ広島で聞きました。
 あの日、黒い雨に遭った人、救援や人を探しに市内に入った人たち、また原爆だけではなく、核実験、原発事故の被曝者たちもみんな内部被曝者です。

 内部被曝については、ずっと隠蔽されてきました。
 今回の福島原発事故によって、やっと「内部被曝」という言葉が出てくるようになりましたが、それがどういうものかについて詳しい説明はありません。
 原発行政が進められなくなるからです。
 原発がクリーンエネルギー、夢のエネルギーともてはやされた時期もありましたが、チェルノブイリやスリーマイル島の原発事故の後、少し控えられていました。
 それなのに近年、世界の多くの国が競って原発を造ろうとしています。それを原発ルネッサンスなどと呼んでいますね。
 この傾向を見て、私はあまり遠くない将来、必ず地球上のどこかで原発事故が起こると思って警告していました。

 それが現在、私の国で起こり、しかも毎秒高濃度の放射性物質を漏らしつづけています。それを止める確固とした手立てもなく、危機的な状態が終わる見通しはたっていません。
 国土の狭い、地震国の日本に五十基を超える原発。しかも地震多発のプレートの上に、過疎地に集中して建てています。
 今回の福島原発も第一原発には六号機まであり、それらは連鎖して危機に陥っています。
 また、福島第二原発にも一号機から四号機まであり、それらもダメージを受けています。
 東北の大地震のあと三月十五日には、静岡でも大きな地震が起きました。東海、駿河湾の大地震は、今世紀前半に一〇〇%起こるといわれています。しかも直下型。その上には最大級の浜岡原発があります。
 地震の多い日本海側にも原発銀座と呼ばれる福井県をはじめ、多くの原発があります。

 日本のみなさん
 原爆被爆国の日本が放射能発生加害国になっていって良いのでしょうか?
 時間はありません。現在稼働している原発を止めるように働きかけましょう。
 世界の皆さん
 加勢してください。
 そして、地球上に新しい原発を造ることはもちろん、いま稼働しているすべての原発を止め、廃炉にするように声を上げましょう。

 私は被爆者として国の内外で反核を訴えてきました。それは原爆・水爆だけではなく、原発が地球上の生命を滅ぼす日が来ることを恐れてのことです。
 原発は正常に稼働しているときでさえ、常に微量の放射性物質を放出し、海、空、土を汚しています。
 微量放射線の危険性についても隠蔽されています。

 地球上に生を受けているのは人間だけではありません。人間が自らの利得のために、他の生物を犠牲にするのは不遜ではないでしょうか?
 自然と調和して生きていく道を拓くのが、人間の英知ではないでしょうか?
 また二十世紀から二十一世紀に生きる私たちは、長い人類史のほんの一刻を与えられているに過ぎません。先達から引き継ぎ、未来へバトンタッチをする、ほんの一刻を預かっているだけではないでしょうか?

 私たち原爆被爆者や、原発事故・核実験などによる被曝者が一生苦しんできたように、福島原発事故による被曝者たちが、これから苦しみつづけることになります。
 避難所での厳しい生活にひたすら耐えている人びとの様子が毎日報道されます。
 そんな中にあっても、無心な乳幼児、活力を失わない子どもたちの姿に、私は心を打たれると同時に、そこに希望を見るのです。
 放射能は、子どもたちに特に大きな被害を与えて、彼らの成長を妨げます。
それなのに、政府や電力会社はこの狭い地震国・日本にさらに十基以上を建て続けるというのです。

 放射能に国境はありません。
未来を拓く子どもたちを救うためにも
 世界中のみなさん
 共に手を取り合って、反原発に向けて立ち上がりましょう。

<英語訳 English translation>
APPEAL OF HASHIZUME BUN, A-BOMB SURVIVOR OF HIROSHIMA,
TO THE PEOPLE OF JAPAN AND THE PEOPLE OF THE WORLD
March 29, 2011

My name is Hashizume Bun and I am an A-bomb survivor of Hiroshima. I live in Tokyo and I am now 80 years old. When the Great Eastern Japan Earthquake occurred on March 11, 2011, which triggered the crisis at the nuclear power plant in Fukushima, I was in the midst of writing about the radiation exposure wrought by the atomic bombing of 66 years ago and about the lives of Hiroshima citizens before and after the blast.

Though much of my writing had already been completed, I was deeply pained by the accident involving the Fukushima nuclear plant and I felt that I would like to conclude my thoughts−and share this conclusion in English as well−from the vantage point of the atomic bombing of Hiroshima, my hometown.

When the earthquake struck, I was in Tokyo; afterwards, I came to Hiroshima. When I reached the A-bombed city, it was late at night and I felt a heavy weight on my shoulders. It took a moment for me to take my first steps.

Every time I return to Hiroshima, I first visit the memorials standing in Hiroshima Peace Memorial Park and I speak to my family members, friends, acquaintances, and other victims who perished in the unimaginable horror of the atomic bombing. This time, however, I asked them to hear my wish, rather than my prayer.

Please enable my health to hold.
Please enable my strength.
Please guide me, and lead me, in my efforts.

On the day of the atomic bombing, I was exposed to the bomb’s radiation at a location 1.5 kilometers from the hypocenter. I was also injured severely, but I managed to survive the blast with the help of others.

After the war, I lived in a makeshift hut in the burned-out city and I suffered from acute symptoms of radiation exposure, including a high fever, bleeding from my gums, dreadful diarrhea, vomiting, purple spots that covered my body, and hair loss. It was a miracle that I again survived.

Since that time, right up to today, I have suffered from a series of illnesses and I have never enjoyed a single day of fine health.

Among the many illnesses, one has been particularly difficult. The symptom of this “A-bomb disease” is unbearable fatigue. I begged my doctor to make me feel fresh and light again, if only for a day, if only for an hour, but it did not happen. When I went to sleep at night, I prayed to God: “Don’t let me wake up tomorrow.”

All this poor health was caused by internal exposure to the bomb’s radiation. Once radioactive materials are ingested in the body through contaminated water, food, or air, these substances continue to be radioactive without end, destroying the body’s cells and damaging genes. This is a lifelong fate.

I did not know until my recent visit to Hiroshima that the substance called “Cesium,” which has been a familiar talking point of the media these days, damages the muscles and induces the awful “A-bomb disease.”

People who were doused by the black rain or entered the city to aid the relief efforts or search for the missing all became victims of internal exposure. And beyond the A-bomb survivors, those who have suffered nuclear tests or accidents at nuclear power plants are also victims of internal exposure to radiation.

Information about internal exposure to radiation has been hidden from the public for a long time. Since the accident at the Fukushima nuclear plant, the expression “internal exposure to radiation” is finally being uttered, but no detailed explanations have been forthcoming. Revealing such information will make it difficult for the government to continue pursuing nuclear energy

Nuclear energy had once been praised as “clean energy,” even “ideal energy,” but this enthusiasm cooled somewhat after the accidents at the nuclear power plants at Chernobyl and Three Mile Island. In recent years, however, many nations have been constructing nuclear power plants and the age has been dubbed a “renaissance” of nuclear energy. As I watched this phenomenon unfold, I couldn’t help but feel that one day, not far in the future, there would undoubtedly be another accident at a nuclear power plant somewhere in the world.

That accident has occurred in my own country, and the crippled nuclear plant is now continuously leaking a large volume of radioactive materials into the environment. There is no foolproof way to stop it, and no end to the crisis is in sight. In the small nation of Japan, which suffers from frequent earthquakes, more than 50 nuclear reactors have been built. These nuclear reactors loom mainly in depopulated areas, on sites within active earthquake zones.

The Great Eastern Japan Earthquake has compromised the six reactors at the nuclear power plant in Fukushima. Experts warn that further earthquakes of this magnitude−earthquakes that will strike in the vicinity of other nuclear power plants−will occur with 100% certainty in the none-too-distant future.

To the people of Japan, I ask: Will we simply accept the fact that Japan, the A-bombed nation, ultimately brings about a catastrophe of worldwide radiation exposure?

Time is of the essence. We must work together to halt the nuclear power plants now in operation. People of the world, join hands and speak out to stop the construction of any additional nuclear power plants, speak out to shut down every nuclear power plant on earth.

As an A-bomb survivor, I have long been opposed to nuclear energy in Japan and internationally. This is because I have feared not only nuclear bombs, but also the possibility that one day nuclear energy would destroy all life on the planet. Even operable nuclear power plants are continuously releasing small amounts of radioactive materials into the environment, contaminating the soil, the sea, and the sky. The danger of these small amounts of radioactive materials is being concealed, too.

Human beings are not the only living things. Is it not arrogance for human beings to sacrifice other living things simply for our own benefit? Would it not be wiser for human beings to seek harmony with nature? Humanity in the 20th and 21st centuries is offered only a moment in the long history of our species. That brief moment has been bequeathed by our ancestors, which we, in turn, bequeath to our descendants.

Like the A-bomb survivors, and the sufferers of nuclear tests and nuclear power plant accidents, the victims of the accident at the Fukushima nuclear power plant will face suffering throughout their lives. The people displaced by the multiple disasters in eastern Japan are braving difficult days in shelters. But even amid such conditions, the children retain their innocence and hope and I am moved and find hope in them.

Radiation is especially damaging to children and their growth. Nevertheless, the Japanese government and electric power companies say they will persist in the construction of more nuclear power plants in Japan, in this small nation continually shaken by earthquakes.

Radiation respects no border. To save our children, the future of our species, I call on the people of Japan, and the people of the world, to stand together and oppose the continuation of nuclear energy.


