20年夏季五輪:猪瀬都知事発言、「ルール抵触の可能性」 JOC会長、IOCにメール
毎日新聞 2013年05月01日 東京朝刊
2020年夏季五輪の開催を目指す東京都の猪瀬直樹知事が、米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューで立候補都市のイスタンブール(トルコ)を批判したとされる問題で、東京招致委員会の竹田恒和理事長(日本オリンピック委員会=JOC=会長)は30日、国際オリンピック委員会(IOC)に対し、メールで声明を送信した。「一部IOCルールに抵触する可能性のある不適切な表現があった」と認め、「他立候補都市に敬意を表して招致活動を行う姿勢に変わりはありません」と今後の姿勢を訴えた。
IOCは立候補都市の行動規範の第14条で、「他都市のイメージを傷つける行為や、不利となる発言、記述を慎まなければならない。他都市との比較も禁じる」と規定している。今回の問題を受け、29日に「すべての立候補都市に規定に留意するよう求める」との方針を通達。東京招致委にも、竹田理事長のコメントを求めるメールが届いていた。
また、菅義偉官房長官は30日の記者会見で、猪瀬知事の発言について「他の都市を批判する意図はないと表明しており、招致活動に支障をきたすことはない」と述べた。
猪瀬知事は、今回の発言について明らかになった29日には「私の真意が正しく伝わっていない。他の都市を批判する意図は全くなく非常に残念」とコメントを発表。しかし30日には一転、「やっぱり不適切な発言であると思い、それは訂正したい。おわびしなければいけない」と認めた。さらに「(発言は)細部にも気をつけていかなければいけないと教訓になった。他都市に敬意を払って招致活動を継続したい」と、意識を正す姿勢を強調した。【石井朗生、佐々木洋、鈴木美穂】
◇玉木正之さん「甘さあったかも」
猪瀬知事の発言について、スポーツ評論家の玉木正之さんは「作家なら言っていいのかもしれないが、政治家、ましてや招致活動の当事者としては、言ってはならないことだった。本人はIOCの倫理規定を100%承知しているはず。甘さがあったのかもしれない」と指摘する。
東京招致への影響については「よく分からない。やってしまったことだから、プラスに転化できるように頑張ってほしい」と語った。