……。
お気に入り登録件数が、500超えてる。
あれ。
extra2投稿からまだ一週間も経ってないですよ!?
何が、何が起こった!?
巴と相談してからの数日間はもう、それはそれは目が回るほどだった。
渋るお姉さんを押し切って何でも屋として商会の業種を決め。
トアさんたちに事情を話した上で巴を預け。
甘いとか贔屓とか、自覚あるけど。絶野を更地にした手前、どうにも引け目を感じていかんな。リノンは僕が関わった最初の好意的第一村人だし。
傍目にはサラ金にはまって地下で穴掘りしてる連中と大差無かった彼女ら。
今の幸運に甘えるだけか、成長の糧にするかは、正直好きにしてくれて良い。これからしばらくの間にレベルもしっかり上がってくれるようなら少しは期待できるだろう。もし財布しか膨らまなかった時は……。
切れるかな?
……。
自信、ないな。
トア、か。歳は聞いてないけど。やっぱりどっからどうみても長谷川なんだよ!野性的あいつだ。瓜二つな人が三人いるっていう中の一人なんだけどさー。
澪や巴を従えているからか。僕にも敬語を使うから余計に後輩を思い出してしまう。
どうしたって肩入れしたくなるんだよ。
ツィーゲについて打ち上げをしてからは、僕自身は一定の距離をおいて彼女らと付き合うようにしてきたのも必死に自制してのことだ。
別人だとわかっていても、世話を焼きたくなってしまう。間違いなくお互いの為にならないとわかってるのにね。
自立して育って欲しい、でも面倒見てあげたい。あの姉妹はある意味で僕にとって難敵だな。女神と勇者二人の次くらいには。
当面は巴に任せて振る舞いを学ぶという名目で荒野ツアー。
あれで意外と人の扱いが出来る奴だからな、巴は。伊達に年季入ったドラゴンじゃないってことだね。
だからもう一つ任せた仕事も彼女は実に手際よくこなしてくれた。
依頼から戻ってからの時間で巴が店舗用の土地を見つけ。借りる、のではなく買い取りだといって業者を喜ばせ。
僕は亜空での皆さんの作業具合や陳情を聞きながら、レンブラント商会にアポを取り何度か面会した上で、レンブラント商会の店舗にテナントのような形で入ることを許可してもらい(流石に家族の恩人ということもあって交渉はスムーズだった)。
学園都市とやらの情報を集め。
光陰矢の如し、とはよく言ったものだ。
そして六日目。
え、大袈裟に言った癖に一週間しか経ってない?
もう本当に目まぐるしかったんだからさ。毎日毎日一瞬だったよ。
ようやく澪からアンブローシア発見の報告が入り、亜空の環境に馴染むかどうか確かめるとのことで僕の同席の上で花の株を出来るだけ環境の近い数箇所に移し変えた。近くのアルケーの管轄ということでお任せしたところだ。
アルケーの皆様は見た目に反して植物の世話も上手なようだ。うむ、見た目で判断してはいかんな。技能習得についても悉く優秀だし。今じゃ彼らは全員が普通に喋る。
僕としては人材を揃えないといけないという問題点が浮上してはいたが概ね順調。
巴も魔獣、魔物その他の素材について大分学習ができている様子で、こちらは土地問題も片付いている分何の問題もない。トアさん達は職の名前も変わり、レベルも相当に上がっているとのこと。
借金漬けだったころからこっち、ようやくリハビリが済んだってとこかね。たまに様子を伺うくらいでお互い心配もせず語り合えるくらいの実力を持ってくれるなら僕も安心して出かけられるってものだ。
む、また甘さでた。自重自重。
今夜は澪とアルケーの帰還、それから僕が最近、亜空に留まる時間が増えたことを喜ぶ皆様が宴を開いてくれたので、そこにニコニコ参加している。
本当に良い人たちだねえ。ヒューマンなんぞよりもずっと情が深いや。
付き合ってみて、やはりヒューマンは外見のインパクトのせいか今ひとつ入り込めないし。筆談だし。共通語は相変わらず唸り声だし。うむ、全部女神のせいだな。
商売人としてこれじゃいけないからね。流石に三日で見飽きた、なんて程には慣れてないが外見で好印象を全員にもってしまう、というレベルでは無くなった。
きっと直に綺麗だからってウチも商売ですからねって思えるようになる。きっと。多分。恐らく。
「若様は今荒野を出た街に逗留しているとか。人の町はいかがですかな?」
ドワーフの一人が真っ赤な顔でこちらに話しかけてくる。超酒臭い。
「活気のある良い街ですよ。辺境にあるせいか亜人に対する偏見もなく、むしろやたらと高レベルな巴と澪が浮いているくらいです」
「わははははは!!そりゃあ愉快!人の街にあのお二人がいればそれはもう騒ぎましょうな!!」
「まったくです。巴は特に、今狩りにでては山ほど素材を取ってきますから。街の素材卸の連中は最早英雄のような扱いをしてます」
「若様の供が出来るお二人が羨ましいですな。日々刺激に溢れていそうだ!」
日々刺激的、か。まさにそうだけど。
そっか。この亜空にいる人たちはずっと亜空にいるんだもんな。息が詰まるのも無理はないか。
なら亜空から出れるようにもしたほうがいいのか。今の所、僕の許可が無いと出れないし、ここ。
閉じ込めてるつもりは無いけど、確かに、たまには出たいよな。
「若様、どうしました。急に黙って」
「あ、いや。やはり亜空にいると息が詰まりますか」
すると、その言葉を聴いたドワーフはキョトン、として僕を見返した。
「え、あれ、何かおかしなこと言いましたかね。たまには出たいかな~と思っただけなんですが」
「若様、御覧なされ。今は闇が覆っておりますが、この世界のどこに息が詰まるような閉塞感があるのです?未だどこまであるとも知れぬ大地に果てに見えるだけの山脈。先だって現れた大河の源流もわからず、まだ都市の建築も始まったばかり」
「え?お?あの?」
「しかも実り豊かで危険な生物には未だでくわしておりませぬ!我らにとってこの世界はこれ以上何を望むのかというくらいの楽園ですぞ!」
なんという力説。
そうか。僕から見ると巴の能力で出来た箱庭みたいな世界という印象だったけど、実際物凄い広いし、開拓も始まったばかりなんだ。あっちもこっちも未知のフロンティアって思ってくれてるんだ。
ここに住む人には閉塞感なんてないのか。そっか、少し、安心したな。
「その上、規格外の力を持つ若様たちがおります。我らの知識と技術をすべて使って尚追いつかぬ程の方々が。その武器を作れる喜びは職人冥利に尽きるというものです。最長老までもが連日の徹夜を敢行する始末ですぞ」
ガハハッと笑うドワーフさん。つか、最長老さん、無理しないで寝てください!ただでさえ巴の奴にエルダードワーフは長いからエルドワで良いな?とか無茶苦茶な事言われてて可哀相なのに!