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posted by いんちょう at 12:20 | Comment(3) | 原子力

2011年08月22日

2011/3/13 高濃度汚染地区の迫真動画・・早過ぎたレポート


2011.3.18のレポートです。どれくらいの方がご存じだったでしょうか。


2011.3.21の宮崎日々新聞には、この記事が載りました。
2011032102.jpg

こちらのサイトでは全文も読めます。
現地ルポ・振り切れた測定器の針
ジャーナリスト豊田直巳氏
 東日本大震災が福島第1原発を襲ったのは、私が事故発生から25年目のチェルノブイリ原発取材を終えて帰国した直後だった。チェルノブイリでの取材体験から日本がのっぴきならない事態に陥る可能性を直感、「まさか日本で原発事故取材に出掛けるとは」と思いつつ、3月12日に福島県郡山市に入った。

 翌13日、日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)の仲間や写真誌「DAYS JAPAN」編集長の広河隆一さんと合流した。

 福島第1原発のある双葉町は、13日時点で既に避難指示が出ていた「原発から20キロ圏内」にあったが、入域制限しているチェックポイントまでは行ってみようと国道288号線を東に向かった。すると、予想に反して双葉町まで行き着いてしまった。検問も避難指示の案内板もなかったのだ。

 国道をまたぐJRの鉄橋が崩れ落ち、地震のすさまじさを見せつけていたが、人影はない。

 毎時(以下同)20マイクロシーベルトまで測定可能な放射線測定器を取り出すと、アラーム音を発しながらみるみる数字は上がり限界値の19・99を表示した。放射能測定が初めての仲間が「この数字はどのくらいのレベルなんですか」と防護マスクでくぐもった声で聞いた。「おおよそだけど、普段の東京の数百倍かな」と答える。既にかなりの高濃度汚染地に入り込んでいた。

 車を町の中心部に向けて進めた。人けのない家が並ぶが、地震の被害はそれほど見られなかった。そこで、もう一台の100マイクロシーベルトまで表示する測定器を取り出すと、これも針が振り切れた。

 この事実を行政当局に知らせようと、双葉町役場に直行したが、役場玄関の扉は閉ざされたまま。緊急連絡先などの張り紙もなかった。静まりかえった町に、ときどき小鳥のさえずりが聞こえる。

 入院患者に被ばく者が出たと報じられた双葉厚生病院に向かったが、ここも無人。玄関には患者を運び出したとみられるストレッチャーが何台も放置され、脱出時の慌ただしさがうかがえた。地震で倒れた医療機器や診療器具が散乱。消毒薬の臭いが漂う。

 原発から約3キロの同病院前でも測定器の針は100マイクロシーベルトで振り切り、上限に張り付いたまま。そこで1000マイクロシーベルト(1ミリシーベルト)まで測定できるガイガーカウンターを取り出したが、これもガリガリガリと検知音を発し、瞬時に針が振り切れた。「信じられない。怖い」。私は思わず声に出していた。

 放射性物質の違いなどにより同列に論じられないにしても、これまで取材した劣化ウラン弾で破壊されたイラクの戦車からも、今も人が住めないチェルノブイリ原発周辺でも計測したことのない数値だった。

 放射能汚染地帯の取材経験が一行の中で最も多い広河さんも信じられない様子。「これから子どもをつくろうと思っている人は、車から降りない方がいいかもしれない」と真顔で言った。

 放射能は風向きや地形によっても異なる。もう少し調べようと海岸に向かったが、病院から数百メートル行った所で津波に運ばれたがれきと地震で陥没した道路に行く手を阻まれた。放射能汚染に気を取られ、しばし忘れていたが、紛れもなくここは巨大地震と大津波の被災地でもあった。その被災地を五感では感知できない放射能が襲っている。

 慌ただしく町中の取材を終え、汚染地帯を脱しようと急いで帰る途中、町方向に向かう軽トラックに出合う。車を止めて汚染状況を説明すると「避難所にいるんですが、牛を飼っているので餌やりに行かないと。だめですか」。私に許可を求めるような困った表情で年配の女性が聞いてきた。「長い時間はこの辺にいない方がいいですよ。気を付けてください」。そうお願いするしかなかった。

 町内の道路をまたぐアーチには「原子力 郷土の発展 豊かな未来」との標語が掲げられていた。しかし、現実には未来を奪いかねない放射能の脅威に町はさらされていた。

   ×   ×   

 とよだ・なおみ 56年生まれ。イラク戦争、劣化ウラン弾問題などを取材。著書に「戦争を止めたい―フォトジャーナリストの見る世界」など。(共同通信)

【 2011年03月22日 09時10分 】


 この記事を読んだときに、本当に驚きました。大本営発表が続き、マスコミに壮大な圧力がかかっている(今でもあまり変わらないですが)3月下旬の時期にこのような報道がなされたからです。この線量が、とんでもないと今ならば全員が分かることでしょう。1mSv/hr以上の環境放射線量など、みたことも聞いたこともないからです。 (高レベルといわれても、せいぜい10μSv/hrでしょう)ようやく、本来の報道が始まるのではないかと当時は、かなり期待していました。

 動画の中では、伊達市月舘で50μシーベルト/hrだったと報告されています。本当にこのあたりは、一刻の猶予も許されない避難区域だったのです。

これだけのことが分かっていたのに、伊達市の避難は遅れに遅れ、封鎖地域の設定も1ヶ月以上なされませんでした。大勢の方が内部被曝をしてしまい、もう取り返しがつきません。なぜ、このジャーナリストたちの決死の報告を握りつぶしてしまったのでしょう。
 また、記事をよむこちら側も、マイクロシーベルト、ミリシーベルトなど、全く分かっておらず、「ただちに危険はない」の話が頭にこびりついていた時期でした。いくら正しいことを伝えていても、受け取る側に危機感・放射能の知識がないわけですから、この豊田氏をはじめとするジャーナリストたちは、大いに歯がゆさを感じていたと思います。

 山下氏の100マイクロシーベルト/時 安全宣言は、このレポートが報道されてから3日後です。

この報道を見て、驚いて退避した人と、とどまった人、どちらが正しかったのでしょう。知識がないのは、本当に恐ろしいことだと思います。

 まだまだ危機は続いています。御用達学者の口当たりのいい言葉を盲目的に信用するのではなく、自分の頭で考え、行動するしかありません。

 最後になりますが、この動画は海外に紹介されているのでしょうか?原発直後の現地の状況をレポートした動画は、おそらくこれ以外にはないはずですし、世界中の人が震え上がるはずです。概略の英訳をつけていただき、発信していただけたらと本当に思います。また、それこそが、このジャーナリストたちの決死の報道に、遅くなったとはいえ生かすことになります。

 また、この動画も削除される可能性が高いと思います。是非とも、
http://keepvid.com/
から、各人のパソコンに保存してください。そして、海外のお友達に紹介してください。

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posted by いんちょう at 20:35 | Comment(11) | 原子力

福島は、みんな納得して原発誘致をしたのか。

福島原発事故での福島県庁の対応は、許せないものがあります。
私がもっとも許されないと思うのは、

・SPEEDiを県民に公開しなかった
・そのために大多数の方をヒバクシャにさせてしまった

ことです。そして、その後の対応など、許せないことばかりです。子ども20mSv/年 問題で、辞任した参与問題について、

<福島第1原発>内閣官房参与辞任で不快感表明…福島県知事
 佐藤知事は出席した国の担当者に、「政府側の正しい専門的な知見の中で、われわれに指示があると思ってやっている。そこを改めて政府側に申し上げていただきたい」と注文をつけた。佐藤憲保県議会議長は「県民が大きな不安の中で生活している状況を政府が認識しているのか疑問だ」と強い口調で抗議した。


と、まるで、下げることが悪いような口ぶりでした。

 山下氏はすでにドイツ誌のインタビューに対して、

100mSvでも大丈夫だから心配いらない、などとは言っていません。ただ、100mSv未満ではがん発症率の上昇が証明できていない、と話しただけです。これは広島、長崎、チェルノブイリの調査から得られた事実です。

低線量被曝の状況下では、残るか去るかは住民自身が判断しなくてはなりません。ほかに決めてくれる人はいません。自分でリスクと利益をはかりにかけて考えるのです。避難すれば仕事を失い、子供は転校を余儀なくされるかもしれません。それがストレスにつながります。反面、その一家は発がんのリスクを回避できるかもしれません。発がんリスクといってもごくわずかではありますが。

「100mSvまでなら100パーセント安全なんですか?」と尋ねられたら、科学者としてこう答えるしかないのです。「わかりません」と。

200万人の福島県民全員です。科学界に記録を打ち立てる大規模な研究になります。政府は原発事故の被害者に対する補償金について先ごろ決定を下しました。そうした補償プロセスを通じて、県外に避難している住民の方々にも連絡を取りたいと考えています。

移住は容易ではありません。ストレスが非常に大きくなります。そうした問題を把握するとともに、その治療にも努める必要があります。さもないと住民の皆さんは自分が単なるモルモットだと感じてしまうでしょう。


とまで放射線アドバイザーに言われても、福島県庁の方々は、100mSv/年 までは、全く安全だといってはばかりません。 (福島県民の方々、そして県庁にお勤めの方々、このインタビュー記事はご覧になってください。デマ記事ではありません)

