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牧伸二さん、東日本大震災後、思い悩んでいた?

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牧伸二さんが飛び込んだ丸子橋には花がたむけられた

 「あ~あ、やんなっちゃった」で知られたウクレレ漫談家の牧伸二(本名・大井守常)さんが29日午前0時15分頃、東京大田区の丸子橋から多摩川に飛び降り、死去した。78歳だった。遺書は見つかっていないが警視庁田園調布署は自殺とみている。葬儀・告別式は近親者のみで行う。喪主は妻・良子(よしこ)さん。後日、しのぶ会を開く。牧さんは28日の午後3時頃に浅草で目撃された後、消息を絶った。

 交流のあった関係者の一人は今回の“行動”を「衝動的なものではないと思う。残念だが、あの人なりの美学を貫いたのでは、と思いたい」と話した。

 自らも明かしているが、牧さんはブレーク後の1960年代に一度、行方不明となり“自殺未遂騒ぎ”を起こしたことがあったという。テレビにラジオ、寄席に睡眠時間もままならず、多忙を極め、心身疲労の限界になったため、家出した。

 3日間、音信不通となり、箱根の山にこもっていた。混乱の中、すべてをカバーしたのが師匠の牧野周一さん。この時以来、自己管理の大切さをひどく反省したと振り返っている。

 人を笑わせることを仕事としていたが、素顔は人一倍まじめ。病に苦しむ中にあっても人と群れることを嫌い、孤独と向き合っていたようだ。脳内出血で一時、左半身が動かなくなった。倒れた翌日に良子夫人にウクレレを持ってくるよう頼み、病床に置いた。「これ(ウクレレ)が待ってくれている」と言い聞かせ、強固な意志できついリハビリも乗り切った。

 しかし今回の死去について関係者の一人は「東日本大震災の影響も大きいのではないか」と話す。父親が福島出身だったが、被害の大きさや被災者の心の痛みを考えると慰問に行くこともはばかられた。自嘲的で諦念を漂わせるような「ああ、やんなっちゃった」と言うことが不謹慎に感じられ、抵抗を覚えてもいた。

 牧さんの漫談は時代とともに生まれた。葛藤は大地震だけではなかったかもしれない。28日には弟弟子の牧田博にいつものように「若い奴の芸についていけねえな」と問いかけるように話していた。若い世代の芸を理解できないことへの苦悩だった。演芸協会を率いる立場にありながら一人、自問自答を繰り返していたのかもしれない。

[2013/4/30-06:00 スポーツ報知]

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