Updated: Tokyo  2013/05/01 12:52  |  New York  2013/04/30 23:52  |  London  2013/05/01 04:52
 

鉱工業生産は4カ月連続上昇、雇用改善し消費に底堅さ-3月統計 (1)

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  4月30日(ブルームバーグ):30日公表された3月の国内経済統計は、鉱工業生産指数 が前月比で4カ月連続の上昇となったほか、雇用関連指標も改善。個人消費も底堅さを示した。安倍政権が進める「アベノミクス」の政策効果で円安・株高が進み、消費者心理に好影響を与えているほか、輸出増加で生産の上向きが見込まれている。

経済産業省が発表した鉱工業指数速報(季節調整済み、2005年=100)によると、3月の生産指数は前月比0.2%上昇の89.8だった。化学工業や電子部品・デバイス工業などがプラスとなり、経産省は基調判断を上方修正し、「総じてみれば、生産は緩やかな持ち直しの動きがみられる」とした。前月は「生産は下げ止まり、一部に持ち直しの動きがみられる」だった。

ブルームバーグ調査の予想中央値(同0.4%上昇)は下回ったものの、大和総研の橋本政彦エコノミストは「3カ月移動平均で見ても4カ月連続の増加となっており、生産は持ち直し基調が続いている」と指摘した。

先行きの生産動向を示す製造工業生産予測指数は、4月に前月比0.8%上昇した後、5月は同0.3%低下が見込まれている。こうした振れを伴いながらも、海外経済の回復や円安による価格競争力の改善を背景に「輸出の増加にけん引される形で、生産は緩やかな増加傾向が続く」と橋本氏はみている。

消費がGDPをけん引

一方、雇用関連の指標は改善した。総務省が発表した労働力調査によると、3月の完全失業率(季節調整済み)は4.1%で、前月の4.3%から低下。一方、厚生労働省が発表した同月の有効求人倍率(季節調整値)は0.86倍となり、前月を0.01ポイント上回った。

BNPパリバ証券の渡辺誠エコノミストは失業率の結果について、生産年齢人口が減少傾向にある中、退職者の穴埋めをする必要から失業率には低下圧力が掛かりやすいと指摘。加えて、景気が下げ止まりに転じたことで、求人が改善傾向にあることも就業動向を下支えしていると述べた。

経済環境の好転を背景に個人消費も堅調に推移している。総務省が発表した3月の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は31万6166円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比5.2%増となった。ブルームバーグ調査の予測中央値(1.6%増)も上回った。

第一生命経済研究所の星野卓也エコノミストは、振れの出やすい「住居」の増加が押し上げ要因になったとしながらも、「株価 上昇などによる消費者マインドの改善を背景に、個人消費は増加傾向にあると判断される」と指摘。来月発表される1-3月期の国内総生産(GDP )でも、個人消費は高い伸びが予想されるとし、「GDPのけん引役となる見込み」だとみている。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 小坂紀彦 nkosaka1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net

更新日時: 2013/04/30 16:20 JST

 
 
 
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