 私は、昭和63年5月から平成5年3月まで、福島富岡町民でした。町内議会選挙に行かないと独身寮まで名指しで、投票に行くようにと電話を受けたりしました(補者名の指定などは一切ありません)。23歳〜28歳という時期を過ごしたのですから、愛着がないはずがありません。うるさいような蛙の鳴き声の合唱、夜中の田んぼに2-3匹舞う蛍、真夏でもとんでもなく冷たい海水浴場、きれいな夜ノ森の桜、ちょっと脇道に行くときれいな小さな小川、ほんとうにほんとうに自然豊かなところだったのです。
 つらいこともありましたが、今振り返ると懐かしくてなりませんし、私が生きているうちには、訪れることもできない、あそこに行けば、またあの人にあうことができるかもしれない・・・もうそういったことは、望むべきもありません。この気持ちをいったいどう表現したらいいのでしょう。

このような投稿がBlogのコメント欄にありました
チェルノブイリの原発は共産国ソ連が建設したもので住民が反対しても強権で建設される運命にありました。日本は民主国家です。過半数の住民が賛成したからこそ福島原発は建設された。少数の反対住民もいたでしょうが、反対派からみれば賛成派の住民は東電との共犯者、加害者にもみえるでしょう。

 私のブログの熱心な読者の方です。いつも読んでいただき、また的確なコメントを書いていただき、いつも感謝しております。ですが、このコメントを読んで悲しくなりました。

民主的な手続きを踏んで、建設された原発など、ただの一カ所もないのです。ブログ

動画をご覧ください


上の動画の内容は、「日本の原発地帯」 鎌田 慧著 に詳しく書かれています。


どの発電所の立地でも、電力会社という紳士の仮面をかぶりながら、ソビエトも真っ青といった強引な手法で進めていったことが本当によく分かります。

 そして、一度立地してしまえば、こちらのもの。箱物にしか使えない電源3法交付金で、極端な財政依存をさせてしまい、お金が切れると禁断症状がでざるを得ない状態にして、自分から増設を持ちかけるまでにずぶずぶにしてしまう。それは、玄海、敦賀の首長を見てもおわかりのとおり。福島の被害が全く目に入らず、自分たちだけカネの分け前にあずかりたい。廃人になるのが分かっていながら、一度始めるとやめられない
アヘン中毒とどこが違うのでしょう。

 福島の立地状況につきまして、少しでも理解していただけますと幸いです(免罪符にはならないとは思います)

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posted by いんちょう at 16:29 | Comment(3) | 原子力

2011年08月21日

「原爆体験を世界に」橋爪文〜NHKラジオ深夜便から

原爆体験をあたかも目の前に見えるように、語りかけられています。

「原爆体験を世界に」
橋爪 文(広島被爆者)
http://www.nhk.or.jp/shinyabin/jyoyou.html#inkyo3

2011082104.jpg

次のリンクからどうぞ(2011.9.12まで聞くことができます)直接リンクでは、まだ放送中です。2011.9.17確認
2011082105.gif
40分20秒
長い間、被曝の話はしたくなかった。表現する言葉がない
病名がつかずに、全身病だった。常に病気していた。原因が全く分からなかった
自分がなぜ、こうなったのか全く分からなかった。(テレビもラジオもなかった)
世界の人びとに原爆の様子を伝えている。(毎年九カ国。10数年続けている)
おおきな建物の廻りは、延焼を防ぐために建物を壊していた
14歳の時、貯金局で事務的な仕事をしていた
おおきな窓に鮮烈が走った。光線が七色だった。太陽が目の前に落ちたと思った。
身体の痛みは感じず、真っ暗になった(目が見えなくなった)
亡霊のような人たちが四階から下りてきた
4−5歳の女の子が、はだかで階段に倒れていた。おなかがさけて、ピンク色のきれいな腸がもこもこ動いて、おなかから出てきた。お母さんが、腸の出ていた子を抱えて、「だれかこの子を、だれかこの子を」と叫んでいた・・
皮膚が海草のように垂れ下がっていた
叫び声は何もなく、呆然とした感じでさまよっていた。

2011082106.gif
40分43秒

 後半は、
原爆後の生活の話
ABCCの話
原発事故の話をしていた(いつかは起こると思っていた)
福島事故後には、フランスのメディアから連日インタビュー
原発と原爆はおなじとフランスのインタビューに答えた
人間が制御できないものに手をつけてしまった。次世代に重いバトンを渡すことになった。

  ◇

このラジオ番組は、是非お聞きになってください。身を切られるような痛み、涙がにじみます。

NHKには、この番組は常に聞けるように是非していただきたく思います。



GETASFStreamでダウンロードも可能です。

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posted by いんちょう at 22:06 | Comment(4) | 原子力

残るか去るかは住民自身が判断しなくてはなりません。-山下俊一

EX-SKF-JP さんのブログから。いつもありがとうございます。

記事の元となった動画から紹介。ホームページはこちら

福島県原発事故の放射線健康リスクについて(動画)
2011082102.jpg


100mSv/year大丈夫の話です。

注意 2011.5.17に下記訂正が行われています。
訂正:質疑応答の「100マイクロシーベルト/hを超さなければ健康に影響を及ぼさない」旨の発言は、「10マイクロシーベルト/hを超さなければ」の誤りであり、訂正し、お詫びを申し上げます。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません。

質疑応答(動画)
2011082103.jpg


以上、追記に文字起こしを書いています。


8月19日付けドイツ・シュピーゲル誌記事全訳(リンクは元記事に行きます):

福島事故の余波
「住民は放射能恐怖症にかかっている」

山下俊一は放射線の影響を研究する分野において日本を代表する科学者の一人だ。山下は『シュピーゲル』紙とのインタビューで、福島第一原発周辺の住民に放射線被曝の潜在的危険性を伝える仕事について語った。多くの住民が重度の放射能恐怖症にかかっていると山下は話す。

低線量放射線被曝は人体にどれくらい害を及ぼすのか。この問題については科学者のあいだで熱い議論が戦わされている。しかし、原発周辺の住民にその議論の詳細まで説明するには、今はいい時期とはいえない。住民は今まさに放射線の危険と背中合わせで暮らしているからだ。

山下俊一は放射線防護の専門家で59歳。放射線の影響を解明するうえで多大な貢献をしてきた。長崎の被爆者や、1986年のチェルノブイリ原発事故の影響を研究し、チェルノブイリについては日本の科学調査団の一員として現地を100回近く訪問している。山下が今調べているのは福島における大事故の影響だ。ところが、山下の仕事は地元住民の強い反発を買っている。

『シュピーゲル』は山下にインタビューし、福島で予想される被曝の影響や、過去最大級の科学研究をこの地域で行なう計画について話をきいた。この研究で山下は、約200万人の被験者を対象に原発事故の健康影響を調べる考えだ。


シュピーゲル:あなたは福島県から招聘されて、被害地域の住民に放射線リスクを伝える仕事をしてきた。一番最初に「放射線の影響はにこにこ笑ってる人には来ない、くよくよしてる人に来る」とおっしゃったが、あれはどういう意味だったのか。

山下:あれは3月20日の最初の集会でしたね。本当にショックを受けましたよ。皆さんあまりに真面目で、誰も笑わないんですから

シュ:自分たちの村や町が放射能で汚染されてしまい、目に見えない危険がどんなものかを誰も知らない。そういう反応も当然だと思うが。

山下:皆さん非常に重苦しい雰囲気でした。ラットを使った動物実験からは、ストレスを感じやすいラットほど放射線の影響を受けやすいことが明確にわかっています。放射線の影響下にある人たちにとってストレスは百害あって一利なしです。しかも精神的なストレスは免疫系の働きを抑制するため、ある種のがんや、がん以外の疾患の発症につながるおそれがあります。だからリラックスも大事だと話したのです。

シュ:住民がリラックスしやすいようにと、年間100ミリシーベルト被曝しても大丈夫だともおっしゃっている。通常それは原発労働者の緊急時の被曝上限だと思うが。

原発労働者の緊急時被曝上限を毎年被曝して、本当に大丈夫ですか?本当に。

山下:100mSvでも大丈夫だから心配いらない、などとは言っていません。ただ、100mSv未満ではがん発症率の上昇が証明できていない、と話しただけです。これは広島、長崎、チェルノブイリの調査から得られた事実です。

シュ:だが、そうやって安心させようとすることが、住民の方々の怒りと恐怖をかえって高めることになるとは思わなかった?

山下:日本政府が年間被曝上限を20mSvに設定したことが、混乱に拍車をかけたと思います。国際放射線防護委員会(ICRP)は、原子力非常事態が起きた際には年間被曝上限を20〜100mSvのあいだに設定するよう提言しています。その範囲のどこで線引きをするかは政治的な判断で決まることです。リスクと利益をはかりにかけて考えなくてはいけません。避難するにしてもリスクを伴うからです。放射線防護の観点から見れば、日本政府は最も慎重な方針を選んだのですが、それが皆さんの混乱と不安を高めてしまいました。

シュ:あなたはご自身の数々の発言のため世間で物議をかもしている。あなたを刑事告発したジャーナリストがいるし、反原発の活動家は……

山下:……そういう人たちは科学者ではありません。医師でもなければ放射線の専門家でもない。研究者が研究を積み重ねてきめた国際基準についても何も知りません。皆さんが噂や雑誌や、ツイッターの情報を信じているのを見ると悲しくなります。

シュ:だが専門家は原発は100%安全だと何十年も言い続けてきた。そんな専門家を信じられるわけがない。

山下:私は福島に来て、こういう事故に対する備えがまったくなされていなかったのを知って驚きました。(福島では、全く準備ができてなかったと認めています)私はかつて中国や旧ソ連諸国に放射線防護に関する助言をしました。今度は自分の国で恐ろしい事故が起きたのに、誰も備えをしていない。福島の人たちは、自分たちの地域に原子炉が11基あることも知らなかったんです。福島大学の医学部には放射線防護医学の専門家がただの一人もいませんでした

シュ:事故の被害に遭った人たちに対して、今だったら話し方を変えるか?

