火災時には、元々断熱性の高い木材による燃えしろ層が燃焼・炭化することでさらに断熱効果を発揮し、燃え止まり層が熱を吸収して荷重支持部を保護する。木は260度を下回ると自然に燃え止まるという性質を捉えた仕組みだ。
ハイブリッド集成材と言われている鉄骨内蔵型の耐火集成材は、木材としての見た目は表現できるが、構造としては鉄骨造だ。木の構造材のまわりを耐火被覆で覆ったメンブレン型と言われるものは、構造としては木造であるが木の肌が見えなくなってしまう。それに対し、燃え止まり被覆型である燃エンウッドは、構造として木造であり、かつ外観もまさしく木材だ。
モルタルと木材は接着剤が効かないので、燃え止まり層はモルタルと木材を交互に配置し、集成材として一体化している。所定の断熱効果が得られるようサイズなどを試行して設計された燃えしろ層断面だ。
■建築主が環境配慮型の建物を求めていた
耐火建築物では木造禁止であったものが、2000年に建築基準法改正によって性能規定化になり、木造耐火建築の実現が法的に可能になった。
竹中工務店では2003年頃から基礎的な研究を手掛け、2008年頃には小断面部材の燃エンウッドの開発を完了していた。当時はまだ社会的な気運が醸成されていなかったが、2010年10月に「公共建築物等の木材利用促進法」が施行されたことで、燃エンウッドの商品化に向けた活動を展開し始めた。
それと前後して同社は、サウスウッドの設計を手掛けるE.P.A環境変換装置建築研究所(東京都目黒区)から燃エンウッド技術についてヒアリングを受け、2011年6月にサウスウッドへの技術提案依頼を引き受けた。具体的なプロジェクトを得て、サウスウッドで必要になる大断面燃エンウッドの大臣認定取得に向けて走り出したのだ。
そして前述のとおり、竹中工務店は2011年12月に大臣認定を取得した。同社先進構造エンジニアリング本部特殊架構グループの五十嵐信哉リーダーは今後の展開について、「認定は樹種ごと、断面サイズ(最小と最大の範囲)ごとに取得しなければならない。これからは樹種の拡張を目指していきたい」と話す。各地の産材を燃エンウッドに使えるようにすることで、普及に努めたいと言う。
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