データ分析型企業への変革は
まずトップから
「データ」と「ファクト」は異なる
データに関しては忘れられない言葉がある。統計数理研究所の椿 広計教授がおっしゃった、「データはファクトではないからね」というものである。データは必ずある意図を持って収集され、加工される。だから、データは事実そのものを表しているわけではない。あくまでも、事実の一部を、特定の手法、例えば測定器によって観測したものがデータだ。そこには当然、ノイズ、歪み、偏りなどが存在する。データ・リテラシーのあるマネジメントとは、データを活用するだけでなく、データの偏りや限界をよく知っていて決断を下せるトップのことである。
ITの進歩によって、データは貴重な経営資源となってきている。それを経営に活かすことができるかどうかは、今後の企業の死活問題である。データに基づく意思決定ができるか、経営者はその資質が問われているのだ。データの可能性と限界を知った上で、したたかにデータを利用する、そういうデータ・リテラシーのある経営者になっていただきたいと思う。
(連載終わり)
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