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5つ星のうち 5.0
読まなければ悔いの残るキャリアデザインの専門書, 2011/12/1
キャリア・デザインという言葉自体,新しい概念で,
当然のように精通した専門家も,先行研究の蓄積も専門家も多くはない.
小手先の“HOW TO”本や精神論に偏った本はたくさん出版されているが,
いざ,自分に当てはめてみると全く使いようがない,といったものが多くはないだろうか.
本書は,きちんとした問題意識に則った研究を背景にしている分,書かれて内容にも深みがある.
バウンダリーレスキャリア,キャリアトランジション,etc.・・・
といったキーワードが随所に埋め込まれており,読みやすさ(理解しやすさ)に配慮が見てとれる.
本書のターゲット層が,これから就職活動に臨もうとしている大学生と,
ミドルキャリアであるとのことだが,ミドルキャリアは,バブル全盛期に就職したものの,
その後のキャリアのなかで,厳しい競争を経てきた人たちである.
つまり,自分のキャリアをきちんとデザインしてこなかったミドルが,立ち止まった時に何を考えるか.
そういった場合に指針を示してくれるといった意味では,なかなか意味のある本だと思う.
この厳しい時代,本書を読んで咀嚼できる大学生がどれだけいるか疑問ではあるが,
咀嚼できる能力が備わっているのであれば,きちんとしたキャリアが描けるだろうし,
そうでない学生には,咀嚼できるように勉強あるのみである.
私のレビューを読んでいただいたすべての皆さんに幸福が訪れることをお祈りいたします.