阪神・藤浪晋太郎投手（１９）が２８日のＤｅＮＡ戦（横浜）で６回３失点と粘投。５―３の辛勝ながら、プロ３勝目をマークした。「４月３勝」は高卒ルーキーでは史上初の快挙だ。次々と“高卒新人記録”を塗り替えるなどデビュー直後から大物ぶりを発揮している１９歳。Ⅴ奪還を目指す球団には貴重な存在だが、関西経済界にとっても救世主となりそうだ。藤浪の活躍が関西経済を活性化させる、つまり”フジナミクス”として大いに期待されている。

「開幕からここまで活躍するとは予想していませんでした。この調子でいけば、私が予想していたよりも大きい経済効果が見込めるでしょう」。こう語るのは阪神優勝などの経済効果研究で有名な関西大・宮本勝浩教授（６８）だ。

　宮本教授は昨年、藤浪の阪神入団による関西地区での経済効果を約４４億円と試算した。しかし、これは藤浪の１年目の勝利数が１０勝前後という予想のもと弾き出された数字。宮本教授は「４月だけですでに３勝。年間で１５勝は見込めるでしょう。そうなれば経済効果も上方修正です。５０億円には届くのではないかと思われます」と解説した。

　本拠地・甲子園で藤浪が先発した２試合はともに４万４０００人を超える大観衆が集まった。予告先発発表後となる当日券の売れ行きが伸びていることから坂井オーナーも「そういう効果はあると思う」と“藤浪効果”とみている。

「今後も彼が活躍している限り、もちろん登板日は超満員でしょうし、グッズの売り上げもどんどん伸びるでしょう。それにしても予想以上です。桁外れ、ですよ」と数々の経済効果を分析してきた宮本教授も驚きを隠せない。順調に白星を積み重ねていけば藤浪フィーバーも加速する。

　もちろん、それだけではない。藤浪が活躍するということは阪神の勝利が増えるということ。２８日現在、２位の阪神は独走する首位・巨人とは３・５ゲーム差だが、全く問題ない。もちろん、首位でペナントレースを制するのがベストだが、仮にＶ逸したとしてもクライマックスシリーズ（ＣＳ）で勝てばいいだけだ。そして日本シリーズでも勝てば経済効果は計り知れない。

　宮本教授２０１０年９月３０日、阪神の自力Ｖ消滅を受け、本紙の取材に「もしリーグ優勝できなくてもＣＳから勝ち上がって日本シリーズへの出場権を取れば大きな経済効果を生む。だいたい８００億円ぐらいになるんじゃないですか」と答えている。当時の経済状況とは異なるため、詳しい試算が必要でこの数字がそのまま当てはまるわけではないが、かなりの経済効果を生むのは間違いない。関西経済はアベノミクスとともに“フジナミクス”の動向にも注目している。