青山大学の小林一郎先生のお話を伺う機会があり、実に印象的なことばを頂いたのでメモ。
「生きがい」は会社に落ちてない
青山大学の国際ソーシャルエコノミスト、小林一郎先生は、切れ味鋭い発言がすばらしい方です。その語録の中で「『生きがい』は会社に落ちてない」というものがあります。
これはビビっと来る指摘です。結構多くの人が勘違いしてますよね。
基本的に、会社はぼくらに「生きがい」を与えるために存在しているものではありません。資本主義的な価値観に飲まれている以上、会社の存在意義の大部分は、なんだかんだで「あくまで利益を出すため」に費やされます。
意識的であれ、無意識的であれ、会社に「生きがい」を求めるのは危険です。それは基本的に誤解だからです。
実際「就職人気ランキングトップの会社に就職したけど、全然やりがいを感じられなくて辛いです」なんて悩みを見聞きします。
なんというか、それって当たり前じゃない?とも思うわけです。繰り返しますが、会社はぼくらに「生きがい」を与えるために存在しているわけではありません。
冷たく言えば、利益さえ上がっていれば、あなたがやりがいを感じているかどうかなんて、経営者はほとんど気にする必要はないのです(実際、多くの企業は社員のやりがいを本気でケアしていません)。
生きがいを会社が与えてくれないことを、はじめから理解しておけば、選択の幅は広がります。会社はあくまで人生の「一部」になり、冷静に自分の人生を組み立てることができるようになるでしょう。
若いみなさん、会社が生きがいを与えてくれる、なんて幻想はもたないようにしましょう。
視野狭窄であるのはもちろん、こうした考えは、自身をブラックな労働に陥れる危険ももたらします(「オレはこの職場で自己実現するんだ!だから時間外だろうがなんだろうが働けるんだ」)。
★この記事を読んだ人にはこの本がおすすめ。
ただし、一部の会社は本気で社員の「生きがい」や「自己肯定感」にケアしているのも事実です。そういった会社はある種「カルト的」なので、ちょっと個人的に近寄りがたい気もしますが、カルチャーが合致する人にとっては居心地のよい空間になるのでしょう。
そういった会社の事例やアプローチについて知るなら、こちらの本がおすすめです。ベリル・カンパニー、ラックスペース・ホスティング、パタゴニア、ザッポスといった企業の取り組みが詳しく紹介されています。