2回裏2死満塁、吉見の打球を素早く捕球し、一塁へ送球する杉内(隈崎稔樹撮影)
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◆巨人3−0中日
中日は打線に元気がなく、零封負け。再び最下位に転落した。巨人は連敗を4で止めた。杉内が5安打に抑え、今季初完封で3勝目。打線は1回に阿部の7号2ランで先制すると、4回には長野の中前適時打で1点を加えた。
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“ニュー杉内”が巨人投手陣の今季初完封を飾った。三振の山を築くいつもの姿はない。27アウトのうちフライが10個、内野ゴロが15個(併殺打1を含む)。2008年、09年、12年と3度の奪三振王に輝いた左腕が奪った三振はわずか2つだけ。プロ12年目、ちょうど20度のシャットアウト劇の中で、もっとも少ない数字だった。
1試合での2桁奪三振は歴代4位タイの56度。杉内は追い込まれると厳しい−。その先入観を逆手に取った。「中日は去年から早打ちをしてくる傾向があった。追い込むまでに勝負球をという気持ちで投げた」。早いカウントで勝負してくる竜打線の作戦を読み、ウイニングショットを惜しまずに投げ込んだ。川口投手総合コーチは「2三振? 年齢的なものじゃない?」と冗談めかしたが、相手に合わせた柔軟な投球術を選択できるのも、32歳の強みだ。竜の切り込み隊長を封じたことも大きかった。「走者を警戒しながら井端さんと対戦するのは厳しいので、出さないようにと考えていた」。前日は3安打とかき回された大島を4タコに抑え、チームの連敗を4で、敵地での連敗も5でストップした。
「真っすぐが行くようになってようやく投げるのが楽しくなってきた」と振り返るシーズン4度目の登板がポイントになった。7イニング1失点だった4月24日のDeNA戦(京セラドーム大阪)。この試合のビデオを繰り返し再生し、本調子でなかった3戦目までと比較しながらフォームを再確認。プレートを踏む位置を中央付近に変えるなどの試行錯誤も重ねた結果が今季初完封に結実した。中日相手には07年から4連勝とキラーぶりも変わらず。完全復調を果たした天才左腕が、再びチームを上昇気流に乗せた。 (臼杵秀之)
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