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世間ではGWですね~。
皆様お休みをいかがお過ごしでしょうか。あずです。

後半部分は休みになりそうな勢いなのでこちらも更新していけたらと思います。
少し考えている作業もありまして、ご意見を頂きたかったりします。
もしよろしければ、活動報告に書きますので是非や助言を頂戴できると嬉しいです。
それではどうぞ^^
一章 ツィーゲ立志編
僕の頼れる青い竜
ふ。

ふふふ。

ふふふふふふふははははははは!

わかってた。わかってたよーーーー!

どうしてもこの世界が僕に優しくないってことはさ!

はい、こちら現場の深澄です!

僕は今迫り来る矢と魔法を界と両腕で捌きつつ、連れの澪が暴走寸前なのを宥め宥めて左脇に抱えた上で、どっから沸いたのかヒューマンのパーティ三人を庇って停戦交渉中であります!

どんな状況だ!

カオス、まさにカオス。

どーなってんのー!叫びだしたい気持ちを抑えながらもう、必死。

敵は二人。噂の妖精種さんだ。

一人は弓矢を番えてこちらを正確に狙撃してくる。何が厄介って放たれた矢が増殖して回避を困難にしやがることです。何て面倒な付与効果がかかってるんだ!

もう一人は短杖を構えて、多分、上位古代語ハイ・エンシェントという魔術用の言葉で詠唱を紡ぎ、攻撃魔術をこっちにばら撒いてくる。使用している魔法は途中で破裂して効果範囲を広げる散弾みたいな氷の弾と見えない風の刃。

山火事になりそうな火属性が無いのが唯一の救いだ。分裂増殖大好きだな君ら!

名前からして上位古代語ってすごそうだけど、僕が使っている言語とはまた違うな。上位って言うだけあって下位よりも魔力と魔法の間の力の伝達率は良い。五の魔力で一の魔法ってとこかな。

妖精種のお二人さんは、見事な褐色の肌を露出させて若草色の軽装防具をつけている。防具ってよりも服だな。武器がアレだから多分付与がかかってる。

若草色なんてお洒落さんな色の服、着こなせるのは呪われた島のハイエルフさんだけかと思っていたが、間違いだったようだ。美人は何着ても所詮は美人だ。

赤い瞳に白髪。肉付きは華奢でグラマーっていうよりもスレンダー。

弓使いの方が魔法使いよりも頭一つ背が高い。並んで絵になるお二人だ。

いよっ、ご両人、何とか屋~!お願いだから手を引いて~話を聞いて~!

「おのれヒューマンどもが!太古よりこの地に根付く紅蓮華くれないれんげを徒に摘んだばかりか我らの制裁を拒むとは!」

死ぬのは困る。その制裁、死刑しかないなら回避するわ!射るのを止めんか!アンブロシアって紅蓮華っていうのか!確かに蓮華の花を真っ赤にして二回りくらい大きくしたら外見はそれっぽい。

「その罪、とりま命で払って」

とりまって何さ!現代用語だよ!?電波か!?

見えない風刃と氷の散弾なんざ悪魔みたいな組み合わせで撃ち込みやがって!

「誤解だって。いいか、僕と連れはこの三人とは無関係だ。とにかく話を聞いてくれ!ってか攻撃を止めろって!」

「お前はさっきからその3人を守っているではないか!仲間でなくて何だ!得体の知れない魔術を使って!」

界の説明なんてこの状況で出来るとも思えないよ。亜空の人々でも半信半疑だったんだから。

「それに君から紅蓮華の匂いがする。とりま君はデッドオアアライブ」

犬かお前は!言ってることが変だよ、色々と!女神、お前、ちゃんと訳しろって!通じてんのか、これ!?

犬なら犬らしく忠実な感じで登場してくれい。

「わん」

「何で吠える!」

「何か吠えとけって啓示が来た。……私から」

「啓示は自分から来ない!とにかく、止めろ?いや止めて!?いい加減危ないからあ!」

ノリが変だよこの褐色さん。耳が長けりゃ完全にダークエルフなんだがね!?ダークな雰囲気もエルフっぽい高貴な雰囲気もまるで無い!

