ニュース詳細

富士山 世界遺産に登録へ
5月1日 5時23分

富士山 世界遺産に登録へ
K10042920611_1305010552_1305010558.mp4

ユネスコの世界文化遺産への登録を目指している富士山について、ユネスコの諮問機関は、「登録がふさわしい」とする勧告をまとめ、富士山は6月にも正式に世界遺産に登録される見通しになりました。
一方、神奈川県の鎌倉については、世界遺産への登録がふさわしくないと勧告したため、登録は難しくなり、文化庁は今後の対応を検討することにしています。

白糸ノ滝や山頂にある山岳信仰の遺跡群など33の名所や史跡で構成される富士山と、鶴岡八幡宮や鎌倉大仏など21の寺や神社などからなる鎌倉について、日本政府は去年1月、ユネスコの世界文化遺産に推薦し、ユネスコの諮問機関「イコモス」が去年8月から9月にかけて現地調査を行うなどして検討してきました。
この結果、「イコモス」は、富士山について、富士山信仰という山岳に対する日本固有の文化的な伝統を表しているなどとして、日本政府が推薦していた静岡県にある三保松原を除くことを条件に「世界遺産に登録することがふさわしい」とする勧告をまとめました。
三保松原を除外する理由について、勧告では、富士山から45キロ離れ「富士山」を構成する一部と見なすことができないことや、富士山との間に防波堤が築かれた地点があり、景観の面で望ましくないことなどとしています。
イコモスの勧告は世界遺産の審査に大きな影響を与えることから、富士山は6月にカンボジアで開かれるユネスコの世界遺産委員会で正式に登録される見通しとなりました。
一方、鎌倉について「イコモス」は、武家政権発足の地であるといった重要性は認めたものの、現存する史跡などだけではその価値の証明が不十分だとして、世界遺産への登録はふさわしくないと勧告し、鎌倉の登録は難しくなりました。
文化庁は関係する省庁や自治体と今後の対応を検討することにしています。

「イコモス」の勧告とは

ユネスコの諮問機関であるイコモスの勧告は、「普遍的な価値の証明が十分か」、「保全状況は十分か」といった観点から、4段階の評価を示すものです。
最も評価が高いのは「記載」で、世界遺産にふさわしく世界遺産の一覧表に載せるべきだというものです。
過去5回の勧告では、その後の世界遺産委員会で、いずれも正式に世界遺産に登録されています。
次が「情報照会」で、追加で情報を提出させ、翌年以降に再度審査するよう求めるものです。
ただ最近では、情報照会の対象となりながら、その年の世界遺産委員会で登録が認められるケースが目立っています。
3つめが「記載延期」で、現段階では本質的な改定が必要だとして登録を見送るべきとされます。
政府の推薦の段階からやり直しが必要で、再審査を受けられるのは原則、2年後以降になります。
過去には、岩手県の「平泉」が「記載延期」の評価を受けたあと、コンセプトを見直して3年後に再審査を受けた結果、世界遺産に登録されました。
一方、同じ「記載延期」の評価を受けた島根県の「石見銀山遺跡」は、勧告の内容に事実誤認があると異議を申し立てた結果、勧告を覆す形でその年に世界遺産に登録されています。
最後が「不記載」で、世界遺産としてふさわしくないという判断で、世界遺産委員会でもこの勧告内容が確定すれば、原則、再度推薦することもできなくなります。

[関連ニュース]

登録後は「保全活動」が重要に (5月1日 0時36分)

k10014292061000.html

[関連ニュース]

  自動検索

世界遺産 文化庁が地元と対応協議へ (5月1日 17時17分)

富士山 車の登山者抑制の対策必要 (5月1日 12時31分)

富士山世界遺産登録へ 地元では (5月1日 5時23分)

富士山“世界遺産”を目指して (5月1日 0時30分)

シリア 内戦で世界遺産の石塔破壊 (4月25日 7時15分)

このページの先頭へ