「だが出てみたい、というのは確かにありますな。今の人の世の武具が如何なる物か興味はありまする」
「ああ、職人としての興味、ですか」
「ええ、どの程度の物を欲しているか、というのも含めて興味がありますな」
下手な物を渡して騒ぎになったら若様にもご迷惑が、と続けてくれた。
確かに。ここに冒険者を迷い込ませて色々持ち出させてはいるものの。職人側に理解があるのが一人二人いたほうがいいか。
アルケー、は流石に軽はずみに街に出すわけにはいかないからもう少し人に化ける練習させてからにするとして。彼らならヒューマンに変化する術を身につけるのも時間の問題だろう。
ドワーフなら別に今すぐでも問題は無い。ツィーゲにはドワーフは冒険者として何人かがいるし、何よりエルダーでも無印でも外見変わらないからな。
「なら今僕らがいる街で先ず数日、店番を兼ねて出てみますか」
亜人を商会のメンバーに入れることに問題の無い事は既に確認済みだ。ギルドへの登録は色々面倒だが構成員としてならヒューマンと何ら変わらない手続きで済む。
「おお!それは楽しそうですな!」
「なら数人集めておいてください。改めて迎えにいきますよ。ドワーフという存在は亜人の中でも優れた武具を作る鍛冶師の代名詞ですからね。もしかしたら武器作成の依頼も来るかもしれません」
「ほう!それは請けてもよろしいので!?」
「できれば請けて欲しいですね。僕もあの街でどのくらいの武器が要求されるのか知りたいし。皆さんが提案するのではなく、出来るだけ依頼者の希望を聞きだしてくれれば尚良い。あまりに未熟な者なら断るのも選択肢の内ということで」
「なんとも、楽しみですなあ。巴様に聞いた縁日の屋台を開く気分ですぞ!」
巴、おまいはドワーフさんに何を教えているのかね?縁日の屋台って高いばっかりで掘り出し物は無いイメージがあるんだが。
だが言い得て妙、子供相手の縁日くらいの心持でちょうど良いのかもしれない。日々僕や従者2人の武具で精神磨り減らしている職人さんたちにはね(汗。
話相手になってくれていたドワーフは気の会う仲間に早速今の話を持ちかけて陽気な話し合いを始めた。
改めて周りを見る。どこも賑やかで酒精の楽しげな様子さえ伝わりそうに感じる。
リザード、アルケー、オーク、巴、澪、巴。……巴?
うわー酔ったかな。巴が二人にみえ、る?いや、二人い、る、ね?
ああ、ぴょこぴょこ跳ね回ってお猪口を手にしてるのは分身とかいうやつか。よく見れば小さいし二頭身くらいしかないし(おい
あの分身がここで頭役になって色々動いてくれているんだねえ。うむ、そう思うと身体に見合わぬ飲みっぷりもどことなくプリチーに見える。
皆、仲が良いようで安心した。
こうやって一つ所で火を囲んで踊り酒を交わすくらいには友誼がある。
異なる種族が同じ場所で暮らすんだからこういう行事を作っていくことは重要だよな。新たに文化を作り出すという意味合いも込めて。
文化を同じくすれば交わりも濃くなるだろうから。そこまで考えているのなら、エマさんは為政者としての才能もありそうだ。
……ただのお祭り好きでいてくれたほうが今後の僕の憂いが少なくなる気がする。程々が一番です。程々がね。
僕は亜空に関しては基本放任で行きたいんだよね~。優秀すぎて僕が王様的立ち位置に無理矢理に追い詰められる展開は勘弁して欲しい。
放任とは言え、新しい住人が入る時とかは話をするつもりはあるけどさ。やっぱずっと住んでいく人たちの話し合いは大事だよね、って思うのですよ。
さて、宴も落ち着いてきたことだし。各種族ともお母さんや子供の姿が徐々に消えだしている。残ってるのは飲兵衛どもだな。
僕もそろそろ寝床に帰りますかね。
そうだ。久々に弓でも射るか。なんだかんだで弓道をやるのは心が落ち着くからなあ。
おし、そうしよう。
となれば。
こっそり抜け出してお楽しみといきますか。
区切りが微妙だとは重々思いましたけどお気に入りの増え方に動揺しまくったまま投稿しちゃいました。
次はextra3であります。あーびっくりした。
当然のようにまだ書けておりません。
extra4はどうしよう。700か1000が妥当だと思うのですが……。
ご意見ご感想お待ちしております。
小説家になろう 勝手にランキング
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。