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一章 ツィーゲ立志編
改めましてギルド登録
「はい、それではこれで商会名クズノハ商会で登録は完了致しました。代表はライドウ様、構成職員として巴様と澪様を登録いたしました。尚、記載情報の変更などは速やかにライドウ様がギルドにて申し出てください。臨時雇いなどの人員増強の際には申告は必要ありませんが正職員として増員がなされる場合には申告が必要となります。その他申告が必要なことや免許品等につきましてはこちらの冊子を熟読下さい」

表面を青く加工された金属製のギルドカードを発行された僕は従者二人と共に自らの商会を立ち上げることに成功したのだった。

渡された冊子は薄いが文字がびっしりと書き綴られている。紙貴重だからってここは解り易さを優先してもらいたい所だ。

ギルドに商会の特徴と方向を聞かれたときには、まだ定めておりませんので正式に活動を始めるときに改めて挨拶に伺います、とお茶を濁しておいた。

薬品は扱おうと決めてるけど、他は曖昧だったので。

何でもギルドとして商会を紹介(駄洒落じゃないよ?)する際にタグとして情報があると助かるのだそうだ。まあ、もっともだ。

また、レンブラントさんにでも会いに行って相談に乗ってもらおうかね。

昼食はごくごく軽く済ませ、拠点にする宿を探して奔走しているトアさん一行に連絡をつけて冒険者ギルドへ。

ランカーぶちのめしたことで何か一悶着あるかと内心ビクビクだったが特に問題は無かった。

レンブラントさんは冒険者(だと思う)の呪病の術者を殺しただろうに依頼の取下げとかは無かった。現に僕が依頼を受けた。

ギルドって情報網凄そうだから知られてない訳は無いと思うんだけど。

線引きがわからないというのも不安を掻き立てる。読んでもいなかった冒険者の手引きっぽい冊子も目を通しておくかぁ。

ライム君は、見るからに小悪党な雰囲気で、僕など彼を平均的チンピラと評したのに、ギルドに泣き付いたり仲間や手下に有ること無いこと吹き込んだり面倒な事はしなかったようだった。

特に様子がおかしい事も無く、無事に受付のカウンターまで来れた。

ギルドに既に届けられていた破格(モノを考えると破格というほどではなかったようだけど)の報酬を受け取ると、僕以外の皆さんわくわくどきどきのメインイベント。

報酬の受け渡しの段階でちょっと注目を集めた事なんてすぐに過去の事になりそうな気が致します。

巴と澪の冒険者登録であります。

ちょっと巴がニヤリとしたのが気になったけど。いや正直に言うよ。凄く気にかかった。

先に僕のレベルについて確認してもらったけどやっぱりレベル1のままだった。もうこれは女神の呪いかもしれない。

澪を制するように巴のやつは先に登録したがり、まあどちらからでも良かったので巴からやらせる。

比較的人が少ないのが救いだけど、数日もすればすっかり有名人なんだろうなあ。

いきなり1600までを測れる紙を要求し、職員のド肝を抜き。周囲はざわめく。当然の反応だよね~。

「巴様、レベル、1340です」

「なにいいいいいいいい!!??」

僕は叫んだね。叫ぶ予定なかったけど叫んだね。

何で上がってるんだよ?ついでに何でそれに不満顔で驚いてんだよ?

まさかこいつ別行動中に密かに狩りに明け暮れていたんじゃあ。武者修行なんて口実だぞ?

どよめきは半端ない。一気に僕らを中心に人の輪が出来た。

「そ、そ、そ、そんなはずはない!あれだけ斬りまくったんじゃぞ!1500は超えておるじゃろう!?」

「いえ、あ、その、揺らさないでー!」

がっくがっくとお姉さんの身体が前後に揺れる。1500って数字は、そうか澪か。

[巴。やめろ]

「はっ!つい我を忘れて…、若申し訳ありませぬ」

うあ、お姉さん顔真っ青。力加減次第では死んでいたかもしれない状況に思えたことだろう。心中察するに余りある。

[澪、さっさと済ませてきて]

「はーい♪」

「うぬぬぬぬぬぬぬ」

巴のニヤリの理由がわかったのか、澪は僕の言葉に肯定を返しながら巴を流し目で一瞥。巴、持ち上げた拳震わせても結果変わらないから。

同じく1600の紙を真っ赤に染め上げた。

「み、澪さま、レベル1500で、す。……はうっ」

お姉さんは読み上げるが早いか卒倒した。可哀想に。むしろ良く頑張った。

澪は流石にレベル上がってないようだ。というか荒野であれだけ戦わせて1レベルも上がらないのか。じゃあ巴は何やって20もあげたんだか…。

荒野の一角に死屍累々の山が出来ているということだろうか。素材、取りに戻るか?いや、もう獲物にありついた他の魔物の胃袋の中だろう。

骨や牙などは残っているかもしれないから後で場所吐かせてリザードさんとオークさんに行ってもらおうか。僕が行く必要は無いな。見たら大分正気削られそうだからって理由じゃないっすよ?