山下:最初は住民が放射能について何の知識もなかったので、曖昧な表現を避けようと思いました。今では白黒をはっきり言うのではなく、灰色の部分も伝えるような話し方に変えています。

シュ:住民ははっきりした答えを知りたがっている。どこまでが安全なのか。どこからが安全でないのか。

山下:そういう答えはありません。「100mSvまでなら100パーセント安全なんですか?」と尋ねられたら、科学者としてこう答えるしかないのです。「わかりません」と。 (100mSvは、安全かどうかは、分からない・・これが灰色の部分なのでしょう。おそらく)

シュ:これまでの研究で、100人が100mSvの放射線を浴びたら1人がその放射線のせいでがんを発症することが統計的にわかっている。同程度のリスクが100mSv未満にも当てはまる可能性はあるのか。

山下:可能性はあります。ただ問題は、低線量被曝の健康リスクを推測する際にいわゆる「しきい値なしの直線線量反応モデル」というのが使われることです。このモデルは、たとえわずかでも通常時より多い被曝を受けたら、その被曝した集団の中でがんの発症率がわずかに上昇するという前提に立っています。そうした上昇は理論的にはありえますが、被曝量が100mSv未満の場合には統計的に有意な上昇ではないので、リスクが高まることを支持しているとは言い切れません。それに、何が原因で腫瘍ができたかは区別できません。放射線由来の腫瘍であることが突き止められるような特有の特徴が残るわけではないのです。放射線生物学の研究からは、低線量被曝で人間のDNAが傷つくこともわかっています。ですが、人体はそうした傷を短時間でうまく修復する能力をもっています。生まれながらに人体に備わった防護メカニズムです。私はそういうことを伝えようとしているのです。

シュ:では、そういう情報を住民はどう受けとめればいいのか。

山下:低線量被曝の状況下では、残るか去るかは住民自身が判断しなくてはなりません。ほかに決めてくれる人はいません。自分でリスクと利益をはかりにかけて考えるのです。避難すれば仕事を失い、子供は転校を余儀なくされるかもしれません。それがストレスにつながります。反面、その一家は発がんのリスクを回避できるかもしれません。発がんリスクといってもごくわずかではありますが。

シュ:原発事故の被害を受けたうえにそうした決断を自分たちでしなければいけないとういのは、家族にとってきわめて大きな負担だ。

山下:その通りです。ですから東電も日本政府も、家族が決断しやすいように支援してあげる必要があります。留まろうと思う住民に対しても、1mSvを少しでも超えたら高すぎると考える住民に対しても。

シュ:原発周辺の住民には放射線によるどのような健康リスクが考えられるのか。

山下:周辺住民に放射線による直接的な影響が生じるとは思いません。線量が小さすぎます。

シュ:では、がんもがん死もまったく起きないと?

山下:データに基づいて考えればそうなります。もちろん原発作業員の場合は別です。

シュ:あなたはこれからの研究計画についてすでに話をしている。福島県民の健康状態を今後30年にわたって追跡調査すると。

山下:現在の状況では、私たちは地元の方々になかなか受け入れてもらえません(本当でしょうか。私が福島区役所に電話をした限り、山下先生の100mSv/yearは安全の考え方は、しっかりと支持されているように思えました)考えられる最良の医療を住民の皆さんに提供することが最優先です。

シュ:これまでにもっと思いやりのある話し方をしていれば住民に受け入れられたのではないか。

山下:今回の事故のせいで、福島県民は東電と日本政府への信頼を完全になくしました。住民の皆さんは苦しんでいます。地震と津波の被害だけでなく、放射線対する大きな不安に苦しんでいます。まさに放射能恐怖症です。ですから、私たちはその不安を和らげて、住民の心の支えになってあげる必要があります。疫学研究の話はあとからでもできます。地元住民の支援なしには私たちは何もできません。今の状況では、私が長崎とチェルノブイリで研究した専門家であるという肩書きもいっさい役に立たないのです。だから私は福島に移ってきました。

シュ:研究ではどういうことを調べるつもりなのか。

山下:被験者を3つのグループに分けます。原発労働者、子供、それから一般住民です。労働者は高線量の放射線に被曝しています。がんをはじめとするいろいろな疾患について、放射線の影響を追跡調査することが絶対に必要です。一般住民はさらに2つのグループに分かれます。比較的低線量の被曝をした住民と、比較的高線量の被曝をした住民です。福島県の保健福祉部では、26,000人の住民を対象に先行調査を行なっており、まもなく問診票の回収を終える予定です。

シュ:でも住民自身は自分の被曝量がわからない。

山下:それは私たちが突き止めないといけません。3月11日には何時にどこにいたかをきき、以後も3月中の毎日について同じ質問をしています。それから、事故後最初の2週間に何を食べたかや、自宅やアパートが木造かどうかといったことも確認します。そうしたデータと、放射能の雲の分布状況を組み合わせて、それから被曝線量を計算するのです。

シュ:どれくらいの人が被験者になるのか。

山下:200万人の福島県民全員です。科学界に記録を打ち立てる大規模な研究になります。政府は原発事故の被害者に対する補償金について先ごろ決定を下しました。そうした補償プロセスを通じて、県外に避難している住民の方々にも連絡を取りたいと考えています。

記録を打ち立てる大規模な研究が一番の目的とおっしゃっています。

シュ:子供についてはどうか。

山下:18歳未満の子供全員について甲状腺の超音波検査を実施したいと考えています。全部で360,000人です。被曝してから甲状腺がんを発症するまでには約5年かかります。それはチェルノブイリの経験で明らかになったことです。

シュ:事故による精神的な影響についても調査しているのか。

山下:もちろんです。チェルノブイリの経験から、心理的な影響が非常に大きいことがわかっています。チェルノブイリでは避難住民の寿命が65歳から58歳に低下しました。がんのせいではありません。鬱病やアルコール依存症、自殺などのためです。移住は容易ではありません。ストレスが非常に大きくなります。そうした問題を把握するとともに、その治療にも努める必要があります。さもないと住民の皆さんは自分が単なるモルモットだと感じてしまうでしょう。

治療にも・・治療は二番目ですか?なぜ、「モルモットと感じる」という発言が出るのでしょう。自分がそう思っていることの裏返しではないのですか?

インタビュー:コーデュラ・マイヤー

山下俊一について
山下俊一、59歳。放射線の影響を研究する分野において日本を代表する専門家の一人。長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授。福島第一原発の事故後、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに就任。


http://www.spiegel.de/fotostrecke/fotostrecke-71717-2.html から
2011082101.jpg

なぜ、長崎大学医学部の前の写真なのでしょうか?長崎大学は、辞職されたはずです。いつもは、どこに住んでおられるのでしょう。

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posted by いんちょう at 18:13 | Comment(5) | 原子力

原発周辺、長期間住めないと判断…首相陳謝へ

原発周辺、長期間住めないと判断…首相陳謝へ読売新聞 8月21日(日)3時1分配信
 政府は20日、東京電力福島第一原子力発電所事故で高濃度の放射性物質に汚染された周辺の一部地域について、長期間にわたって居住が困難になると判断し、警戒区域を解除せず、立ち入り禁止措置を継続する方針を固めた。
 数十年続くとの見方も出ている。菅首相が地元自治体に直接説明し、避難の長期化を陳謝する方向で検討している。具体的な地域は、福島県双葉、大熊両町の原発3キロ・メートル圏内などを念頭に精査する。
 政府は4月、原発20キロ圏内を原則として立ち入りを禁じる警戒区域に設定。来年1月中旬までに原子炉が安定的に停止する「冷温停止状態」を達成し、警戒区域を解除する方針を示してきた。
 しかし、文部科学省が原発20キロ圏内の警戒区域内で事故発生後の1年間で浴びる放射線の積算量を推計したところ、大熊、双葉両町を中心とする35地点で、計画的避難区域などの指定の目安となる年間20ミリ・シーベルトを大きく超えた。原発から西南西に3キロ離れた大熊町小入野では508・1ミリ・シーベルト、同町夫沢でも393・7ミリ・シーベルトと、高い推計値を示した。 最終更新:8月21日(日)3時1分


 大熊町の汚染地域は、130万〜5700万Bq/m2(半減期30年のセシウム137のみで 70万〜3000万Bq/m2)でした。環境中の放射能半減期にはいろいろな意見がありますが、チェルノブイリをみてみますと、

放射性セシウムの恐怖 前編『除去を諦めたロシア』から

放射性セシウムの除去を諦めたロシア
 チェルノブイリ原発事故では大量の放射性セシウムを含む放射能が飛散した。放射性セシウムは非常に反応しやすい物質で、常に他の元素と結合した状態で発見されている。IAEAが行った環境影響調査結果では、「屋根材やコンクリートにも容易に結合している」と報告がされている。

社会を崩壊させる恐ろしい物質、それが放射性セシウム
 「人々は自分たちの村や町を捨てなければならなかった。広大な土地はただの空き地になってしまった。セシウムは社会を崩壊させる恐ろしい物質だ」
 半減期が長く、何でもくっ付く放射性セシウム。ロシアは何年にもわたり放射性セシウムの除去を試みるも、結局は諦めた。これは資金不足だけが原因ではないと、スタンフォード大学の物理学教授、ステインハウスラー氏は述べている。

