現場で打ち込むアンカーの精度管理にどんなに努めても、工場で製作する木製部材の精度の高さにはかなわない。現場では、躯体完了時にアンカー位置を実測してからガゼットプレートを製作し、柱や梁といった木部材との仮組みまで行ってから現場に搬入した。
なお、梁の両端の上面に設けた切り込み部分(接合部)は、表層以外すべてモルタルでできている。柱側のガゼットプレートへの熱伝導を遮断し、木材部分への延焼を防ぐ。
■大型タワークレーンでは不経済
現場は、車の乗り入れ制限の厳しい駅前広場の反対側一部しか道路に接していない。大型タワークレーンを設置したいところだが、鉄筋コンクリートの躯体を構築するのに費やす長い工事期間に対し、燃エンウッド部材を組み立てるためだけに大型タワークレーンを使い続けるのは不経済だ。
そこで、駅前広場側の建物1階のセットバックスペース(空中にせり出した2階の床の下方の空間)を使った小型移動クレーン車による梁と柱の組み立てを計画。土木事務所、警察署の指導と折り合いをつけた。しかし、搬入車は駅前広場側に乗り入れられないので、問題になるのは最長約12.5mの柱など各部材の搬入計画だ。
検討の結果、まず搬入車を接道部に着け、鉄筋コンクリート躯体床上に部材を降ろす。そこから先は多軸パレットという台車で部材を人力移動する方法を採用した。
この現場の燃エンウッドは、柱断面が570mm角と470mm角の2種類、梁断面が高さ985mmで幅570mmと幅370mmの2種類の組み合せで、柱と柱のスパン(柱の中心軸の間の距離)は9mと4.5mの2パターン。1つの部材の重量は柱梁とも最大で約3.5t程度、全部で170ピースある。
■260度以下で鎮火する木の性質を利用
燃エンウッドとは、竹中工務店が1時間耐火の集成材として開発した木造の構造材だ。2011年12月にこのプロジェクトに必要な断面で国土交通大臣認定を取得した。構造上必要な断面寸法のカラマツを使った荷重支持部のまわりを、厚さ25mmのモルタルによる燃え止まり層、さらにそのまわりを厚さ60mmのカラマツの燃えしろ層で覆っている。
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