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〈ジュネーブ・オモニ代表団〉社会権規約委員会 日本審査/「高校無償化」も議題

国連でも朝鮮学校差別あらわに

社会権規約委員会の日本政府報告書審査を傍聴するオモニ代表団(写真:李相英記者)

【ジュネーブ発=李相英】4月30日(現地時間)にスイス・ジュネーブの国連人権高等弁務官事務所で行われた国連社会権規約委員会第50回会議で、日本政府の同規約に関する第3回政府報告書の審査が行われた。

ジュネーブに滞在中の朝鮮学校オモニ代表団も会議を傍聴した。

日本審査が行われた国連人権高等弁務官事務所の会議室(写真:李相英記者)

日本政府が2010年4月から高校授業料無償化・就学支援金支給制度を実施し、昨年9月には長きにわたり社会権規約第13条2項(b)(c)に付していた留保を撤回したこともあって、規約委員会の委員の間では教育の権利に関する日本の取り組みに多大な関心が寄せられていた。日本政府も審査の冒頭の挨拶で、「高校無償化」制度と留保の撤回を「大きな前進」と評していた。一方で、「高校無償化」から朝鮮学校が除外されている現状にもさまざまな懸念が寄せられていた。審査前日のNGOミーティングでオモニ代表団が朝鮮学校を取り巻く差別的状況について発言し、同委員会が日本政府に対して一刻も早い「高校無償化」の適用を勧告するよう要請したこともあって、13条に関する審査では「高校無償化」からの朝鮮学校除外問題が大きく取り上げられた。

午前の会議の終わりに、この問題に関して委員会側から質問があった。申恵秀委員は、日本政府が2010年から施行している高校授業料無償化措置を評価しつつも、「なぜ朝鮮高校の生徒たちはその対象に入っていないのか。彼らは日本で生まれ育った子どもたちだ。日本は北朝鮮と国交がないというが、生徒たちの中には韓国籍も多く、日本国籍もいる。朝鮮学校に対する差別的な待遇を撤回し、救済措置がとられるべきだ」と述べた。

日本政府代表団は午後の会議で申委員の質問に回答。朝鮮高校を「高校無償化」の適用対象外にした理由について、▼朝鮮学校は朝鮮総聯と密接な関係があり、教育内容、人事、財政にその影響が及んでいるため、無償化審査基準に記されている、法令に基づく学校の適正な運営に適合するとの確信が現時点では得られていない、▼拉致問題に進展がないため、現時点で高等学校就学支援金制度の対象とするには国民の理解が得られない。したがって、文科省の省令によって朝鮮学校への支給根拠となる規定を削除し、不指定処分にしたと述べた。朝鮮学校が学校教育法に定めた1条校となるか、北朝鮮との国交が回復すれば対象となることができると付け加えた。

さらには、今回の朝鮮学校の不指定処分は、「民族という観点から判断するのではなく、審査基準の観点から制度の対象となる学校を限定するもの」であり、「特定の民族を差別する措置ではない」と発言。現状で1条校や省令に基づき指定されたほかの外国人学校に在学する在日朝鮮人は制度の対象となっており、韓国系の学校も対象になっていると焦点をはぐらかした。

日本政府の回答に対して申委員が再び質問。「高校無償化」は教育に対する平等の権利を保障するものであり、朝鮮高校の生徒たちと拉致問題との間には何の関係もなく、彼らを排除する理由にはならないことを強調、日本政府の措置は日本で生まれ育った子どもたちの教育の権利を奪うことになると厳しく追及した。

しかし日本政府代表団側は、朝鮮学校と総聯、朝鮮との密接な関係を再度強調しながら、「国民の税金をそのような学校に対して支給することは国民の理解を得られない」と筋違いの強弁に終始した。「民族差別ではない」としつつも、政治的な理由による朝鮮学校の差別的処遇を正当化する日本政府側の発言に、傍聴席に陣取る日本や国際NGOの代表からは「悪質だ」「朝鮮高校生徒に対する明白な差別」「日本政府は国内世論しか見ていないのではないか」と非難の声が上がった。

(朝鮮新報)

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