2011082006.jpg
説明:黒線(Cs-137)が放射性セシウム。縦軸が残留濃度、横軸が経過年数。(10000日は27.4年)
 このグラフは放射性物質のそれぞれの減衰予想したもの。約27年が経過すると存在する放射性物質は放射性セシウムだけになり、これがほぼ100%になると予想している。

半減期は30年、実際は最長320年

 テレビや新聞で言われる半減期とは『物理的半減期』で放射性セシウムは約30年といわれている。しかし科学者は自然の拡散作用によって放射性物質の減少が促進され半減期が早くなるのではないかと予想していた。これを『環境的半減期』とよんでいる。この環境的半減期の予想は放射性ストロインチウムについては当たった。しかし、放射性セシウムは逆に環境的半減期が伸びていたのだ。理由としては幾つか挙げられる。

■土壌採取地点には、チェルノブイリ原発の付近から新たにセシウムが供給されている可能性がある。
■セシウムは地中深くの土壌にまで拡散している可能性がある。
 ことからチェルノブイリ付近における放射性セシウムの物理的特性は変わらないものの、結果としての環境的半減期は180〜320年になると算出している。もちろん、これはチェルノブイリに当てはまる例であり、福島第一原子力発電所ではまた別の結果がでることが予想できる。


逆に

札幌医大 高田純教授(放射線防護学)・・既報

は、環境放射能半減期は、30年より短いと主張されています。

 わたしはチェルノブイリの経験を重視しています。それでも、半減期を30年と見ると、300年で1/1000になります(正確には、1/1024)。

3000万Bq/m2の箇所は、

300年で3万Bq/m2
600年で30Bq/m2

となります。大熊町では、プルトニウムも10Bq/m2出ています。

プルトニウムは、2万5千年が半減期。

5万年後に 2.5Bq/m2です。

もっとも半減期のあいだにどこかにとび散るでしょうから、この計算通りにはならないでしょう。

原発周辺「20年住めない」=菅首相が発言、その後否定
 菅直人首相は13日、松本健一内閣官房参与と首相官邸で会い、福島第1原発から半径30キロ圏内などの地域について「そこには当面住めないだろう。10年住めないのか、20年住めないのか、ということになってくる」との認識を示した。松本氏が会談後に明らかにしたものだが、首相は同日夜、「私が言ったわけではない」と記者団に語った。
 松本氏によると、同氏は首相に対し、避難生活を強いられている周辺住民の移住先について、福島県の内陸部に5万〜10万人規模の環境に配慮したエコタウンをつくることを提案。首相は賛意を示し、「中心部はドイツの田園都市などをモデルにしながら、再建を考えていかなければならない」と語った。
 ただ、松本氏はその後、「20年住めない」との発言について、「私の発言だ。首相は私と同じように臆測(認識)しているかもしれないが、首相は言っていないということだ」と記者団に釈明した。(2011/04/13-19:56)


 初期の報道を政府が再度認めたことになります。なぜ、4月の時点では報道を取り消したのでしょう。4月から何か、新しい知見でも見つかったのでしょうか。国民に対して、きちっと この経緯を説明すべきだと思います。

どなたかが書かれておられましたが、

・放射能は嘘をつかない

のです。

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posted by いんちょう at 09:35 | Comment(4) | 原子力

2011年08月20日

白血病入門(1)熊大の研修医時代

福島原発地域の犬猫を引き取り、里親探しを行っていた女性が急死 福島野菜の即売会などの活動も
2011082001.jpg
当該ブログ内に上記記事内容がすべて記載されていることを確認いたしましたので、再度掲載します。(クリックで拡大し、文章を読むことができます)

純情仔猫物語

肥田先生の新聞記事から
−開業医の先生方にとって被ばくを治療する知識は、どういうものがあるのでしょうか。
肥田 一番マークしなければならない症状は、「非常にだるい」「仕事ができない」「家事ができない」という、原爆症の中で一番つらかった『ぶらぶら病』だ。
−例えば白血病などはどうでしょう。
肥田 白血病はまだでない。3年以降で、白血病はピークが5年、がんが7年だった。これは必ずピークは出る。医師は知っておいた方がいい。被災者のみんなが放射能障害を心配している中で、「心配しなくていいよ」という医者では通用しなくなる。



 一般臨床では、一例報告を非常に重視します。統計で証明できるのは、ずっとずっと後になるからです。何かよく分からない疾患(大学のICUなどにいるとしょっちゅう出くわします)をみかけると、同じような症状の報告がないか、またあるとすればどのように治療したのか。を検索(もちろん英語)・・・私は、先輩医師への相談が主でした・・・
 目の前の患者を救うためにできるだけのことをする。緊急の場合には、エビデンス(証拠)などといっているような悠長な時間は臨床現場にはないのです。
 その調べた知識や、今までの経験を総動員して、全員でカンファレンスをします。最近では、メーリングリストを使って、どう治療すべきかをたずねることもあるようです。それほど、病気というのは一筋では行かず、医師全員が頭をひねらざるを得ないことが珍しくありません。(ブラックジャックのように、ずばっと原因が分かることなど、ごくごくまれ。)・・通常大学病院では、合議制で疾患治療の方針が決められます。


 変な話ですが、卒業後の大学医局入局の際に、もっとも苦手で、さっぱり訳が分からなかった血液内科を主な分野とする第二内科に入りました。私の入局した当時は、大学の医局は、臓器別になっておらず、ナンバー内科でした。専門分野により
第一内科・・呼吸器、消化器
第二内科・・血液、膠原病
第三内科・・腎臓、消化器
神経内科・・脳梗塞、神経難病など
循環器内科・・いわずとしれた心臓関係
代謝内科・・糖尿病、内分泌疾患
とは一応は、分かれていましたが、一番最初にできた第一、第二内科(同時に分化したようです)が派遣先も多く、もっとも力がありました。正直なところ、派遣先の中で血液をしている病院はごくわずか、先輩の医師たちは
・消化器
・循環器
・糖尿病
など、大学での専門分野に関係なく好き勝手やっていました。大学にいるときは、血液をするけれども、外に行くと全く違う−そんな医局だったのです。
 したがって、医局の束縛も緩く、「去る者は追わず、来るものは拒まず」といった感じ。他の医局−特に外科−と違って、教授のいうことならば、「黒いものもシロ」と言い張るような雰囲気は全くありませんでした。出身大学による区別も一切なかったと思います。

・扱う病気はもっとも暗いが、医局は自由

 あと、学生時代から仲良くしていただいた畑先生(当時、医局長−畑正憲(ムツゴロウ)のおいにあたるらしい)の人柄に惹かれたというのもあります。私の同期は、12名程度ともっとも人気のある医局のひとつでした。人数が多いため、研修医時代はかなり楽でした。(雑用が 1/12になるわけです)

 血液疾患は、ありとあらゆる病態を取り、訳が分かりません。それゆえか、内科の王様といわれます。おなじ白血病といっても、いろいろなタイプがあり、それぞれの症例数が少ない・・逆に、糖尿病ですと、同じような感じの患者さんが何人もいます。一年まじめにやっていれば、そこそこの経験が積めますが、血液疾患はそうは問屋が卸してくれません。1〜2年したところで鼻たれ小僧に過ぎない。(何も分かりません。わからないことがわかる感じ。)
 血液疾患を罹患中の患者がどんな病気を併発しても、他科の先生はまず主治医にはなってくれません。(逆に糖尿病の方が、心疾患を起こせば循環器医が主治医に喜んでなるのとは大違い)内科疾患は言うに及ばず、ときには外科疾患まで(腸に穴が開いても、血液内科医が主治医のまま。もちろん、相談は乗ってくれますが)主治医を務めることになります。・・・ICUでも基本的には悪性疾患扱いですので、治療の対象とはなりません。

血液内科の先生にいわせれば、
・血液の医者は何でも診れる

他の科の先生にいわせれば
・血液の医者は何もできない。

ちょうど、このブログにいただいた電力社員に対するコメント

電力会社のエンジニアはゼネラリスト(英語で言えばJack of all trades, master of none)であってスペシャリストではありません。

そのものです。

どこの業界に行っても、私のスタンスは変われないようです。

さて、血液内科でもっともポピュラーな入院疾患といえば、

・悪性リンパ腫

です。白血病の入院患者さんもいるのはいるのですが、それほどは多くはありません。特に、初発の白血病は、 "Flesh leukemia"といわれ、主治医になると一週間程度は、夜遅くまでかかりっきりになります。

私は、一度20代のflesh (leukemiaは通常省略されます)を担当する予定だった(当日は、熊本日赤で診断されていた)のですが、転院される前に死亡されてしまいました。二回目は50代の女性。大学病院では、この方のみ移植までの治療を担当したことがあります。

 内科で50代といえば、かなり若い方に入ります。プレッシャーを感じながら治療に当たったことが昨日のことのように思い出されます。

■関連ブログ
松本市長 2011/3/22 定例記者会見-内部被曝の事実2011.8.1
われわれは原発事故にどう対処すればよいか(肥田舜太郎氏)2011.6.26
タグ:白血病
posted by いんちょう at 08:57 | Comment(8) | 原子力

2011年08月19日

フランス語サイトで紹介

 ブログの解析を少しだけやっています。その中に見慣れないアドレス・・・

http://www.scoop.it/t/fukushima-informations

原発事故を台所で考えてみる・・2011.8.19を元ネタとした
2011081927.jpg

フランス語は全く分かりませんので、Googleで翻訳
2011081928.jpg
なるほど、視覚に訴えているので、日本語が分からなくても、参考になるらしい。。。


