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【福井発】新技術実現へ研究継続 広井もんじゅ新所長に聞く2013年5月1日 組織に横断的つながりを
敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」の一万点近い機器が点検時期を超過していた問題で、経営陣の現場への関与を強めるため日本原子力研究開発機構(原子力機構)は四月一日付で、もんじゅの新所長に広井博理事兼敦賀本部長代理を起用した。もんじゅを管理する現場の意識改革や新規制基準への適応状況を聞いた。 (聞き手・山内悠記子) −昨年十一月、最重要機器を含む約一万点の点検先送りが発覚した。問題の背景は。 「経営側と現場のコミュニケーションが不足し、改正した内規が周知徹底されず、点検開始時期の認識が一致していなかった。現場の問題点が課やチーム内でとどまり、所長も部長も知らなかった」 −再発防止策は。 「膨大な保全項目に対応できるよう、点検漏れが集中した電気保修課を十三人増員した。点検管理データを電算化して一元管理する作業に着手している。組織の横断的なつながりを深めて教育も実施する。合理的で安全な保全プログラムを一年くらいかけて作る」 −トラブル続きで国民の厳しい視線が注がれている。 「使ってみてトラブルへの対応もし、改善につなげるのが原型炉の役割。トラブルは起きて当然というスタンスでは国民の皆さんに怒られるが、新たな挑戦にトラブルの克服と改善はつきもの。国民に認めてもらえるよう努力することで研究開発ができる」 −新規制基準への適応状況は。 「FBR(高速増殖炉)安全技術センターを設置した。基準案と比較しながら評価を進めており、足りないところはレベルアップしてしっかりやる。一方で、規制委の対応もある。軽水炉は専門家がオープンな場で議論して基準を決めたが、FBRには専門の委員会がない。われわれやそれ以外の専門家の意見を聞く場をつくっていただきたい」 −研究を継続する意義は。 「日本は資源が乏しい国。エネルギーは国の根幹で安定供給できないと国として成立しない。FBRの技術開発はうまく進んでいないのは事実だが、だからやめてもよいというのは違う。われわれに新技術を実現させてほしいと国民の皆さんにお願いしたい」 PR情報
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