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一章 ツィーゲ立志編
荒野の花、街の華
アンブロシアは確かに荒野に咲いていた。

だから澪は幾人かを連れて探索し、何日かをかけて発見。

元々の群生状況を汚染したりすることなく数株を了承の上で持ち帰ってきた。誰か管理者がいたのか澪に聞くと、持ち帰ってきた植物を指された。

「この子たちに直接聞きました。繁殖にも問題無いようにきちんと話はついていますわ」

この子達?

この世界は植物も喋るのか。ふむ、これは盲点。

「澪は植物と話せるのか。錬金術といい解毒といい、お前は隠れた特技が多々あるね」

びっくり箱かと思うくらいだよ。

「話せる、と言っても明確な会話が出来るわけでもありませんが。意思の疎通は出来ます」

「で?ここで根付けそうだって?」

「それはこれからです。駄目なら元の場所に戻して巴さんに結界でも張ってもらうことにします」

ヒューマンが見つければ根こそぎ採取して滅んでしまうでしょうから、と付け加えられた。

僕も同感だね。澪、君は成長してくれている!実に嬉しい!

「ですが若様、一つ問題がございまして。いえ問題といっても些事ではあるのですけど…」

「なに?」

今の所は万事順調な様子だけどな。

「アンブロシアを自称ですが守っている者らがいるようなのです。今回彼らには黙って持ってきてしまいましたから後日説明をしないと面倒かと」

「……守っている者?」

なるほどね。それでは確かに採取の跡があれば犯人探しに発展するか。その動き次第によってはツィーゲにアンブロシアの群生地が知れるかもしれない。

下手をすればツィーゲとその守り手の間で争いが起きかねない。

良くないな。

「ええ、痕跡からおそらく妖精種のいずれかと思うのですが、他者に融通のきかぬ真面目で頭の固い一族とのこと。私たちが話して素直に聞いてくれるかどうか」

「だが植物本人(?)の承諾があるなら大事にはならないんじゃ?」

「いえ、最初に申しましたけど自称、なのです。彼らはこの子達と意思を交わす手段は持ち合わせていないようで。ただ貴重な植物を管理し、守っているということなんでしょう」

……やっぱり植物と話せるのは相当レアな能力か。妖精種とかって聞くと木とか草と話せそうに見えるけど駄目なんだな。

絶滅したといわれている植物を発見して以後、それを保護して管理する。十分納得できて、しかも共感もできる。

妖精、妖精ね。ピクシーとかドリアードとか、真面目でお堅いっていうとノッカーとかも可能性ありかな。もしもドリアードだったら初の攻略範囲内人物のご登場だ。

…ツィーゲの人は何か美人過ぎて手が出ないんですよね~。ヘタレなもんで。その上、商人さんらはともかくとしてやばいのは冒険者の皆さんだ。時々首から下だけ見て二度見するくらい露出の高いのがいる。

夏冬二回のサブカル最大級イベントであるコ○ケですら運営にアウトをくらいそうなコスプレ真っ青なのが。女性のは目に毒で男のは主に吐き気がする。どちらも正気を疑うのは確かだな。

一度など、女性で上半身ほぼマッパ、胸部に小さめのさらしを巻いているだけというのが存在した。その癖顔は下半分をアラビア女性がしているように覆い、場所逆やろ~!とか突っ込みたくなった。

ただでさえ周囲にはリアルに動く獣耳やらニンゲンには有り得ない線の細い肉体のエルフ、それに各種様々な特殊嗜好を満たしてくれる美人が豊富にいるのに。普通の美人さんたちまで過激な服装をしている。

し・か・も・だ!

二人の従者の高レベルのせいで(間違いなくこれが原因だと確信できる!)、最近僕なんぞに色仕掛けをしてくるご婦人方がそこそこにいる!

亜空に戻れば巴はともかくとして澪は物欲しげな顔(多分僕の思い込みじゃないと思う)をしてちょこんと部屋に来ることがあるし。もう、いい加減しんどい。ほんとにしんどい。大事なことなので…はもういいや。そのくらいしんどい。

告白云々の恋愛のトラウマっぽい何かを通り越して一気に大人になってしまおうと。色々とガス抜きしてしまえば賢者になれるんだと。

はい、血迷って色町通りの娼館に足を向けたことがあります。

あれは失策だった。思い出したくも無い。

巴と澪に強烈に連れ戻された上でどちらを抱くか、伽をさせろと大騒ぎ。盛大に脱ぎだすわ静かに退室しようとした僕の身に体に良く無さそうな桃色の霧と粘着的蜘蛛の糸が執拗に迫ったり。

お金で後腐れなくチェリー卒業しようと思っただけなのに。身内みたいな二人を抱く、そういう関係になる事は何だか近親相姦に近い禁忌を感じているんだよ、実は。巴と澪は近すぎる。妙に手をかけさせるからか姉妹を連想しちゃうんだよ。

ただ仲間だ従者だ、というには関係が濃くて近い。

知り合いだと、トアさんとか後輩そっくりで、それだけでお腹一杯になる。多分、道端で偶然見かけたご婦人に襲い掛かるくらい正気を失っても、トアさんを襲うことは無いと思う。

正直もしも弓道部部長の東のそっくりさんまでも現れたなら僕は亜空箱庭天蓋テントにてヒッキーになる自信がある!

当面、体重ねるような相手は期待できないか。心、ささくれるね。巴と澪と離れて行動することがあったら話は別なんだろうが。

と、僕の性事情は一先ず置いておこう。アンブロシアを持ってきちゃったから管理してるらしい妖精に挨拶、ね。了解。

「まあ悪い奴ってわけでもないか。いずれにしても会って話をすべきだよね」

「若様に面倒をおかけするのは」

「構わないよ」

「そんな…私に任せてくだされば(いっそあの時探って食っておけばよかったかしら。若様にお手間を取らせるなんて恐れ多い)」

なんだ、今恐ろしい思考が聞こえた?いや思考は聞こえんだろう。じゃあ何だろう。

あれだな。澪にこのまま任せるのは危険な予感がする。それは間違いない。

「澪、たまには一緒に出かけようじゃない。ね?」

「!!一緒に!?」

「そうそう一緒一緒」

「ええ、いきます!いかいでか!」

野郎かお前は。どんなテンションだよ。

妖精種か。実際、どんな種族なんだろう。

……等身大で気が利いてメイド気質なお姉さまがいいな。

僕の従者は本当にフリーダムな奴らばかり。

そんなお姉さまがいたら僕から勧誘しちゃうかもなあ。

いや、そんなことより。

……この際お姉さまは次点の条件にしても良い。

巴や澪に心酔する輩じゃなくて、二人へのカウンターになる人材、超募集中です。
澪はいわばダムですね。
彼女に気軽に手を出せないのは真が言ってしまえばヘタレだからです。
でも彼女がいるからその辺の女性にも手を出せずにいる(邪魔される的な意味で)
詰まる所、真は暴発寸前のがけっぷち状態にいます。本人は未だそこまで追い込まれていることには無自覚で、ただやばいゲージがポタリポタリと溜まっていく、みたいな。
まあ十代の主人公です。遠からずね。
展開がそれほど早くないので文章的には遠いかもしれませんが^^;

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