顧客中心型ビジネスと
ビッグデータに共通するものとは?
「将を射んとせばまず馬を射よ」という言葉がある。大きな目的を達成するには、まずその周囲から取りかからなくてはいけない、という意味だが、実はこの言葉は、ビッグデータの活用にも当てはまる。ビッグデータを意のままに操るには、まずはそれが生み出されてきた組織の複雑性を理解しなければいけない。
CIOが主導したアプローチ
2012年5月、オランダのアムステルダムにおいてSAS主催のイベント「Premium Business Leadership Series(PBLS)」が開催され、登壇した独アリアンツ・グループのラルフ・シュナイダーCIOは、「複雑性にスケーラブルな対応はできないが、その管理はスケーラブルにできる」と述べた。アリアンツ・グループはドイツのミュンヘンを拠点とする大手グローバル金融グループで、約70カ国、7800万人の顧客に生命保険・損害保険、資産運用、銀行業務分野における金融サービスを提供している。
金融機関にとって、顧客データを1年あるいは四半期に一度見直せば次の意思決定ができるという時代は完全に終わった。保険業者は、顧客や市場の状況をリアルタイムで把握し、リスクの評価や商品の価格設定、適切なオファーの提供をしなければならない。シュナイダー氏は、世界中のアリアンツ・グループ会社でIT基盤を標準化することによりこれを実現している。その背景にあるのが、同社が導入したビジネス・インテリジェンス、ビジネス・アナリティクス・ソリューションによるサービスセンター、プラットフォーム、アプリケーションの共有化だ。
CIOが主導する一体型のアプローチと聞くと、各部門のリーダーは使い勝手が悪くなるのではないかと不安を覚えるかもしれない。「各システムはローカルですが、データを管理するプラットフォーム環境はグローバル共通です。このやり方で複雑なデータのスケーラビリティを確保しています」とシュナイダー氏は説明する。アリアンツでは、各社員が同じデータセットを使用する。各専門業務のデータに関しては別のウェアハウス、データマートに格納できるようにしていながら、アクチュアリーとアンダーライターは同じデータセットを使用できるのだ。
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