素材部門の状況はさらに深刻だ。最近韓国が世界首位に浮上した2次電池でも素材の海外依存が目立つ。サムスンSDIとLG化学は世界の2次電池市場でそれぞれ1位、3位だが、リチウム2次電池に使われる正極材料、負極材料、電解質、分離膜は大半を海外からの輸入に頼っている。特に正極材料の大半は日本からの輸入だ。
半導体部門でも、サムスン電子とSKハイニックスが世界のメモリー半導体需要の半分近くを供給しているが、半導体製造に使われるウエハー、金線などの重要素材は80%近くを日本から輸入している。
化学繊維分野では、防弾服に使われるアラミド繊維の原料となる素材を中国と日本から全量輸入している。航空機、スポーツ用品に使われる炭素繊維は素材の国産化率が5%にすぎない。素材の対日依存度が高まり、素材部門の対日貿易赤字は2001年の44億ドルから昨年の119億ドルへと10年間で3倍近くに増えた。
■生き残りには技術確保が重要
素材・部品の技術競争力確保は、企業の生き残りと直結した課題として浮上している。米化学大手デュポンと韓国のコーロンインダストリーがアラミド繊維の技術をめぐり争った訴訟で、米裁判所が今年8月末、デュポン勝訴の判決を下したことが代表例だ。裁判所はコーロンに1兆ウォン(約720億円)の賠償を命じる一方、今後20年間にわたりアラミド繊維の生産と販売を禁止する判決を下した。米国の保護貿易主義の流れも背景にあるが、基本的には基礎技術の確保でコーロンが遅れていることが原因だ。
産業研究院の張允鍾(チャン・ユンジョン)成長動力産業研究センター長は「ハイテク素材の重要基礎技術の確保が産業の未来を左右する時代だ。国家レベル、企業レベルでの備えが求められる」と述べた。高麗大の陳政一(チン・ジョンイル)碩座(せきざ)教授(寄付金によって研究活動を行えるよう大学の指定を受けた教授)は「重要な基礎技術の確保は今後の企業の生き残りに向けた課題だ」と指摘した。