おなじサイト 2011.8.7
奇形動植物のまとめのリンク
2011081929.jpg

この英語訳
2011081930.jpg

自動翻訳の日本語はほとんど分かりませんが、仏→英 はほとんど完成されています。これなら、私にも分かります。

フランスのサイトですか・・・ちょっとびっくりしました。

■関連ブログ
原発事故を台所で考えてみる・・2011.8.19
奇形動植物のまとめ2011.8.7
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posted by いんちょう at 23:46 | Comment(0) | 原子力

ガレキ処分は、山形、東京、愛知、大阪

2011.8.19 熊日朝刊 3面から
2011081926.jpg

最初のガレキ処理問題は、神奈川から。

原発震災廃棄物・広域処理問題@ まとめ
当サイトは四月中旬ぐらいに立ち上げました。
四月上旬に、川崎市長が福島県の震災がれきを広域処理したいと発言し、市役所に苦情が殺到するという出来事
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011041301001033.html
があったのですが、その頃からこの問題を追い続けています。

最初は、「福島県への差別だ」「風評被害を助長する」「復興を阻害するのか」と誤解されがちでしたが、小野先生のブログはこの問題の核心をわかりやすく説明しておられるので、引用させていただきました。(最初、あのブログを見た時にとても頼もしく感じました! 私たちは長らく、孤立無援のように思っていました)


私がブログ記事にしたのは、2011.5.17で、これは今更書いてもなぁ〜〜と思いながら、書いたのです。今考えると、とても遅いというわけではありませんでした。

 さて、添付したのは本日の熊日朝刊からです。なんだか、いやぁーな感じの記事です。要点をまとめます。

・受け入れ表明しているのは、東京、大阪、愛知、山形のみ。
・東京都はすでに被災地に職員を派遣した
・他府県でも同様に、当面は先行4都府県での実施状況を見守る構えの自治体は多い

このままですと、日本人の悪いところが出そうです。

・東京で大丈夫だったのだから、他府県で受け入れろ、受け入れないのは地域のエゴだ

必ずそうなります。その状態で、反対できるでしょうか?福島の放射能被害が何らかの目に見える状況にならない限り、そうなってしまいそうです。一度押し返せた神奈川も実績を積んでしまった後ですと、どうなるか分かりません。

 本日は、福島県庁に電話をしました。最初の目的は、
福島県のウェブサイトを見ましたら、山下俊一が100μSv/h安全と言っていたのを訂正?したようですの情報を確認するためです。
2011081932.jpg

下記の動画をご覧ください。

質疑応答動画を見る

 出られたのは、エネルギー課の方
・100μSv/hrから 10μSv/hrに変更したのは、5月17日山下先生が研究会の専門家に「言い間違い」と指摘されたから。
(山下先生は、第一人者ではないのでしょうか。このページの動画を見る限り、100まで大丈夫、5,10,20程度でびくびくする必要はない。と自信たっぷりに話しています。)
・福島は100mSv/年間 アドバイザーは大丈夫という意見
・自分には20歳の娘がいるが、全く心配していない。
・心配するなら、正しく心配してほしい

と電話を切りました。お忙しいところ、対応していただきありがとうございました。

 全くこちらの話が通じません。本当に、内部被曝も何もかもシーベルトで判断して、それで大丈夫なら健康被害は全く生じないというスタンスです。

カッサンドラーの嘆き(格言)そのものです。いくら、危険性を訴えても、全く信用してもらえない。

 私はいったいどうしたらいいのでしょう。できることはなにでしょうか。

いつも自分自身に問いかけています。

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posted by いんちょう at 21:08 | Comment(4) | 原子力

原発事故を台所で考えてみる・・

 原子炉は「やかん」と考えていいと原発入門で説明しました。台所で考えるといろいろな術語がある程度理解できそうです。

まず、原子炉の性質から。

原子炉を家庭用のガスコンロにたとえてみます。
2011081901.jpg
こんなの。

このガスコンロの説明書から
2011081902.jpg

原子炉には、このうちコンロの仕組みの中で火力調整しかないと思えば、ばっちりです。
Reactor has only fire control slide and we cannot shut it down.
(See. No.3 )

・とろ火にはできるが、止めてしまうことはできない。

これこそ、一番大事な原子炉の性質。しっかりとこの性質を心にとめます。
原子力発電入門(7)原子力は急には止まれない。

では、格納容器(containment)は・・・
2011081910.jpg

この圧力鍋(steam digester)が一番ぴったりきます。格納容器などの破損防止として行われた「ベント」・・なかなかイメージがわかなかったのではないでしょうか?
2011081903.jpg

この圧力調整装置(おもり)がベント弁そのものです。圧力鍋の内圧が上昇しすぎたときに、この弁から蒸気を抜きます。(そうしないと鍋が爆発する)

ベント = 圧力鍋の蒸気抜き
This is vent.
2011081931.jpg

どうでしょう?わけが分からなかったであろう「ベント」・・急に生活感を持って、理解できませんか?
(ベント、ああ、あの圧力鍋についているのとおなじやつね。。 この一言で推進派の人もムムッ。こいつ分かっているなと思うはず。)

さて、次に燃料のメルトダウンについて。まず、本物?の解析を動画で紹介します。

政府の作った「メルトスルー(炉心貫通)」アニメから。
(技術的内容は、こちらのサイトをご覧になってください。)


2011081911.jpg
・・つまり、福島で起きてたことそのものの解析です。
This is really happening at Fukushima.

通常の炉心の状態・・(水がたっぷり入って、沸騰中)
Normal situation
2011081912.jpg

・・パスタを湯がく時の鍋のイメージ
Like boiling spagetti in a pot
2011081907.jpg

破断事故、発生当初。(1:30頃)
2011081913.jpg

燃料の上部のみ水にかぶっています・・・いわゆるひたひたの状況
2011081906.jpg
ここまでは、冷却材は喪失していない状況です。
This situation is not Loss of Coolant Accident (LOCA).

さらに進むと、冷却材喪失事故
2011081914.jpg
そして、炉心露出(LOCA)
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炉心溶融(Core Melt)
2011081916.jpg

ほぼ、炉心溶融までいったのが、この写真。シチューの中身が焦げ始めます。(ぷすぷすいってますね。たぶん・・)
2011081908.jpg

 ここで大事なことが、ガスコンロはとろ火にしかできないこと。ここで、火を止めることができれば、鍋一つの被害で収まるのですが、原子炉の場合はそうはいきません。
Important: We can shut down fire, but cannot shut down REACTOR.

さらに、炉心の溶融は続き、圧力容器下部に到達します・・・これがメルトダウン(そして、スリーマイル事故の状態です)Melt down
2011081917.jpg
鍋を捨てる?くらいしかない状況でしょうか。
We may throw away this pot.
2011081904.jpg

さらに進むと、・・これが、メルトスルー
Going to Melt through....
2011081918.jpg
なべに穴が開いてしまった状況。(修理は不可能・・廃炉)
Now the Pot has an hole. We cannot repair.
2011081920.jpg

溶けた燃料は、当然格納容器に落ちます
Melted fuel on the bottom of the containment.
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もう写真は提示できませんが、鍋の中身(シチュー材料)が、ガスコンロの受け皿(ペデスタル)に落ちてしまった状況です。(火がコンロ廻りまで回っています)
Melt through?
2011081934.jpg


さらに進みます。

ガスコンロの受け皿(ペデスタル)も溶けてしまいます。
2011081922.jpg

台所の床まで火が回った状況(メルトアウト)Melt Out
2011081935.jpg

そして、格納容器下部のコンクリートを溶かし、ガスが充満します。
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格納容器全体を圧力鍋に見立て・・
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これは、内圧が上昇しすぎて、圧力鍋のパッキンから、蒸気が漏れている状態。そのままほおっておくと爆発します(台所の圧力鍋でも、どれほどの被害になるか・・・想像できます?)

次に行われる環境への放射性物質の放出
2011081933.jpg

早急に圧力鍋のおもり(圧力調整弁)を開放しなければなりません。・・・つまり、ベント。
Vent!!!
2011081931.jpg

(どうでしょう。!!と来ましたか)


菅首相が現地視察をしたのはこの状況にあたります。このタイミングでの視察が果たして必要だったのか?

2011081924.jpg
これは、ブラックジョーク。

さて、まとめます。
2011081909.jpg

以上の図を見て内容が理解できたら、卒業です。

メルトダウン・・鍋底を焦がしてしまった
メルトスルー・・さらに鍋に穴まで開いちゃった
メルトアウト・・コンロを超えて、台所の床まで火が回った。

ですね。

この状態で、元通りにできるのでしょうか?・・収束させるとは、そういうことです。

最後に、勝手に鍋の写真をお借りしたこと、ブログ主の方々にお詫びいたします。

■関連ブログ
米紙「福島に比べればスリーマイルは公園の散歩」2011.6.2
年内の収束不可能−高度な情報操作例(熊日朝刊から)2011.5.30
1-3号機メルトダウン報道について2011.5.25
メルトダウンのイメージ・ぷちおすすめ2011.5.15
1号機メルトダウン−私的収拾案・おすすめ2011.5.14
タグ:O
posted by いんちょう at 15:05 | Comment(4) | 原子力

2011年08月18日

福島原発の現場から・・

東日本大震災:福島第1原発事故 吉田所長の謝罪動画を公開−−東電
 東京電力は17日、福島第1原発の事故に対する吉田昌郎所長の謝罪や収束に向けた作業の様子を撮影した約6分間の動画を公開した。「現場からの報告」と題した動画は、8月10日と15日に撮影。冒頭、作業を陣頭指揮している吉田所長が白い防護服姿で登場。「多大なる迷惑をかけ、深くおわび申し上げます」と謝罪し、国内外から励ましの言葉が届いていることが「心の糧となっている」と感謝の意を示している。

