情報戦略/業務革新

デンシタナフダ
電子棚札とは

Electronic Shelf Label

2007/08/07
上木 貴博=日経情報ストラテジー
出典:日経情報ストラテジー 2007年5月号  29ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

食品スーパーなどの商品棚に使われる液晶の画面に商品の価格を表示させるシステム。導入により値付け作業や価格の変更、棚卸しといった作業が軽減される。

 食品スーパーにとって、品ぞろえと価格は生命線です。しかし、品ぞろえを豊富にし、機動的に価格変更を行えば行うほど、棚に値札を取り付けたり変更する作業が煩雑になってしまいます。

 売り場の販売員には、本来は値札の差し替えといった管理作業よりも、売れ筋・死に筋を探ってもらったり、接客に時間をかけてもらうほうが売り上げに貢献するはずです。

 そこで値札に関する作業を軽減したい小売業の強い味方として登場したのが「電子棚札」です。2000年前後から試験的に導入され始めて、2〜3年前から大手が全店導入する事例が出てきました。「電子値札」と呼ばれることもあります。

◆効果 表示を一斉変更

 電子棚札は、液晶の表示部分と赤外線の受光部で構成されています。天井などに埋められた赤外線の発信装置から値札に向かって価格などのデータが発信される仕組みになっています。発信装置は、商品の価格情報を管理するストア・コントローラーとつながっています。ストア・コントローラーはPOS(販売時点情報管理)レジとも接続されているので棚札とレジの価格は必ず一致します。

 取り扱い品目が多く、価格変更も頻繁にある食品スーパーでは、売り場での表示価格とレジでの実売価格がずれるというミスが起こりがちでした。こうしたミスは顧客とのトラブルにつながり信頼を低下させてしまいます。電子棚札の導入による最大の目的はこの問題の解決にありました。

 電子棚札は煩雑な棚卸し作業の時間も大幅に短縮します。ストア・コントローラーから情報を伝送し陳列数を棚札に表示させれば、目の前にある商品を数えるだけで手持ち在庫の確認ができます。

 現在、電子棚札で表示できる情報のほとんどは価格と陳列数程度ですが、表示面積をより大きくした札を作り料理のレシピを表示するといったことも技術的には可能だと言われています。

◆事例 全店舗に導入

 イトーヨーカ堂は2005年夏に電子棚札を全店舗に導入しました。費用は数十億円と見られています。対象となるのは主に食品です。チェーン全店の導入に踏み切っている小売業はほかに数社あります。

 技術の進歩と製品自体の普及により、値札を表示する液晶パネルは見やすくなり、電子棚札自体も低価格になってきています。柱や来店客に遮られて発信装置から伝送したデータがうまく受信されないトラブルも当初はありましたが、近年発売されている低周波無線が使われた電子棚札システムではこうしたトラブルもないようです。今後は食品棚のほかの商品の棚にも広がっていくかもしれません。

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