続きの作業は別な人が代行してくれて、都合二度目にはなるけど最強レベルの最低ランクの冒険者が誕生したのでした。

トアさんたちは発行されたばかりの冒険者ギルドのカードに自分たちの連絡先を相互交換し、周りからの羨望を嬉しそうに受け止めている。

MMOなんかで超強力な有名プレイヤーとフレンド登録するような感覚なのかな。

……実際命掛けてるんだ。それどころじゃないか。ぶっとい命綱でもつけた気になってるかもしれない。

「そういえば若様、私たちは商人ギルドには登録しなくて良いんですの?」

澪だ。別に構成員全員ギルドに所属する必要は無いようだから別に構わないが。

[将来的には取ってもらうかもしれないが当面必要ないよ]

そんな会話はトアさんたちをさらに驚かせたようだった。

「ラ、ライドウさん、もしかして”再発行”の試験を飛び込みで一日で?」

ああ、そうだった。無くしたことにしてたんだったか。トアさんに言われて思い出した。危ない危ない。これも口止めしとかないと。

[ええ、面倒でしたのでもう一度試験を受け直して昨日取得しました。ほら]

青いカードを見せる。

「ほおおお、難関の試験を即日ですか!相変わらずの超人ぶりですなあ、まったく」

神官戦士のドワーフさんの僕をみる目が明らかに変態を見る目になっているよ。

[あははは、ここを拠点にして商売を始めるつもりですので、どうかご贔屓に]

「出来るだけ、使う」

「お菓子ある~?」

エルフはなにやら力強く頷いてくれた。リノンは見当違いにお店を想像してくれているようです。日用品や雑貨はとりあえず保留だな。亜空云々の商品に薬品。後はドワーフの鍛冶も活かせるなら嬉しいけど、偏屈な職人故に辺鄙な所に引っ込んだ連中だから下手な説得は逆効果になりそうで怖いよね。

「あの、ライドウさん。澪様と巴様は、これから?」

トアさんだ。これから?

ああ、もしかして依頼を受けるかパーティをどうするかってことか。当面ランクを上げてもらうよりもやって欲しいことが山積してるからなあ。

[二人は商会のメンバーとしても登録してますので事務所を構える場所とか挨拶回りとかやってもらうことがたくさんありますけど?]

とりあえず土地は押さえておくに越したことは無い。ネット通販は出来ない世界だし。情報収集も挨拶周りも人数が多いほうが捗るってものだ。

「はあっ!?こ、このお二人が土地探しに挨拶回り!?」

[ええ、レベルがいくつだろうと僕の従者ですし。役員もいない小さな商会のヒラなんですから当然です]

「い、いやいやいや!ライドウさん、それよりも依頼をこなしてもらってお二人に知名度を上げてもらったほうがきっと…」

トアさんが宣伝になりますよぅとかあーだこーだ言っております。

この分だと、便利に使う気でいたのかな。それとも弟子入りでもする気だったか?

そのうちに冒険者の作法を身につけてもらう為に同行をこちらから願う事もあるだろうけどね。

まずは思いついた事を一つ一つ解決して僕的FAQ(よくあるご質問)を作成し解決していかないと!

[あはは、そんなの別に必要ないですよ。当面、冒険者として動いてもらう気はまったく全然ありません ニッコリ

ば、馬鹿な!とか有り得ない、とか僕に向けての罵詈雑言に至るまで周囲から普通に漏れ出してくる。

だが巴と澪のちょっと怒ってる顔で沈黙しました。安いものですな。

[さ、巴、澪行くぞ。名刺作って、事務所探しと挨拶回りだ。忙しくなるぞ]

「御意!」

「はい♪」

「お兄ちゃん、楽しそ~」

待ってろ異世界の人々、クズノハ印のお薬で健康な生活をお届けするぜ!

ロゴも考えないとな!

リノンが代弁してくれたように。

僕は今、楽しいです!!
クズノハロゴ。
葉っぱかな、狐かな。実は詳しくはまだ考えてなかったり。

そういえば結構話数続けてきたけどまだ設定とかキャラ紹介とか一回もやってないですね。他の方の作品にあるのを見かけて気になってはいますがこちらもまだ保留ですね。

それでは、ご意見ご感想お待ちしています。
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