|
5月20日、東京は高田馬場シチズンプラザにて一水会フォーラム「真相シリーズ第二弾・見沢知廉 スパイ粛清事件の真相」が開催された。当日は大勢の参加者があったが、なんと講師の見沢知廉さんが定刻を過ぎてもまだ来ない。聞き手である鈴木さんが前に出ることとなった。
「ハイこんちは。鈴木邦男です。見沢知廉というとドタキャンで有名なんですけれど、もしかすると嫌な予感はしていたんですよね。かと言って皆さんをずっと待たしておくわけにいかないし。今迎えに行っているので、時間内か2次会には来るかも知れません。…来ないかもしれません」 といった語り口でフォーラムは開始された。特に会場で苦情が出始めるわけでもなくいつも通りの雰囲気である。
◆私の隣の人は何と… 私は左側一番前の席にいたのだが、隣には初老の男性が座っていた。どこかで見たことがある。いや、私の場合、ホントは見たことも無いのに何故かヘンな感が働くことがある。「真相シリーズ第二弾ってあるけど、第一弾は何だったの?」と質問を受ける。「3月17日に赤報隊の真相について鈴木さんが語ったんです」と答えると「ふーん」その後も2,3質問を受け、鈴木さんの話す内容も逐一メモを取っていたので、この人は新聞記者なのかなと思っていた。その後鈴木さんから、「今ファルコンさんの隣に座っている方が、元朝日新聞社の編集委員をされていた伊波さんです。伊波さんとは「赤報隊の秘密」(鹿砦社刊)で対談をしたんですが、当時手強かった記者の一人です。ね?」と説明があった。
◆見沢さんは来るか? 「あくまでこれは見沢君を僕らが無理やり呼び出した訳じゃないんです。一水会の事務局と見沢君が話をして、あの事件から20年経ったし、もうタブーじゃないだろう。スパイ粛清事件というかリンチ殺人事件、ならびに死体遺棄事件について語りたいと本人が言ったんです。」 しかし、 「今、言語不自由ですからね彼は、ヤク中で、あ、ヤク中じゃないか(笑)、合法的な薬で。なんか薬が好きなんですよ(場内爆笑)。躁鬱の薬だとか風邪薬だとか一日100個くらい飲んでまして、それでろれつが回らななくてしょっちゅうぶっ倒れてるんです。だからもしかするとドタキャンだとか、調子が悪いとか…。」こう書くとわりと好き放題言っているという感じもするが、鈴木さんの口調で場内は和やかな雰囲気になっている。ただ話はさらにエスカレートした。 「獄中12年で、出てきて6、7年で新潮文庫に本が3冊ですから。新潮というのは文庫の中でも一番権威があって、まあ森鴎外、夏目漱石、三島由紀夫と一緒に並んでいる。普通だったら夢の夢ですよ。新潮に入ったら今死んでもいいだろうと。もう十分だろうと言うんですが、本人はまだまだ野心があると言ってるんですよ。まだまだ自分は不遇だ。日本のドストエフスキーだと」
こうした話をしながら鈴木さんは見沢さんが来るのを待っていたのだろう。本題には入らず話を伸ばしている。
|
「一水会の人間にも、とにかく街宣車で迎えに行って、ドアをぶち破って、板戸に乗せてそれで来いと。それで机を2つくっつけて並べてそこへ寝かせて、毛布をかけて僕が枕もとで最後の遺言を聞くと(場内爆笑)。そういう話にしてたんですけどね。それでもダメなんですよ。それでダメだったら僕の視点でしゃべるしかないですからね。見沢は悪人ですよ。え?」 ここで一水会の成島さんより状況説明。 「申し訳ありません、極力来させるようにはしますから」とのことだった。 「なんかしょうがないですねー。2次会までには来るんじゃないかと。来なかったら一水会の方へ文句言ってください。金返せと。返しますから。…僕が勝手に言っちゃマズイか。まあ2時間一生懸命やりますから」
◆赤報隊事件の取材に関してマスコミに思うこと ここで、先に触れたが元朝日新聞社編集委員伊波新之助さんの紹介が入る。そして、赤報隊の話が続く。 「今まで色々な対談やインタビューされた中では、一番手ごわかったのが伊波さんとあと、テレビ朝日ニュースステーションの清水建宇。あの人もどんどんどんどん追い詰めていく感じがしました。証拠挙げていってですね。それであれを見た人は、鈴木が怪しいと思うんです。手ごわかったのはこの二人だけです」 しかし、それ以外のマスコミの対応に鈴木さんは、こう話を続けた。 「別に舐めているわけではないですけれど、他のほとんどの記者は独自の取材とかしていないですし、全部公安警察から情報をもらってそれに基づいて僕らを調べてくるんです。朝日新聞によると、赤報隊の容疑者は最終的に9人に絞られたと。9人に僕とか木村君とか入ってるんですね。名誉なことにノミネートされて(場内爆笑)。あとの7人も全部分かっています。それは全部、僕の友達です。ようは朝日を襲撃したのは一水会の鈴木たちだろうと。スパイ粛清事件の頃の一水会は、一水会も、一水会と連帯していた統一戦線義勇軍も、あの頃はハネてましたから。非合法闘争も当然だと思っていましたし、そういう人間はみんな怪しいと思われていたんです。だから、こうしたことは足で調べたわけじゃなくて机の上での調査なんですね。紙の上でコイツとコイツが怪しいとそれで9人なんです。それだけなんです。しかし、基本的なことを言うと初動捜査が間違っていたんですよ。」 赤報隊事件時効を前後としてテレビ局の取材も多かった。テレビで取り上げられたのは報道特集(TBS)とサンデープロジェクト(テレビ朝日)の二つだが、 「その後、もう2つテレビに依頼があって出る予定だったんですけれど、一方的にテレビ局からキャンセルがありました。普通は本人がキャンセルするというのはあるんでしょうが、局側からキャンセルってあんまりないですよ。多分絵にならなかったんでしょう。あまり過激なことは言わなかったし。他の人たちは目のトコにぼかしを入れたりして『朝日なんか襲撃されて当然だバカヤロー!』とか、武闘訓練をやってるとか、それから、『犯人を知っていますか?』と聞かれて『ノーコメントだ』と思わせぶりなことを言って。あ、こういう風に言うと絵になるんだなあと思いましたね。だから、ニュース番組に関わらず、絵になる面白い番組を作ろうとヘンな色気があるんですね。」
|