「ねえ、あなた!さっきから逃げてるばっかりじゃない。こんな奴ら倒せるならさっさと討伐してくださらない!」

「そうよ、せっかくアンブロシアなんてお宝見つけたのよ!少しなら分けてあげるから倒しちゃってよあの二匹!」

「ひぃぃぃぃぃぃl、死ぬぅぅぅぅぅ、今度こそ、もう、本当に死ぬぅぅぅぅぅ!」

黙れこのヒューマントリオ。出現のタイミングといい、完全に僕らの後をつけて来てただろうが!いつの間にアンブロシアの発見者に納まってらっしゃるのかね!

こんなことなら下手糞な尾行をしてた三人組をさっさと撒くんだった!様子見をしようと慎重に振舞うんじゃなかった。

害は無いかと思って泳がせていたのが完全に裏目った。どうとでも出来るって気持ちも少々あったのは認める。

ついでにお宝がどうのって喚いてるの、何か見覚えがあるぞ?確か娼婦のお姉ちゃんだったような……。冒険者だったのかよ。

人からは亜人だなんだと言われ、亜人や魔族その他からは不細工なヒューマンと看做され……。どんな可哀相なコウモリだ僕は。

「若様~食べていいですよね?コレ、全部ヤッチャッテいいですよね?だって二人の時間をこんな台無しにしてくれている雑魚ナンデスモノ、食べますよ?イイデスネ?」

「駄目ーーーーーーーーーーー!澪だめ、待て!」

小脇に抱えた澪さんの危険域の呟きを全力で否定する!辺り一帯を食い散らかすつもりだ、これ!だって地面見て話してるもん!

八方ふさがり!正に四面楚歌。どうするよ、どうすりゃいいのこれ!

(若。何とも愉快なことになってますな)

おお従者その一よ!起死回生の策が到着か?四方が駄目でも空があるってか。

(巴、巴か!何とか出来ないかなこれ!)

(……澪と二人でデートに行ってしまうような主に頼まれ事をされましても)

(いや、違うじゃん?僕妖精と話に来ただけじゃん。澪一人だといなかったことにされて胃袋に収まりそうだったからさ!)

状況見てて声かけただけとか巴、お前それ今やるのKY過ぎるっす。

良いから助けろトモエモン!

(ヒューマンなんぞまで連れて大層楽しそうですなあ)

(尾行じゃん!?巴、頼む!もう水田でも刀でもいくらでも試作すればいいからさ!何か策があるならやってくれ!)

(…!そのお言葉待っておりました!信賞必罰は世の真理!ヒューマン三匹を亜空に迷い込ませますので適度に爆発っぽいものに巻き込ませてくださいませ。後は若が澪をいなしながらその森鬼と話をつけると良いですぞ)

森鬼!

鬼やん!妖精ちゃうやん!しかも結構馬鹿なこと約束した!亜空に確実に刀工と水田が生まれるよう。

結構いかつい種族名判明したね。鬼族ってここだと妖精に入るんだろうか。

「コロスコロスコロス…」

レイプ目~、レイプ目きました~。

澪が超危険域に突入。巴さん、早く頼みますよ!

早く矢を雨みたいに降らせておくれよ森鬼さんA。

「死ね!」

「なんとかして!」

森鬼からヒューマンPTへ。そしてそこから僕へ。言葉が飛んできた。

うしゃ良い感じに矢雨が飛んできましたよっと。

ヒューマンの全周囲に炎の壁を作る。増殖するものの矢本体は木製。特に速度に補正がかかった様子もないので。

地面から吹き上げた見せ掛け重視の炎の層でも多少厚みがあれば十分に焼き尽くせる。矢尻まで焼き消すことは出来なくても勢いさえ死ねば矢の攻撃力は無いも同然。

…火傷くらいは許せよ。

三人の気配が消えるのがわかる。いい具合に突如現れた炎の壁にパニックを起こしていたようで抵抗も言葉らしい言葉もなく巴に呑まれたようだ。

ようやく澪と妖精の鬼さんだけになったか。

「澪、おい澪!」

返事がない、ただの屍のよう……、いや何か呟いてる?

「モウイイ、ヤル、クウワ、ゼンブトカシテジュースミタイニ…」

ぐれいと。行動を起こす数秒前か!?

うううううううう、仕方無い!

僕は少しだけ躊躇したが先端を鋭くした氷のコンペイトウを手のひらに作ると力強く握り締めた。

もっとやり方あったなあと思ったが後の祭りだね。

滴る血液。そんなに大量ではないですよ?

