短いけど区切っちゃえ、ということで投稿しました。
錬金術師に名前が付きました。でも気分です。忘れて問題ないです。モブです。
では本編をどうぞ^^
思ったよりずっとレンブラント商会は大きな商会だったようだ。
先日伺ったのはあくまで店舗。僕はあそこが店舗兼住居かと思ってたんだよ!
今日は秘薬の調合その他行う予定で、先ずは錬金青年と同道して本場の(というのが合ってるかは別にして)錬金術でも眺めますか。
僕としてはこちらにきてからとしては珍しく気楽に、レンブラント邸を目指していたわけなんだけど。
彼らにとっての予定は僕が思っていたよりもとてもスピーディーで。
秘薬の精製は今日すぐにでも完成し、投薬までするという。
流石に予定に無いことをいきなり言われて焦った焦った。
錬金術っていうと、何かでかい鍋か壷でいろんなものを長時間煮込んでるイメージだったんで。
魔女と混ざってるとか言わない。
長い間闘病してる細君と2人の娘さんを僕らみたいな冒険者に晒してもいいもんなのかね。
この世界での振舞いはわからないけどさ。
そんな化粧も満足に出来ないような状態で知らない異性に会うのって女性は嫌がる気がするんだ。
大丈夫かなあ。旦那さんにして親父さんのレンブラント氏がOKだってんならそこまで大変なことにはならないか。
うむ~。
しかし、従者2人の例を基準にすると、この世界において杞憂という言葉はほぼ無いのですが。
商人は多分常識人。怖いけど信じますか。
「ライドウさん、秘薬の話に飛びついて仔細を聞かなかったのは私のミスだと思います。でもね、相手がレンブラント商会だったなら事前にそう言って欲しかった!」
錬金の人は応接間でそわそわして僕に話しかけてきた。
秘薬の名を聞いて即答してOK出してきたのは彼の言うとおり自分のミスなのだ。正直こちらに落ち度は無い。
ついでに言えば、僕だってレンブラント商会という所が結構ネームバリューがある名前で、しかも相当なお金持ちだったのは計算外なのだ。
中堅どころかと思えば、老舗ではないが大手だという。まったく、この屋敷を事前に見ていれば僕も多少着るものを考えてきたというのに。
いっそ、ドワーフの試作品を繕ってもらって着てくれば良かったよ。旅の時と同じ格好では明らかに場違いだ。
僕の泊まっている宿のロビーよりも広い応接間で僕らはやたらと沈み込むソファーで待たされている。
目の前のテーブルに置かれた飲み物からはセレブな香りがしていた。
いつもは容赦無く周囲の探索を張り巡らせる僕もこの場に限っては、というか室内においては基本的に使っていない。
外で使う時も家は形状や周囲の気配、内部からの不穏な気配程度は探っても建物内の詳細を探ったことは無い。
我ながら中途半端とは思うが、これはプライバシーに厳しい世界で育ったが故の遠慮といえよう。
大体、この屋敷には寝たきりであろう人妻とおそらくは年頃の娘さんが2人いるんだ。
流石に盗聴と盗撮を同時に行うのは気が引ける。
[私はツィーゲは初めてです。レンブラント商会の名も知りませんでしたので]
「……はぁ~、そうでしたね。いや申し訳ない。このツィーゲで氏の名前は相当大きなものなのですよ。彼に睨まれると正直居づらいくらいには」
[なるほど。それは、緊張しますね]
「そうなのですよ!しかも、秘薬アンブローシアの精製依頼!製法は既に用意されているとは言え、もう先ほどから落ち着かなくて……」
失敗したら報復があるのかなあ。いや、普通は無いだろう。
だって商人だよ?マフィアじゃないんだからさ。それに当人は体格からして商人っていうか武闘派でスーツとかあんま似合わないっての。
……、いや着たら着たで意外と見れるか?胸板厚いスポーツ選手もスーツ似合うしなあ。
[大丈夫でしょう、精製にはレベル80もあれば余裕とのことでしたので]
「秘薬アンブローシア、古くは神花アンブロシアから採れた蜜を主原料にされた万能系の解毒薬と聞いていますが。一体どういうもので精製方法はどのタイプになるのか」
ブツブツと自分の世界に入ってあーでもない、こーでもないとトリップしている。
果てには自分の得意なタイプだといいな……とか、テスト前の逃避に似た様子に見える。
大丈夫と慰めた僕にフォローが欲しいくらいだよ、まったく。
レンブラントさんと執事さんもまだ来ない。
この豪邸で僕らをどれだけ待たせるつもりなのか。
飲み物(おそらくは紅茶の一種だ)は半分ほど飲むか冷めてくるとすぐにメイドさんがやってきて見事な手際で新しいものに替えていく。
青年のギルドカードで職とレベルを確認はしていたから資格上の問題は無いと思うんだけど。
ん、この顔色の悪い青年の名前はなんだったかな?
どうも覚えてないな、やっぱり到着初日は飲みすぎた。
トアとリノンの姉妹は覚えてるんだけどな~。他のメンバーはうろ覚え、いやごめん、覚えてない。
「お待たせしました」
ようやくのドアの開く音に僕らはそろって主を見る。
レンブラント氏とその執事さんである。
ようやくですか。
「用意ができましたのでお迎えに参りました。設備は地下にありますので、私の後に。ご案内いたします」
「確かライドウ殿も見学されるとか。どうかハザル殿と一緒に」
[レンブラントさんは行かれないのですか?]
「私は先に妻と娘のところに行っております。精製が終わりましたら案内させますので後ほどお会いしましょう」
一刻も早く、これで直るであろう身内の傍にいきたいわけか。
だよな、信用できる執事がいるなら自分は見ていてもわからない薬の精製よりも奥さん娘さんといたいよな。元気付けてあげられるってのもあるし。
[了解しました、では後ほど]
僕としては錬金術のほうが興味がある。薬品の精製と魔法なんて中々見れるものじゃないと思うし。
にしても。
執事さんの後に続く顔面蒼白の青年を見る僕。
そうか、こいつハザルっていうのか。
そんな失礼なことを考えながら、僕は執事さんの案内に従って地下の製薬の場へと向かった。
貴重な薬だから作るのに時間がかかるとは限らない。
軽い気持ちで来たのにいきなり重要っぽいイベント発生ってやつです。
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