名古屋グランパスのFW玉田圭司(33)が1日、ストイコビッチ監督に否定的な見方を示されたループシュートへのこだわりを口にした。4月27日の広島戦で決定機にループシュートを試み失敗。チームは1−1で引き分け、試合後に指揮官からシュート選択を酷評された。玉田は「(今後も)打つと思う」と断言。多彩なシュートを打ち分けるストライカーの誇りに懸けて、必殺の武器は決して封印しない。
ストイコビッチ監督の烈火のごとき怒りにも、玉田の点取り屋としての魂が揺さぶられることはなかった。問題となっているループシュートについて、玉田は「打つと思う。調子がいいからこそ、シュートの選択肢の幅が広がっている」。レパートリーの一つとして使い続けると明言した。
発端は27日の広島戦。スルーパスで玉田が完全に抜け出し、GK西川と1対1になる決定的チャンスを迎えた。左右へのシュートやドリブル突破も考えられたが、玉田が選んだのはGKの頭をフワリと越すシュート。これをジャンプした西川にはじかれてしまった。
決まっていれば2−0に開いて白星を決定付けることができたが、逆に追いつかれる後味の悪い結末。試合後の会見で、ピクシーは「親善試合や練習試合ならいいが、公式戦であんなプレーは受け入れがたい。ループシュートは愚かな選択だった」と断罪した。
玉田は「GKの上を抜けると思ったけど、ミスはミス。それについてオレは言い訳しない」と決定機を逃した責任は潔く認めている。そのうえで、ループそのものを認めないようなピクシーの発言については、「それは違うと思う」。状況に応じて最善と信じるシュートを打つ。ループは大切な武器の一つと語った。
監督の意に反することは本意ではない。一方で玉田にも譲れない自負がある。パワフルなボレーを得意とする一方、今季は3月30日の湘南戦でループを決めている。硬軟織り交ぜたシュートは、173センチの小柄な玉田がプロで生き抜くために必要不可欠なのだ。
次戦は3日の川崎戦(等々力)。天才レフティーのひらめきが、今度こそゴールをこじ開ける。 (木村尚公)
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