左腕で脇に抱えていた澪の口元に傷ついた右手を持っていく。正確には口元を押さえる。

呟きが止まる。口を押さえたからではなく、澪の口に触れた赤い液体によってだ。

掌に伝わる澪の舌の感触にゾクリとする。あーもう、飲め飲め。そんで片言で呪文みたいにイカれたことを言うの止めろ。

ひとまずこれで澪も止まったことだろう。

じゃあ。

これまで絶えず移動をしながら森鬼さんに呼びかけていた行動を変える。

彼女たちをまっすぐに見据え。立ち止まった。

「ヒューマン、仲間割れか?」

3人を僕が焼き殺したと思っているんだろうか。傍目にはそう見えるよな。

「いや隔離しただけ」

「動き止った」

すぐにBが何やら短杖をこちらに向ける。

周囲に異変を感じる。これは風の魔法か。どんな魔法かは知らないが詠唱している彼女に集まる魔力から程度はわかる。これまでとは違う大技だ。

「澪、散らせ」

一言だけ、抱えている澪に命じる。

闇の魔法は他の属性魔法には無い特性がいくつかある。一番の特性は光を司ると言われている女神の対極の属性と看做され嫌われていることだけどな。ちなみに僕は全く気にしてない。

他の幾つかの特性の一つが……。

「はい、若様」

正気に返った(のだろう)澪が魔力の流れを視る。一目で大体を”掴んだ”ようだ。本能のなせる業だろうが大したものだ。

収束しつつある魔力に属性が加わり術となろうとする直前。

練られた魔力が四散した。

「!?」

森鬼Bは何が起こったかわからない表情をしている。それはそうだろう。こんな真似おそらく曲芸の領域。話を聞いた僕も練習しているが、とてもまだ使えた物ではない。使ってくる術を知ってれば成功できる、ってレベル。

闇属性は魔力を食うのだ。しかも、ごく限られた条件下においてのみ非常に効率的に。

編み終えられた完成した魔術には極めて効率の悪い食い方しか出来ない。消滅させるなら数倍の魔力が必要になるだろう。だから実用的とはいえず純粋にその用途で使う者はいない。…澪はやってたけど。

だが詠唱中の魔力に対しては逆なのだ。相手が詠唱している際効果範囲に現れる魔力ではなく、詠唱者本人の傍に在る源になる魔力。大抵は触媒になる杖や指先に集まるソレに対しては闇は非常に効率的に食らうことが出来る。

もし、発動前に発動起点になる杖や指先、手の掌に集まった魔力を食われたらどうなるか。

答えは簡単、術の発動そのものがキャンセルされる。しかも食われた魔力は術者に還元するわけもないので魔力の消費はある。

つまり、カウンターマジックが成立することになる。他全ての属性に対して。

だが準備段階で効果範囲に現れる魔力から術の構成を先読みしてかつ、相手の詠唱が完成される前にこちらの術を逆走査させて相手の術のコアになる場所の魔力を特定して食うという行為は。

極めて難易度が高い。というのに、闇に長く慣れ親しんだ存在である澪にしてみれば人が呼吸するのと同じ感覚でこの過程をこなせる。本能、恐るべし。

そしてこの曲芸が実戦で使えてしまうというわけ。彼女と対立するなら詠唱の長い高位かつ高威力の大魔法的なものより、シンプルで威力の高い魔法を連射するのが効果的ということかな。それも……食べられちゃうかもしれないな。うん、やりたくない。

「話をするには力を示す必要があるというのなら」

「ほう。やる気になったか」

「待って。何か変」

術の発動がなされなかったことでBに僅かな動揺が伺える。もう遅いわ!

「君たちを無力化して示すとするよ」

的は短杖、そして弓。でも、まんま狙うと位置的に体ごと撃ち抜いちゃうので。

(澪ちょっと光るぞ)

澪に短く意図を伝える。

ライトの魔法を威力を高めて効果時間を一瞬にして二人の間で炸裂。何の事は無い、目くらましです。

ふん、まだ外してない仮面のおかげでこちとら視界が悪くて仕方無いんだ。ちょっとは有利があっても良いかと思います!

光から退くように身をよじった二人の手にある獲物をブリッドで狙い撃った。

杖と、そして弓を撃ち抜き武器を破壊する。ひょっとして予想以上に頑丈に出来ていることも考えて次弾も詠唱をしておいたけど、必要なかった。

つ、疲れた。

ようやく、交渉に入れる。ゲームならTALKのボタン一つで済むんだけどなあ……。
お読み頂きありがとうございます。
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