【中山由美、笠井哲也】原発事故から2年以上経っても漁の自粛が続く福島県。北部で昨年から行われている試験操業ではこの春、沿岸に近い海域で主力のコウナゴ漁が再開された。だが、南部は試験操業にこぎつけられない。
北部の相馬市の松川浦漁港。夜明け前に出かけた相馬双葉漁協の50隻が午前8時すぎ、次々戻ってきた。銀色に光るコウナゴでいっぱいの箱を漁師たちが岸壁にあげていく。「2年は長かった。海に出られるのはうれしい」。コウナゴ操業委員長の今野智光さん(54)はそう話しながらも手放しでは喜べない。水揚げ量はほんのわずか。「原発の汚染水も心配。やっと第一歩というところだ」
漁協職員がサンプルを手にプレハブへ急ぐ。放射性物質を調べる検査室がある。「検出下限値以下。大丈夫だ」。コウナゴは加工場へ運ばれ、塩ゆでのあとボイラーで乾燥させる。事故前は天日干しもしていたが、今は避けている。加工が済んだものも検査。測定が終わったのは夜だ。翌朝、多くは東京の築地市場へ向かった。
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