海外視察中のサッカー日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督（６０）に対し、不満の声が上がった。Ｊクラブの強化担当者は「いまさら海外に行ってどうするんだ。（欧州組は）みんな代表に呼んでいるのに…」と、２月に引き続いての視察を疑問視したのだ。

　日本代表はブラジルＷ杯出場のかかるアジア最終予選オーストラリア戦（６月４日、埼玉）に臨むが、ザッケローニ監督はあくまで欧州選手にこだわる姿勢を見せている。これに日本サッカー界が“Ｊリーグ軽視”と指摘するなど、反発は強まるばかりだ。

「Ｊリーグでも頑張っている選手はいるし、成長している若手も多い。そういう選手を見てくれればいいのに…。日本代表は（欧州組で）固定されているけど、点が取りたいなら（ＦＷ佐藤）寿人（３１＝広島）とか、調子のいい選手を呼べばいいだけ」（日本代表ＯＢ）

　日本代表のベースになるはずのＪリーグも、代表指揮官が欧州重視の傾向にあるため、イレブンからは「活躍しても代表に呼ばれない」という意見が噴出。今の傾向が続くと国内選手のモチベーションが低下し、日本サッカー全体の地盤沈下につながりかねない。

　日本サッカー協会の大仁邦弥会長（６６）は、ザッケローニ監督のＪクラブ視察が少ないとの指摘に「気分的なものもあるのでは…。原（博実技術委員長＝５４）には言っておく」。Ｗ杯アジア最終予選ヨルダン戦（３月）の敗戦で、指揮官の手腕に不安がささやかれる中、欧州視察はＪクラブとの間に深刻な亀裂を生みそうだ。