 報道各社は発電所内の取材を要望しているが、東電や政府は「安全が確保できない」として現時点で立ち入りを認めていない。一方で「作業の様子を周知する必要がある」として、今回、動画を公開した。【比嘉洋】

毎日新聞 2011年8月18日 東京朝刊



右胸にかいてある
東電
1F
吉田

は、所属元だと思われます。
福島第一 1F
福島第二 2F
柏崎刈羽 KK
でしょう。
2011081801.jpg

この操作は、マスクから内側にリークがないことを確かめる動作です。マスクの吸入口を押さえ、空気を吸い込むことで確かめています。外部の空気を吸わないように全面マスクを装着するのは意外と難しい。
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産業医のアドバイス
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わたしもこのホールボディカウンタに半年に一度入っていました。私の記憶にあるのは、この形状です。時々紹介されるホールボディカウンタよりも、精密な印象を受けます。
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安定化センター所長の小森明生氏。現在の私の年齢が、発電所課長だった頃だと思いますが、全然変わっていません。当時の課長と比べると、わたしなぞはまだまだ若輩者です。
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福島第二の体育館です。新入社員の時の昼休みに同じ班の人と、バトミントンをしていました。このような施設に使われるとは・・・絶句します。
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 この発電所で働いている方々は、自分たちのお金のために働いているわけではありません。このままでは、日本、そして世界の滅亡につながるという使命感から働いてくれているのです。

 我々はその使命感に対して、何をすべきなのか。

原発をできるだけ早期に再稼働させることなのでしょうか。

それとも、

二度とこのような事故を起こさないように行動することなのでしょうか。

■関連ブログ
IAEA天野氏、1Fに観光旅行?2011.7.27
滑り込みセーフだった重要免震棟2011.7.3
1F-3号機(極秘写真の解説)・ぷちおすすめ2011.5.13
タグ:1F
posted by いんちょう at 21:44 | Comment(0) | 原子力

原子力発電入門(10)まとめ−絶対安全な原発は無理

 原発入門シリーズも、とりあえず今回で終了です。おおよそ基礎的な内容は理解できたのではないかと思います。元ネタは1回目でご紹介したように、米国の原子力専門家(Arnie Gunderson)の学生に向けた講義。米国の専門家の講義は、本当の基礎から応用まで入っており、大変ためになります。
 今回の入門シリーズは、この講義を参考にしながら、私なりにまとめたものです。従いまして、具体的な数値・・・例えば炉心の大きさ、出力・・・などが抜けていますが、そこはご了承ください。

 また、ICRP(International Commission on Radiological Protection: 国際放射線防護委員会)と ECRR(European Committee on Radiation Risk:欧州放射線リスク委員会)の違いについて、補足しておきます。

内部被爆の問題は、次のたとえが大変わかりやすいと思います。

「ICRPの健康基準なんか、信用してはいけない」
(週刊現代 2011年8月6日号)
− 日本政府が錦の御旗にするICRPのモデルには、どんな問題があるのか。
ひとつは、やはり内部被曝の危険性を過小評価している点です。

外部被曝と内部被曝の違いは、こうイメージしてください。石炭がくべられている暖炉の前に私が座ると、身体を温めることができます。しかし、その赤熱した石炭を食べて体内に取り込もうとすれば、どうなるでしょうか?私はすぐに死んでしまいます。それが、外部被曝と内部被曝の危険度の違いです。


もう、3度目の記載ですが、肥田舜太郎氏の動画


内部被曝を軽んじてはいけません。mSvなどの単位で計測できるようなものではないのです。

■関連ブログ
われわれは原発事故にどう対処すればよいか(肥田舜太郎氏)2011.6.26

さて、1回目からまとめます。
・原子炉でお湯を作って(火力と全くおなじ原理)発電する。特殊な方法ではない。
・発電効率はもっともわるい。明治時代の蒸気機関車を図体をでかくしただけ
・核分裂で熱を生成し、ヨウ素、セシウム、ストロンチウムなどの放射能を大量に作り出す。
・ウラン燃料を作るには、同等火力の石炭以上のウラン鉱石が必要であり、燃料精製にも多大の費用がかかっている
・蒸気を冷やすために海水が必要。海水を取水するため、日本の原発は沿岸に立地している
・放射能には3種類(アルファ線、ベータ線、ガンマ線)がある。外部被曝はガンマ線、内部被曝はアルファ線、ベータ線が問題となる。
・原子力発電は停止しても、相当量の崩壊熱が数年間残る。
・核分裂生成物は体内に入り、内部被曝を引き起こす。また、放射能がなくなるには数百年必要
・使用済燃料は数万年の管理が必要。

以上。

では、絶対安全な原発は作ることができないわけを説明しましょう。

・核分裂反応を止めても、崩壊熱が数年間出続ける。
・使用済燃料の管理には数万年

これが全てです。つまり、なにか事故が起きたとしましょう。当座の応急処置を数年間続け、さらに燃料を取り出さなければなりません。そんなことは不可能です。地震があっても、津波があっても、数年間は大丈夫なように、機械が設計できると思いますか?今の津波対策では、への突っ張りにもなりません。
ストレステストは、カネの無駄で書いたように現在の事故対応は、非常用装置が動いた時点で解析をやめています。少なくともその手順を燃料取り出しまできちっと担保できるようにしなければなりません。それは、ストレステストよりももっと前の話です。
 原子力の技術者ならば、全員分かっています。この話が全く表に出てこないのはなぜでしょう。私には不思議でなりません。

 福島は燃料が溶融して、圧力容器から下に落ちてしまっています。このように溶融した燃料を取り扱う技術はありませんし、今後も開発できないでしょう。すなわち、福島の原発立地点は、数万年の管理が必要な地点とすでになってしまっているのです。この地域をどう管理していくか。また、日本全国に散らばってしまった莫大な放射性廃棄物をどうするのか、答えは明らかです。

■関連ブログ
ストレステストは、カネの無駄2011.7.7
子供だましのシビアアクシデント対策2011.6.25

■原発入門シリーズ
原子力発電入門(9)−プルトニウム・・神話を超える管理2011.8.17
原子力発電入門(8)−核分裂生成物の半減期と病気2011.8.15
原子力発電入門(7)原子力は急には止まれない。 [2011/08/12 22:27]
原子力発電入門(6)放射能と放射線 [2011/08/11 22:10]
原子力発電入門(5)なぜ、海に面しているのか?2011.8.10
原子力発電入門(4)ウラン燃料精錬−いったいどこがエコ?2011.8.9
原子力発電入門(3)原子力−莫大なエネルギーの見返りは放射能 [2011/08/08 21:25]
原子力発電入門(2)もっとも効率が悪い発電方式 [2011/08/07 18:28]
原子力発電入門(1)発電方法 [2011/08/06 20:51]
タグ:原発入門
posted by いんちょう at 07:07 | Comment(0) | 原子力

2011年08月17日

泊原発営業運転開始

泊3号機営業運転 道民ら「茶番」「仕方がない」(08/17 18:40)
 高橋はるみ知事が北電泊原発(後志管内泊村)3号機の営業運転再開を容認する見通しとなった17日、道庁前では朝から「脱原発」を掲げる市民団体が「道民不在の再開を許すな」と訴え、同原発の地元住民からも「慎重な判断を」との声が上がった。一方で、道行く人々からは「電力不足が心配」と知事の方針を支持する声や、「議論は茶番で関心がない」という声も聞かれた。

 札幌市中央区の道庁北門前では午前8時から約40分、脱原発を主張する市民団体「Shut泊」(札幌)や道労連の関係者約20人が「知事は、まず道民の声を聞け!」と書かれた横断幕を掲げた。

 Shut泊の橘晃弘さん(53)は、16日の道議会で知事に慎重な対応を求める声が相次いだことを挙げ、「運転再開を容認できるような雰囲気ではないはず。知事は道民の意見を時間をかけて聞くべきだ」と強調。関係者とともに「運転再開を許すな」とシュプレヒコールを上げ、福島から避難している人のメッセージを添えたビラ300枚を通勤する道職員などに配った。

 福島県伊達市から妻と子供たち4人の計6人で北海道旅行に訪れ、道庁近くを通りかかった会社員板垣由弘さん(45)は「放射能を気にせず、おいしい空気を子供たちに吸わせてあげたいと思って北海道に来た。その北海道で原発の運転再開が議論されているのは悲しい」と話した。

 泊原発の地元でも懸念の声が上がった。泊村の男性(67)は「国の方針だから仕方ないとは言え、北電が3年以内に行うと説明している津波対策がまだできていないのに、本当に安全と言えるのか疑問だ」。岩内町の幼稚園長平宏史さん(57)も「知事は地元のトップにだけ意見を聞くのではなく、広く住民の声に耳を傾け、慎重に判断してほしかった」と語った。

 一方、札幌の中心部を歩いていた札幌市東区の主婦伊原良江さん(67)は「原発がないと電気が足りなくなる心配がある。原発反対ばかり言っている人たちには共感できない」と話した。

 同市西区の無職三浦弘昭さん(53)は「一般市民がいくら声をあげても、上が勝手に決めてしまう。容認するかしないかなんて茶番で関心がない」と、冷めた表情だった。


 全員が日本人で、福島がどうなっているか知っているはずなのに、どうしてこのような態度をとれるのでしょうか。「仕方がない」であきらめていては、どうしようもありません。

