営業減益となったＮＴＴドコモを含め通信大手３社の収益が高水準で推移しているのは、スマートフォン（高機能携帯電話）の販売拡大に加え、連結対象子会社の増加がグループ収益に寄与しているからだ。
（芳賀由明）
ソフトバンクは今年１月に買収した業界４位のイー・アクセスの寄与などにより、「平成２５年度は国内で連結営業利益１兆円」の目標を掲げた。ＣＡＴＶ最大手ジュピターテレコム（ＪＣＯＭ）を連結対象としたＫＤＤＩも２５年度に営業利益６００億円の上乗せを見込む。
しかし、スマホの需要には鈍化の兆しもみえてきた。調査会社ＭＭ総研によると、２４年度のスマホ出荷台数は前期比２０％増の２８９８万台だが、２５年度は９％増、２７年度には２．６％減と予想する。携帯電話全体に占めるスマホの比率は２６年度に８割を超え、成熟期を迎えるためだ。
契約者１人当たりの月間平均収入は減少が続く。２４年度はドコモが４６７０円（２２年度比４００円減）、ＫＤＤＩ４４３０円（同５１０円減）、ソフトバンクも３９９０円（同２２０円減）と大幅に目減りした。音声収入の減少をパケット収入や付加価値サービスの伸びでカバーできていない。
各社はコンテンツなど付加価値サービスに力を注ぐが、まだ規模は小さい。ドコモは決済やショッピングなどの新分野で２４年度５３５０億円の売上高を２７年度に１兆円に引き上げる計画だが、この分野の収益増をいかに加速させるかが“スマホ特需”後の収益を左右しそうだ。