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短いです。
深夜の投稿です。
あずです。

テンションが不思議な高さになっております。
それではどうぞ^^
一章 ツィーゲ立志編
行くだけ行こうよ商人ギルド
遂に来ました、商人ギルド。

行商みたいなスタイルにしろ、注文されたものを調達する仕入れ屋みたいなスタイルにせよ。

商人ギルドに加入してギルドカードをもらうのは絶対必要なのである。

闇商人じゃあ追われる身になってしまうからです!

……絶対に必要なんていったところで?

加入に試験があることさえも今日の午後知ったんですが。

試験は年一回とかマジ勘弁ですよ?随時受け付けでお願いしますホントに。

カラーンコローン。

喫茶店を思い出させる音と同時に扉を開ける。

フロアの広さはカウンターの手前側でコンビニくらいか。街の大きさからすると何だかこじんまりして感じるな。

建物自体は二階建てで奥行きもあったからホールの大きさとしては妥当なのだろうか。実際人もあまりいないし。

地方都市の商工会議所な雰囲気。催しも無い(と思う)普通の日の夕方なんてこんなものか。

正面では営業スマイルのお姉さんがいたが、僕の奇天烈な風貌に口元と眉間がちょっと震え気味だ。

良かった。コート風の防具まで完成していてフル装備ならきっとこんなものじゃなかった。

だが僕と初見で笑顔を崩さないとは中々プロフェッショナルだ。言ってて泣けるぜ!

レンブラント執事に次ぐレベルだな。あの人は顔色変えなかったし。無言で筆談OKだった。

次に、読めますか?と目前の空間に書き出した文字を見てぎょっとした表情を作るも一瞬。

すぐに笑顔で大丈夫です、と返してくれた。

「いらっしゃいませ、本日のご用件は何でしょうか?」

[すみません、商人ギルドへの加入を考えているのですが]

「加入、でございますか?」

お姉さんは訝しげに顔をコクンとかしげた。

様になるな~色っぽい~。

二十代後半といったところだろうか。落ち着いた魅力を感じさせ始めている女性で、女優さんの、なんていったか忘れたけど誰かに似てる。

まあ、こちらの世界では皆芸能人みたいな容姿で当たり前だ。比較とかはいい加減止めないとな。

それに、ツィーゲに来てから非常に少数だけど僕に近い外見の人もいたし。

……獣人族だったけどさ。モグラと狸の。

「お見受けした所魔術師様かと。失礼ですが現在どこかにお勤めですか?」

[いえ、今は冒険者として登録しているだけです]

便利な言葉だ冒険者。フリーターと大差ない気もしたりしなかったりするのに。何故だか冒険者の方が凄い人に聞こえる。

「冒険者。……ということは、どなたの紹介も無く全くの御新規で当ギルドへの加入をお考えなのですね?」

[はい、幸い珍しい交易品を見つけましたので是非自分で商売をしてみたいと思ってここに参りました]

するとお姉さんは少し考えている様子。新規だと何か問題があるんだろうか。試験以外にも何か要件があるのか?

「そういうことでしたら交易のルートを私どもにお売り頂くという形も受付けておりますが」

交易のルートを教えてお金をもらうなんてことも出来るんだ。特殊な世界だなあ、僕が無知なだけか?

この世界では普通の事なんだろうか。彼女の様子は特別な申し出をした風でもない。

でも商人になりたいのは一応本当なのでここはしっかり加入したいって伝えないとな。

[いいえ、私は冒険者としてより商人として生活したいので]

「ですが、そのように素顔を隠され共通語でのお話も無理となると、試験その他の条件に合格したとしても信用が命になる商売の世界でやっていくのは……」

……。

なんだ、問題がある、というより僕の外見から行く先を心配してくれていたのか。結構、良い人じゃないか。

言葉のニュアンスからは感情が量れなくても表情やボディランゲージからの推測は出来るからな。裏は感じない。僅かに横取りなどの悪意を考えたのは僕が卑しいせいか。情けない。

レンブラント邸で詐欺がどうとかについて想像してしまった所為、ということにしよ。

[ご心配ありがとうございます。僕には連れが二人おりますし、最悪の場合、僕は表に出ないということも考えておりますので。それより、試験とその他の条件について聞かせてくれませんか?]

「お連れ様が、そうですか。いえ私の杞憂でしたら構いませんので。失礼致しました」

それからお姉さんは試験のことや他の条件について説明してくれた。

試験は随時受け付けでシーズンオフの時は1人で受けることも少なくないのだそうだ。シーズンというのは初夏に幾つかの大きな商会からまとめて試験を受けに人を来させるらしく、その時期を言うらしい。合わせてなのか他の受験者も初夏に初試験を受ける者は多いのだとか。

今は季節としては秋なので、それほど受験者は多くないとのこと。随時受け付けマジ感謝っす。

試験は二段階で、筆記と資材調達で構成される。筆記で基本的な知識、調達で商人としての実技を見るのだそうだ。

筆記試験は教本がギルドから出ていて事前に勉強することが出来る。ただし教本は教科書・参考書のような位置付けで、試験内容と完全に一致するものではない。

その他の条件というのは受験料、供託金、初年度ギルド費など、要はお金だった。流石に商売をするという身だから、ある程度の経済力は証明しないと加入を認めてもらえないらしい。

試験は何度でも受けられるが受験料は毎回支払う必要があり、一度落ちた者は半年は受けられない。もう1~2月すると初夏の落第組が受験しに来るわけだ。

ふむ、一度落ちると半年受けれないのか。

ならとりあえず受けてみるのはまずいか。

[では教本をひとつもらえますか?]

「あ、はい。一冊で金貨2枚になります」

高い!二十万円相当だと!?

どこの学術書だ!

いや、待てよ。

むむむむむむ。

そうか。この世界、紙はそんなに出回ってない。本そのものが結構高価なんだ。

それにレンブラントさんとこでみた本もパラパラ読んでみたけど写本だった。

値段聞かなかったけど、あれも実は相当高いのか。

くっそー仕方ないか。

「あの、無理にご購入されなくてもどこかの商会で雇ってもらって勉強する方法もありますよ?」

値段を聞いてぷるぷる震える僕の様子からお金が無いのだと思ったのか、お姉さんは苦笑して代替案をくれる。

でもその方法だと知識をもらえるまでどんだけ丁稚しないといけないんだって話なんですよ、この場合。

実務も覚えれるといっても、ちょっと手段としては無い。この街を最初の拠点として動く予定だから長居はするだろうけどさ。

まあいいや。貴重だってわかっているものにならお金は払うさ。宝石箱(注:果物です)を売った残りはまだ十分にある。

ルビーアイの瞳収集依頼の消費税(この世界に消費税の概念なんて無かったけど)だけでも余裕のお支払いだから痛くもないさ。明日貰いに行く予定だし。

この世界で貧乏って味わってないわー。せめてもの救いかね。

[いえ、金貨2枚ですね。ではこれで]

金貨2枚を事も無げに渡す。

お姉さんは自分の人を見る目が違っていたのか、とちょっと驚きながらもお金を受け取って本をくれた。

どれどれ?果たしてどれほどの内容なんですかね?

パラパラ…

パラパラ…

パラ…

あれ?

これって。

パラパラパラパラ…。

パタン。

[あの、今からでも受験できますか?]

「はぁ!?」

思わず大声を出した受付のお姉さんの声にギルド内が騒然となった。
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