 電気がないから、原発を動かそうとする人
 今度事故が起きたら、日本がつぶれるから止めようとする人

どちらの方が、日本全体のことを考えているのでしょう。このような記事を読むたびに、暗澹たる気分になります。

ただ、この泊原発の営業運転開始は、玄海原発の運転再開とは全く異なります。
もともと3月7日から、泊原発は発電をしていたのです。最終検査を受けていなかっただけで、実態は何ら変わりません。

 たとえていうと、プロ野球に入団が決まった高校生選手みたいなものです。
(卒業していないのに、キャンプに参加しています)その選手が、卒業証書をもらった感じ(つまり、なにも変わらない)

もっと、卑近な例でいうと

・両親が許可をしていないので、結婚式はしていないが、入籍もしており子どももいる。

というところで、ようやく両親が許可をしたので、結婚式を盛大に挙げた。

・・・実態がなにも変わらない。・・こんなところでしょうか。今更、反対してもね・・


玄海は、止まっている状態の発電所を動かそうとしていたのですから、これから「子ども」を公明正大に作ろうとしているところを、みんなで反対した。

そのくらい違います。

そもそも、この営業運転許可というセレモニーを、これまで決断できなかった
・電力
・道
・保安院
・原子力安全委員会
におおきな問題があるのです。(誰も責任をとりたくないので、逃げ回っていただけです)
・・・この問題点を最初にマスコミの前で指摘したのは、あの斑目氏です。
(関連ブログ・・みんな知らんぷり・・を参照ください。)

■関連ブログ
原子力安全委員会の実態−追認するだけ2011.8.15
みんな知らんぷり−調整運転原発−はや3ヶ月2011.7.12
タグ:
posted by いんちょう at 21:20 | Comment(0) | 原子力

コメの状況とふくしま農産物

8月14日毎日新聞より
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福島 1,600-2,000箇所
宮城 400箇所
茨城 400箇所
新潟 74箇所

(失礼いたしました。調査地点の数でした。まだ、調査自体は行われていないようです)

農産物の安全性アピール=専用サイト立ち上げ−福島県
 福島県は17日、同県産の農産物や水産物などの安全性をアピールするためのプロジェクト「ふくしま新発売。」をスタートさせた。第一弾として、放射性物質の検査を行った県内産品約250品目について、最新の検査結果を調べられる専用サイトを開設。東京電力福島第1原発事故で受けた風評被害の払拭(ふっしょく)を目指す。
 サイトでは、モモやナシ、キュウリなどの農産物のほか、牛肉、魚介類など、品目や地域別に最新の検査結果を検索できる。また、生産農家の声や応援メッセージなども動画で配信していく。
 同日都内で記者会見した同県の佐藤雄平知事は「原子力災害に伴い、安全であるにもかかわらず風評被害による買い控えが起こり、大変深刻な状況となっている」として、福島産品の安全性に理解を求めた。(2011/08/17-17:20)

福島県農産物復興プロジェクト「ふくしま 新発売。」始動地域ニュース / 東北 | 2011年8月17日 水曜日
福島県は、東日本大震災からの復興に向けて、「がんばろう、ふくしま!」運動を、県と県民が一体となって行っている。その一環として、福島県の農産物復興プロジェクトとして「ふくしま 新発売。」プロジェクトを8月17日に新たに立ち上げた。
このプロジェクトでは、福島県が県産農産物や関連した観光などの最新情報を首都圏等の消費者に提供するほか、消費者を招いての収獲ツアーや今後の本県農業を考えるシンポジウムの開催、農産物の放射性物質の検査結果を検索できるホームページを立ち上げるなどして、本県農産物の安全性を広く発信するものである。

女優の三田佳子さん、料理人の野崎洋光さん、スポーツジャーナリストの増田明美さん、みちのくボンガーズらがサポーターとして加わり、プロジェクトを盛り上げる。

詳細は、当該プロジェクトページまで。



ふくしま新発売
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きのこでは基準値以上のセシウムが検出されています(出荷停止中)が、それ以外はほとんど検出されていません。
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タグ:P
posted by いんちょう at 20:42 | Comment(4) | 原子力

原子力発電入門(9)−プルトニウム・・神話を超える管理

 ほとんど核分裂(半減期45億年)をしないウラン238に熱中性子が当たるとプルトニウム239となります。
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使用済燃料には、セシウム、ストロンチウムの他にこのプルトニウムが山のように含まれます。
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 会社に勤めていたときに、プルトニウムの危険性をいろいろと教わったのですが、なかなか分かりません。こんなことを言う人もいます。(かの有名な東京大学工学系研究科システム創成学 大橋弘忠教授)・・九電でのMOX燃料やらせ説明会で・・みんな楽しくHappy♡がいい♪から引用

もう一つはプルトニウムの毒性です
プルトニウムの毒性というのは非常に誇張されて捉えられていますが
そのプルトニウムの健康被害を扱う専門家の方は
「社会的毒性」というふうに呼んでいます
実際には何にも怖い事はありません
仮に大げさな話をしてプルトニウムをテロリストが取って行って貯水池に投げ込んだと
そこから水道が供給されていると、
じゃぁ何万人が死ぬかと言ったらそんな事はありません
一人も死なないというふうに言われています

プルトニウムは水にも溶けませんし
仮に体内に水として飲んで入っても、常に排出されてしまいますから
その、小出さんが言っている様なことが起きるのは
全く仮想的にプルトニウムの粒粒を1個1個取り出して
みなさんの肺を切開手術して、肺の奥深くの出てこない所に
一つずつ埋め込んでいったらそれくらい死にますよという
全く起きもしないことを仮想について言っているんですね
ですからそんな事をやっていたらみなさん自動車にも乗れないし電車にも乗れない
何が起こるか分からないですよという話と全く同じです


筆者注:肺の奥深くに埋め込まずとも、吸入することで容易に肺の中に入り込みます。プルトニウムの何倍もの質量があるたばこの煙が簡単に肺の中に入ってしまうことから、明らかです。この教授は、人体のことを全くご存じないのは間違いありません。

もっと、簡単にわかりやすく

推進派のアニメ(頼れる仲間プルト君書き抜きあり・・ニコニコ動画も全編紹介)


対する小出氏
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もっとも保守的に見ても、25.4マイクログラム(1gの100万分の1が マイクログラム)で肺がんになります。それが、もう天文学的な数量で、日本にあるわけです。

半減期は、2万5千年。セシウムで見ましたように、1000分の1になるには、半減期の10倍の時間がかかります。すなわち、25万年・・・人間の管理できる時間なのでしょうか。
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下記は、動画です(おそらく、すぐ消されることでしょう)


ピラミッドは、5000年前。 あれほど、強大な権力を誇ったエジプト王国・・この当時の言葉、文字すら我々は忘れ去っていました。
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1,000年前の言葉を現在の我々は、「古文」として勉強します。何からなにまで現代の言葉とは変わっています。源氏物語・・原文のままで理解できる人ははたして何人いるのでしょう。
大げさな・・・といわれるでしょうか。

NUMO(Nuclear Waste Management Organization of Japan:原子力発電環境整備機構)なる機関があります。


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ここから、一部を拡大
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なんと、数万年と書かれています(当然ですが・・・)

国家、君が代の歌詞に

<君が代は、千代に八千代に
千年も、さらにいく千年も。永久の栄えを祈る言葉。

 我々人類は、千年、幾千年で、永久と考えるのです。


 クーラー、パソコンなどで一瞬で消費してしまうような電気を使うことによって生じる放射性廃棄物を作りながら、一瞬の繁栄を享受する権利が現代に生きる我々にあるのでしょうか。数万年後の人類に恨まれませんか。

最後に、動画を紹介します。(また、消されるでしょうが、何人かの方は見ることができるでしょう)



この中から一枚
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高レベル放射性廃棄物のキャニスター1本が4万テラベクレル。今回の福島原発災害での総放出量が、37万〜63万テラベクレル(ヨウ素換算なので、単純比較はできません)
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表面線量は、こちらから抜粋
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表面から1m離れたところで、110Sv/hr (これは、1時間で広島原爆の爆心地そのものの値)
表面で1,500Sv/hrですから、表面に抱きつけば4分で爆心地そのものの被曝をします。

たしかに千年経つと、ある程度は線量が低下するようですね。(正気でしょうか)
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・・ブログ中の動画が消されているのを発見された場合は、コメント欄にお書きください。可能な限り、リンク切れを復活させます。また、ご覧になって、なるほどと思われた方は、ご自身のパソコンにできるだけ保存してください。お願いいたします。

http://keepvid.com/

で簡単にダウンロードできるようです。(issacさん、ありがとうございました)

 この放射性廃棄物問題が、原発の最大の問題点だと私は思っています。この仕事を押しつけられても、解決する手段などありません。私が会社を辞めた理由の一つでもあります。

 以前よく出てきた武藤副社長、この廃棄物問題で「電力がきちっと管理するといっているのに、何が不満なんだ。」と話していたことがあります。東京電力の歴史は50年足らず。その会社が数万年の管理をきちっとしますといったところで、誰も信用しないのは明らかでしょう。原子力村には、そういった常識的な視点が全く欠けているのです。

■原発入門シリーズ
原子力発電入門(8)−核分裂生成物の半減期と病気2011.8.15
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■関連ブログ
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佐賀県知事をスケープゴートへ−原子力村の戦略2011.7.31
モンゴル最終処分場頓挫〜東芝2011.7.28
使用済燃料の管理(1000年必要)2011.3.16 (注:この時期は報道規制がかかっていたため、かなりオブラートをかぶせています)

続きを読む(頼れる仲間−プルト君)
タグ:原発入門
posted by いんちょう at 03:17 | Comment(3) | 日記
ブログ全体の目次は、こちら