西日本新聞

動物ニュース

2013年05月01日掲載 長崎 / 魚貝類

九十九島に絶滅危惧種 20種類生息 干潟、磯の重要性示す 海きらら確認

 九十九島水族館「海きらら」(佐世保市鹿子前町)は、同市の西海国立公園九十九島周辺の海域で、環境省が絶滅危惧種に指定するカニの一種「ハクセンシオマネキ」や巻き貝「シイノミミミガイ」など20種類が生息していることを確認したと発表した。同館は「干潟や砂浜、磯など多様な環境が混在するため、さまざまな生物が生息できている」とみている。

 
 確認したのはこのほかクボハゼ、ドロアワモチ、コゲツノブエなど。干潟のプランクトンを餌にしている生物が多く、沿岸の埋め立てや護岸工事などで干潟や砂浜が減少しているため、全国の自治体から個体数の減少が報告されていた。中でもハクセンシオマネキは有明海以外で生息が確認された例はほとんどないという。
 
 九十九島は208の島からなり、約288キロに及ぶ自然海岸や周辺海域に干潟や砂浜、磯などが点在している。同館は2005年に生息調査を開始。調査は12年に終え、これまでに計385種が生息していることを確認、この中に絶滅危惧種も含まれていた。
 
 同館の川久保晶博館長は「干潟や砂浜、磯の保護の必要性を示す重要な結果。学会に報告したい」としている。
 
 【写真上】絶滅危惧種のハクセンシオマネキ【写真下】絶滅危惧種に指定されているシイノミミミガイ
 
=2013/05/01付 西日本新聞朝刊=