ＩＯＣ　猪瀬都知事を処分せず、トルコも謝罪受け入れ

五輪招致をめぐる他都市批判発言が問題となった後の４月３０日、東京都庁で記者団の質問に答える猪瀬直樹知事 Photo By 共同

　東京都の猪瀬直樹知事が２０２０年夏季五輪招致を争うイスタンブール（トルコ）を批判する趣旨の失言をした問題で、国際オリンピック委員会（ＩＯＣ）は１日、東京招致委員会の説明を受け入れ、処分はしないとの回答を送ったことを明らかにした。ＩＯＣは「ルールを守るよう念を押し、この問題は終結すると東京に通知した」と説明した。

　猪瀬知事は４月２７日付の米ニューヨーク・タイムズ紙の記事に、イスラム教やトルコを批判したと受け取れる発言が掲載された。ＩＯＣは事実関係の確認などを求め、招致委は４月３０日に竹田恒和理事長名のメールで「ルールの順守を約束する。知事は他都市に言及し、ＩＯＣルールに抵触する可能性のある不適切な表現が一部あったことを認め、謝罪した」などと説明した。

　猪瀬知事は「イスラム教国が共有するのはアラー（神）だけで、互いにけんかしており、階級がある」などの発言を記事で引用された。知事は４月３０日に「不適切な発言で、訂正したい」と述べ、謝罪した。

　一方、トルコのクルチ青年スポーツ相は、猪瀬知事の謝罪受け入れを表明し、「これからはＩＯＣの規約にのっとった友好的な競争を望む」と語った。共同電によると、クルチ氏は「われわれはトルコ人と日本人が数世紀にわたり維持してきた友情と互いに尊敬し合う関係を極めて重視している」と述べた。

　≪書き込み続々「東京は負け」≫猪瀬知事が五輪招致をめぐりイスタンブールを批判した問題でトルコのメディアは４月３０日、知事が発言を撤回して謝罪したことを一斉に報じた。新聞社のウェブサイトなどのコメント欄には「これで東京は負けだ」などの書き込みが相次いだ。テレビ局ＮＴＶのサイトには「東京都知事がこれだけトルコ人をいじめたら、イスタンブールのチャンスは大きい」「これで東京は負けるだろう」との声も寄せられた。