12月稼働予定の新古里原発、住民の反対で送電塔着工できず

宗教団体など外部からやってきた活動家と一部住民の反対で着工期限が過ぎる
1日に56億ウォン(約5億円)損害が発生する恐れ
年末に完成予定の新古里3号機を稼働させるには4月中に送電塔の着工が必要
反対派は送電線の地下埋設を要求
地下化には12年の工事期間と2兆7000億ウォン(約2400億円)の建設費が必要
関連する五つの自治体のうち蜜陽市だけが着工できず
「対策を8年も先送りした韓国電力にも責任」と指摘する声も

 季節に関係なく毎年のようにブラックアウト(大停電)の危機が繰り返されているが、今冬はより深刻な状況となりそうだ。3兆2500億ウォン(約2900億円)もの巨額を投じて建設された140万キロワット級最新型原子力発電所の新古里原子力発電所(蔚山広域市蔚州郡)3号機が9月に完成し、12月末には通常の稼働を開始する計画だが、電気を送る送電線の設置が遅れているため、発電所そのものが無用の長物となる可能性が高まっている。今年は4月の時点ですでに予備電力が非常事態直前の「準備段階」に突入している上、毎年のように電力使用量が増加する現在の状況を考えれば、電力需要が一気に高まる今冬はブラックアウトが現実味を帯びてきている。

 新古里原発で発電された電気を送る送電塔建設が、慶尚南道蜜陽市で大きな問題として浮上している。工期に合わせるには遅くとも5月初めには工事に取り掛からねばならないのだが、30日の時点で蜜陽市の一部住民の反対に加え、外部からやってきた市民団体や宗教団体も反対運動に加わり、工事が全く進展しないのだ。「4月末が期限」と主張する韓国電力の説明によると、現時点ですでに12月の原発正常稼働には間に合わず、また原発が完成した後もかなりの長期にわたり原発の稼働を中断せざるを得ない状況になる恐れがあるという。140万キロワットの原発が稼働できない場合、電力生産に必要な追加費用は1日に56億ウォン(約5億円)に上り、1カ月で1680億ウォン(約150億円)ほどかかるとみられる。

■蜜陽以外では工事完了

 蜜陽で問題となっている送電塔建設工事とは、蔚山市蔚州郡の新古里原発で発電された電気を慶尚南道昌寧郡の北慶南変電所まで送る765キロボルト級の送電線設置工事のことで、蔚州郡から釜山市機張郡、慶尚南道梁山市、蜜陽市を経て昌寧郡へと続く全長90.5キロ区間に計161本の鉄塔を建設するものだ。

 蜜陽市を除く地域での送電塔建設工事はすでに終了している。蔚州郡は2011年、梁山市は12年に工事が終了し、機張郡は今年3月、昌寧郡も4月に終了した。

 161本の送電塔のうち、蜜陽市には丹場面、山外面、上東面、府北面、清道面の五つの面に計69本が建設されることになっている。当初は五つの面すべてで反対が激しかったが、現在はかなり反対も収まっている。清道面住民は早くから建設を受け入れ、予定された17本は工事がすべて完了した。しかし残り四つの面では地元住民と外からやってきた団体がいまだに反対しているため、計52本が今も建設できない状態が続いている。ただし丹場面、山外面、上東面では住民の多くが建設受入れを前提に韓電との交渉に前向きで、府北面だけが最後まで建設中止を求める住民が今も多数を占めている。

 韓電は反対住民とその他の団体で構成された「蜜陽765キロボルト送電塔反対対策委員会(以下、対策委員会)」に13の補償案を提示したが、交渉は最終的に決裂した。

蜜陽=チョ・ジェヒ記者
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